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中二病に与えてはいけないスキル~中二病を拗らせた俺がもらったスキルは最強だった~  作者: 桜瑞歌
第11章 繋げ!人間界と獣人界の絆〈前編〉
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第110の宴 達人の領域

「そろそろ決まったか?」

俺は商人希望者達に問いかける。

「タナトス様!

大体は決まったのですが、2つほど分からない店がありまして・・・」

「どれだ?」

「この寿司屋と言うやつとハンバーガーと言うやつですコン!」

「ああ、これか。

寿司は海の魚を生のままご飯に乗せて食べるものだ。」

『海の魚・・・?』

「お前たちは普段、魚といえば川の魚だろ?

海にも沢山の魚がいて、これを捌いて生で食べるんだ。」

「な、生で食べるって・・・!

お腹壊しますよ!!」

「寄生虫とかいなければ大丈夫だろ?」

「寄生虫・・・?」

「寄生虫が体内に入ると何かしらの不調を起こすんだ。

まあ、鑑定すれば生で食えるかどうかはわかるからな。」

「しかしですが・・・どうやって海の魚を捕るんですか・・・?」

「船を使うんだ。

船さえあれば海の上を渡ることが出来る。」

『船??』

「私達は乗ったわよ!

あんな重そうなモノが不思議と沈まないのよ!」

「海の魚かぁ・・・美味しいのかなあ?」

「かなりうまいぞ!

じゃあ、早速釣りに行くか!」

『釣り??』


俺はミーナに頼み、商人たちを連れ獣人界と魔界の間の海に向かう。


「じゃあ、ここに船を出して・・・」

俺はアイテムボックスから船を取り出す。

『なんじゃこりゃァァァァァァァ!!』

「だから、これが船だ。

これに乗って海を渡るぞ。」

「不思議だコン・・・!

こんなに重そうなのに浮いてるコン!!」

「ね!言ったでしょ?」

一同は船に乗り込む。

「じゃあ行くぞ!」

船はぐんぐんと前へ進む。

「すごいワン!

海の上を渡ってるワン!!」

「か、革命だコン・・・!

この船ならいろんな所に貿易に行けるコン!」

「それもありだな。

次は外の世界にでも行ってみようかな・・・。」

「ここの大陸は大丈夫そうだものね。」

「外の世界かぁ!!

ワクワクするね!!」

「ミーナはタナトス様がぁ行くところならぁ何処にでも行くですぅ!!」

「私も貴方がどうしてもって言うなら行くわよ!!」

「あたしも外の世界に行ってみたいにゃん!!」

「ルーシーちゃんもタナくんと一緒に行くからね★

タナくんと一緒なら何処でも楽しそうだもんね☆」

「獣人界と人間界を結ぶことが出来たら旅に出よう。」

〈ガウ!〉〈キャン!〉

「そろそろかな。」

俺は海に向かって鑑定眼を使う。

「お、やっぱりたくさんいるな。

今まで捕ったことなかったもんな。

減ることもないしな。」

《クリエイトアイテム!!》

沢山の釣り竿とルアーが現れる。

「ご主人様、これは何?」

「これは釣り竿だ。

これで魚を釣るんだ!

見てろよ!」

ハルトは海に向かって釣り竿を垂らす。

すると、いきなり竿が撓り始める!

「キタキタキタ!!」

ハルトは素早くリールを巻き、魚を引き付ける!

「わあ!

竿があんなに!?

折れないの!?」

「大丈夫だ!

釣り竿は力が分散されるように出来てるからな!

余程の重いモノでなければ折れない!

よし!釣り上げるぞ!」


ザバァァァァン!!


ハルトが釣り上げたのはお祝いなどでよく使われる真っ赤な魚!

「すげえ!真鯛だ!!」

「すご〜い!!」

釣り上げられた真鯛はピチピチと甲板を跳ねている。

《クリエイトアイテム!!》

大きな水槽が現れ、ハルトはその中に真鯛を入れる。

「わあ!泳いでるにゃん!

美味しそうにゃん!!」

「どんどん釣るぞ!

お前たちも手伝え!!」

『ラジャー!!』

皆が一斉に釣りを始める!

「きゃ!凄い力で引っ張られるわ!!」

「頑張れ、レナ!

リールを回せ!!」

レナは魚に負けじとリールを回すレナ!

「ええい!!」

激闘の末、レナが鰹を釣り上げる!

「やったぁぁぁぁぁ!!」

「お姉ちゃんすご〜い!!」

「鰹だ!!

なかなかいいサイズだな!!」

「あ!私にもかかったわ!!」

ソフィーナにもあたりがかかり、竿が撓る!

「それ!!」

ソフィーナが釣ったのは小ぶりの鯵だった!

「ププッ!ソフィーナ、随分立派な魚ったわね!」

「くっ!」

「悔しがることはないぞ?

鯵だって立派な寿司ネタだ。

かなり美味しいぞ!」

そう言われるとソフィーナはレナに向かって「ふふん!」とドヤ顔をする!

「きぃぃぃぃ!

貴女なんかに負けないんだから!!」

「私に勝てるもんならやってみなさいよ!!」

バチバチと火花を立てながらレナVSソフィーナの釣り勝負がここに始まる!!

その横で・・・

「ルーシちゃんもお魚取れたよー★」

ルーシーがイサキを釣る!

かなり大きいな!

「いや〜ん☆

ルーシーちゃん、お魚触れな〜い★

タナくん、取ってぇ☆」

「待ってろ、今取ってやる。」

ハルトはルーシーの釣り上げたイサキを針から取り水槽に入れる。

「きゃぁぁ♡

流石はタナくんね♡♡

男らしいわぁ★」

そう言ってハルトを顔をルーシーの胸で抱きしめる。

いいぞ!ナイスぱふぱふ!!

『そ、その手があったか!!』

レナとソフィーナはルーシーに完敗するのであった・・・。


そして3時間後・・・


「もうすぐ夕方だからこれで終わりだ!」

『えぇぇぇぇぇぇ!!』

入れ食い状態の初めての釣りが楽しかったらしく、まだまだやりたそうな仲間たちと獣人達。

まあ、こんだけ釣れればな・・・。

普通はこんなに釣れないんだからな!

俺がルアーに細工してなければもっと釣れなかったからな!!

そう、何故ルアーだけで釣れたのか・・・。

それは、このルアーは魚が食いつきたくなるように魅了の付与が施されているからだ!

前の世界で売ったら爆売れするだろうな。


「夜の海は危ない。

それに戻ってこの魚達を寿司にしなければならないからな。」

『はーい・・・。』

とても残念そうだ。

しかし、遊んでる暇はないのだよ。


船を陸地につけ、みんなは船から降りる。

俺は釣った魚をアイテムボックスにしまう。

しかし・・・これ何匹いるんだ?

水族館作れそうなくらいいるな・・・。

いっそのこと、フードコートに水族館も入れるか?

魚を見ながらご飯を楽しむ的な?


・・・採用しよう。

なんかかっこいいしな!


俺地は早速施設に戻り、フードコートにいく。

『す、凄い・・・!!』

フードコートの広さに皆が驚く。

「これがフードコート・・・

想像以上に凄いコン!」

「こんなところで仕事ができるなんて嬉しいにゃー!」

喜ぶ商人希望者達。

早速、寿司を作りたいが・・・そういえば俺、魚卸せるかな?

昔釣り好きのじいちゃんに習ったことあるけど、子供の頃だしな・・・。

不安だ。

神の使者としてはかっこいいところを見せたい。

神の使者に失敗は許されないからな。

皆がフードコートを見学している隙にハルトは人目のつかない場所に移動する。

「やはり創るしかないな。」

神の使者としての威厳を保つためだ。

仕方ない!

「スキル創造!

スキル名、達人之領域!!

効果、あらゆるジャンルの職業の達人になれるスキル!!」

〈・・・・〉

また笑われたりするのかな・・・

〈条件あり〉

「は?」

〈お寿司を作ったら創造神に献上すること〉

「献上!?

どうやって!?」

〈作ったら創造神に献上すると言い、天に掲げよ〉

「そんなことで献上できるのか・・・

分かった。

約束する。」

〈スキル創造成功〉

〈達人之領域〉

あらゆるジャンルの職業の達人になれ、飲食業の場合、食材の美味しさを最高に引き立てることが出来るスキル。

但し、創造神に献上することを忘れるとスキルは2度と使えなくなる。


もう、やりたい放題だな・・・

しかも、更に凄いスキルになってるし・・・。

創造神・・・お寿司好きなのかな・・・?

忘れたらスキルが使えないって・・・

余程食べたいと見える・・・。


俺は皆の元に戻り、寿司屋の厨房に集める。

「じゃあ今から寿司を作るぞ。

ソフィーナはご飯を炊いておいてくれ。」

「わかったわ!」

そして、俺はアイテムボックスから魚を取り出す。

そういえば、魚はまだ生きてるけど、なんでアイテムボックスに入ったんだろ?

食材カウントされたのかな?


先ずは鮪。

鮪と言っても年末の特別番組で釣るようなデカいやつではなく、今回は本鮪の子供であるメジマグロと呼ばれるものだ。

俺は皆の前で捌き始める。

「す、凄い手際だ・・・」

「あっと今に見だけになったね!!」

俺は調子に乗って次々と卸し始める。

真鯛、鰤、イサキ、鯵、鮃、サーモン・・・

よくあの海にサーモン居たな。

サーモンって寒いところの魚じゃなかったっけ?

まあ、寿司好きの創造神が創った世界だからな・・・。

何でもありか。

魚を卸し、ネタを切る。

流石は達人之領域。

手が勝手に動くな!

そして、全ての魚をネタにする。

「あとは握るだけだ。」

「タナトス、ご飯炊けたわよ!」

「ありがとう、ソフィーナ。」

「別にあんたのためにやったんじゃないからね!!」

いや、俺のためだろ?

やはり、ツンデレの使い方を間違えてるな。

クリエイトアイテムで大きな桶を出し、そこにご飯を入れる。

そして、お酢を混ぜて酢飯を作る。

「にゃにゃ!?

ご飯にお酢にゃんて入れたら酸っぱくにゃっちゃうにゃん!!」

「これでいいんだよ。

酢飯といって魚の腐敗を防ぐ効果があるんだ。」

「にゃるほど・・・タニャトスはにゃんでも知ってるにゃんね・・・。」

そして、適量のご飯をネタと一緒に握る。

「これで出来上がりだ!」

「これだけ!?

これがお寿司なのですか?」

「そうだ。

しかし、簡単そうに見えるが実は難しいぞ?

とりあえず、じっくり見とけよ。」

そして次々とお寿司を作り出す俺。

そして人数分の寿司下駄を出し、盛り付けて完成!!

「握り寿司の盛り合わせがの完成だ!」

『わぁぁぁぁぁぁぁ!』

「じゃあ、早速頂くにゃん!」

「待て!!」

ビクッとするティナ。

「にゃんでにゃん!!」

「先ず最初に食べてもらわないといけない者がいる?」

「へ?誰?」

俺は握り寿司を掲げ、言い放つ。

「この握り寿司を創造神に献上する!!」

『創造神様!?』

すると掲げた寿司が光だし、ハルトの手から消えてしまう!!

「な、なくなった・・・?」

「創造神様の所に行っちゃったの!?」

「そうだ。

我は神の使者だからな。

神の好物は先に食べて頂かないといけない。」

スキルなくなっちゃうからね!!

「神の使者っぽい!!」

いや、神の使者だからな。

俺のことをなんだと思ってたんだ?

「じゃあ食ってみろ!」

『いただきます!!』

と言ったはいいものの、初めて目の前にする生の魚にビビっていた!


この子以外・・・


「にゃ〜〜〜♡♡♡♡

美味しいにゃ〜♡♡♡

こんなの初めてにゃん♡♡♡」

やはり、ティナは猫族だな。

魚が好物なんだな!

ティナが食べてるのを見て他の者も食べ始める!!

『美味しい!!』

「生の魚がこんなにも美味しいなんて!!」

「これハマりそう!!」

「御飯の上に乗っけただけなのに・・・これは流行りそうだワン!」

「ルーシーちゃんもこれ好きー★」

「美味しいにゃー!

タニャトスおかわりにゃー!!」

余程気に入ったのか、ティナが珍しく良く食べる!

仕方なく、おかわりを作ろうとすると・・・

「ん?」

寿司下駄がいつの間にか1つまな板の上に置いてある。

おかしいな。

寿司下駄は人数分しか出してない筈・・・

よく見ると寿司下駄に何か神が貼ってある。

〈美味しかった。

おかわりをくれないとスキルが全没収。〉

全没収って・・・

そこまでおかわりが欲しいのか・・・創造神よ・・・。

仕方なくおかわりを作ると・・・


ピカッ!!

作った矢先に寿司が光だし消えてしまう!

えっ!?

消えた!?

あの野郎!!

あんなセリフ言わなくても献上できんじゃねえか!!

また騙しやがったな!

そして直様寿司下駄だけが帰ってくる。

〈あと5皿いける

スキルが惜しかったらさっさと作れ。〉

「くっ!創造神めぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

ハルトが急に叫び、びっくりするハルト以外の者達。

「どうしたの!?ご主人様!」

「創造神様がどうかしたの?」

「タニャトス、おかわりまだかにゃー?」

「ティナ、食べたかったらご飯を炊け。

俺は今から創造神にあと5人前作らないといけない。

お前たちのおかわりはもうない!」

そう言ってハルトは創造神の寿司を作り始める。

くっ!足元見やがって!!

スキル全没収とかあいつならしかねねぇ!!

そして、5人前が作り終わると一瞬でそこから寿司が消える。

また来るんじゃないかと身構えていたが、その後何事もなかった。

きっと満足したのであろう。


皆が寿司を食べ終わると3人の商人希望の者たちが俺の元にくる。

「タナトス様!!

是非、私に寿司屋をやらせてくださいキャン!」

「いえ、私がやりますにゃー!」

「俺が1番向いてますぽん!!」

3人は90度のお辞儀をして俺に懇願する。

「じゃあ3人でやるといい。

多分、繁盛するから一人では捌ききれないぞ?

魚の卸し方や寿司の握り方は俺が教える。

あと2週間で覚えろ。」

『はい!』


こうして3人の寿司修行が始まった・・・。






本日もお読み頂きありがとうございます!


創造神は無類の寿司好き。

この世界を作るとき、いつか寿司を作ってくれると信じ、色んな魚を海に創りましたが、寿司は疎か、誰も船をつくろうとせず絶望していました。

しかし、ハルトが寿司を作り出したことにより、暴走。

7皿も食べた創造神は苦しくなり、その場で倒れてしまいました。

翌日、シンクの中に寿司下駄が5台おいてあった・・・。

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