彼女はただの雑用係である
皇歴2020年。
アジアの島国に、突如として地球外知的生命体が往来を始めた。
彼等は、自らを宇宙兵団タイダーと名乗る。
星の征服を掲げ、その足がかりとして、アジアの島国を選び、侵略を開始した。
怪人や怪獣を駆使し、島国の中を荒らしては、地方を制圧し始める。
島国の役人も黙っては居らず、世界の力を結集し、対抗組織を結成。
その名は、特命戦隊ゴーオンバスターズである。
隊員は三名と一人。
その一人、ソフィア・マードックは、地球の平和を守る【ゴーオンバスターズ】の庶務担当である。
3名の雑用から食事作り、居住空間の整備からゴミ捨て等の寮母的な役割のはずであった。
それは、入職時に説明を受けて了承した。
比較的寡黙である彼女は、人の世話をするのは嫌いではないし、危険な任務に赴く戦隊達を労うことも業務に入っていたので問題はなかった。
しかし、彼女は庶務ばかりではない。
ブラウンの髪の毛を邪魔にならない様常に後ろで束ね、頑丈な黒縁メガネ、安いポロシャツとカーキ色のチノパン、腰には自衛用の拳銃とその予備マガジンが数本、ダイバーズナイフをベルトに装着。
靴はトレイルランニングシューズを履いている。
普段であれば、エプロンや作業着を着て、料理や洗濯等の家事等をする予定であったのだが、現実は違った。
タイダーの量産人型兵隊から、民間人を誘導や魔の手から防ぎ、遅滞戦闘に務め、主力三名の本領発揮まで戦うことがままあるのだった。
そんな彼女を兵団タイダーの多くは恐れる。
彼女が出てくれば、主力怪人は大打撃を受け、一般兵は容赦なく撃ち倒されるからだ。
「ただの世話焼き寮母だぞ?!何を手間取っている!」
「変身もしない、ただの人間のメスなんだぞ?!」
「我々の果敢な兵士が豆鉄砲で、しかもメス如きに倒されるなんて以ての外だ!本国に示しがつかないぞ!」
等の声を挙げる怪人は尽く、潰えていった。
これは、そんな彼女の物語である。
地球の平和は、今日も守られている。