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レッツ!キャラメイク!

「転…者…46…2」


「カトウ・ユウキ」


「クバトラス神のお子さん」


声がした。

僕を呼んでいるらしい。


「ああ、きたきた。こっちです。わたし、ライラ・フィニエスタです。わかりますか?」


ライラの声だ。

僕は声のする方へ向かった。


「はい、ありがとう。ここまできてくれて。今ここは学園の中です。あなたは今魂だけの状態。これからあなたの魂が入る人形をつくります。」


ライラはマニュアル台本でも読んでいるかのような平坦な声で僕に語りかけていた。


「はい、この画面が見えますか?」


僕の目の前に四角い緑のスクリーンが現れた。

スクリーンの中に白いマネキンが映し出される。


「この画面を操作できると思います。画面の左にパラメーターがあるのでその数値を変更してみてください。様々な要素を設定しているので、いろいろ数値を動かしながら人形を作ってくださいね。一応制限時間があるので、そこは忘れずに。納得のいく人形を作ってください。」


質問しようとしたが、声が出なかった。

仕方なくスクリーンを眺める。

マネキンが画面の中央に。

たくさんのタブが作られたサブウィンドウが画面の左に配置されている。

右下に"グラベルスクール キャラクターメイクシステム バージョン4.2.1"の文字。


これで自分が入る人形を作れ。

と言うことみたいだった。

左のサブウィンドウのタブはよく見ると2種類色分けされていて、白いほうが外見、赤いほうが性質・能力に分けられていた。


外見:全体


肌色 肌質 性別 身長 体重 体脂肪率 筋肉量 毛


外見:頭部


髪型 髪色 髪質 毛量 ひげ 輪郭 耳 眉毛 目 鼻 口 あご ほほ 歯 毛


外見:上半身


首 肩 腕 手 胸 腹 毛


外見:下半身


尻 股 脚 足 毛


え?

これ全部決めるの?

今から?

制限時間あるのに納得できるのが作れるか僕は不安だ。



性質・能力:知性


論理的思考 抽象的概念の理解 読解力 創造力


性質・能力:感情


開放性 忍耐 激しさ


性質・能力:戦闘力


耐性 攻撃力 機転 瞬発力


性質・能力:魔法力


耐性 攻撃力 爆発力 コントロール


性質・能力:学力


言語学 史学 数学 化学 練金学 美術 音楽 工学 社会学


この辺りは理解が追いつかない。

なんで知性と学力それぞれ別にパラメーター設定しなきゃならないのか。


目に止まったパラメーターはほんの一部で、他にも設定しなきゃいけないパラメーターはとにかくたくさんあった。

質問はしたかったけれど、声が出ない。とりあえず僕は外見からパラメーターを触っていった。


外見:頭部

髪型はいくつかパターンが用意されていて、それを選択していくようだった。

髪の色は色彩のパレットがあってそれを選択。

髪質は'強い'から'弱い'のバーがあってそれを左右に動かしていく。


簡単に金色短髪猫毛の人間ができた。


でも僕はこんな姿で学園生活を送りたいと思ってない。


パラメーターを動かす。


黒髪長髪剛毛の人間ができた。


鞭のように強そうな髪だ。

武器になるな、と思った。

でも僕はこんな姿になりたいわけじゃない。


普通でいい。


何かが他人より低かったり、高すぎたりするのは嫌だ。

人に好かれなくてもいい、嫌われないほうが何倍もマシだ。


僕はバーで設定するタイプのパラメータは全て中央値に置いた。

その他は全部適当に選ぶ。


僕の目の前には前世の僕に少しだけ似た男が立っていた。


よし、これにしよう。


左のサブウィンドウを最後に確認していたとき、灰色に非活性状態になったタブが2つ見つかった。


性質・能力:スキル

性質・能力:友好度


まぁ、設定できないなら無視しておこう。

僕は確定ボタンを見つけて、それを押そうとした。


キャクターを確定します。

→OK キャンセル


確定後の変更については早急に対応しかねる場合があります。

本当に確定してよろしいですか?

 OK キャンセル


僕はOKを押そうとした。


「いやいや、ちょっと待て」


急に誰かの声。

太い男の声だ。


「時々いるんだよ、デフォルト値で始めようとするやつ」


語気強く、どうやら怒っているらしいその男は、僕に姿を見せずに話し続ける。


「うまくやれば'俺つえー'も'ハーレム'もできるんだぞ。女になって百合三昧も夢じゃないんだ。ちょっとは考えろよ」


いや、めんどくさいし。


「なんか迷惑そうにしてるな」


男はため息をついた。


「あくまでこの設定は初期値だ。この後成功するかはお前たちの努力次第。斜に構えてデフォルトにしたって言い訳にもならないからな」


別にそんなつもりでもない。

そもそもこの人は誰なんだろう。ライラでもないみたいだし。


「反応なしか。……なら仕方ない。俺がお前のパラメータをいじるぞ。文句は言わせない」


いや、それはなんか嫌だな。

と、言おうとしたが声が出ない。


静止することもできず、目の前でパラメータが変更されていく。


謎の声の男が僕の魔法力耐性パラメータを0にしようとしているところで、僕はそれを止めた。

力を込めてみるような仕草をすると、本当につまみを手にして止めているような感覚になる。


「なんだよ、邪魔するなら自分で考えてしっかりキャラメイクしろよ。このシステムを考えた俺への冒涜だ。ほら、作れ、キャラを」


男は僕に投げかけるように言った。

でも、僕はそれにどう答えていいかわからない。

そもそも自分を作るってなんだ?

と言うところで思考が止まってしまう。


「わかった。わかった。魔法力耐性を0にしようとしたから怒ったんだな。じゃあ逆だ。俺ツエーキャラにしてやる。それなら邪魔しないだろ。ついでにスキルも二つアンロックしてやるぞ。これはチートだ」


いや、待って。


と止め方がわからないうちに、画面に、'スキルアンロック'と表示された。


スキル

「クバトラス神の親子愛」

「クバトラス神の魅力」

がアンロックされました。

※スキル効果についてはステータス画面をご確認ください。


「よし、これで完成だ」


キャクターを確定します。

→OK キャンセル


確定後の変更については早急に対応しかねる場合があります。

本当に確定してよろしいですか?

→OK キャンセル


勝手にOKボタンを押された。

僕は完成した人形をろくに確認もしていない。


ちょっとまってよ。ひどいよ。


何か言いたくても、魂だけの僕は何も言えない。

僕の意識はまた遠のいていった。

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