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89 世界樹ちゃんご対面ー

 取り敢えず世界樹ちゃんの安全を守る為に魔大陸の世界樹のババアに合わせようと思う。世界樹人生の先輩として何かアドバイスがもらえるかも知れない。


 ダークエルフの村人には言った通りに女子供から巫女を育てるように精霊との親和性を上げる為魔法の多用を指導してある。何年かかるかわからないけど。


 世界樹ちゃんの内部には基点になる転移門が存在する。かつて異世界から世界樹ちゃんが逃げて来た時に使った転移門だ。転移銃にマーカーしておく。そこから転移銃で魔大陸のエルフの里周辺の転移門をサーチする。エルフの里の世界樹ババアがここの世界樹ちゃんと同じ存在なら向こうにも転移門があるはずだ。

 ドンピシャ。エルフの里内のど真ん中に反応を見つけた。

 マーカーしてゲートを開く。世界樹ちゃんを連れてゲートに乗る。光に包まれて移動した先はさっきまでいた世界樹ちゃんの中にそっくりだがかなり広い空間だ。


「なによなによ突然人の家にあがりこんで‼︎」


 激おこぷんぷん丸な世界樹ババアが腕を振り回しながら飛び上がって抗議する。知ってるぞああ見えてこの土地に1万年以上住んでいるんだってね。


「あんたの仲間を連れてきたぞ」

「仲間?そんなもの…」


 世界樹ちゃんを見つけたババアは目をひん剥いて驚く。


「う、嘘だろ…他にもいたんだ…」

「?…おばちゃん誰なのじゃー?」

「おばちゃんじゃない…お姉ちゃんね‼︎」


ババアの眼が愛し子を見るような眼になる。中々見れるもんじゃないなこんな世界樹ババアの様子は。


「北半球の砂漠のオアシスにひっそり生えていた。ダークエルフの村があるんだけど住人は精霊との交信ができる奴もいなくなってこの子と言葉が交わせる者が誰もいないんだ。だからババア、話し相手になってくれよ」

「誰がババアだ⁉︎」

「あそこにいるとこの子も危険だからさ、木の芽のひとつでもこっちに避難させてやってくれないかな?」

「あーうん…し、しょうがないなぁ…その代わりあんたしっかり守るのよあたしを‼︎」


  変な交換条件を持ち出されてしまった。どうも勇者アベリアが進撃して来てから俺に依存する頻度が増えてない?他にもハイエルフいるでしょ。グリュエラさんとか。

 あ、そーだ、後で爺ちゃん達にグリュエラさんが妊娠したって伝えなきゃ。


 そもそも世界樹の種族って何者なの?てか転移門通ってやって来る連中になんでこんなに差があるの?悪魔や邪神もいれば魔人国の魔人みたいな人達や世界樹みたいなものまでいる。


 世界樹ババアに聞いてみると答えてくれた。


「ある世界に存在したひとつの宇宙が消滅した、と思いなさい。その宇宙には普通の市民も居れば極悪人もいるし異形の怪物もいるの。そしてその世界の生命体は人間も動物も怪物もみんな…身体の中に【転移門】を開く能力を持っているという訳」


 生命体の固有の能力なのか、これ。そんな現象をよく解析して銃にまで押し込んだな。サークライのお師匠様だっけ、天才だな。


「のうのう、おばちゃんも世界樹なのかの?わらわのお母さん?」


 すごく訴えかけるような目でババアを見つめる世界樹ちゃん。


「ま、まあ同じ種族である事は確かだけど…あ、こらしがみつかないの!」

「ママって呼んでもいいよ世界樹ちゃん」

「ママーなのじゃー‼︎」

「や、やめー‼︎」


 口では嫌がってるが仲間が出来て嬉しそうなので何かあったら呼んでとババアに伝えて俺は世界樹の外に出る。すると偶然世界樹をお参りしていた長老とばったり鉢合わせた。


「な、なんじゃいユート‼︎いつの間に来た⁉︎」

「あ、世界樹様にちょっと用があってさ。爺ちゃん婆ちゃんはいるかい?」

「あ、ああおるよ。そうじゃちょっと前にグリュエラが来おっての、まあ相変わらずじゃったがの」

「あ、その時はまだわからなかったのかな。今グリュエラさん妊娠してるから。それを伝えに来た」


 相変わらず微妙な顔をする長老だが爺ちゃん婆ちゃんは喜んでた。今度は赤ん坊が見れるのが嬉しいらしい。俺はもう育ち切ってたからなぁ。


 ついでにちょっとだけモンマ邸に顔を見せて砂漠に戻るか。


 転移銃でモンマ邸にマークして転移する。転移をした庭先ではミーユがリィカとマリージュに手を引かれて花を摘んで遊んでた。絵になる良い光景だ。あの子達の為に何かおやつを用意してあげよう。屋敷の中に入ると母親達が宴会の真っ最中だった。なんだかんだでカトレアさんは母親ズに受け入れられたようだ。俺を見つけたカトレアさんが驚いた顔で語りかけて来る。


「ユートさん⁉︎どうやってここに⁉︎魔人国にいるはずでは…」

「はは、詳しくは親父に聞いてください」


 俺の口からは転移銃の事は言えないので親父に任す。そのまま台所に行くとミカさんが何かおやつを作っていた。


「手伝いますよ。何を作ってるんですか?」

「簡単にプリンとゼリーにしようかと。今日は少し暑いからね」


 そういや魔大陸は今初夏だ。真逆の魔人国から来たカトレアさんとミーユは暑い事に気が付いているだろうか?


「その辺はカナコがちゃんと指摘したらしいから注意してみてるわ」


 よかった。やはりカナコは気が効くな。そのままミカさんに最近のみんなの様子を聞く。


 みんなグリュエラさんには気を使っているみたいだ。まあ妊娠した途端に新たな嫁と子供が発覚したからなあ。日本の常識では十分離婚案件だ。

 聖王国のマーサさんとアベリアはまだ聖王国を離れられないようだ。聖教会はトップの司祭長が悪魔だったわけだが国民の間では悪魔が司祭長を殺して成り代わっていた、という認識で聖教会を立て直す方向らしい。アベリアは聖教会の旗印になってしまってちょっとやそっとじゃ聖王国を抜け出せなくなってるようだ。


 「いい匂いなのじゃー何を作ってるのじゃー?」


って声のする方を見るとそこには世界樹ちゃんがいた。なんでこんなとこにいるの⁉︎


「転移門の跡を追いかけてきたのじゃー」


 なんと!そんな事が出来るのか世界樹ちゃんは⁉︎

 世界樹ちゃんによると転移銃で開けた転移門はすぐに航跡が消えてなくなるらしいが発生直後はやたら反応がはっきり残るのでその跡は追いかけやすいのだという。てか世界樹ハンパない。転移銃と同じ事が出来るのか。てか転移銃はこの世界樹が持っている特性を解析したんじゃないかな。そこんとこはサークライに聞いてみなきゃわからないか。


 てかババアのとこを抜け出して来たのか。まああそこは退屈かも知れないが…あ、世界樹ちゃん一緒においで。妹達を紹介してあげよう。

 庭に出て妹年少組に世界樹ちゃんを紹介する。とは言え世界樹ちゃんと言っても彼女らには分かろうはずもないが。あ、どうやら打ち解けたようだ。混ざって遊んでる。いいかい、たっぷり遊んだら世界樹ババアのとこに帰るんだよ?


 彼女らにおやつを食べさせると俺はまた転移銃を使って砂漠の探検に戻ろうと思う。あ、念のために親父に砂漠で戦争をしている国について聞こう。いたいた。母親ズの中で集中砲火を受けて凹んでる。親父、知ってる?


「魔人国の東にある砂漠か…東国連邦と南国連合だな。基本的に獣人の国だ。低レベルの文化の中長い間ツバ競り合いをしてる感じだったな…。砂漠からは出られなそうな文化レベルだったから魔人国には手を出すまい」


 そうは言っても全身プレートメイルでの重歩兵装備や火炎放射器を装備してそれなりの軍備をしていたぞ。


「おかしいな?奴らに鉄をどうこうする技術はないと思ったが」

「親父の認識は何年前なんだよ⁉︎」


 それでも十年かそこら前だという。明らかに文化レベルとしてはおかしい。東国連邦に何かあったんじゃないか、と親父はいう。


 それは俺に調べて来いって言ってるよな?

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