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74 魔大陸の外側

 久々のモンマ邸。住人は相変わらず自由過ぎて春以降全員が揃う事がない。

 肝心の魔王ーマサオの留守がとにかく多い。だからと言って都庁に出勤してる訳ではないしこの大陸の【転移門】潰して回っているのならそれらしい反応が俺かグリュエラさんの『簡易転移門作成銃』のセンサーに引っかかるはずなのだ。…一体どこに行ってるんだあのスーダラ親父。


 出掛けてる行き先は判らないが親父に貰った『簡易転移門作成銃』に実は気になる機能がある。

 起動した【転移門】の位置を地図に表示出来るのだが…この地図、縮小に縮小をか重ねるとどうやらこの惑星全土を表示出来るらしいのだ。…


 漠然とは理解していたが俺達の住む魔大陸はこの星の南半球に浮かぶ大陸だ。北上するほど暖かくなり、海底王国を北上した所に赤道がある。

 魔大陸内には赤く点灯する場所…起動した【転移門】はもう数少なくなっている。魔王国や聖王国の周辺には皆無だ。だが…


 惑星全土を表示すると様相がガラリと変わる。

 北半球には魔大陸の三倍はあると思われる大陸が存在しているのが判る。…しかもその大陸中が真っ赤な光点で埋まっているのだ。その事実に戦慄する。


 アレが全て起動した【転移門】…アレの数だけ悪魔か転移に巻き込まれた被害者がいる、という事だ。


 親父が家で大人しくしている訳がないか。



 しかし北半球の大陸に渡るのはこの世界の住人には至難の業だ。北方の海…外海に棲む海の魔獣に対処出来る船を作る技術などこの世界にない。それと頻繁に発生するタイフーン。北方の海は魔の海なのだ。

 エルフやドラゴンが飛んで行くには距離があり過ぎて魔力の枯渇が心配され、【転移門】で移動出来る魔王ぐらいしか北の大陸には行けない…はずだった。


 はずだったのだが。今俺達の目の前では可変特殊車両が空を飛んでいる。カナコが異世界の技術・反陽子エンジンでの浮遊システムを解明したのだ。これによってあらゆる乗り物を空に浮かべる事が可能になった。もちろんこんな技術、モンマ家だけの超極秘機密だ。なのだが…

 行こうと思えば行ける手段が手に入ってしまったのだった。


 ん?行かないよ? 赤い光点の数数えてみたんだけど…200数えたとこでやめた。それに…北の大陸のある部分に数千から万に届くかという光点の海がある。子供の頃テレビで見た事がある風景に似てる。夜の地球を衛星カメラで見ると住人の多い地区の灯りがキラキラと眩しく写る、あの風景。

 【転移門】を使う生き物がそこに大量に住んでいるって可能性が高い。【悪魔】が国を作ってる可能性があるのだ。

 正直考えるだけで恐怖だ。平和な魔大陸から出たくない、心からそう思う。俺はまったりと家族に囲まれて生きて死ぬのだ。


 親父が今何処へ行ってるのかは敢えて考えない様にしていた。




 モンマ邸ではゆるゆると時間が流れていた。

 子供達は日々のクエストに学業に開発に仕事に、母親達も各々の仕事をこなしながら過ごしていた。


 そんな中グリュエラさんがここの所ずっと休んでいる。出掛ける事もなく余り機嫌がよろしくない、というか体調が悪そうだ。大好きなサイ◯リアにも行ってないようだし。てか【転移門】を潜るのを避けてるみたいだ。

 母ちゃんどうした?

 不機嫌な母ちゃんが俺を部屋に呼び出す。なんか言いづらそうだぞ?


「…赤ちゃんが…出来たようだ」


は? 

はあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎

マジかあ⁉︎

いやまあ、10年振りの夫婦ラブラブな生活を演出したのはこちらだけどさ。けどさ。

…やったねユート、家族が増えるよ。


 いつも仏頂面の母ちゃんがほんのり頰を赤くしたのを見てつい本音が漏れた。


「…妹がいいなあ…」

「うるさい妹バカ」


 拳骨で殴られた。いや、弟でもいいんだけどさ。どちらでも愛する自信はあるぞ。俺もなんだか顔が緩む。そうだ、親父は知ってるの?言った?

 そう聞くと母ちゃんは冴えない表情で首を横に振った。


「マサオはこの一月連絡がない」


 周りのみんなの出入りが激しかった分いないなあとは感じてたが一月もいなかったとは気付かなかった。てかまた来年の春まで戻って来ないつもりじゃないだろうなあのクソ親父。


 リビングに出ると母親組の何人かは既に気付いていてグリュエラさんに優しかった。

 てか多分自分達も妊娠する気満々なんだろな。みんなで子育てするつもりらしい。


 俺は俺でさすがに親父の行方が気になり始めたので魔王都庁のサークライの所に行ってみる。どれだけ国外の事を認識しているか、親父の行方を知ってるか聞く為だ。

 サークライは元々『簡易転移門作成銃』の製作者だ。ミカさんの打ち上げた静止衛星の情報も把握している。二つを紐付けしてこの星の正確な地形図を作った。【転移門】を自由に作成する術を研究したのはサークライと親父のお師匠様。昔々【転移門】を潜って来た【悪魔】の一人だったと聞く。今は消息不明だと言う。多くの研究遺産をサークライに遺して忽然と消えたそうだ。


「間違いなく北半球の大陸に行っている筈なんだけど何をやっているのかさっぱりわからない。スマホは持ってるはずなんだけどね」

「サークライはグリュエラさんに子供が出来たの知ってる?」

「…マサオと連絡取りたがってたのは知ってたがそういう訳か。不安は母胎に悪いだろう」


 言いたくないけどこちらから言ってしまおう。


「親父の行方を捜しに行った方がいいかな?」

「…止めさせたいけど正直その能力を持っているのは君しか思い付かない。君の持ってる『簡易転移門作成銃』はマサオが持ってる銃の位置をトレース出来るからね。たとえ異世界でも辿って行ける。…行ってくれるかい?」


 仕方ないでしょ。母ちゃんとまだ見ぬ妹(仮)の為だもの。

 親父を迎えに行って来ますよ。

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