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69 今度こそ休暇を

 邪神が纏っていた禍々しく不安感を誘う空気は徐々に薄れて行き海底王国は普段の落ち着きを取り戻…してはいなかった。


 あの気…邪気とでも言うのだろうか、アレには少し副作用があった。

 アレに不安や危機感を憶えた海中の魔物が狂ったように逃げ惑っていた。いわば海中でスタンピードが起こっていたのだ。

 海辺の街クリイドにはそれは未曾有の豊漁という形で現れ街中が大漁旗と大歓喜に沸いた。

 しかし海底王国にとってはあらゆる海の魔物が襲い来るというとんでもない危機になった。

 極め付けは巨大クラーケンが十数匹一緒くたになって逃げて来た事だ。


 邪神を倒した歓喜は絶望に変わって王国の兵士は国璧を護りながらも今度こそ覚悟を決めた。


 でも運がいい事にまだ俺とグリュエラ母ちゃんが滞在していた。

 エンシャントエルフが二人いるのだ。

 今更スタンピードなど朝飯前のクエストである。



 国璧門の外側。金と銀の髪の見目麗しい二人の美女…エンシャントエルフが立ち塞がる。

 俺と母ちゃんは両腕から光の剣…ソル・ビームを発現させクラーケンの大群目掛けて振り回す。驚くほどサクサクとイカがブツ斬りになって行く。後で海底王国の国民に振る舞われるんだろうな。


 ほんの数分で全てのイカが捌かれた。シーサーペントやその他の小物(それでも討伐ランクAとかB)も巻き添えだ。全ての魔物がバラバラに切り刻まれて門の外側に浮かんでいた。


 そうすると全ての国璧門が開放され兵士も一般市民も我も我もと獲物の回収に飛び出した。大収穫祭である。


 俺と母ちゃんは早く地上の家に帰りたかったのだがなんだかんだと王国に三日ほど引き留められた。勲章を授与されたり名誉爵位を授与されたり晩餐会を開かれたり色々だ。夜になるとマリージュの部屋に行くのだけが癒しだった。


「兄様、疲れてる…?」

「ふふ…マリーは可愛いなあ…」


 マリージュを傍らにまた寝落ちする俺だった…。





 ようやく魔王都に帰り着くとサークライからの呼び出しがあった。

 聖王国での顛末から今まで報告に来い、との話。

 やだ、しんどい。一週間は寝てたい。うーん何処か温泉にでも行きたいな。この世界温泉あんのかな?聞いた事ないな。

 とか考えながらモンマ邸の自分の部屋(三階の少し広めの角部屋を貰った。長男だから。)のベッドに転がってでウダウダ過ごしてた。エルフ服もはだけパンツも丸見えで傍目から見ればヤバい女である。

 ポリポリ股間を掻いてるとノックの音がする。無視してそのまま寝てた。


 フワリ。ん?突然人の重さを感じる。それと息遣い。ふと目を開けるとアイツがいた。

 麒麟のアイツ。


「ジ、ジルベルト⁉︎」


 なんで覆いかぶさってんだよ⁉︎ しかも女体化してんじゃねえかよ⁉︎当たってんよオッパイ‼︎乳首の先がふゆふゆ当たってんよ‼︎


「余りに無防備なんでつい抑え切れなくて…」

「のけよー‼︎」

「サークライ様がお呼びですよ。お迎えに参りました。」

「だから俺の上からのけー‼︎ それになんで女体化してんだよ‼︎」

「この家にお邪魔する時は女性が多いので出来るだけ女性化する様にとサークライ様から…」


 あの変態紳士めええええええええええ‼︎‼︎


「こんなあられもない格好で…無防備にも程がありましてよお嬢様…はぁはぁ」  

「はぁはぁじゃねえーーー‼︎‼︎」


 そのままぎゅーっと抱きしめられた。ぎゅーっと‼︎オッパイ同士が‼︎オッパイ同士がくにゅくにゅ当たる‼︎イヤらしい‼︎俺の身体めっちゃイヤらしい‼︎


 なんか開いてはいけない扉が開きそうになる前に女体化ジルベルトの頭の角に触れる。前に聞いた事があるのだが麒麟族は頭の角に触れられるのを極端に嫌うそうな。


「ひゃっ‼︎」


 性感帯にでも触れられたような顔をしてジルベルトが飛び退く。うわ、ちょっと煽情的。


「ご、ごめん…」

「い、いえ、調子に乗り過ぎました…」


 気不味い…そのままの空気で護衛に着かれて都庁に向かう。

 街中を馬車で移動するが街の人々がなんか騒がしい。というかこちらを見てキャーキャー騒ぐ女子とか手を振るおばちゃんとかガン見するおっさんとか。何なの? 別に馬車珍しくないよね?カナコの特殊車両じゃあるまいし。

 都庁の都知事室に通される。サークライの執務室だ。


「おや、ユートくんどうしたんだい? 頰が赤いよ?」


 いや、あんた絶対何かハプニング期待してんだろ…気を取り直して一通りの報告をする。アベリアの聖王国凱旋から聖教会司祭長が悪魔化、そして悪魔の討伐。続いて【転移門】の暴走に巻き込まれた『深紅の淑女』の救出。続いて海底王国に現れた【転移門】を潜って来たと思われる邪神の登場。その個体は『深紅の淑女』が飛ばされた異世界で視認した魔物と同一の個体だった事。邪神をエンシャントエルフの力で消滅させた事…


 サークライを見ると本当に開いた口が塞がらないようだった。

 いや我ながら自分も開いた口が塞がらないわ。そもそも卒業してからの俺の収入ってどうなってるの?

 今までは学院に通いながら冒険者ギルドのクエストをこなした分収入になってたけど、Sクラス冒険者ってほぼ国やギルドのお抱え依頼だから高収入なんだよね?まさか身内料金て事はないよね?

 俺、給料明細貰ってないよ⁉︎


「君、いっその事魔王継がない?」

「は⁉︎」


 何をとち狂ったかサークライがとんでもない事言い出した。


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