50 家族会議
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親父と家族の休暇はゆるゆると続く。
翌日はマーサとアベリアが一晩を共にし、次の日はガブリールさんとアリエルが籠った。その次の日はドレスティアさんとリィカだった。なんだかとても騒がしかったがみんな見ないようにしていたから理由は知らない。
トーカさんレン、ミカさんカナコと続き最後はグリュエラ母ちゃんだった。俺は男で今更親父と何を話すってのもないので遠慮した。どうか夫婦水入らずでお過ごし下さい。親父はエルフの姿なら大歓迎だぞ!と言って母ちゃんに殴られてた。
そんな空気の中、俺達兄妹はこれからの話を漠然としていた。具体的にはパーティー【魔王の眷族】を今後どうするか?だ。
卒業しちまったからなぁ。目的も叶えてリィカとレンがこのまま冒険者を続けたいかどうかわからない。
俺は二人とそのままパーティーを組んで冒険者生活を送っても構わないのだが、二人はやりたい事がありそうだ。
意外とリィカとレンはギルド学院の同級生と仲がいい。同級生の皆は生活の為に冒険者になっているので卒業後はバリバリ冒険者として仕事をするという。その何組かに一緒にパーティー組まないかと誘われているのだと言う。
いいんじゃないかな。レンなんて最優秀生徒賞だから引く手数多だ。俺と組んでるより自由に仕事が出来ると思う。ちょっと寂しいがSクラス冒険者は通常の冒険者と同じ仕事は出来ないのだ…。
天使のアリエルは今年のギルド学院入学試験を受けるという。同級生に兄妹がいないとちょっと心配だ。強気な子だけど寂しがり屋だしな。
たまに様子を見に来るようにしよう。
魔王都の何処かに兄妹や母上様達が集える別邸を購入出来ればいいな、と考えてる。
「いや一番心配なのは君だよ‼︎ 何して生きてくつもりなの⁉︎僕としては政府の紐付きになってほしいんだよね‼︎明らかにやらかすでしょ⁉︎これからも⁉︎」
サークライが叫ぶ。いや失敬な。なんで横で頷いてんだよジルベルト。
「はーい、親御さんは集まって下さいー。これから緊急家族会議を開きまーす。議題は長男の進路。」
ガヤガヤと女子寮の食堂に集まる人々。ん?何故ギルドのジジイがいる?軍のミューラーさんも。
「お前さんをSクラスにした責任があるからな。もちろんギルドの仕事も献身的にやって貰わねばな。」
「魔王国の治安を守るも乱すも君次第となれば私達にも意見を言う資格はあるだろうね。」
何という事でしょう。家族会議の筈が実質国のトップが集まる【魔王国十傑】会議になってしまったではありませんか。
…もしかして俺、自由なくなるの…?
「好きにさせたらいいじゃないの。まだ16でしょ。」
とミカさんが笑って言う。
「いやいや、がっつり魔王国の士官学校に進んで貰ってだな、聖王国への対策を腰を据えて…」
とミューラーさん。
「ギルドとしては後身育成を期待したいのだがな高位の冒険者の役割として。」
とジンギ翁。
利用したい大人がケンケンガクガクやり始める。本人の意思関係なく。
「で、結局長男殿は何がやりたいのかな?」
俺はきっぱり言う。
「一生可愛い妹達を愛でて暮らしたい‼︎」
みんな呆れた顔で俺を見る。いやいや本当にそれだけだ。
「…大きくなっていつかは嫁に行くぞ?きっと。それにやがてババアに…」
迂闊な事を言って奥様達に殴られるサークライ。
言うな‼︎それを言わないでくれ‼︎俺の頰を一筋の涙が伝う。何故妹は成長してしまうのか。いっそ逆に幼女化していけばいいのに…
そんな中親父が発言する。
「ちょっとユート借りていいか?」
怪訝そうにサークライ。
「どうする気だ?お前の仕事に連れて行く気か?おいおい困るぞ⁉︎もう旅立つつもりじゃないだろうな⁉︎」
周りが騒つく。
「心配すんな。カナコにケータイの進化した奴…『スマホ』って奴?貰ったからこの星にいる限りは連絡つくって。」
この星⁉︎この星って言った⁉︎ て事は違うとこまで行ってたって事だよね⁉︎この魔王のお仕事謎過ぎる‼︎
「しかし『スマホ』って奴、よく出来てんな。ネット見れるし検索出来るしパソコンと同じじゃねーか?」
アプリはカナコ製だ。最低限のこちらの世界の言語版が使えるのでサークライやマーサさんにも使えるのだ。IT使えるドワーフ凄すぎんだろ。
「ちょっと息子にこの世界の現状を見せとかないとな。」
一同が静まり返る。なんかヤバいんか?世界の現状って何だ?
聖王国と魔王国の争いやギルドによる魔物討伐で賄われる社会制度…それ以外の何ががあるのかこの世界?
考えられるのは【悪魔】と【転移門】。面倒臭そうなアレにやっぱ付き合わないといけないという事かな…
「わかった。行くよ親父。」
愛する妹達の日常を守る為に。




