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48 【悪魔】と【転移門】

 【悪魔】。そう言えばこの世界、獣人(幻獣種も含む)・亜人(エルフ・ドワーフ・鬼等)・人間・魚人等の人種は見かけるが【魔族】はいない。魔物はいるが魔人は聞いた事がない。


「その【悪魔】と親父の旅、どういう関係が?」

「…俺がこの世界に来てから真っ先に始めたのは帰る方法を探す事だった。その鍵が【転移門】だ。お前、【転移門】は【悪魔】が作った物だって知ってるか?」


 悪魔がいるの知らないのにそんなの知ってる訳ないでしょ。


「この世界随一の【転移門】の研究者…サークライのお師匠様だな。お師匠の説に因るとこの…魔大陸のある天体には3794の転移門があると言われている。それらの全てが異界から現れた【悪魔】の罠だ。」


 なんか頭のおかしい事言い始めた。アラフォーの親父が。誰かお医者さん呼んでー。


「お師匠と俺とサークライとで【転移門】の謎を解き、自前で新しい移動専門の安全性の高い転移門を作る事に成功した。魔王都庁にあるものは新しく作ったやつだ。」


 あー。要するに親父よ、その【転移門】をひとつひとつ調査して回ってるって訳か。10年も。


「正確には潰して回ってるってトコだね。転移事故が起こらないように。」

「てか【転移門】を通って来る【悪魔】がヤバい奴らだらけでな。骨が折れる。」


 なんか知らない所で知らないレベルの戦いが繰り広げられてるようだ。何なのこの世界?


「そんなに【転移門】て溢れてるの?結構この世界周ったけどサークライのしか見た事ないよ?」

「そりゃこの大陸のは潰しまくったからな。今は北半球を主に潰している。」

「…まだ終わらないって事か。で、そもそもなんで一年に一度ここにだけ帰って来るのさ。」

「君がそれを言うかね⁉︎」

「?」


 サークライのツッコミの意味がちょっと解らない。


「最優秀生徒が【規格外】かどうか探っているんだよ。自分のやっている仕事の手助けをさせる為にね。大体毎年覗いてはがっかりして消えて行くだけなんだけど…まあ今年は違うからね。一年でFクラスからSクラスに上り詰め2つの【スタンピード】を押さえ聖王国にケンカを吹っかけ戦争する事なく勇者を取り戻した英雄がいる。【規格外】過ぎて最優秀生徒賞を外れたけどね。」

「マジかサークライ‼︎そんな逸材を見つけたのか‼︎どこだ⁉︎」

「「目の前だよ‼︎」」


 二人して親父にツッコミを入れる。


「お前かユート…なるほどな…。うーむ。」

「考えても無駄だぞ親父。俺は妹達の幸せの為だけに生きるのだ。誰が親父の手伝いなんかするかよ。」

「何だと⁉︎親不孝者め‼︎」

「そんな事より一晩一人づつじっくりと娘と奥さんの話を聞いてあげるんだな‼︎ 大人しく愚痴を聞いてやんなよ‼︎」

「う…」

「だいたいあんた娘の一番可愛い盛りを放置してたんだからな‼︎俺だって…俺だって…赤ん坊のあいつらや4、5歳の幼女の頃のあいつらにどんだけ会いたかったか…‼︎いや今のあいつらも可愛いけれども‼︎けれども‼︎」


 言いながら俺は泣いていた。心底悔しかったからだ。最初から妹がいると知っていたらどんなに幸せだったろうか。

 俺を見てしゅんとなる親父。


「ユート…」

「ユートクンハシスコンデロリーズキーナンダヨネ…」





 風呂を出ると食事の用意が整っていた。

 ミカさんとマーサさんが頑張ってくれたようだ。…しかし14人も居て料理が出来るのが俺を入れて3人とは…なんなんだ【魔王国十傑】。


「ちなみにミューラーさんも料理は得意ですよ。女体化しないと作りませんけどね。」


 …なんなんだ【魔王国十傑】…。


 魔王マサオが上座の席に着く。右手にグリュエラさん左手に俺。一応グリュエラさんが正妻なのか。何にも話さないからなぁ。続いて右側に龍の親娘、天使の親娘、鬼の親娘。左側にドワーフの親娘、マーメイドの親娘、勇者の親娘。下座にサークライ。給仕はミヤマさんとジルベルトがやっている。…二人ともいたのか。

 魔王マサオが挨拶をする。


「あー…。みんな、長い間留守にしてすまなかった。ごめん。しばらくはみんなといるよ。では頂こうか。」

「「「「「「「「「「「「しばらくはぁ⁉︎」」」」」」」」」」」」

「ふざけんなこのヤロー‼︎」

「5年は奉仕してもらわないと‼︎」

「てかちゃんとうちの親に挨拶してもらってないんだからね‼︎めっちゃ気不味いんだから何とかしなさいよ‼︎」

「一通り実家に顔見せしてもらわないと‼︎」


 自己責任とは言え思った通りの超修羅場である。


「まあまあ今はちゃんと食事を楽しもう。みんな落ち着け。」

「正妻のあんたがなんでそんなに無関心なのよ⁉︎」


 奥様方大騒ぎである。もう少し子供に気を使おうよ。俺は場を落ち着かせる為に甘いものを用意しようと調理室に向かった。カナコがついて来た。手伝ってくれるようだ。本当によく出来た妹だ。近代兵器マニアでさえなければ…


 テーブルに冷やしたガトーショコラと季節に合わせて桜餅を出して行く。卒業という意味も込めている。女子寮の外では夜の照明に桜によく似た花が照らされていた。


 始まりとは裏腹に静かに静かに△の月1日は暮れていったのだった。

次回の更新は明日です。

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