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46 決着‼︎勇者VS魔王の子(どっちも以下略)

煌めく魔法の光とオリハルコン剣同士が織りなす火花。スタジアムの土を抉りあちこちに砂塵が巻き起こる。


「見事な腕前よ。それだけに判らん。お前は一体何の為に戦うのだ?お前の所属する聖教会は子供を拐う極悪非道の組織ではないか!?」


どこぞの富○アニメの様に戦いながら台詞を言っていく俺。


「無論聖王国に住む市民の為だ!!私が戦う理由はただひとつ!!市民の自由と平和の為!!」


返す刀で覚えた台詞を声を張り上げて叫ぶアベリア。よしよし上出来だ。


 アベリアが聖剣を腰の後ろに下げ溜めを作る。例の奴が来る合図だ。


「これで最後だ‼︎聖剣奥義‼︎アベリアストラッシュ‼︎‼︎」


 超光速の横薙ぎが俺に炸裂する‼︎俺はそのままそれを受け止め派手に吹き飛んで見せる。


「ぐわああああああああああ‼︎‼︎」


巻き起こる大爆発。黒煙が上がり観客も司会者も思わず息を止める。

 …弾着が派手すぎたかも知れないな…


 ボロボロになった俺のそばに雄々しく立つアベリア。空から光が射してきてキラキラとアベリアを照らす。


「…わ、私の負けだ…くっ殺せ…」


 クッコロである。一度言って見たかった。

 そんな魔王の子に手を差し伸べる勇者。会場が騒ついている。


『どういう事だああああ⁉︎勇者アベリアは敵に手を差し伸べているううう‼︎』

『あれは…共に命を懸けて戦った者への敬意…いや言わば愛!!』

『あ、愛!?』

『敵を許すというのか勇者アベリア!?なんて懐の深いお方だ!!』


解説のサークライが咽び泣きながらアベリアを褒め称える。


「お前は魔王国の威信を懸け私は聖王国の市民の為に戦い勝った。それでいいんだ。」


そして スタジアムの観客に向けて宣言するアベリア。


「この戦いをもってここに私勇者アベリアの名の元に魔王国と聖王国の争いに永遠に終止符を討つと宣言する!!」


おおおおおおおおおおおお!!!!


スタジアム中に沸き上がる歓声!!

それは空のスクリーンを見ていた聖王国の国民も同様だった。一斉に大歓声が上がる!!


「さすがわれらの勇者!!とんでもないことを平然とやってのける!!」

「そこに痺れる憧れるうう!!」

「うちの勇者は世界一イイイイ!!」



ボロボロになった俺に駆け寄って回復魔術をかけるレン。ニヤニヤ笑いながらポンポン背中を叩くカナコ。ありがとうよ。さあ退場だ。ちなみに勝ったアベリアには優勝トロフィーと素敵な賞品の数々が贈られている。魔牛肉一年分やらドラゴン峡温泉宿宿泊券やら豪華である。

これにて壮大なイベントは終了した。


午後にはひっそりとギルド学院にて卒業式が執り行われる。


粛々と準備を続けている学院の院長室の奥……開かずの間に光が溢れ、奥から一人の男が現れる。

 薄汚れたマントとオリハルコン製の銃を腰に下げたいい歳こいたおっさん。人間のおっさんだ。


外の大歓声を聞き其処らにいた学院職員に何事かと尋ねる。


「今日は魔王が一子ユートと勇者アベリアの対決の日ですよ!どちらが勝ったのかなぁ?」

「はあああ!?」


さっぱり要領の得ない男…マサオ=モンマがそこにいた。


マサオは直ぐにサークライを探すがどうも学院内にはいないようだ。卒業式に学院長代理がいなくてどうする!?と一年いなかった学院長本人が思う。


ちょっと久しぶりに魔王都の街並みをブラつこうかな?と学院の外に出ようとするマサオ。

校舎から一歩外に出ようとするとバチッと強烈なバリアが働く。


「ふむ。」


マサオはこの結界陣に見覚えがある。妻の一人【龍姫王ドレスティア】が本気で張った結界だ。本気の結界陣は魔王にも破れない。

だが誰よりも自由を害されるのが嫌いな魔王、忙しく働く職員尻目に叫んだ。


「誰か!!サークライを呼べ!!学院長が戻ったぞ!!」


 ヴーヴーヴーヴーヴー‼︎‼︎

 途端に学院全体に激しい警報音が響く。

『学院長発見学院長発見‼︎至急係員は現場に急行‼︎位置は各自の端末にてサーチ可能‼︎同時に転移門術式妨害陣起動‼︎』


 ミカの配った携帯端末に連絡が入りサークライ以下関係者がギルド学院に集結完了する。

 サークライの姿を見つけマサオが馬鹿馬鹿しそうに言葉を交わす。


「サークライ‼︎なんだぁこの馬鹿騒ぎは⁉︎」

「お帰りなさい、魔王様。今日は特別の日なんでね。さぁ、会場に案内いたしますよ。」


 ニコニコしながらマサオをエスコートするサークライ。我関せずのマサオ。

 二人して学院の講堂へ向かう。

 講堂に入ると照明が落とされている。

 よく見るとポツリと灯りが点る場所がある。そこには青い髪の美しい少女。一番歳下の少女が澄んだ美声で歌い出す。


「♪父様  父様  お帰りなさい  父様  私の父様 お会いしたかった」


 続いて灯りが点ると天使の羽根の生えた少女と煌めく鎧を身に付けた人間の少女がいる。


「♪父様 父様 お帰りなさい ようやく戻った 私達の父様」


 そしてまた灯りが点る。鬼と龍とドワーフの娘が歌う。


「♪父上 父上 お帰りなさい父上 ようやく戻った

 私達の父上」



 「お…おお…。む、娘達なのか…?私の娘…」


 涙ぐむマサオに駆け寄る6人の娘。


「父様ぁ」

「父様」

「お父さん」

「父上」

「お父様」

「ちちうえええ」


 それぞれ一斉にしがみつく。


「マリージュ、アリエル、カナコ、レン、アベリア、リィカ…」


 涙ぐみ娘達を抱き締めるマサオ。驚いた事に6人全員の名前を一目で言い当てた。父親らしいところを見せつけるじゃないか。


 そのそばにすっと立つ一人のナイスバディなハイエルフ。


「だ…誰?」


 そうだろうそうだろう、誰かわからないだろう。

 だから歌ってやろう。思いを込めて。


「♪お父さん お父さん ようやく姿を現しましたね お父さん お父さん 待ちわびましたよ」


 しっとりとしなを作りながらマサオに顔を寄せる。ちょっと顔を赤らめるマサオ。噂通りの女好きかこいつ。

 次の瞬間に【エルフ石】を【ボックス】に片付けて男に戻る。ギョッと驚くマサオ。俺も驚く。本当に似てる。


「会ったら言ってやりたい事があったんだ♪ 一発ぶん殴らせろクソ親父‼︎‼︎」


 全力でぶん殴る為にもう一度ハイエルフに戻る。全ての精霊を降ろし全力全開の渾身のパンチをマサオの顔に喰らわす‼︎


 衝撃波が巻き起こる‼︎


 「…クソ親父め…‼︎」


 渾身のパンチを頰で平気で受け止めて平然としているおっさんの姿があった。


 伊達に魔王は名乗っちゃいねえってか。

次回は水曜日の予定です。

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