43 母の想いと綿密な打ち合わせ
ストックが溜まったのでしばらく水土日と週三回更新にしたいと思います。
14人の家族が勢揃い(1人だけ不在)して語らい、食事をして…今は俺とグリュエラ母ちゃんの二人きりになっている。
…気まずい。
何しろ剣の稽古で散々な目に遭わされてからの久々の再会なので。元々そんなに会話の盛んな親子じゃないしな。
暖炉にあたりながら寛いでいると母ちゃんが語り始めた。珍しい光景だ。
「ユート。あんた父ちゃんの事覚えてるかい?4、5歳頃は父ちゃんたまに向こうの家にやって来てたんだけど。」
「いや、全然記憶にないよ⁉︎そうなの⁉︎」
意外な事実。それなら…多少は愛されていた、というのだろうか…?
「…だいたいさ、どういう男なの?マサオ=モンマって。何の情報もないんだけど。…結果的に魔王国を作る羽目になったくらいしか知らんのだけど。」
「只の冒険者よ。魔王なんて名前だけの死ぬ程女好きの只の男よ。だけど…」
===グリュエラさんの述懐===
あたしは生まれながらにハイエルフだったせいで自分の祖母…エルフの里の長老に相当厳しく制約を受けて育てられた。それが大嫌いでとうとうババアと大ゲンカをして里を飛び出したのが15の頃。その後はやりたい放題やって冒険者として暴れ回っていた。この世界にまだ国というものが無かった時代の事だ。
そんなある日ある遺跡を攻略していたらその遺跡の最深部で気まぐれで謎の転移門を起動させてしまった。現れたのは人間の少年。
転移門にはいろいろな付随魔術が施してあって言葉だけは通じたが、何処から来たかさっぱり判らない少年に付き纏われ…てかその場でいきなり口説かれた。『君は理想のエルフだ』などと熱く語り出した。なんか少年の世界ではエルフに高尚なイメージがあるらしい。何となく彼のなつきっぷりに絆され仕方なく一緒に組んで冒険者稼業を続ける事にした。
転移門を潜って来た少年にはこちらの住人と比べて桁違いの魔力量があり、身体の中の魔力の存在・魔法の仕組みを覚えると七代元素魔法を使いこなすどころかあたしには思いも寄らない未知の魔法まで使いこなす様になった。ちなみに魔術はからっきしだった模様。言葉は通じても文字が読めるようになるのには相当苦労してたみたい。
彼は通常の剣などの武器はまるで使えなかった。どんな物にも魔力を通す事で得物として利用していた。
彼には元の世界に残したお爺さんお婆さんが居て『両親が亡くなってから俺を大事に育ててくれた二人に何もまだしてあげていない』事が1番の気がかりだと言っていた。だから戻る方法を必死に探していた。
あたしにはその気持ちがよくわからなかった。ババア達とケンカして里を捨てて来たから。
彼は笑いながら『最後は家族だよ。俺が一番欲しい宝物は家族だ。』と言うのが口癖だった。
ふうん、そんなもんかな、とその頃は思ってた。
彼は人がとても好きだった。困ってる人がいればすぐに首を突っ込むタイプだった。まったく何度トラブルに巻き込まれた事か。特に多かったのが女絡みのトラブルだ‼︎
…助ける女助ける女みんな彼に惚れて行く。本当に厄介なクセだった。最後には周りにあたしも含めて七人も女が纏わりついていた。
そんな大変だが楽しくもあった冒険者生活。
何年も何年もかかって魔導王の試練を乗り越え悠久の謎を解き【転移門】のシステムを解き明かした彼はようやく…元の世界に帰る事が出来るようになった。
帰るその日。無理を言ってあたしも彼についていった。そうするべきだと思ったのだ。
初めて行った異世界は驚きの世界だった。人間しかいない世界。石と鉄の世界。そして食べ物が異常に美味しかった。
そうやって辿り着いた彼の家は…更地になっていた。
元の世界の彼の祖父母は…既に鬼籍に入っていた。彼が旅立ってから十数年が経っていたのだ。
そこから事情を知る人を探して歩いて歩いて…ようやくお墓に辿り着いて…お墓の前で彼は泣いて謝るだけだった。ここまで時間がかかってごめんなさい、と。仲間といる異世界の冒険が楽しくて、自分だけ楽しくて…こんなに時間がかかってしまって本当にごめんなさい…と泣くのだ。
泣かないで。貴方から家族を奪ったのはあたし。これはあたしが遺跡の転移門を気まぐれに動かした事が原因。自分の罪を思い知って本当に死にたくなるほど後悔し身震いしながらあたしも泣いていた。彼と一緒にいつまでも泣いていた。
…そして彼を抱き締め言った。
「泣かないで。あたしが家族になるから笑って生きて。」
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「お父さんはね、とっても家族想い。それだけは確か。本当よ。」
「ふうん。」
やっぱよくわからない。
翌朝、みんなで朝食を取ってから大人組と子供組に別れて△の月1日の打ち合わせをする事にした。
子供組は魔王へのサプライズを計画しているようだ。
俺とアベリアはその前に『決戦‼︎勇者対魔王の子』のシナリオの打ち合わせだ。再会出来たので対決をする必要が無くなったのだが上手い具合に演出すれば戦争手前の現状を改善出来るかも知れないからな。
スーパー◯隊ショーのアトラクションみたいなシナリオを考えているのです。
大まかなストーリーを伝えるとアベリアもこくりとうなづく。それから俺は大人組へアベリアは子供組へ合流する。子供組はでかいクッションの上で跳ねながらまとまっている。うん、可愛い。
さて、大人達は何を話しているのやら…
次回は水曜日の予定です。




