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29 誰か忘れてませんかね⁉︎

カクヨムにも上げてみれば?と友人に言われたのだけど…どうしよう?

 タンザからの帰り道、クリイドのシトリージュさんの領事館に寄って妹達四人と新年祭を楽しんだ。


 シトリージュさんに聖王国監視システムの話をする。が、海上ルートで侵入者が増えるかも、と説明すると微妙な表情になったよ。なぜ?


 聞けば漁民に紛れてやって来る盗賊や海賊は常に魚人の社会問題で今の段階でも頭を抱えている、と言う。

 そもそもこの世界、個人個人が【ボックス】を持つので武器とか持ってても収納してしまえばわからない。怪しい者と断定する証拠が掴みにくい。現行犯でないと捕縛は難しい。なるほどー。さらに数が増えるとなると大問題だなぁ。

 

 何か対策を考えないと。



 とはいえすぐにいいアイデアが出る訳もなく、何か考える事を約束してシトリージュさん、マリージュと別れて魔王都に戻る。


「カナコ達はいつまでこの世界に居られるのかな?時間があるようなら一度俺達のクエストにでも付き合うかい?」

「向こうは今夏休みだからもう少しは大丈夫だけど。クエストには行ってみたいな。…いいかな、母さん?」

「サークライに聞いてみないとねえ…。」


 てな会話をしながらギルド学院の寮まで戻って来ると何やら騒がしい。


 寮の前で委員長を見つけたので聞いて見る。


「委員長、騒がしいな何があった?」

「あ、ユートきゅん!大変よ!道場破り‼︎ 『魔王の眷族』を出せって言う奴が暴れてんの‼︎」


 はあ? 道場破り⁉︎ 何だそりゃ。 てかその概念あったんだこの異世界。

 

 戻って早々、騒がしくしている女子寮エントランスに向かう。と、そこには知ってる顔がいた。

 金色のストレートヘアに真っ白な天使ルック。特徴的な真っ白い背中の羽根。何より俺に似ている目元。


「あー‼︎ どこ行ってたのよお兄様‼︎ 何日も何日もあたくしを待たせてコンチクショウが‼︎」


 はい。殱滅天使でした。


「兄さん、もしかして…?」


 カナコが察したようだ。


「ああ。彼女はアリエル。12歳だからお前達の妹だな。おーいアリエル、いつここに来たんだ?」

「3日前よ‼︎ 一緒に年越し花火見ようと驚かせようとしたのに…台無しじゃない‼︎」


 なんとタイミングの悪い奴だ…マリー達と楽しく花火見てきたなんて知ったらこいつ泣き出すんじゃないか?


「花火ならクリイドで…」


 慌ててリィカの口を塞ぐ。空気を読まない奴め!

目敏くリィカ達を発見するアリエル。


「あら⁉︎ お兄様もしかしてそこにいるのは我が姉妹達ではありませんこと? ふふふいい機会ですわ。モンマ姉妹最強のこのあたくしと勝負しましょう‼︎」

「お前俺に完敗したじゃんかよ…。」

「お兄様を除けばあたくしが最強に決まってますわ‼︎」


 鼻息の荒い殱滅天使。プライドの高さはほんと変わんないな。


「兄上、アイツは何を言っとるのだ?」

「リィカ、アイツ僕たちより強いってケンカ売ってきたよ。」

「ふうむ。少し身体が鈍っておったから相手をしてやるかの。そこの羽虫、表に出るのじゃ。」

「だ、誰が羽虫じゃああああ‼︎」



 グラウンドに立つリィカとアリエル。レフェリーは何故か俺。


「では始め!」

「うりゃああ‼︎」


 一気に空に飛んで得意の光魔法…ビームを放って来る殱滅天使。相変わらず相手を殺しに来る攻撃だ。

 しかしリィカの結界がビームを弾く。構わず空中を飛び回るアリエル。


「どう?悔しかったら捕まえて見なさいよ‼︎」


 空中戦には自信があるようだ。が…赤黒い雲がグラウンド一面を覆い、中からドラゴンになったリィカが飛び掛かる。その羽ばたきにアリエルが弾き飛ばされる。そのアリエルに向けてリィカドラゴンが唾を吐くように小型の火炎玉を連発する。


「ぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷ」

「あちあちあちあちあちっギブギブッギブアップ‼︎」


 バシバシ全身に火炎玉を浴びるアリエル。たまらずギブアップ、その場にへたり込んで自分に必死で回復魔法をかけてる。弱い。チョロ弱い。


「…大丈夫か?」

「け、結界持ってるなんて卑怯よ…」


 涙目である。何言っとる。相手はCクラス冒険者だぞ?


 さすがに反省するだろうと思って近寄ると今度はレンに噛み付いてきた。


「こ、今度は貴女よ‼︎ あたくしと戦いなさい‼︎」

「いいでござるよ。」


 いつもはあまり自分に自信がないレンだがびっくりするほど簡単に了承した。今は何となくわかる。こういう時のレンは怖い。怒っているのだ。


 レンと対峙したアリエルは今度は全身に黒いもやを纏う。もう一つの得意魔法、闇魔法だ。上空を飛ぶ小鳥がもやに巻き込まれると次の瞬間麻痺して落下する。笑うアリエル。邪悪な行動と裏腹に天使の笑顔だ。

 突然麻痺もやを飛ばするアリエル!回避するレン。回避、回避。動きにキレがある。どうやら少ない闘気を回避特化に回す技術を覚えたらしい。回避のスピードが上がりレンの姿が見えなくなる。驚くアリエル。いや俺も驚いてる。

 次の瞬間。アリエルの足元の影からレンが現れる。そう、レンは隠遁魔法も得意だ。影から現れ双爪でアリエルの白い羽根をちょこんと傷付ける。

 終わりだ。アリエルの動きが止まる。レンの麻痺毒が回ったのだ。無様に地面に倒れ込むアリエル。おパンツ丸見えですよ。もちろん直す事も出来ない。

 派手さは無いが実用的すぎるスキルだ。


「拙者の勝ちでござるな?」

「は………ぃ……」


 辛うじてコクコク首を縦に振るアリエル。

 レンはすかさずアリエルに解毒魔法をかける。楽になるアリエル。無言で自分に回復魔法をかけてる。


 さすがに今度は反省するだろ、と思ったが今度はカナコを睨みつけて来た。


「あ、貴女‼︎貴女よ‼︎わたくしを見て笑ったでしょう‼︎勝負よ‼︎」


 これはいけない。八つ当たりで冒険者経験のない普通のJCであるカナコにまでケンカを吹っかけて来た。兄としてここはガツンと…


「いいよ、やろ‼︎」


 けろりと了承するカナコ。いやいやいやいや‼︎ダメ、絶対‼︎

 慌てて二人の間に割り込むがカナコに静止される。


「見てて兄さん。やり過ぎそうだったら全力で止めて。お願いします。いっぺん試したかったの。」


 …わかった。アリエルがやり過ぎると見たら止めに入ろう。注意深く二人を見る。

 アリエルは高笑いで宣言する。


「ほーっほほ‼︎ 一眼でわかるわ‼︎ 貴女戦闘訓練なんかした事ないでしょ⁉︎ 来なさい、ご教示して差し上げますわ‼︎」

「ほんじゃま。行くわよ。」


 自分の【ボックス】から装甲車を出して乗り込むカナコ。いやいやまさかそれは…


「バリ◯ブルフォーメーション‼︎」


 カナコがそう叫ぶと装甲車のフレームが立ち上がりガシャガシャと変形を開始する。鉄の装甲の手脚が出来上がりそこには…巨大なサブマシンガンを手にした鋼鉄の巨人が立っていた。


「「「「〜〜〜〜〜〜‼︎」」」」


 変形ロボやんけ…首の辺りに操縦席があり、そこからカナコがドヤ顔で見下ろす。鼻息が荒い。 

 一方アリエル始め観客一同は初めて見る機械。あんぐりと口が塞がらないアリエル、恐怖に泣き叫ぶ獣人の生徒、その場で失禁して気を失う者…阿鼻叫喚である。


「な、何よそんなゴーレム…‼︎」


 アリエルは気を取り直して全身に光を纏い光魔法…ビームを連発する。


「ククク…無駄‼︎ビームコーティングは完璧‼︎」


 カナコロボの装甲がビームを弾く。周りにチュンチュン飛び散るビーム。野次馬が慌てて避ける。

 カナコロボがサブマシンガンを放つ。アリエルの足元の地面をえぐるえぐる。硬い岩盤まで砕け散り、気がつくとアリエルの足元に1mくらいの深さの堀が出来上がっていた。

 ぺたりと女の子座りするアリエル。じんわり金色の液体が尻の辺りから滲んでくる。…黄金水…。


 カナコロボが続けてロケットランチャーをぶっ放そうとするので俺は慌てて割って入りカナコロボの足元をドロ沼に変える。

 

「えっあっ兄さんずるいっ」

「やり過ぎだ!終わりだ終わり‼︎」


 カナコロボが装甲車に変形しドロ沼から這い出る。


 俺は終了を宣言しえぐれた地面とドロ沼を土魔法で直す。


「どお?兄さん、これであたしも冒険者になれるかなー?」

「ダメだろー。ロボの攻撃力じゃ魔物をオーバーキルしてまともに素材が残らないぞ‼︎」

「兄者、問題はそこじゃないでござろう…」


 カナコがロボットアニメが好きなのはわかった。てかコイツ、向こうのロボット工学の最先端の技術まで持ってるのか…ドワーフ…恐ろしい子…。


 問題はアリエルだ。…トラウマにならなきゃいいが。静かになったなと見たらしゃくり上げて泣いていた。しようがない奴だ。


 ミヤマさんに頼んでお風呂に入れてもらい、着替えを用意して何か甘い物を作って準備する。


 風呂上りのアリエルがやって来る。頭をくしゃくしゃに撫でてやる。無言で俺に抱きついて来る。

 さあ甘い物でも食べてゆっくり休め。あらためてお前の姉ちゃん達を紹介しよう。

 

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