27 聖王国包囲網
そろそろキャラクター紹介入れた方がよいかも…自分用に。
俺だけ先行…と思ったがリィカドラゴンもカナコバギーもかなりのスピードだった。街道ですれ違った馬車や隊商はさぞかし慄いただろう。結局みんなに並走する形で移動。数時間でタンザの町に到着した。
タンザの町ではミカさんがすでに国境の出入口にセ◯ムセンサーの取り付け作業をしていた。あ、ほんとにホームセンターで買った防犯セットだ。電動ドリルでぎゅるぎゅる付けてる。なんだろこのテクノロジーギャップ。
リィカとレンだけでなく国境門兵士達もあんぐり口を開けて見ている。うん、電気を説明するとこから始めないとなー。
「ほいユート君。スマホの地図情報に30ヶ所印をつけてあるから。監視カメラ取り付けて来て。ネジ止めするだけだから大丈夫よね?隠遁魔法もセットになってるから心配はないけど人の頭の上1〜2m辺りを意識してね。よろしく。」
と段ボールいっぱいの監視カメラを渡された。
うーん、この作業量。…タダ働きなんだろうか? と考えてると何?文句ある?あんたが頼んで来た仕事でしょ?とミカさん。
「兄上がんばえー」
「お兄ちゃん頑張れでござるよー」
タンザの町の名物のリンゴあめを頬張りながら適当に声を掛けて来る我が妹ズ。そうな、お前らの目的はそれだったのな。ガイドマップガン見してたのそれか。
「あたしついてくよー。画角調整とか必要だし。よろしく。」
とカナコ。いやいやお前をあんな最前線に連れて行ける訳がないだろう。ここで大人しく…え? カナコはバギーを【ボックス】にしまって代わりに四輪車のゴツい装甲車を出して来た。
「母さんがNA◯Aと仕事をした時向こうで購入したの。」
NA◯Aと何の仕事したんすかミカさん…
何すかそのドヤ顔…
「さ、急いで。目的地は聖王国の国境の町マービンの国境門ね。今から出れば闇に乗じて作業できるよ。」
飛んで行くのはやめてカナコの装甲車に同乗する。装甲車を見た途端リィカとレンが一緒に行きたがったがお兄ちゃん妹をこれ以上危ないとこに近づけません。二人はお留守番‼︎
「「ぶーぶー‼︎」」
文句を言わずリンゴあめを食べてなさい。では出発。
装甲車はがっつり悪路用のバカでかいタイヤで馬車の轍で荒れた道を掴んで軽快に進む。ガソリン車なので空気を汚してちょっぴり風の精霊に悪いなと思いながら俺は乗ってる。
「薪を大量に消費する社会で一台こっきりのハイブリッド車気にしてもねー。」
そう言い放つカナコ。あーそうか。この世界薪を始めとする燃焼エネルギーで発生するCO2は広大な森林地帯が吸収している。風の精霊にとっても許容範囲かな。
この異世界だと日が沈むと道の移動は危険で野営に入るのでこの時間動く旅人はまずいない。当然外灯もないのでスピードなんか出せないだろう、と思っていたのだがめちゃくちゃ順調に進む。
「自動運転システム搭載なのである程度のトラブルは回避できるよ。あ、ほら魔物避けた。」
魔物がサーチライトに照らされる。装甲車を魔物が回避する。この装甲車にもリィカのコテージと同じ様な結界が付いているそうだ。アレってドワーフの技術で再現出来るの? 結界って魔法だと思ってた…
マジか⁉︎ 何なのドワーフ驚異のテクノロジー⁉︎
現場、マービンの国境門に程近い繁みの中に装甲車を停める。魔物の気配はない。
夜なので国境門は閉まっている。見張りも警備兵が詰め所に二人。気付かれないよう風の隠遁魔法をかけ門壁上部にたどり着く俺と…同じく隠遁魔法をかけた小型ドローン。暗視カメラでカナコがこっちを見てる。
「ここでいいのか?」
『もうちょい下斜め45度。気持ち右22.5度ね。出入口は死角がないように。』
指示どおりにカメラを設置していくハイエルフの俺。素人作業なのでたまに怒られる。妹に怒られる兄。く〜長年憧れたシュチュエーション。脳汁出まくりですわ。
と、悦に入っている俺をまた叱るカナコ。このガンコ職人さんめ。
今回の作業は聖王国の国境門周辺と魔王国最西端をセ◯ムして盗賊に見せかけた亜人狩りを監視するもの。もっとも国境は南と北も海を通じて接しているので完璧に監視出来るものではないが、北の海は魚人の里に監視の協力を求める事も出来るかも知れない。南の海は険しい高山地帯と氷の海に阻まれて人間では出入りが出来ないだろう。
陸を抑えるだけで相当変わってくるだろう。
設置確認作業を終えて帰ろうとしていると…国境門で人の動きがあった。監視小屋の横の通用門が開いて盗賊姿の人間が14、5人出て来る。整列し点呼を取っている。訓練されている動きだ。やはり中身は聖王国の兵士なのだろう。早速姿を捉えたセンサーがタンザの町に構える監視センターに連絡をする。無事機能しているようだ。
このまま魔王国民に仇名す輩を野に放つのもイヤなので連中の後をつける。連中は夜間移動するのを前提に魔物除けの魔道具を持っているらしい。スムーズに移動している。
タンザとマービンの中間辺りの街道から外れた茂みの奥に彼等の中継地があるらしい。全員がそこにある穴蔵に入って行った。その中継地も地図情報に照らし合わせてマーキングしておく。
夜が明けるとともにタンザから守備隊がやって来ると思うが奴らの動きを朝まで止めておきたい。俺は穴蔵の入口に立ち、土魔法を使う。穴蔵の中で大声が響く。
「な、なんだ地面が急に底無し沼にっ⁉︎」
「助けてくれっあ、足がっ」
「し、沈むっ誰かっ」
「うああああああっ」
足を泥沼に取られ誰一人穴蔵から出て来れないようだ。頃合いを見て泥を固める。どうやら全員下半身が土に埋まったようだ。タンザの兵が来るまでに脱出は無理だろう。彼らの中に土魔法が使える者がいなければだが。念の為朝まで見張るかな。
どうだねカナコ、兄の手際の良さは?
「兄さんエグい魔法使うね。でも相手の嫌らしいとこをつくのが冒険者らしいのかな。そういう点は見直したよ。タダの女装癖の妹バカかと思ってた。」
…褒めているのか貶しているのかわからんよカナコ。
カナコまで付き合わせて悪いが暗闇に一人でタンザまで帰らせる訳にもいかないので念の為朝までこの穴蔵の見張りだ。
ドワーフとは言え向こうの世界で普通に育ったカナコはこの異世界をどう思っているのだろうか? 粗野で野蛮な世界としてしか映ってないだろうか?盗賊は目的の亜人奴隷以外は殺して回るし冒険者は魔物を退治して糧を得ている。殺戮と隣り合わせの世界。
「くっくっく。購入した近代兵器の実験場として最高の土地よね。電波法を始め日本みたいにクソみたいな規制もないし倒していい目標の選別は必要だけど私も銃や戦闘用ドローンを使って魔物を狩りたいよ兄ちゃん。私でも冒険者登録って出来るんかなー?」
危ない子だった‼︎思ったより武闘派だったよ⁉︎
夜が明けるタイミングでタンザから守備隊が到着したので後の捕縛(というか掘り出し)は任せて一足先にタンザに戻る。
町ではミカさんがレンを相手に現代技術講座を開いていた。レンは鬼族なのに頭脳派なのでこういう技術を取り入れるのに貪欲だ。タブレットで検索された機関銃やボウガン、スリングショットの写真に目を輝かせている。
リィカはお腹いっぱいになってミヤマさんの膝枕で眠ってる。うん無駄可愛い。お前はそれでいいよ。
「ただいま母さん。」
「お帰りカナコ。この世界はどうだった?」
「兄さんが守ってくれたから全然怖くなかったよ。ありがとう兄さん。」
カナコが指を自分の口に当ててこちらを向く。うむどうやら冒険者になってみたい云々はミカさんには秘密らしい。
これで聖王国を監視する網の陸の部分は構築出来たはずだ。北の海からの侵入者の件は帰りに港街クリイドに寄ってシトリージュさんに話そう。
ミカさんやカナコ、リィカ、レンを連れて俺た達はタンザから直接クリイドに向かった。




