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!!!!!更新!!!!!!(゜∀゜)
希子の父が殺され、一週間が経過していた。
希子の父は交通事故での怪我が原因で死んだことになっている。
Fからは希子に情報を伝える脳にという旨は伝えられていないために、まだ伝えては居ない。
だが、薄々感づいて居る事はボスも考えに織り込んでいる。
そのため、ボスは夜堂に希子へと「カギ」としての知識や父の事を教える許可を与えていた。開示の機会は夜堂の自己判断に任せる。と言ってボスは夜堂へと伝えた。
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夜堂は未だに希子に会えずじまいだった。
とはいえ、護衛の仕事は有るため一方的に見ては居るため何時でも会える状況には居た。
夜堂は幼馴染にどう接すればいいか分からず、バイクにもたれて希子の下校時間を待った。
希子が居るため、未成年で有る事を前提に行動をしなければならず、普段乗らないバイクを引っ張り出して一週間の護衛の仕事をこなしていた。バイクについては偶然を装って希子に近づく口実にしようと言う、夜堂の浅はかな考えも理由に含んでいた。
ぼーっとスマートフォンを眺める夜堂耳に希子の声が届いた。
Gは鍵としての役目を希子に期待するだろうと考え、夜堂はスナイパー等についてはあまり警戒していない。
校門を学友と歩く希子の周囲に、怪しい人物や、車が無いかなどを見ながらバイクのエンジンを掛けた。
「今日は男も連れてるのか…」
夜堂が護衛を始めてから初めて見る人物が希子とその友人と歩いている。
「まぁ関係の無い事か」
夜堂はゆっくりとバイクを走らせ、後を付けていく。
今まで通り希子は帰ると思ったが、今日は違ったようだった。
家の方向ではなく、繁華街に近い方へと歩いて行った。
「……ちょっとめんどくさいな…」
夜堂は人通りも車通りも多い繁華街では、バイクを活かせないと判断した。
繁華街へ向かうようにとけしかけたのは新顔の男だろうと思い、夜堂は良く知らぬ男へと悪態をついた。
バイクを駐車できる場所は案外少ない。
急に探しても見つかるはずも無く、夜堂は希子から少し離れバイク可の駐車場、駐輪場を探した。
五分と立たず駐輪することはできたが、五分は思う以上に長く、希子を見失ってしまった。
「あぁ、クッソ 踏んだり蹴ったりだぞ……はぁ」
ため息をつきながら繁華街、取り分け高校生の好みそうな場所を当たって行く。
何件目かのゲームセンターに訪れた時に楽しそうにゲームする希子を見つけた。
夜堂はフッと口角が上がるのを感じた。
希子はダンスゲームの上でセンサーに足を乗せながら、流れてくるレーザーをタイミング良く避けて行った。
夜堂にはどういったゲームかは分からないが、希子が楽しんでいる事と、希子がそのゲームがソコソコに上手いのを知った。
自分の知っていた希子とは違う希子の姿に、希子と再会した時の事も思い出し、接し方が微妙に分からなくなっていた。
希子達が遊んでいるのを指さす二人組が居る事に気が付いた。
見るからに不良と言った格好の二人組だ。
だが、二人とも身長はそれなりに高く、体格も良い。よく見るような不良とは違い確かな体の厚みを感じた。
スマートフォンを見て、希子を指さしている。
夜堂は出て行くか迷うが、無関係の一般人の場合や、人目が多いからと警察が来るだろうと高を括って、不介入で良いかと判断した。
不良の一人が希子の肩を掴んだ。
不良に話しかけられた希子は驚き、小さな悲鳴を上げた。
希子の様子がおかしい事に気づいた希子の友人が、不良の間に割って入った。
「よぉし、 そのまま警察でも呼んでくれよ」
最近は何かと警察を呼ばれる事が多かったからか、すぐに誰かが通報するだろうと思った。
不良と例の男が言い争っているが、不良の方はヘラヘラとした様子で、まるで小動物をあしらうかの様な振舞いだ。
だんだんと例の男の声が大きくなっていく。
さすがに係員くらいは来るだろうと思ったが、様子がおかしい。
通報どころか、係員の姿も見えない。
例の男が不良の胸倉をつかんだのが見えた。
「あっ!」
と思った時には例の男は殴り飛ばされ、ゲーム機にぶつかって呻いていた。
いよいよ不良は、希子の手を掴み、手を引こうとしている。
夜堂は眉間にしわを寄せて、ドシドシと歩いて行く。
眉間にしわを寄せながらも、一応と不良に声を掛けた。
「あのぉ すいません。どうかされたんですか?」
不良が夜堂の方へと向いた。
希子は夜堂に気づき目を見開いていた。
「え? 誰? あんた? 関係ないでしょ?」
不良があっけらかんと言い抜かす。
「いあやぁね、その子、俺の友達なんだよね、なんかさっき揉めてた見たいだから」
不良が一瞬表情を歪めた。
暴行現場を目撃されたとは思っていなかったのだろう、それに暴行現場を見て近づいてくるヤツが居る可能性も考えてはいなかったのだろう。
「おにーさんには関係ないかなぁっ!」
不良が夜堂へと前蹴りを放った。
夜堂は体を少し傾け、足が脇腹を通り去るのを待った。
不良は前蹴りを避けられ、態勢を崩してしまった。
「思ったほどでは無かったな」
残った足に足を掛け、不良を転倒させた。
希子も一緒に転倒しそうになるが、希子の手を掴む手は捻り上げられ、希子の事を夜堂は受け止め、支えた。
「立てるか?」
「うん」
「ならよかった」
夜堂は希子の無事を確認して、倒れる不良の元へと向かった。
希子が居るため、流血は避けようとある程度の痛みを与えるため、夜堂は不良の尻と太ももを力を入れて何度か蹴った。
「…ぁがあぁ」
蹴るたびに不良から嗚咽が漏れた。
不良がうずくまって動かないのを確認して、未だ冷静にこちらを見る不良の元へと向かった。
その不良は背中に何かを隠しているようだった。
不自然に体を傾け、徐々に近寄って来る。
夜堂は警戒を強めながら、半身になる。
先ほどと同様に、希子や希子の友達が居るため、あまり激しい戦闘は禁物だと考えているが、不良は何を隠しているのか分からず、苛立ちを募らせていた。
「遅いぜ? 来ないのか?」
舌を二回鳴らし、不良を挑発した。
不良は挑発には乗らなかったが、前に身を乗り出して来た。
夜堂は滑り足…いわゆる縮地の要領で不良へと近づき、足刀《横蹴り》蹴りを食らわせた。
「っがっ⁈ この野郎……」
踏み込みが甘かった。夜堂の足刀蹴りは不良の態勢を崩すだけに留まっている。
不良は隠していたナイフを抜き、構えた。
ナイフを前に突き出し、正面を向いた構え。ナイフは大型のセレーションのついた、見るからに危ないと言った物だった。
夜堂は不良がナイフ戦闘を得意とする人間では無いと判断した。喧嘩慣れしている様に見えたが、所詮喧嘩だったようだ。
夜堂はナイフでの突き《つき》を警戒して再度半身に戻る。
「どうした? そんなもの持ってるのに俺が怖いか?」
不良はなりふり構わずと言った様子で、ナイフを振り回しながら近づいて来た。
「うぁぁあああああああああああああああああ」
怯えた様子は無く、強い眼差しでナイフを振り回しているが、ナイフが大型の為かナイフに振られている。
夜堂は自分のリーチの中に入るのを待った。
不良が大振りでナイフを振るった。
「…っ!」
夜堂が短く息を吐き、不良の振り切ったナイフを持つ手を蹴り飛ばした。
「いっ⁈」
ナイフは転がり、不良は手首を押さえて夜堂へと向いた。
夜堂は凶器を蹴り飛ばしたが、警戒は解かず半身のまま不良を睨む。
不良は夜堂より五センチほど身長が高かった。
不良が大振りの右フックを仕掛けて来た。
夜堂は不良の体に体当たりするように近づき、左腕で右フックを掠らせ逸らした。大きく開いた鳩尾に一発食らわせ、肘で不良を弾いた。
「゛あ っ く そぉ …うっ!」
不良は鳩尾に食らった一発のせいで呼吸が浅くなっていた。
夜堂はまだ動けそうな不良を見て、
「お前誰の差し金だ?」
小声で問いかけた。
「…………ぅっ 分か んね ぇ お れは、ただ頼まれた…だけだ…はぁっはっ ぐぐぐ」
夜堂は不良がこの状況で嘘をつく可能性は無い。のと、こんなに弱い奴が雇い主に直結しているとは最初から思っていなかった。
「…下請けの下請けだな…」
収穫は無かったので、不良の尻を強めに蹴り、走りづらくして引き上げた。
「すまん、希子。警察は来たか?」
希子の元へと戻ったが、警察が来た様子は無かった。
「あ! 夜堂くん」
希子と希子の友人は、不良に殴り飛ばされた男を介抱していた。
介抱されている男はなぜか夜堂を睨んでいた。
最後まで読んで頂きありがとうございました。