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今回は早く描き終わった!
ボスの話が始まった。
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希子と名付けられた子供を見つめる髭を蓄えた老年の男性が居た。
「今いくつだ?」
老人は希子を抱く青年に聞いた。
「いま一歳です。可愛いでしょう?」
青年は老人に希子の顔が見えるよう、希子を抱き直しす。
「だぁ~~ んん~ きゃっきゃ」
希子が老人を見て喜んだ。
青年は老人に希子を抱いてもらう。
老人は「きゃっきゃ」と喜ぶ希子を見て、ニコリと笑みを浮かべたが、喜ぶ希子の顔を見てスッと笑顔が消えてしまった。
老人は希子を青年に渡し、もう一人の青年に声を掛けた。
「夜堂、お前の子は?」
夜堂と呼ばれた青年は布にくるまれ眠る息子の姿を流し見た。
「先ほど少し起きていたようなのですが…また寝てしまいました」
「どれ、顔を見せてはくれんか?」
「ええ、少々お待ちを」
夜堂は老人に眠るわが子を渡した。
老人は眠る子供を見る。一抹の不安がよぎり、老人の表情に影を落とした。
「これも仕方ない…」
老人は眠る子供を夜堂へと返した。
「さて、この二人を生体認証鍵にする事に異論はないな?」
老人が鋭い眼差しで二人に問いかけた。
「はい。異論はないです」
青年がそう答える。
「もちろん。同じく、異論などございません」
老人は二人の言葉に黙ってしまった。
「…すまん…私の力が及ばなかったばかりに、お前たちの子供を巻き込んでしまった。本当にすまん。悠久や阿武隈、公河やお前たちで終わりにしてやってくれ。どうか、たのむ」
老人から絞り出された後悔と、自分への怒りがにじむ言葉が二人に重く刺さった。
「わかってます」
「何とかしますよ」
青年が笑って希子を撫でた。
少年少女にヘッドギアが装着された。
少女にはFファミリーが守り抜いたデータが書き込まれて行った。
少女の脳には、Fの所有する金庫の在処と、F創設時の文書などが書き込まれていった。
少年の脳には複雑なデータが書き込まれてはいない。
少年は鍵の鍵としての役割が与えられた。
少女の脳に干渉し、書き込まれたデータを引き出すには少年が必要となる。
そうして、二重のロックを掛けて情報を守ろうとした。
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老人は少年少女が回復し、鍵としての役目を果たすことが出来ると告げられた日の夜、Gにより殺害された。
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「お前がそのカギだ。お前の親父が殺されたのは恨みなんかじゃねぇ、目的はお前だったんだ。アノ日襲撃者の人数は五人だった。それもトビっきりの精鋭が来やがった。だが、お前の親父は五人の襲撃者の内、三人を殺した。だから奴らは退却した。だからお前は生きてる。そして、お前がカギとバレたからお前に身を守るすべを教えた」
ボスがいつになく熱い様子で、言葉を強く語った。
「……アイツはこれからどうするんだ?」
夜堂がぼそりとこぼした。
「希子の事か? 誤魔化してはいたが希子もカギという事がバレた。本音を言うならここで一生をすごしてもらうのが一番だが、俺にはそうしたくねぇ。お前には生きてるすべも教えたが、守るすべも教えただろう? Gのやつらはお前たちを殺せねぇ。だから戦え、勝って希子を自分を守れ」
夜堂が息を漏らしながら頭を掻きむしった。
「あぁ…くそ 守ってやるよ。絶対に。あいつを」
最後まで読んだな!
ホント最高だな! マジで!
お読みいただきありがとうございました!