プロローグ
良ければ評価してくださいまし
遊び歩いて家に帰ると、そこに在ったものは家ではなく、黒く炭化した瓦礫の群れだった。
瓦礫の上では何者かと戦う父の姿があった。
父は何かに負け、倒れた。
何かは倒れた父の姿を見ると、どこかへと飛び去って行った。
声も出なかった。
父に駆け寄ると、父はパクパクと口を動かした。
何かを伝えようとしている。
耳を近づけ、父の最後の言葉を聞き取ろうと努力する。
父は、途切れ、擦れながら伝えた。
鍵を守れ、お前はその為に存在する。
何の事かは分からなかった。
だが、その言葉を刻み込み、父がこと切れるその瞬間を迎えた。
父が死に、感情が溢れそうになる。
何故だか涙は流れない。だが、無言で噛締める感情の波が、視界を揺らすほどに自分を揺さぶった。
見知らぬ男に肩を揺すられ、気を失った。
父の仕事仲間を名乗る男に、厄介になった。
今までとは違う世界に生きることを選んだ。
父が何をしてきたのかを知った。
父の仕事仲間には、言葉を、仕事を、力を、教わった。
それからボスと父の所属する組織「F」の一員となった。
有難う御座いました。