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剣神勇者は女の子と魔王を倒します  作者: 鏡田りりか
第三章  VSレリウーリア
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第51話  アルファズールVS黒魔族 そのニ

「ユリエルさん・・・。助けて・・・」


 うおっ?! 王女様、どうしたんだ?!

 急にチャイムが鳴って、誰だろうと思ったら・・・。今にも死にそうなのでどうしていいのか分からない。

 とりあえずリビングに上げ、ソファに座らせて落ち着かせる。


「いや、すみません。ちょっと疲れていたもので」

「ちょっとどころじゃなさそうだけどな」

「はい・・・」


 これは、また何か起こったな。今度は魔王、何をしたんだ?

「宣戦布告が」

「何だと?!」


 また戦争?! もういい加減にしてくれ! 三か月前悪魔を倒したところだろうが!

 その一年半ほど前にはもう一度戦争してるし。あ、ちなみに、俺は寝ていたから良く知らないが、両方戦力を失い、戦いが続けられる状況ではなかった為、戦争は一時中断、の様な形になっていたらしいな。

 まあ、それはともかく。最近魔王の行動、随分活発だな。


「えっと、じゃあ、また、戦えば良いんですか?」

「もう攻められてるんです・・・」

「ど、何処を?!」

「ヴァナーが占領されちゃいます」

『・・・』


 うわ。マジか・・・。それは結構ヤバいな。どうするか。子供たちはもう九歳。戦える年ではあるが、まだ小さい。前の戦争は小規模だったからまだしも。今度はヴァナー全体の戦争になる。連れて行っていいものか。


「何言ってるの、お父さん! 黙って留守番なんて、とんでもないこと言ってくれるね!」

 ルナが激怒。いやいや、そんなつもりじゃなくてな。

「分かってる。みんな連れてくから」

「なら良いけど」

 黙って座った。


「女王様は休んでいて下さい。きっと、王城では休めないのでしょう?」

「それは、みなさん、忙しく動いていますし・・・」

「よし! アナに命ずる! 御譲様を寝かせる!」

「はい」

「絶対にだ、何があっても! 俺が良いというまで!」

「分かりましたっ!」


 アナ、俺の命令は絶対になっている。何が何でも言う事を聞く。王女様は俺に「酷い!」などと言っていたが、まあ、連れて行かれた。

 さて、じゃあ、作戦会議を行おう。


「まず、今まで通りじゃ無理だと思う。何せ広い。一か所を責めても、他の所を攻め込まれる」

「という事は、分かれますか?」

 ティナが言う。

「ああ、それが良いと思う。どうだ?」


 異論はないらしい。という事で何処を誰が攻めるのか決めるか。

「まず、ヴァナーの王都は此処になる。おそらく、此処に人が集中していることだろうから、強めで行こう。もうひとつ、王都には劣るが、少し栄えたところ。此処だ」


 王都はヴァナーの中心だ。もうひとつ俺が指したのは南の方。少しディウムやパクスに近い。だったら、後は北、東、西に行くのが無難だろう。


「じゃあ、王都にはユーリ、お願いするわよ?」

「もちろん、そのつもりだ。が、エディ。南側、頼むぞ?」

「任せなさい。終わったら王都へ向かうから」


 エディが随分やる気だ。作戦立てるのが単純に好きという事でもあるのだが。

 五か所あるっていう事は、俺とエディ、メリー、リリィ、ティナは分かれよう。


「・・・。正直、何処でも良いんですけれど」

「じゃ、適当に振るわよ。リリィが北、メリーが東、ティナが西、よ。リリィ、苦戦している方向に向かってあげて頂戴」

「分かったけど・・・。なんで私?」

「ティナだと少し力で劣るわ。でも、メリーはちょっと、ほら、色々心配なのよ」

「あ、はい、了解」


 じゃあ、後は子供たち。リーサとエド、ルナ、エリー。足らないな。まあ良いけど。

「・・・。俺はティナさんの所で。何か不安だし」

「私、お母様が良い・・・」

「私も、お母さん、良いかな?」

「じゃあ、私もお母さんが良いなぁ」


 おい。誰か回復役ついてくれよ。俺、魔法使えないんだぞ?

「じゃあ、私が、お父様のところ、行くの・・・」

「お、エリーありがとう。でも、リリィ」

「ん、じゃあ、逆にメリー組かティナ組、終わったら来て」

『了解』


「ま、待って下さい!」

 扉を開けて飛び込んできたのはアナ。なんで。女王様に付いてろと言ったのに。命令を破るなんて初めての事だ。


「わ、私が、リリィ様に付きますから!」

「ちょ、ちょっと待て! アナは留守番だ」

「なんで?! 私も戦います! 仲間外れにしないでっ!」


 仲間、外れ・・・? そういう見方も、出来る、か?

 でも・・・。アナも死んでしまったら。今度こそ、エレナが・・・。


「分かってます。だから、ちゃんと気を付けます。お願いします」

「・・・。じゃあ。ちゃんと自分で、エレナから許可を貰って来い」

「分かりました」


 え、今?! 女王様・・・。まあ良いか。

 エレナ、許可を出すだろうか。出すだろうな。さっきみたいな事を言ったら。エレナ、甘いから。

 じゃあ、この十人で行く事になるのか。しっかり準備して行かないとな。



 少しして。アナが泣きながら戻ってきた。

「え、どうしたんだ? 許可、貰えなかったか?」

「いえ・・・。貰い、ました」

「じゃ、じゃあ、何で?」

「好きにしろ、って、言われましたっ! 冷たく、言い放たれました!」


 あちゃ・・・。こういう事になるとは思ってなかった。

 エレナはそういうつもりじゃなかったんだろう。けど、ちょっと強く言い過ぎたな。

 まあ、後でエレナとはちゃんと話して置くか。


「ん・・・。アナさん、いなかったんですけど」

「あ、女王様。すみません。ちょっと色々ありまして」

「良いですけれど・・・。大丈夫ですか?」

「ええ。アナ、大丈夫だな?」


 アナはこくっと頷いた。まあ、そんなに弱い子じゃないけどな。ちゃんと、エレナの言いたい事も理解しているんだろうし。

 後は。報告に回るか。



「ええ。聞きました。泣いて、ましたね」

「ああ。ちょっと強かったのかもな。まあ、大丈夫だろう」

「だと思いますけどね。ちゃんと行きたい理由も伝えて、偉かったですよ?」


 エレナはそっと目を細める。アナの成長が嬉しいらしい。

 そうしていると、随分久しぶりに見た気がする、黒髪の少女たちが来た。


「あれ、みんな、どうしたの?」

「ユリエル様を全くお見かけしておりませんでしたので」

「ああ、本当に久しぶりだよな」


 梓桜、澪桜、奈桜、咲桜ちゃん。全く変わらないな。

 エレナはみんなを見て笑うと、少し困ったように微笑む。


「私、行かせたくないんです。でも、アナが行きたいって言うのに、止められなくて」

「ああ」

「もし、何かあっても。私、覚悟、出来てます」

「ああ」

「アナを、お願いします!」


 大丈夫。一緒に居るのはリリィ。心配なところはない。

「わかってる。出来る限り、努力するからな」


 今度の戦争はもっと規模が大きい。死人が出る確率は更に高まっているのは確かだ。

 でも。これは、俺たちがやらなくちゃいけない事だ。みんなで、絶対に乗り越える。


 全ては、魔王を倒す為に!



「なあ、姉さん」

「え、ユリエルくん? どうしたの?」

「また、戦争に行ってくる」

「え?!」


 前回は、何の連絡も無しに行って怒られたからな。なんで言ってくれなかったんだ、こんなことになるかもしれないなら一言言って、とな。

 という事で来た。偶々ユーナとオリヴァーも居たもんで、みんなに驚かれてしまった。


「嘘、嘘でしょ? お兄ちゃん、戦争? 今度こそ死んじゃうよ?!」

「お兄さん?! 冗談ですよね?」

「いや、本当だ。今、戦争が起こっているのを、知っていたのは?」


 居ないな。俺は話を続ける。

「今度は、此方に乗り込まれているんだ。もう、何も言っていられない。絶対に帰ってくるから」

「ほ、保証は・・・?」

「出来ないな。もしかしたら、死体ですら帰ってこれないかもしれない」


 ユーナとオリヴァーが目を見開く。ちょっと脅し過ぎた。

 でも、これは本当だ。何が起きるかなんて分からないのだから。


「でも。俺は行く。もう決めたんだ。だから、誰が何と言っても、俺は行くからな」

「・・・。立派になったじゃないか、ユリエル」

「父さん」

「此処からだが、応援していよう。頑張れよ?」

「ああ!」


 嬉しかった。父さんが応援してくれるなんて。母さんも応援する、と言ってくれた。姉さんは出来れば無茶はしないで、と。ユーナとオリヴァーはまだ行かないで、という表情をしていたけれど、頑張って、と言ってくれた。止めないでくれて、よかったよ。ちょっと、躊躇いそうだったから。



「ユリエルさん!」

「ア、アンジェリカ先生」

「戦地に、行くそうですね」

「はい。頑張ってきます」

「・・・。なんて立派な子になったのでしょう! 先生も、応援します」


 ああ、泣かないでくれよ。俺も泣きそうになるから。折角笑顔を作ったのに。

 正直、行くのは怖い。前回死人が出て、俺は二日寝込んでいる。今度こそ、俺が死ぬかもしれない。それでも行くのは・・・。やっぱり、俺、馬鹿かもな。

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