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剣神勇者は女の子と魔王を倒します  作者: 鏡田りりか
第三章  VSレリウーリア
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第49話  新しい剣

「私たち、結婚する事になったので、今日、お兄ちゃんに来て貰ったの」

「・・・。え?」

「よろしくお願いします、ユリエルさん!」


 えーっと・・・。ああ、いや、言葉通りだってのは分かってるぞ? だけどな、急にそんなこと言われたら少し驚くだろ。なにせ、付き合っていた人がいた事も知らなかった。

 オリヴァーだと名乗るその男の子。ちょっと中性的。可愛いとも思えるくらい。問題は・・・。彼の瞳の色が、紫色だという事くらいだろう。


「あ、大丈夫だよ! オリヴァーなら、お姉ちゃんみたいなことにはならないよ!」

「フィオンとは違うから、ね、ユリエルくん、安心して?」

「いや、誰もそんなこと言ってないだろ」


 ちょっと考えはしたが。相変わらず鋭い。

 まあ、信用するとして。戦争もあって、アルファズールでの黒魔族の立ち位置は非常に危ない。メリーはもう有名だからなんて事ないが。そうでもない限り、黒魔族は差別対象だ。

 ・・・シミオン、どうしてるかな。


「僕は! ちゃんと、ユーナちゃんを幸せに出来ます!」

「とはいってもな。戦争の後、結構黒魔族の立場は・・・」

「そんなの知ってるよ。でも、それでも良いの。全部、承知の上」

「お、お兄さん・・・」

「・・・。ったくなぁ。ユーナがそう言うのに、俺に拒否権なんかないだろ」


 そりゃあ、ユーナが俺の娘だったとしたらあるかもしれないが。俺に対した権限はない。

 まあ、ちゃんと覚悟はあるみたいだしな。中途半端な気持ちじゃないらしいし、良いんじゃないのか?


「俺ももとよりそのつもりだ」

「お父さん。ありがとうございます」


 二人は同時に頭を下げる。近いというのに、全然家に帰ってなかったから知らなかったな。

 シルヴァニアが俺を見て「お久しぶりです!」と言ったのも納得か。

 うん、今度こそ、大丈夫だろう。



「へぇ・・・。ユーナちゃん、結婚するんだ?」

「らしいな。知らなかった」

「まあ、ユーリ、あまり家に帰ってないものね」


 リビングでメリー、エディにユーナの事について話した。

 二人とも、幸せになれると良いね、と言っていた。オリヴァーに興味津々らしいが。


「ああ、そうだ。ユーリが居ない間なんだけど、エレナが来たわよ」

「え、何で?」

「ほら、剣、新しいの作りに行こうって、いつ空いてるかなって」


 そうだ。俺の赤い剣は使い物にならなくなったから、今は別の剣を使用中。ちょっと安いけど、赤い奴。なかなか良いものを作る機会は無くて、このままになっている。って、どんだけ経ってるんだ?!

 じゃあ、さっさと作っておかないとな。


「で、あとで連絡する、って言ったんだけど、明日、予定あるかしら?」

「いや、空いてるな」

「じゃあ、明日、行ってらっしゃい」


 なんでエレナが来たのか知らないけどな。



 小さな工房の様なところだった。有名な鍛冶職人の武器屋らしい。代々、剣神の剣を作って貰っているとか。その鍛冶職人は、少し怖そうなおじさんだ。

 という訳で、父さんにもついて来て貰った。いや、頼んだわけじゃないんだが、エレナの言う集合場所に行ったら、エレナだけじゃなくて賢音と父さんがいた、という訳で。


「お前がユリエル、か」

「はい。新しく剣神になった、ユリエルです」


 それから、剣のデザインについて話し合う。

 バスタードソードというのは変わりない。サイズは腰に下げられるくらい。剣身は当然真っ赤で、少し幅広。持ち手に凝った装飾を施す。


「剣に名前、付けるか? 彫ってやる」

「名前、か・・・。あんまり得意じゃないんだよな」

「じゃ、じゃあ、あの・・・。鮮紅、なんてどうですか?」

「センコウ?」


 繊巧で閃光の様な攻撃を。エレナはそう言った。鮮紅か・・・。良いかもしれない。

 という事で、剣の名前は鮮紅に決定。短いかもしれないが、覚えやすくて良いだろう。

 出来あがりまでには暫く掛かる。今日はこれで帰る事になった。


「あ、そうだ。なんでエレナが?」

「ん? あ、ユリエルさんのお父さんが、誘っておいてくれって言ってたので」

「そうなのか。じゃあ、前に会ったのか?」

「はい。ついこの前、偶々。お父さんは、いつでも空いていたみたいで」


 ああ、父さんから・・・。それなら納得だ。エレナが誘ったのに、居なかったらおかしいから来たのだろう。

 賢音が付いて来たのはエレナに付いて来ただけだろうから何も不思議じゃない。


「ありがとな、名前」

「いえ。好きなので」

「じゃ、またな」

「はい」



 暫く経ち。出来あがった剣は素晴らしいものだった。程よい重みが丁度良い。重くては上手く攻撃できないが、軽すぎると、今度は攻撃の威力が下がる。動かしやすく、それでいて強い攻撃が放てる重み。

 素材はなんなのか分からないが、鮮やかな赤をした剣身が美しい。遠くから見ても目立つな、これ。

 それから、金で出来た持ち手の装飾。邪魔にならないが、持っていてとても豪華。柄頭には赤い宝石が輝いている。


「綺麗、だな」

「それはどうも」

 鞘も含めて、全て綺麗だ。こんなものを自分が持っていて良いのか不安になるくらい。

 指定の金額を払い、店の外に出ると、エレナが剣を見て声を漏らす。


「凄い・・・。剣神に相応しいです」

「父さんの持ってた剣、こんなに派手だったか?」

「違うな。俺は、あまり目立つ剣は嫌だったんだ」


 ああそう・・・。ともかく、早く家族にも見せてやろう。きっと驚くだろうな。

 そう、ちょっとワクワクしながら家に帰ると、まさかの誰も居なかった。まあ良いけどさ。どうせすぐ帰ってくるだろ。


「あれ、ユーリ、もう帰ってたの?」

「ああ。今帰って来たところだけどな」

「剣、見せて貰っても良いかしら?」

「もちろん」


 どうやら、俺が出てから依頼が入ったらしく、みんなで向かったらしい。悪いな、と思ったのだが、対して難しいものではなかったから平気だ、と言われた。

 まあそれはともかく。テーブルの上に今引き取ったばかりの剣を乗せる。


「わぁ・・・。ユーリ様、これ、すっごく綺麗だね」

「ああ。エド、持ってみるか?」

「え、いいのか?」

「気を付けるなら、な」


 エドにそっと剣を渡す。エドは剣士だ。美しい剣を見たら、持ちたくなるものだろう?

「何だ、これ。凄く持ちやすい」

「そうなんだよ。こんな剣、俺も初めてだ」


 エドから剣を引き取り、片手で腰の鞘へ戻す。

 俺が剣を使ってみたいだろう、という事で、みんなで午後、魔物を倒しに行く事になった。



「うわ、何これ! 滅茶苦茶使いやすい!」

 新しいのに、使い慣れた剣の様に。どうするとこんな剣が作れるのだろう。流石だと言わざるを得ない。

 あの職人を一瞬で気に入ってしまった。少し値段は高いとはいえ、このレベルのもの・・・。そうそう、見れるものではない。


「気に入ったみたいですね」

「ああ! 強度も相当だな。これ、一体何なんだ?」

「え? あ、素材?」


 リリィが剣身をじっと見つめる。が、やっぱり分からなかったらしい。

 何となく、透明度が高い気がする。太陽にかざすと、透ける、とは言わないが、そんな気がする。ちょっと宝石っぽいというか。


「宝石とかに近いけど、そんなわけないよね?」

「多分な」

「分かりませんね。でも、使いやすいなら良かったですね」


 俺はリリィ、ティナと行動中。別に、特に理由があるわけではない。何となく分かれたら一緒になっただけだ。

 この辺りの魔物は弱いからな。ティナでも安心だろう。いや、ティナも結構強くなってるんだがな。


「いつの間にそんなに魔法が使えるようになった?」

「え、や、これ、妖術なんです。応用して」

「ああ、そうなのか。妖狐、だもんな」


 妖狐はもともと和の島出身の種族らしい。和の島では、魔法ではなく妖術が使われていたらしい。

 何が違うのか、と言われると難しいのだが、多少雰囲気が違うな。

 芸妓なんかも、昔は和の島だけのものだったらしい。


「いや、ティナだけじゃないぞ、リリィも魔法、上手になってる」

「嘘だー・・・。分かってないくせにー」

「そんなわけないだろ。頑張ってるな」

「・・・。ふふ、御機嫌取りなんてやっても意味ないよ?」


 そんなわけないだろ。た、確かに、ティナばかり褒めていて、拗ねているリリィを見て言ったかもしれないけど! ちゃんと練習してて、強くなってる事は分かってるぞ?

 なにせ、リリィはいつも、俺の近くにいた。リリィが居ないと、戦えなかったしな。


「何言ってるんだ、嬉しいんだろ」

「な・・・。ま、まあ、そうだけどね」

「結構素直だな」

「もう! 何なの、ユーリ様ぁ!」


 ちょっと可愛いからってからかい過ぎたか? まあ、そんなに嫌でもないらしいし良いか。

「あ、そうだ。ちょっと気になってる事があるんだけど」

「ん、なんだ?」

「ユーリ様、船で賢音と喋ってたでしょ? 内容聞いたら、ユーリ様に何かあった時に私たちに言って欲しい言葉、だって」


 ああ、そんなのあったな。何もなかったから言わなかったんだろうけど。あ、何もなくはないか。

「でも、賢音、それが何か教えてくれなかった。教えてよ」

 そう言う事か・・・。ティナも聞きたそうだったので、俺は二人を自分の近くに寄せて囁く。


「お前らはともかく、俺の大切な子供、絶対死なせるなよ?」


「・・・私たちより、子供のほうが大切だって?」

「ああ、当然だろ」

「もう、ユーリ様の馬鹿ぁ!」


 そう言いつつも、嬉しそうな笑顔のリリィが心に残ります。

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