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第30話  ナディアカティア

 少しホラー要素有りというか・・・。一応、気を付けて下さい。

 パーティが始まった。エディは緊張した様子で若草色のドレスに身を包んでいた。ドレスの色のイメージは、エディの瞳だ。

 此処で、王様が殺される。そういう手紙が届いた。何としてでも防がなくてはいけない。王女様が緊張した様子で俺を見ていたから、任せろ、という事で頷いておいた。あまり自信はないが。


「にしても、その、ディラン? って、本当に魔王の使い?」

「だと思うぞ。確認はしてないが」

「ふぅん。まあ、あの本の事もあるし」


 そんな事を囁きながら踊る。きちっと訓練を受けたから(一ヶ月間もな)、そこそこ踊れるようにはなっている。不自然では・・・、ない、はず。

 そう言えば、女王様っていないのか? 見た覚えがないが・・・。


「え、知らないの? 女王様は病気で亡くなられたのよ。五年前」

「そうだったのか?! 知らなかった」

「ほんっと、ユーリってそういう事興味ないのね」

「それはメリーに言ってやってくれ」


 って、あれ? いつの間にか注目集めてる? え、なんで? 踊り終わってから、その事に気づいて慌てていると、一人が気を利かせて教えてくれた。

「お美しいですね、奥様」

「え、あ・・・。ありがとう、ございます」

 エディか。メリーもリリィもティナも、もっといえば姉さんやユーナ、エレナもだから忘れてたが、みんな相当美少女だ。それこそ、男の人なら一度は憧れる様なレベル。あれ、俺、恵まれてる?


「ユーリもかっこいいからよ」

「そうか? 大方エディだろ」

「でも、メリーもリリィも相当可愛いわよね。ユーリって美少女に好かれるのかしら?」

 みたいだな。



 ドン、と大きな音が鳴る。はっとして王様の方を見ると、外れている。無事の様だ。音は爆発音の様だ。

「エディ、行くぞ」

「もちろん」


 人をかき分けて王様に駆け寄る。王様も王女様も、真っ青な顔で俺たちを見た。

 やっぱりディランだ。彼は窓枠に腰掛けて此方を見ていた。手には爆弾。まだ投げる気だ。


「みなさん、逃げて下さい! この会場から! 早く!」

 王女様が叫ぶと、みんな弾かれた様に扉に向かって行った。ディランは、その人たちを殺す気は更々ないらしい。黙って見ているだけだった。


「今日は、あの忌々しい狐の踊り子はいないな」

「狐の踊・・・、ティナか」

「あいつの魔法は俺たち魔族にとって脅威だからな」


 そういうと、彼は自らの座っている場所から飛び降り、俺たちの目の前に着地した。思わず綺麗、と思うような動作だった。左足で着地すると、ゆっくりと右足をおろした。


「さて、王よ。何故狙われているか、分かっているな?」

「魔王にとって、我が国がユリエル殿に味方するのを良く思っていないから、だろう」

「まあそうなるな。大人しく殺されれば、王女や他の奴は助けてやろう」

「俺たちがそれを許すとでも?」

「思っていない。さあ、勝負だ!」


 ああもう、この格好! 動き辛い! 王女様から俺の剣を受け取り、鞘から抜く。結構ハンデがあるんだが・・・。ああそうだ。上脱ぐか。王女様に持っているよう頼むと、少し顔を赤らめて頷いた。


 にしても、こいつとの勝負、勝てそうな感じが全くないんだ。その代わり。

「リリィ!」

「うん、ユーリ様」


 今日はリリィを呼ぶことにした。パーティの参加者は全員兵士が帰してくれたはずだからな。

 ちなみに、リリィを呼んだ途端、メリーが家を出発し、駆けつけてくれる事になっている。来れればティナも。

 此処までやって勝てなければ、俺たちに勝ち目はないという事になる。今度こそ!


 リリィが本気の補助魔法を俺とエディにかける。この魔法の有無は相当大きな問題になる。能力が数倍跳ねあがるのだから。

 そして、メリーよりエディとの方が戦い慣れているから、連繋が取りやすい。トンと後ろに下がった途端、ディランにレインが襲い掛かる。当然ウォームアップマジックも付いている。避けられたが。


「これは、少し厳しい、な」

「何を言っているんだ? まだだ。何故なら・・・」

「ユーリ! 来たよ!」


 メリーの到着。ティナもいる。ディランは少し焦ったような表情をする。そうして、俺は一発入れることに成功した。

 すぐに回復魔法で治されたが、一発当たる、それだけで、大勢は変動する。今、軌道に乗っているのは俺たちだ。



 一時間くらい経っただろうか。ディランの体力は相当だ。が、流石に疲れてきたのだろう。其処で叫び声が上がる。

「行きます! 悪払之術!」

 ティナの声。注意力が散漫だったか? ディランは宇迦之御魂神に捕まった。稲には邪悪を払う力がある、とされている。狐の神たちは、悪を払う力を持っているのだ。もう、逃れることはできない。


 ただ、確かに、抗う事が出来ない、とは、言っていないな。


「あ・・・」

『な・・・?!』

「くっくっく。最後、だが、任務、完了・・・、だ」


 あまりに一瞬の事で、誰も動く事が出来なかった。気がついた時には、王の胸に、短剣が刺さっていた。治癒しようと駆け寄ったところ、短剣に毒がたっぷりと塗られていた事が分かった。変わった毒で、解毒魔法は効かない。深くまで刺さっているから、他の方法での解毒は望めない。


「お父様! お父様!」

「ア、アゼ、レア・・・。いい子でな。この国を、頼む」

「お、お父様! あ、ああ・・・」


 ディランはもう、冷たくなっていた。怒りを向ける先が見つからない王女様は、ただただ、茫然と倒れた王様の手を握っていた。ふるふると、小さく震えているようでもあった。

 まだ八歳だという王女様。一人になるには、いくらなんでも早すぎる。

 俺たちが声を掛けるかどうか迷っていると、王女様はすくっと立って俺たちに言った。俯いていて、顔色は覗えない。泣いているのかもしれない。それでも、はっきりと言った。


「気にしないでください。これは運命だったのでしょう。精一杯戦ってくれて、ありがとうございます」

「お、王女様・・・」

「あなた方はもう帰っていいですよ。ただ、外で兵に会いましたら、此処に来るよう言って下さい」


 その時。大爆発とともに、二人の少女が入ってきた。

 爆発の衝撃で大きな音とともにシャンデリアが落ちた。急に真っ暗になり、王女様とティナが悲鳴を上げる。エディが冷静に松明を作り出し、二人に手渡す。

 二人の少女は、驚いたようにディランの手を握り、言葉を発する。


「ディラン様? 亡くなっているの? どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして?」

「ディラン様? 亡くなっているの? なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで?」


 狂ったようにそういう少女たちは、俺たちに顔を向ける。

『こいつらだこいつらだこいつらだこいつらだこいつらだこいつらだこいつらだこいつらだ!』

「ひっ」

 王女様とティナが怯えたように声を出す。そんな事を気にする様子も無く、二人の少女は顔を見合わせると、言った。

『仇を取ろう』


 この子たちは狂っている。そして、人間ではないのだろう。俺たちが茫然としていると、リリィが俺の隣で呟いた。

「・・・、ナディアカティア」

「え? 知ってるのか?」

「うん。魔界じゃちょっとした有名人。悪魔だよ。紫のワンピース着た子がナディア。メイド服着た子がカティア。

 えっとね・・・。うん、狂ってるの、あの子たち。そして、呪いは強くて、あの子たちの主人はみんな狂っていく。自分自身が狂っているから、主人が狂っていく事に気づけない。みんなにこう言われてるよ。『狂った操り人形クレイジー・マリオネット』」


 ほぼ真っ暗だが、だんだん目が慣れて来て、二人の容姿が分かるようになってきた。

 ナディアと呼ばれた少女は、白いロングの髪の少女。顔は真っ青で、蝙蝠の様な羽と矢印の様な尻尾がある。紫色の肩出しのワンピースを着ていて、斧を構えている。ワンピースはところどころ血で赤く染まっている様だ。もう一人より飛ぶのが上手いのだろうか? 宙を浮いている。

 カティアと呼ばれた少女は、白い髪をツインテールにした少女。顔色はナディアより真っ青で、ナディアと同じく蝙蝠の様な翼と矢印の様な尻尾がある。尻尾はナディアよりずっと鋭く尖っている。これも武器なのだろうか? だが、武器もちゃんと持っている。柄の両端に片刃の曲刀の様な刀身。それぞれの刀身の切っ先は反対を向いている。なんて奇妙な形の武器・・・。それから、口の左端から、血が垂れていた。

 明らかに、人間の容姿ではない。ちなみに、さっきから、最初に喋っているのがナディアで、二番目に喋っているのがカティアだ。瞳の色は分からない。何故だか陰に隠れているみたいに、眼が見えないのだ。


「『狂った操り人形クレイジー・マリオネット』っていうのは?」

「ああ、使い魔って普通、主人の命令を聞く、つまり操り人形マリオネットでしょ? でも、あの子たちが主人を狂わせてしまうから、実際、あの子たちが主人を操っている様なもの。立場が逆転してるから、狂ってる。だから、『狂った操り人形クレイジー・マリオネット』。でも、詳しい事はよく分かんないよ」


 何で、どうしてそこまで狂ってしまったのだろうか。もとからなわけじゃないだろうし。何かきっかけでも?

 それに、ディランは狂ってたか? ちょっとおかしいかな、とは思ったが、狂ってると言うほどではなかった。会ったばかりなのかもしれないが。


「ディラン様は愛しい人。私の大切な御主人様」

「ディラン様は大切な人。私の愛しい御主人様」

『でも、でもでも、こいつらは大切な愛しいディラン様を殺した』

 ナディアとカティアは握っていたディランの手を離し、俺たちに向かって武器を構えた。


『死ね死ね死ね死ね! ディラン様と同じ目に同じ目に同じ目に合わせてやる』

 本気で、殺そうとしている!

「弱点はないのか?!」

「し、知らないよ! ただ、相当強いって言うのは聞いてる」

「マジか」


 真っ暗な中で、ディランと戦って消耗している中で。これは相当のハンデだ。果たして勝つ事が出来るだろうか・・・。

 その時、扉が開き、数人の子供が駆けこんできた。廊下の明かりが入り、さっきよりも明るく、見やすくなった。

 其処で入ってきた子たちを確認する。え・・・?


「な、なんで此処に?!」



 ごめんなさい、ものによって色が多少違って見えるようです。見づらかったらごめんなさい。特に羽と尻尾、名前が。

挿絵(By みてみん)

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