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第19話  結婚

 次の日、ルーズヴェルト家にて。


「あれ、ユリエルくん?! どうしたの?」

「父さんに伝えてくれ。『家族会議がしたい。リビングに全員集めてくれ』」

「・・・。わかった」



 少し待つと、全員がリビングに集まったらしく、家の中に入れて貰った。

 この会議のメンバーは父さん、母さん、姉さん、ユーナ、俺、メリッサ、エディナ、それからリリィ。


「ええと、まず。エディナとメリッサの親には許可を頂いている。だから、結婚をしようと思っている」

「! そう、なの?!」

「だろうとは思っていた。まあ、俺は構わないと思うぞ」


 姉さんは知らなかった様子だ。ユーナは興味津々。母さんはエディナとメリッサを交互に見ている。父さんは・・・。もう、知っていたもんな。

 さて、まさか、これだけの為に来たわけじゃない。もうひとつの目的。


「それで、問題は、リリィだ」

「・・・。って、私?!」

「ああ。お前だ、リリィ」

「えっと・・・。何の話かな?」


 二人には許可をもう貰っている。エディナはリリィの事をを良く知っているし、メリッサは何人でもいいと言っていた。リリィさえよければ、もう一人増えても変わらない。俺は、みんなを平等に愛してやればいいだけの話。


「えっと・・・。そうだな。私は、飽く迄、御主人様の使い魔。この中には、入れないよ」

 リリィが誤魔化すようにそう言うと、エディナが机を叩いて立ちあがる。大きな音がして、リリィがびくりと肩を揺らす。

「何時までそうやって言うの、リリィ? 学校で生活してて、私、凄く良く伝わってきたよ。リリィ、ユリエルの事、大好きだって」

「・・・」

「使い魔とか、主人とか、関係ないじゃん。エレナに作って貰ったは、その為じゃなかったの?」

「そのつもりだった。でも・・・」


 リリィは俯いた。目には涙が光っている。

「こうやって、見てると、私、劣って見える。一緒にいるのが、怖くて」

「何を言っているんだ? リリィが誰に劣るって? メリッサも、エディナも、リリィも、みんなとっても素敵だ」

「そんなお世辞、言わないで。悪魔は人には勝てない」


 何で、そんな事を言うんだろう。何処に自信が無いのだろうか。あんなにリリィと一緒にいたはずなのに、それすら分からないなんて・・・。悔しい。


「わかった。リリィちゃん。本当に同じように愛して貰えるのか不安なんでしょ? だって、ユリエルは私と一緒に逃げたもんね。ユリエルはきっと、誰よりもメリッサの事を愛しているんだ、って?」

「!」

「でも、心配しないで良いと思うけどな。ユリエル、私にエディナとリリィちゃんを連れて来て言いか聞いたんだよ。きっと、怒られること覚悟だったよね・・・。それくらい、二人の事、気にしてた」

「ほんと・・・?」

「絶対ユリエルはリリィちゃんの事も大切にしてくれる。私が保証する」


 メリッサはそう言って笑った。リリィは恐る恐る、といった様子で俺を見る。

「本当に、私、邪魔じゃ、ない?」

「なんでリリィが邪魔なんだよ。リリィのこと、ずっと、好きだったからな」

「でも、御主人様、メリッサちゃんと一緒に逃げたでしょ?」

「俺、殆どメリッサと会えなくてさ。すっごく愛おしく思えた。でも、いざエディナやリリィと離れてみたら、それはそれで、何だか寂しかった。二人の事、大好きなんだって、気付いた。だから」


 リリィと一緒に、エディナも顔を赤く染めた。可愛いから頭を撫でてやる。やきもちを妬くメリッサも撫でてやる。リリィが瞬きもせずにそれを見ていた。


「わ、私も!」

「え~? ユリエルは私とエディナのだよ?」

 メリッサは更に俺に体を近づける。エディナもそれを見てまねをする。リリィは暫く黙っていたけれど、口を開く。


「あうぅ・・・。じゃ、じゃあ、私も仲間に入れて。一緒に、住みたい、です」

「はい決まり。お父様、良いですよね?」

「ああ。メリッサと初めて会った時、あの時点で、既にユリエルはこの事を決めていた」

「え?! 何で、知っているんですか」

「見れば分かる。ユリエルは俺の息子だからな。もちろん、良いに決まっている」



「お昼、食べに行こうよ」

「ああ、いいな。何処に行きたい?」

「あ、そうだ。ご飯の美味しいカフェがあるけど、行かない?」

「そうなの? 行ってみたい」


 エディナの言っていたカフェは此処か。お洒落なテラスのあるカフェだ。ちょっと入るのを躊躇ってしまったが、三人に連れてい行かれる形で入った。

 案の定、中は女の子ばかり。そんな事を気にするのは俺が男だからだろう。


「いらっしゃいませー」

 店員の制服可愛いし。店員自体も可愛いし。

「ユリエル! ほら、早く行こう」

 ああ、ごめんなさい。そんな顔をしないで



「じゃあ、今日はリリィちゃん、良いよ」

「ちょっと怖い・・・」

「まあ、そんなに緊張しないでね。ユリエル上手だし」

「あのなぁ。それじゃ回数やってみるたいじゃないか」


 上手、だなんて言うのはメリッサだ。実際、俺はメリッサがイきやすいだけだと思う。エディナの方が時間がかかった。

 昼食を外で食べて、三人は随分仲良くなった。この感じなら問題も起こらなそうだな。

 にしても、今日の夜ご飯も美味しかったな。エディナは本当に料理が上手だ。そうやって褒めると、エディナは顔を赤くした。


「じゃあ、よろしくね、御主人様」

「ああ」

「リリィちゃん可愛い」

「ああもう、からかわないでよ」


 いやぁ、可愛いな。まさか、俺がこんな風に三人も婚約者作ってるなんてな。考えもしなかった。しかもみんなこんなに可愛い。美少女レベルの女の子三人だぞ? あり得ない。

 まあ、とにかく、今はゆっくりこの時間を楽しむとしよう。



 結婚式は、六月に行われた。頑張って頑張って、二カ月で準備を整えた。ほぼ父さんのコネだが。純白のドレスに身を包んだ三人の美少女は、それはそれは綺麗で。

「ね、ねえ、変なところ無い?」

「全くない。綺麗だぞ」

「そ、そか。ならよかった」


 三人位なら珍しくも無いらしい。一気は珍しいようだが。まあ基本、何か言われる事も全くない。教徒によっては一夫一妻がいい、という人もいるがな。

 で、このころにメリッサが妊娠した。「ユリエルの子だぁ~。えへへ~」などと言っていた。


「これでちゃんとユリエルのお嫁さんになれた気がするなぁ」

「私もおんなじこと思ってたよ、メリッサ」

「そうだね。え、えと、ユリ、エル」


 いつも御主人様と呼んでいたリリィ。結婚式で初めて名前で呼んだリリィ。まだ慣れていない。

「ねぇ、これ、ちょっと呼びづらいから、敬称つけても良い?」

「何て呼びたいんだ?」

「ユリエル様」

「ま、まあ良いけど」


 さて、これでようやく家族になれた実感が出た。俺たちは仲良く家に帰った。



「くっ、うっ」

「甘い。弱い」

「う、五月蠅い!」

「ああ、それでいい。ほら、掛かって来い」


 何でこんなことをしているんだ? まさか朝から父さんが家に来るなんて思ってもいなかった。

 まあ、最近はあまり動いていなかったし、良いのかもしれない。依頼の魔物じゃ、此処まで動く必要はないからな。


「ユリエル。そろそろ新しい剣の方がいいんじゃないか?」

「ですね。ただ、愛着が湧いちゃって手放せそうにないんですよ」

「そんなこと言ってても仕方がない。バスタードソードだな。今度買いに行け」

「今の流れ、買っておいてやるじゃないんですか?」

「お前に合っているものじゃないと話にならん」


 それもそうかッ!

「! 痛いな。腕は落ちていないらしいじゃないか」

「でも疲れましたよ。エディナ、どうだった?」

「まだまだ剣神を名乗るには早いみたいね」

「だな」


 とはいえ、もうあそこまで血を流さないでもやりあえるようになった。アルファズール武術学院の三年間で、だいぶ成長する事が出来たようだ。

 無論、これで終わりのつもりはない。剣神は、この程度のレベルではない。それは、父さんの動きを見ていればよく分かる。


 何故、人間のルーズヴェルトが巨人や鬼よりも強いのか。前にも少し触れたが、力では圧倒的に劣るはずの相手に勝つには、どうすればいいのか。それは当然、技術を高めることにある。そしてそれを、親から子へと伝える環境があるからこそ、ルーズヴェルトは剣神になれる。


 ルーズヴェルトが最も得意とするのは、力の利用。力を発生させるのは大変だが、もともとあるものを利用できれば、その方が早い。そうなると、巨人や鬼の方が俺たちにとっては好都合だ。

 その為に、俺は小さいころから力を最大まで利用できるようにするための訓練を受けて来ている。

 父さんは、俺を剣神に育てようとしてくれていたのだろう。

 ちなみに、ルーズヴェルトは小柄な事が多い様だ。俺もそんなに大きくはない。


「今日はこんなもんで良いだろう。また来るからな」

「あ、はい・・・」

「ユリエル、中にはいろ」

「ああ」


 中に入れば、リリィとメリッサが本を読み漁っていた。二人とも、子供の教育についての本を読んでいる。メリッサはともかく、リリィは早いだろ。いや、メリッサもまだ早いと思うが・・・。

「あ、ユリエル様。怪我はなさそうだね」

「ああ。平気だ」


 そう言って、二人の正面に座る。隣にはエディナ。エディナもひょいと本を一冊取った。

「私だって、ユリエルの子、ちゃんと育てるんだから!」

「あれ、エディナちゃん、私だって負けないよぉ?」

「私が一番です! 悪魔の子は、成長が早いですし」

『あ、それズルい!』


 そんな、何でもないような会話で盛り上がる。こうやって、三人が話しているのを見るのは好きだ。見ていてとても楽しくなってくるから。

 と、エディナが時計を見て「あ、そろそろご飯作らなきゃ」と呟いた。メリッサは最近、エディナに料理を教わっている。・・・どちらがどの料理を作ったのかは見れば分かる。


「ねえ、ユリエル様」

「ん、なんだ、リリィ」

「私、多分、デきにくいんだけど・・・。それでも、イイ?」

「いいって? なにが?」

「ううん、何でもないよ!」


 リリィはふふっと笑った。なんだか分からないけれど、楽しそうなのでまぁいいか。

 そうしていると、キャッキャと楽しそうな声が聞こえてきた。キッチンの方からだ。どうやら今日も心して食べなくてはいけないらしい。何が出てくるのか・・・。まあ、メリッサが作ったもの。何が何でも残すわけにはいかないな。

 っていうか、エディナ、本当にちゃんとしたレシピを教えてるよな? 面白がって変なの教えてたりは・・・。無いと思うが、あまりに変な物が出てくるからそうなのかと思ってしまう。


「リリィ! 偶には一緒に作ろう!」

「いやです! メリッサよりも変なの出来そうですから」

「えぇ~。じゃあ対決しよう! どっちの方が変なのできるか」

「おいおい! 今日の昼食何が出てくるんだ? 止めろよ」

「はぁい」


 メリッサの可愛い声が聞こえてきたが、あまり信用できないな。どんなのが出てくるんだろう。今日こそちゃんとした料理が出てくると良いんだが。何時になったらメリッサは料理が出来るようになるんだろう?


 そんな事を考えつつ、いつもと変わらない日々を送っていく・・・。

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