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第18話  二人目

 それから一週間。メリッサはオンナノコの日なので、俺たちはスキンシップ程度しか出来ない。だから、昨日は大した事をしなかった。俺は別にいいのだが、メリッサは嫌なのかもしれない。早く終わんないかなぁ、と言っていた。昨日始まったのに、早く終わるはずもないだろう。

 別に、俺は構わないのだ。この、寝起きの可愛い顔が見れれば。・・・おはようのキスは欠かさず行う。

 ちなみに、俺たちが起きるのは結構遅い。起きてそこそこ準備をし、もう十時だから、とっくに仕事をしている人もいるだろう。


 朝ご飯もなんとか作り終え、今日は何をしようか、と話し合う。決まる事は滅多にない。話し合う、この行為が楽しいから、と言った感じだ。が、今日は例外だ。今日はギルドに言ってみようか、という事になったから。ああでも、もう十一時。

 準備をして、お互いの指に指輪をはめる。とはいえ、こんな安い婚約指輪、なんて許されない。あとで買いに行かないと。


 そんなとき、ドンドンと扉を叩く音がした。

 よくもこの雰囲気をぶち壊してくれたな、そう思って扉を開けると、其処に居たのは。


「エ、エディナ?!」

「何も言わないで、今すぐ家の中に匿って!」


 俺はエディナに中に入る様言い、鍵とチェーンを掛ける。なにせ、エディナの慌て用が尋常じゃないのだ。あと格好もおかしいし。

 まず、エディナはブラウス一枚だったのだ。ちょっと長めの、太ももまで隠れるものだけど。下着を着けている様子が無い。その状態で、息を切らして扉をどんどんと叩いていたのだ。何か起こっていることは間違いない。


 靴を履いていない為足の裏が汚れている、と言うので、俺はメリッサに濡らしたタオルを持ってくるよう頼んだ。すぐに持って来てくれたので、拭いてやって、リビングに案内した。


「で、一体何があったんだ?」

 エディナは俺とメリッサの顔を見ると、じわじわと目を潤ませ、わっと泣き出した。さっきまでは逃げるのに必死で、落ち着いて、安心したら恐怖が込み上げてきた。そんな感じだろうか? エディナが大泣きする様なことなんて、一体何があったんだろう。


 暫く待ち、エディナが落ちついたところで、もう一度何があったのかを訊いた。

「私、今日、お見合いの予定が入ったの。お父さんが、相手を連れて来てね。とっても真面目そうな、良い人だったの。私、この人なら良いかもって思って、二人きりにさせて、って頼んだの。だって、お父さんがいたら、その人、緊張して、喋りたいこと、喋れないかもしれないから。でも、無防備だったのね。

 その人、二人きりになった途端豹変して。私の事襲ってきて、服脱がされて。怖くなって、窓から逃げ出して来たの。行く宛もないし、こんな格好。ふと思いついたのが此処の住所で・・・。ごめん、逃げ込んじゃった」


 それでこんな格好。匿ってなんて言いだしたのか。エディナはまた泣き出した。一体何処にそんなに涙があるんだろう。なんて言ってる場合じゃないな。

 メリッサがエディナの背中を撫でて優しい声を掛けている。そこで、エディナはふと顔を上げた。


「あ、ユリエルの、彼女さんの、メリッサさん、でしたか?」

「そうそう。ねぇ、敬語なんていらないよ。エディナちゃん」

「・・・。うん、メリッサ、ちゃん」


 やっぱり、怒ってるだろうか。いきなりメリッサと逃げ出してしまった事。もし、告白しようと考えていたなら、きっと慌てたことだろう。


「エディナ・・・。悪いな」

「え、何で謝るの?」

「急に、メリッサと、飛び出して。驚かなかったか?」


 エディナはキョトンとして、それから顔を赤くした。

「そ、そりゃ、慌てたよ。まさかユリエルに彼女が居たなんて思いもしなかった。それも知らない子だし。でも、優しい人だね。エレナから聞いたよ」

「優しいなんて。エディナちゃんも、きっと優しい人なんじゃないかな」

「そ、そうでもないよ。私なんて・・・」

「じゃあ、私も違うよ」


 そんな話をしている二人は、少し楽しそうだった。が、こんなことをしている場合じゃないだろ?


「こらこら。まず、エディナの問題を解決しないといけないだろ」

「それなら、案があるよ」

 メリッサが人差し指を立てて言った。俺とエディナがメリッサを見る。

「とっても簡単。エディナちゃん、今日は家に泊まれば良いよ。ユリエルと一緒に、寝室でね」


 そりゃ、「私、彼氏がいるので!」って言えば、エディナのお父さんは納得する。エディナの好きにすれば良いと言っていたし(元々俺とエディナは許嫁みたいなものだし)。相手は・・・。結婚すればもう文句も言えないことだろう。俺とメリッサはもとからそのつもりだったし。


「え、でも、良いの?」

「私が良いっていうから良いの。昨日から私、アレ始まっちゃって。エディナちゃん、平気?」

「うん。でも・・・」

「ユリエルは良いよね。私は良い。どうせなら、一緒に式を挙げよう。それで、同じ時期に子供が出来たら、子供たちも良いんじゃないかな」


 俺たちは子作り前提にヤっている。避妊はしていない。ただ、魔王を倒したいと伝えると、「一人産んだら、一緒に冒険して強くなろうね」と言った。だから、一人産んだら、それ以上は作らない予定。


「うぅ。私の為に、ごめんなさい」

「気にしないで。で、エディナちゃん、料理上手なんだっけ? お昼ご飯作ってよ。私たち、料理出来なくって。材料は冷蔵庫にあるしさ」

「任せて。何でも作れるよ」



 その日の夜。俺たちは寝室に入る。メリッサは自分の部屋で休んでいるだろう。メリッサの部屋はベッドのある部屋だからな。

 エディナは顔を赤らめて俺を見ていた。それから、しっかりと目を見て言う。

「お願い、します」



「おはよう。エディナちゃん、昨日は楽しかった?」

「え、あ、ちょっと、痛かった、です」

「そっか。ユリエル、おはよ」


 珍しく、メリッサは自分で起きてきた。しかもちょっと時間が早い。理由はすぐに分かった。そのまま俺のもとに直行し、唇へキス。俺は優しく頭を撫でた。

 それを見て、エディナが羨ましそうにしていたから、エディナの頭を撫でてやる。キスなら、昨日散々やっただろ。


「で、今日はどうするの?」

「まずはエディナの家に行こう。その後、昨日予定していた通りギルドに行こうか」

「あ、私のせいでいけなかった? ごめん」

「気にしないで。まあ、それで良いと思うよ」


 という事で、エディナの作ったおいしい朝ご飯を食べた後、ベルトワーズ家に行った。

 ベルトワーズ家のリビングには俺、メリッサ、エディナ、エレナ、エディナのお父さんだ。


「つまり、その相手は、エディナをレイプしようとしたんだな」

「そう。信じられない。合意なしだったのよ! 犯罪じゃない!」

「そうか。なら、俺の方からきちんと断っておくから心配する事はない」

「ありがとう」


 ただ、エディナのお父さんは俺たちが此処に来た理由がこれだけじゃないと、ちゃんと分かっているようだ。俺の方を向いて、口を開くのを待っている。


「では・・・。その相手の代わり、と言ってはなんですが、エディナを、お譲さんを俺にください」

「・・・。もちろん。エディナも、ユリエルくんの事が好きなのだし、問題はない。エディナ、メリッサちゃんと、仲良くできるな?」

「もちろんです」

 エディナは真面目な顔で頷いた。


「じゃあ、改めて。エディナ、結婚、してくれるな?」

「はい。もちろんです」



 さて。ある事に気がついて、ベルトワーズ家を出てからメリッサに訊いた。

「なあ。俺、メリッサの家に行ってないけど」

「ん、でも、私のお母さんと会ってるでしょ? お父さんは、私のこと、嫌いだし。家に居ないし」

「そうか。・・・。じゃ、じゃあ、予定通りギルドに行くか」



「おはようございます。初めてですか?」

「あ、はい」

「では、此方でギルドについて説明させていただきたいと思います」


 ギルドとは。

 冒険者たちが所属し、依頼を受け、報酬を貰うところ。冒険者は主に、『獲物を売る』、『ダンジョンの宝を売る』、『ギルドの依頼を受ける』の三パターンでお金を稼ぐのだ。だから、稼ぐなら、やはりギルドに所属しておきたいわけだ。


「では、ギルドカードを発行します。此方に手を置いて下さい」

 機械に手を置くと、その魔力によってカードが出来る。その人の魔力で出来ているから、書き換えなどは出来ない。そして、魔力によってその人と連動しているから、常に最新の情報が記載されるわけだ。

 カードには名前、年齢、持っているスキル、それからパラメータが表示された。

 スキルは、出来ること、と言えば良いだろう。例えば、剣のスキルを持っていれば、剣が使える。そんな感じだ。取得したものが記載されていくらしい。スキルレベルもある。

 パラメータは、その人の能力値だろう。あ、そう言えば、パラメータってレベルも含まれるのだろうか? まあそれはともかく、レベル、攻撃、防御、魔法攻撃力、素早さ、体力、魔力が書かれている。


「・・・。ひゃくにじゅう・・・?」

「ああ、百二十だな。どうかしたか?」

「いや? 沢山戦ったんだな、って思って」

「まあそうだけど。いや、でも、エディナも八十五だし、メリッサも九十だろ?」

「九十九と百は違うの!」


 ああそう。そんなのはどうでもいいんだが。そのままパーティを組ませてもらう。

「名前はどうされますか?」

「・・・正直、何でもいい」

「俺も同感だ」

「じゃあ、剣神勇者」


 メリッサが言うと、受付の人は驚いた様な顔をした。

「何か、問題がありますか?」

「いえ。でも・・・剣神ってことは。やっぱり、あなたがユリエル様ですね!」

「え、あ、はい。まだ俺、剣神じゃないですけれど」

「それでも、大会の事、聞きました。凄いです!」


 結構俺の名前って広がっているのか。ちょっと意外だった。

 それより、この人が大きな声を出すもんだから、みんなの視線が集まった。ちょっと困る。


「あ、すみません・・・。ええと、御利用方法です。まず、あちらの赤いカウンターで現在受けられる依頼を見て下さい。それぞれ依頼の難易度によってS、A、B、C、D、E、Fに分かれていますので、お好きな難易度の所へ行って下さい。

 依頼を受けると、このギルドカードに受けている依頼が表示されます。完了するとと後ろにクリアの文字が現れますので、その状態であちらの青いカウンターに行かれますと、報酬が貰えます。期間に限定のある依頼は、青いカウンターに行くまでクリアとならない事を忘れずに。大体こんなところです」


 今日は、簡単な依頼を行い、暗くなる前に家に帰った。

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