表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

2.Invitation of a travel

また、あの夢を見た。

真っ白な世界に一人で立っている夢。

ただ今日は少しだけ違った。

カラフルな人は、最初からじっと私を見つめていた。

そこからは変わらなくて、また何か言いかけて、夢が覚めて…

いつもと違うなんて、何かの予兆かな?

何も悪いことが起こらないといいけど。

いつものように顔を洗い、着替えて、歯を磨いて、朝ごはんを食べる。

なんてことはないこの行為が、いつもと違った気がする。

そうだ、今日は幼馴染のスティに呼ばれてるんだ。

スティーリア、私の幼馴染、親友。

予言で『いずれ世界を救う勇者になる』と言われた少女。

村で一人ぼっちだった私に話しかけてくれた、唯一無二の親友。

氷を操り、剣で斬りつけ、疾風のごとく魔物を倒す姿から《疾風(はやて)氷剣(ひょうけん)》と呼ばれる子。

今日は、そのスティが私に、話があるらしい。


「ママ、じゃあ私スティのところに行ってくるよ。」

「あら、スティちゃんのところに行くのね。行ってらっしゃい。」


家を出て、周りを見渡すと近くにスティがいた。


「あっ、ゆっちゃん!」


スティが私に気付いてこっちにやって来た。

ゆっちゃんというは私のあだ名だ。


「お、おはようスティ。話って、なに?」

「おはよう、そう焦らないでよ。そこのベンチで話そ。」


近くのベンチを指差し、スティが私の腕を掴んで引っ張った。

ベンチに二人が座ると、妙に真剣な顔でスティが私を見た。


「ゆっちゃん、実はあたし、近々旅に出ないといけないの。」


旅、つまりその間スティがいない。

多分、世界を救う為にもっと力をつける修行の旅だろう。

スティは私が独りになるのを心配してくれてるのかな。


「大丈夫、スティ。私はスティがいなくてもちゃんと出来るから。心配しないで。」

「早とちりしない!あたしが言いたいのはそうじゃないの。」


私の肩を軽くバシリとはたき、スティは呆れ顔を作った。


「私は、その旅にゆっちゃんと行きたいの。やっぱり、一人だと不安だし…」


一人だと不安…

私がいるともっと不安になると思うけど。

弱いし役立たずだし、こうやって自分を卑下するところもうざったいし。

他の人を誘えばいいのに。

例えば弓の腕が立つルキラとか、治癒術の使えるミリカとか…

私なんかがついて行ったって足手まといにしかならないと思うし、すぐへばるし。

でもこんなことを長々と言ってもウザいだけだろうし、言わないでおこう。

足手まといになりたくないし、そうなったら惨めなだけだし……

でもきっと、断ったら悲しむだろうな……


「うん、いいよ。私もついてくよ。」

「ホント!?ありがとう!ゆっちゃんがいれば話し相手に困らないよ。」


話し相手に困らない、か。

でもそれじゃいずれ、足手まといの役立たずになってしまう。

回避とか盾での防御とか逃げ足になら、自信あるけど。

それじゃダメだ、何か攻撃方法がないと。

あいにく私は、魔術も治癒術も全く使えない。

村一番の魔術師・ユミルに全く素質が無いと匙を投げられたくらいだ。

やっぱり捨て駒の盾役にしかなれないのかな。

……死にたくは、ないし。

どうしよう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ