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ボーナス屋、勇者になる  作者: 爪牙
2ヶ国奪還編Ⅱ-ファルの遺跡の章-
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第88話 ボーナス屋、初めての迷宮探索 2

――地下遺跡B12――


 謎の隠し部屋を後にした後も探索は続く。


 不思議な事に、このダンジョンの中は地下深く潜っても完全な暗闇に包まれていない。


 だけどコッコくんに訊いてみると、最初に来た時は一面真っ暗で魔法で明かりを造らないと前が見えなかったらしい。


 さっきの隠し部屋といい、このダンジョンはどうなってるんだ?



「――――――巨大蜂だ!!」


「地下に蜂かよ!?」



 地下12階で遭遇したのは巨大蜂の群だった。


 何で地下に蜂がいるのが気になったが、調べてみたらすぐに納得できた。



吸血大雀蜂(ヴァンパイアビッグホーネット) ♂】

【分類】昆虫型魔獣

【用途】体液は魔獣避けと薬利の素材、翅や針は武器・防具の素材

【詳細】花の蜜ではなく生物の血液を餌にする魔獣。

 光の届かない暗い場所に棲息し、夜になると外に出て獲物を探す。

 針には即効性の神経毒があり、それで獲物を動け失くしてから吸血する。

 オスは女王に従順に行動する。



 血液を蜜の代わりに食べる蜂だった。


 説明を読むと女王蜂がいるようだ。



「勇者様!たくさん集まってきます!!」


「よし!一気に倒すぞ!行け、コッコくん!」


『ゴケッ!!(分かりました!!)』



 群れで襲い掛かってくる吸血大雀蜂(ヴァンパイアビッグホーネット)にコッコくんの電撃が炸裂する。


 コッコサンダー、あっと言う間に吸血大雀蜂の群を戦闘不能にしちゃった。


 その後、素材を残さず回収した。



「・・・俺がいる意味あるのか?」



 宝探ししかしていないロルフはボソッと呟いた。


 ロルフ、今日は本当に変だぞ?




--------------------------


――地下遺跡B15――


 女王蜂が現れた!


 オスの倍近くの大きさのある凶暴そうな巨大蜂だった。



「うわ!影分身してきた!?」


『ゴケケェ~~!(毒針だ~~!)』


「任せて下さい!《光の盾(ライトシールド)》!」



 忍者みたいに分身した女王蜂は毒針を乱射しながら襲いかかってくる。


 毒針はアンナちゃんが魔法で防いでくれた。


 その後すぐにコッコサンダーが炸裂する。


 しかし、さすがに女王の名は伊達ではないらしく、オスの時のように戦闘不能までにはならなかった。



「うおおおおおおお!!」



 だが数秒だけ動きが止まったところを狙い、ロルフが跳んで斧をフルスイングさせた。


 魔法で強化しまくったフルスイングは女王蜂の頭と胴をサヨナラさせた。



「フウ!ちょっとスッキリした~♪」



 女王蜂を倒した直後のロルフはようやく笑顔を見せてくれた。


 どうやら溜まっていたものをぶつけてスッキリしたようだ。


 その後、女王蜂の死骸から素材を採取し、数十m先で鮮血色の巨大な蜂の巣を発見した。


 鑑定してみたところ、吸血大雀蜂の巣は『魔血結晶石』と呼ばれる魔石と似て非なる物でできていた。


 ドラゴンの素材ほどではないがそれなりに貴重な素材らしく、魔法薬の材料だけでなく武器や防具にも使われるそうだ。


 俺達は巣の中にいた幼虫を倒してから巣をまるごと回収した。


 ちなみに、吸血大雀蜂の幼虫はある一部の地域ではゲテモノ食材として重宝(?)されているらしい。


 絶対食いたくねえ!!




--------------------------


――地下遺跡B20――


 地下20階まで来た。


 吸血大雀蜂を倒した後も魔獣との激闘は続いた。


 暗い地下ダンジョンということもあって、出てくる魔獣は蝙蝠やムカデ、ナメクジにネズミと偶にアンナちゃんが悲鳴を上げたくなるほどグロイ類もいた。


 だけど俺達は無双した。


 特にロルフは女王蜂を倒して以降、勢い付いたのかザックザックと魔獣を倒しまくっている。


 見ていたコッコくんが少し引いてしまうほどの勢いだった。


 もう一度、どうしたのかと訊いてみたところ。



「――――ああ、ちょっと悩んでいたんだよ。」



 とだけ答えてくれた。


 それは見れば予想できてるけど、何に悩んでいるんだ。


 余談だが、この階層では古い書物や金の燭台を見つけた。




--------------------------


――地下遺跡B25F――


 第2の隠し部屋を発見した。


 地下10階にあったのと同じ作りの部屋だったが、前のとは違って中に宝箱が沢山収められていた。


 勿論、謎の壁画や文章などもあった。



「おお!『破魔の短剣』、ミスリル製の武器だ!」


「勇者様、この箱には『聖女の首飾り』が入っていました!」


「こっちは金貨や銀貨だな。昔のだから使えなさそうだけど。」


『ゴケゴケ・・・。(枯れた薬草の山・・・。)』



 どうやらハズレが混ざっていたようだ。


 宝箱を一通り調べ終えた俺達は、壁に描かれている絵と文章の解読に入った。


 前の隠し部屋に描かれていた物の続きらしく、一つ目の巨人が2体の龍を両手で押さえつけている絵が描かれたいた。



「――――『恐ろしき7柱の神、白き神と赤き神を苦しめ地に縛る。魔の神はエリンの地に残り、6柱の神々は眷属を引き連れ異邦へと散っていった。魔の神、邪眼の力で白き神と赤き神の命を奪おうとする。民達は恐怖と混乱に陥り、狂う者、自ら命を絶つ者も現れた。』。読んだ感じ、神同士の戦いを見ていた人達は神に頼りっきりにしていたのが多かったみたいだな、けど、頼っていた神が不利になった途端に絶望して狂ったりしたみたいだ。」


「戦おうとした奴はいなかったのか?」


「いたみたいだな。次の絵と文に書いてある。」



 次の絵は剣を持った青年が戦おうとする絵だった。


 それと大きな鴉が飛んで来る絵だ。



「え~と、『人々が狂い始める中、1人の青年が剣と楯を持って魔の神に走り出した。青年は戦おうとするが魔の神の兵達によって行く手を阻まれる。そこへ、何所からともなく1羽の大鴉が飛んできて青年の前に降りてきた。大鴉は青――〈3行ほど崩れて読めなくなっている。〉――は魔の神の兵を倒していき、魔の神の元へと辿り着いた。』。肝心なところが崩れて読めないな。」



 場面は変わり、次の絵は青年の周りに沢山の光の球が集まってくる絵だった。



「『青年の周りに光の衣を纏った妖精が集まり青年に他の人々には聞こえない声で話しかけた。そこへ魔の神が邪眼を開いて青年を――〈また3行近く崩れている〉――五条の光が魔の神を貫き白き神と赤き神は解放された。』。」


「肝心なところばかり崩れてるな。他のもあっちこっち崩れて読めないんじゃないか?」



 残った他の絵を見ながらロルフが呟いた。


 次の絵を見るが、今度は文章だけじゃなく絵まで半分近く崩れていた。


 辛うじて残っているのは黒くて大きな蛇・・・いや、龍か?


 一つ目巨人の隣に黒い龍が並んでいる絵みたいだな?



「うわあ、文章の方はほとんど読めないな。なんとか読めるのは・・・“闇の龍”、“太陽の神”、“支配”、“青年を襲う”、“王の半身”・・・ダメだ。全然分からねえ!」



 残った他のは文章の部分がほとんど崩れて読めなかった。


 ただ、最後の絵には黒い龍と形がよく似た金色の龍が描かれていた。



「この部屋で解るのはここまでみたいだな。」


「他にもこんな部屋があるんでしょうか?」


「あるんじゃないのか?まだ続きがありそうだしな。ここにはもう何もなさそうだし、下の方へ行こうぜ!」


『ゴケッ!(ハイ!)』



 俺達は隠し部屋を後にしてさらに下の階層へと進んでいった。


 それにしても、あの“魔の神”って何者なんだろう?




--------------------------


――地下遺跡B30――


 途中で休憩を挟みながら地下30階に来た。


 この階層には隠し部屋はなさそうだった。


 だが、代わりに恐るべき敵が群を成していた。



「キャァァァァァァァァァァ!!!!!!」


「巨大Gだぁ~~~!!!」



 異世界のGが現れた!


 巨大とは言ったがその大きさは柴犬と同じ程度・・・十分デカいな。


 Gは群を成して襲い掛かる。


 その光景にアンナちゃんは真っ青になって俺の後ろにしがみ付いて来た。


 ちょっとラッキー♪



「消えろ!G!!」



 俺はクラウ・ソラスを抜き、加減した極太ビームでGを一掃した。


 その後、しばらく間Gとの連戦が続いた。


 その間、アンナちゃんは俺にしっかりとくっ付いていた。


 あ、当たってる・・・♡




--------------------------


――地下遺跡B42――


 大分深くまで来た。


 3つ目の隠し部屋はまだ見つからない。


 最下層まで行かないとないのか?



「・・・え?」


「どうかしたかアンナちゃん?」



 不意にアンナちゃんが足を止めた。



「あ・・・気のせいだと思うんですけど、遠くから人の声が聞こえた気がするんです。でも、それは無いですよね。ここには私達しかいないんですし・・・。」


「う~ん、ステラちゃん達が近くに来てるのか?」


「いえ、上の方からというより・・・下の方から聞こえた気がしました。」


「他にも潜ってる奴がいるんじゃないのか?」



 ステラちゃん達や俺達以外で潜っている奴が・・・?


 まさかバカ皇子は村にいるのはアンナちゃんが証明済みだし、だとするとバカ皇子2&3か?


 いや、戦闘能力からして無理っぽい。



「 念の為、俺も音に注意しながら進もう。ロルフもコッコくんもいいな?」


「ああ。」


『ゴケッ!(ハイ!)』



 なお、この階層にいた敵はゴーレムだった。


 だけど、ゴーレムはコッコくんを見た直後に逃げ出した。


 なして?





--------------------------


――地下遺跡B49――


 最下層の一歩手前まで来た。


 流石にここまで来るとロルフやアンナちゃんの顔には疲労の色が見えてきている。


 俺の方はクラウ・ソラスの効果のお蔭で疲れ知らずだ。


 コッコくんもまだ元気みたいだ。



『ゴケェ!ゴケゴケェッコ~!(勇者様!隠し部屋がありました!)』


「「「!!」」」



 ようやく第3の隠し部屋を発見だ!


 さて、今度の部屋には何があるんだ?


 期待を抱きながら階段近くにあった隠し部屋を発見して中に入った。



「ここは・・・ベッドに机?」


「本棚もあります。偉い人の書斎だったのでしょうか?」


「そうかもな。」



 隠し部屋の中は僅かに生活感が残る内装だった。


 大人用のベッドが1つに机や本棚、後はボロい壺が幾つかあった。


 そして壁には他の隠し部屋と同様に歴史を記したと思われる絵と文章があった。



「綺麗・・・あの絵は女神様でしょうか?」


「そうみたいだな。文章の方には『数多の神々は再び真の姿を露にし、母なる女神や神の王達は魔の神を青年と共に追い詰める。それを阻む闇の龍を白き神と赤き神が抑え、次第に魔の神は兵の多くを失って追い詰められていった。』と書いてあるしな。」



 最初の絵は1つ目巨人が青年や神々(?)に追い詰められ、黒い龍は白い龍と赤い龍に押さえつけられている内容だった。


 だが、次の絵を見ると形勢が逆転しているような内容になっていた。


 これは―――――――――。






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