第86話 ボーナス屋、名剣に驚く
ミスリルにオリハルコンって・・・。
RPGならメインストーリー後半位にならないと出てこなさそうなレアアイテムだろ。
こうも簡単に手に入るって、何を合成すれば可能なんだ?
「・・・何を合成したらできたんだ?」
「ミスリルは“シルバーコブラの牙”と“月光鉱”と“ファル温泉水”、後はバカ兄貴が狩ってきた魔獣の“魔石の欠片”を合成したらできた。」
「あの温泉も混ぜたのか・・・。」
俺の掘った温泉がミスリルに化けた。
あの温泉、予想以上に凄いみたいだ。
そういえば、あの温泉で作った温泉卵を食べた人達が何か言ってた気がするな。
ん~~、確か「漲る。」とか「筋肉が戻った。」とか言ってたっけ?
まさかとは思うが、あの温泉の大元に神様とか沈んだりしてないよな?
「オリハルコンは面白がったルドルフが選んだ素材を全部合成したらできた。確か、“ヴァイス魔鉱”や“光神樹の雫”、“火精の灰”、“アダマス鋼”、“龍王の鱗”とかだったな。一応、メモに書いておいたぞ?」
「そうか・・・って、“龍王の鱗”ってまさか!?」
「そのまさかみたいだな?」
銀洸・・・お前、オリハルコンの材料だったのか。
あいつ、いつか運悪く全身の鱗剥ぎ取られたりするんじゃないのか?
まあ、銀洸もバカだけど龍王だからそれはまずないだろうけど・・・。
「ウハハハハハハハハハ!!」
と、そこに何時にも増してデカい笑い声を出すバカ皇子が扉を開けて現れた。
両手には自分が造ったぞ言わんばかりの武器が握られている。
バカ皇子の後から同じく上機嫌なアールと爺さんが出てきた。
「あ、勇者の兄ちゃん!」
「これは勇者様、何か御入り用ですかな?」
「ああ、武器と防具が沢山必要に必要になったんだよ。取り敢えず、2日で1000人分?」
「無茶過ぎる注文だな?」
横でジャンが何か言ってるけど気にしない。
俺も分かってて言ってるからな。
「分かりましたぞ!造りましょう!」
WOW!
OKされたよ!
「できるのかよ!?」
「儂だけでは無理ですが、この2人がおれば可能じゃ!」
「バカ皇子とアールが?」
「おい!今更だが、俺をバカ皇子と呼ぶのは――――」
「これがあるから大丈夫だよ!」
「それ?」
「ハハハハ・・・(ショボン)。」
アールは手に持っていたハンマーを俺に見せてきた。
普通のハンマーと違って、妙に神々しいというか不思議な感じのするハンマーだ。
あ、もしかしてアールが持っている『魂の武装』か?
【鍛冶神の魔法槌】
【分類】魂の武装
【品質】最高品質
【詳細】鍛冶神ゴヴニュの持つ《杖》の槌版レプリカ。
オリジナルであるゴヴニュの杖と同様に持ち主専用で、持ち主以外は使用できない。
以下の能力を持つ
・3回叩くだけで完成した装備品を造ることができる。(使用者が過去に造った経験のある装備品に限る。)
・通常よりも高性能な装備品が造れる。
・破損した装備品を強化した状態で修復できる。
・装備品の各種強化が必ず成功する。
・どんな装備品(呪いがあるのも含めて)破壊する事ができる。
見事にチート級のハンマーだ。
3回叩いて完成って、お手軽過ぎるだろ。
確かにこれを使えば1000人分の武器も簡単に造れそうだ。
単純計算で3000回振ることになるけどな。
「じゃあお願いするか。それで、バカ皇子が持っているのは完成品なのか?」
「フハハハハ!よくぞ訊いてくれた!これこそ、俺が―――――――」
「兄貴五月蠅い!!」
「・・・・・・(シュン)。」
バカ皇子、立ち直ったかと思ったら打たれ弱くなってないか?
それはいいとして、バカ皇子や爺さんが持っている武器が気になる。
一目見てカッコいいと思えるものばかりだ。
「ジャン兄ちゃんが合成した素材で造ったんだ!」
アール、簡潔にまとめてくれてありがとう。
「ホッホ!久しぶりに良い仕事ができて満足じゃ!勇者様も観ていってくだされ!」
満足そうな顔をした爺さんが出来立ての武器を見せてくれた。
どれどれ?
おお!その辺の鉄の剣とかとは格が違うのが一目で分かるな!
緑色のレイピアに、黒光りのするバスターソード、それに炎のように真っ赤な剣もある。
俺は1つずつ鑑定してみた。
【深緑のレイピア+3】
【分類】片手剣(魔法剣)
【品質】高品質
【詳細】鍛冶師ペトルスが製作したレイピア。
無駄なほどに頑丈な上、木の棒のように軽い。
装備時、物理速度と思考速度が中上昇する。
風・木属性の魔法効果が中上昇する。
毒・麻痺に対する耐性が小上昇する。
これはまた随分と優秀な武器だな?
というか、製作者の名前も記載されるのか。
能力からして、高速戦闘向きの武器だな。
さて、次の武器は・・・。
【大地を砕く黒き重力剣+16】
【分類】両手剣
【品質】高品質
【詳細】鍛冶師ペトルスが製作したバスターソード。
物理攻撃に特化した土属性の大剣。
攻撃時、刀身に重力エネルギーが纏わり付きその強さは装備者の腕力に比例する。
最低でもドラゴンの体を破壊するだけの威力を持ち、その名の通り大地を砕く力を秘めている。
あくまで物理攻撃に特化している為、実体のない敵とは相性が悪い。
表面に特殊な加工が施されているので海水や血糊で汚れても錆び難い。
無駄に名前の長い武器だな。
とにかく物理攻撃に特化した剣なのは確かだな。
重戦士系向きの武器だ。
【ジオ・ファイヤードレイクソード+30】
【分類】片手・両手剣(魔法剣)
【品質】高品質
【詳細】鍛冶師ペトルスが製作した剣。
ジオ・ファイヤードレイクの力を持つ炎を操る剣。
振るとドラゴンのブレスと同等の威力の炎が飛び出す。
炎を吸収する事ができる。
火属性に対する耐性が中上昇する。
耐寒効果があり、真冬の雪山でも春のような暖かさに護られる。
装備者は心が燃え上がる。
内容から察するに、ジオ・ファイヤードレイクの素材を使った剣みたいだな。
一振りでドラゴンのブレス並の威力ってヤバすぎ!
最後の説明は意味が解らん。
「どれも凄いな!」
「ねえねえ、僕が造った剣も見てよ!」
「お!どれどれ?」
次はアールが造った剣か。
どんな効果があるんだ?
【魔剣ズィーベンシュテルン+50】
【分類】片手剣(魔法剣)
【品質】高品質
【詳細】鍛冶師アールが製作した魔剣。
伝説の金属オリハルコンをベースに造られた魔力に満ちた剣。
装備者は火・土・水・雷・氷・光・闇の7つの属性を操る事ができる。
装備中、体力・魔力共に回復力が中上昇する疲れ知らずの魔剣。
実体のない幽霊さえも切り裂き、魔法さえも切り裂く事ができる。
ただし、力が強すぎるので精神の弱い者は力に憑りつかれるかもしれない。
7歳で魔剣作りやがった!
しかも最後の説明、不吉な臭いがプンプンする。
調子に乗りやすい連中には間違っても持たせられないな。
狂戦士とかになりかねない。
「どう?」
「・・・す、凄いな!」
「ヘッヘ~ン!」
アールは得意気になってるけど、これは後で問題になりそうだ。
ここにいるのが俺達だから良かったけど、今は無き某商会みたいな悪党に知られたらアールの身が危ないだろう。
下手をしたらまた奴隷狩りとかに遭いかねない。
この事は後でみんなに相談した方がいいな。
「ようし、最後に俺の・・・・」
「じゃあ、1000人分の武器を2日後までにな!」
「分かったよ勇者の兄ちゃん!」
「ほっほ!久しぶりに忙しくなりそうじゃな。そうそう、良い素材が手に入ったらまた分けてくれると助かるんじゃが?」
「分かった。また何か手に入ったら持って来るな!」
「おい、俺の話を・・・」
「じゃあ俺はこれで失礼するよ。ルドルフもまたな♪」
「あい♪」
俺は隅っこで遊んでいるルドルフに手を振りながら鍛冶屋を出ていった。
ふう、これで問題が1つ解決したな!
「俺を無視するな~~~~!!」
ん?
何か聞こえて気がするけど、気のせいだな(笑)
そうだ、明日は俺もダンジョンに潜ってみよう!
もしかしたら、まだレアなアイテムが隠されているかもしれないからな♪
さてと、ロビンくん達に吉報を届けに行ってくるか。
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