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ボーナス屋、勇者になる  作者: 爪牙
2ヶ国奪還編Ⅰ-クーデター発生の章-
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第85話 ボーナス屋、釘を刺しに行く

 俺達が戻った後の会議は夕方まで続き、帝都と王都をクーデター組から奪還する大まかな作戦がまとまった。


 作戦決行は共に3日後、ロビンくんを始めとする空属性持ちのメンバーが魔法でみんなを帝都と王都にそれぞれ運んで奇襲をかける予定だ。


 正確には今夜から斥候部隊を送り、情報収集をしながら皇帝派や国王派の貴族や商人達と接触して味方を増やしていく予定だ。


 そして決行当日、斥候部隊以外のメンバーはいくつかに分散して動く予定になっている。


 大まかにまとめると次の通りだ。



1、正面から宮殿(王城)に突入して敵の頭を討ちに行く部隊。


2、クーデター組の兵力を鎮圧していく部隊。


3、牢獄に囚われている人達を救出する部隊。


4、クーデター組の逃げ道を押さえる部隊。


5、宮殿(王城)にいないクーデター組を拘束する部隊。


6、もしもの時の為の部隊。



 実際はもっと細かく分かれているけど大体こんな感じだ!


 “1”の部隊のリーダーにはステラちゃんとバカ皇子が務める予定になっている。


 一番目立つ部隊だから皇族や王族が先頭に立った方がいいからというのが理由だ。


 そうすれば民衆の目には「皇族(王族)が反乱分子と戦っている」と印象付けられるからだ。


 ただ、ステラちゃんとバカ皇子は、表向きには死亡していて国葬までしているから偽者扱いされるリスクが高い。


 そのリスクを解決する為、今夜から斥候部隊が先手を打つことになっている。


 ちなみに俺は“6”、待機組だ。


 だってしょうがないだろ?


 俺、帝都にも王都にも土地勘がないんだから。


 敵兵と戦うにしても、大都市のド真ん中じゃクラウ・ソラスは危険過ぎるし魔法も強すぎる。


 そういう訳もあり、俺は危険な敵、ダニール達が突然現れる可能性も考えて一部の精鋭と一緒に待機することになった。


 ロビンくんとかその他の配置とかについては追々説明する。




--------------------------


――ファル村 倉庫――


 会議を終えた俺はロビンくん、フィリスと一緒に村の倉庫の1つに来ていた。


 ファル村には収穫した麦や野菜を保存する倉庫以外にもいくつか倉庫がある。


 俺達はその中の1つ、武器等が保管されている倉庫に来ている。


 なお、どの倉庫もこの前エルナさんが魔改造し、空調は勿論、セキュリティも万全になっている。



「しっかし、どれも凄い武器ばかりだよな~?」


「そうですね。」


「まったくだ。」



 俺の呟きに2人はすぐに同意してくれた。


 俺が今握っているのは、先日発見されたばかりの地下遺跡(ダンジョン)で発見された武器の1つだ。


 発見者は昨日までファル村の人気マスコット(?)を不動のものにしていたコッコくんだ。


 どっかの自称鶏神(・・・・)のお告げがキッカケで攻略第1号になったコッコくんはたくさんの戦利品を俺達に寄贈してくれた。



「この剣・・・やはりミスリル製ですね。呪いを無効化する効果があります。」


「こっちは『聖樹の白杖』、上級以下の魔法の詠唱を省略できる上に回復効果もあるな。」


「うわあ、目からビームが出る仮面がある・・・!」



 俺達はダンジョンで回収された武器等を次々に鑑定していった。


 どれも高性能な武器の数々に、俺達は驚きを隠せない。


 コッコくん、マジサンキュー♪



「冒険者が競売に出品した品を見たことはあるが、これほどの物は見たことがない!王国なら間違いなく国宝級の物ばかりだ!」


「これ・・・全部市場に流したら大変な事になりますね。絶対経済が傾きますよ。」


「私も同感だ。ステラ様にも装備品の管理について進言しなければ・・・。」



 ロビンくんとフィリスは時間と共にストレスが溜まってるように見えるな。



「それと、これらの武器を使う者には使いこなすための訓練が必要だな。」


「ダンジョンでやれば?」


「移動時間を省ける利点を考えればその方がいいだろうな。」


「そうですね。幸い上層部分に関しては《地図魔法》で作製した地図がありますから、訓練場所として利用するには最適です。」


「あの魔法、結構便利だよな♪」



 俺の能力で取得できる《地図魔法》、一定範囲内の地図を作製できるこの魔法はダンジョンでも有効だった。


 まあ、流石に最深部までの地図は作れないみたいだけど、ダンジョンの内部で使えば上層4階分の地図は作れたから訓練に活用する分には十分だろう。



「――――ですが、その前に武器を含めた物資の調達が必要ですね。先日の戦いでも多少とはいえ欠損した装備品が出ましたし、追加する(他の皇子(王子)達の部下の)兵や騎士達の分も確保しないといけませんからね。」


「あ~、みんなかなり派手に暴れまくってたからな。戦場だった場所にはまだ装備品の残骸が散らばってるんだっけ?」


「あの時点では、まさかクーデターが起きるとは思わなかったからな。何より戦場で敵の装備品を心配する者などいないからな。むしろ、あの場では武器を破壊して戦意を奪うのが最善手だった。私も軽く200人以上は丸裸にしたな。」


「ああ、私も少し離れた場所で見てました。ステラ殿下の隣で大活躍でしたね。」


「ステラちゃんなんか、本当に(・・・)丸裸にしてたよな?」



 その後、先日の戦いの思い出話をしながら武器の鑑定と記録を進めていった。


 3日後の作戦にはたくさんの物資が要る。


 資金はステラちゃん達が訓練で戦って倒した魔獣の素材を売った貯えがあるから充分だ。


 食糧も村から買えるから問題ない。


 だけど問題は武器や防具っといった装備品だ。



「・・・まだ全部視てませんが、どう考えても数が足らないですね。」


「ああ、よくて500人分といったところだろう。帝国側と王国側に分配するとなればまだ心許無いな。」


「またフライハイト商会に注文するか?」


「流石に1日や2日では限度があるでしょうね。かと言って、シロウ殿の能力で武器を交換するのも問題ですね。不特定多数の人にシロウ殿の能力を知られるのは危険です。」


「ん~、やっぱそうだよな~。」


「そうだな。あの力は人によっては不老不死にだってなれるものだ。信頼できる者以外には使わない方がいいだろう。」


「あ、でもバカ皇子が弟にバラしたぞ?」


「「・・・・・・・・・。」」



 そういえば、鍛冶屋で訊き忘れたけど、バカ皇子の奴、他にもバラしてないだろうな?


 バラしてるとしたらバカ皇女あたりか。


 あ、バカ皇子2&3にも釘を刺すの忘れてた!


 まだ広場で聖剣と格闘してるか?



「・・・シロウ殿?」


「ロビンくん、俺ちょっとバカ皇子達に釘を刺しに行ってくる!」


「それでしたら、鍛冶屋の御主人に今日を含めて3日以内にどれだけ武器を用意できるか訊いてきてください。数打ちでもいいのでと。」


「分かった!」



 鍛冶屋1件で造れる武器の数は高が知れてるとは思うけど、少しでも集まった方がいいからな。


 ステラちゃんも、本当ならもっと準備に時間をかけたかっただろうけどそうもいかないからな。


 ダニール達が何時戻ってくるか分からないし、何よりゴリアスの件(・・・・・・)もあるから嫌でも急ぐしかない。


 さて、広場と鍛冶屋に向かうか!




--------------------------


――ファル村 広場――


「・・・・・何だあれ?」



 広場に着くと、そこにはたくさんのOTZがあった。


 バカ皇子2&3にバカ皇女、第二王子や何故か甲冑1もいた。



「キュウ♪」


「「可愛い~~~~~!!」」


「「抱かせて~~~~!!」」


「だかから落ち着け~~~!!」


「かかれ~~!」←銀耀



 ・・・何、このカオス?


 取り敢えず、バカ皇子2&3に釘を刺しておくか。


 あれ?木陰ですすり泣いているのってバカ皇女か?



「シクシク・・・()に負けた・・・。」



 ・・・コッコくんも抜いたのかよ。




--------------------------


――ファル村 鍛冶屋――


 鍛冶屋に入ると、中にはジャンとルドルフもいた。


 ルドルフは工房の隅で人形みたいなオモチャで遊んでいる。


 爺さんやバカ皇子の姿は見えないけど、奥にいるのか?



「シロウ?」


「よ!何でジャンがここにいるんだ?」


「ちょっとここの爺さんに用があったんだよ。さっきルドルフに“合成”を見せたらスッゴク喜んだから適当な材料を貰いに来たんだよ。ここなら鉄屑とかタダで貰えるしな。」


「あ~なるほど!」



 最近は全然日の目を見ないジャンの能力《古の合成の秘技(ロストシンセサイザー)》は地味に役立っているようだな。


 あれって、複数の素材とかを混ぜて新しい物を作るみたいだけど、レアな物ができたって話は聞かないんだよな。


 と思っていると、ジャンが横からインゴットみたいなのを見せてきた。



「・・・それで、余っていた鉄屑に魔獣の鱗の欠片とかを混ぜてみたら凄いのができたんだよ。これがそれなんだよ。」


「ん、どれどれ?」



 俺はジャンが見せたインゴットに《鑑定》を使ってみた。



【鉄竜鋼の鋳塊(インゴット)(無)】

【分類】鋳塊

【品質】普通

【詳細】魔力のあるドラゴンの鱗と鋼が融合してできた金属の塊。

 通常の鋼鉄よりも遥かに高い強度と硬度を持ちながらも鋼鉄よりも軽い。

 今は属性を持たないが、魔力を流し込みながら加工すると属性を持たせることができる。

 魔法剣やドラゴンと戦う武器の材料に最適。



 へえ、品質は普通だけどかなりいい素材が出来たみたいだな。


 鋼より硬くて頑丈な上に軽いって、防具の材料にもできそうだな?


 属性を追加できるのも凄い!



「良かったじゃないか?」


「まあな。けど、これを爺さんに見せたら目の色を変えて次々に素材を持ってきて合成させられたんだよ。で、爺さんはバカ兄貴やアールと一緒に奥の方で武器造ってる。」


「あ~、それで誰もいないのか。」


「でさ、渡された素材を合成したらまた凄いのが続々とできたんだよ。」


「どんなのだ?」


「・・・・・・。」



 ジャンは僅かに視線を逸らしながらインゴットをいくつか見せてきた。


 どれどれ?



【ミスリルの鋳塊(インゴット)

【分類】鋳塊

【品質】やや高品質

【詳細】純度が高く美しく輝くミスリルの塊。

 聖なる力を宿しており、悪魔や悪霊等と戦う為の装備の材料として有名。

 鋼よりも硬く軽い。

 銅のように加工し易いので武器以外の材料に使用されることも多い。



 ・・・え?


 マジでミスリル!?



【オリハルコンの鋳塊(インゴット)

【分類】鋳塊

【品質】普通

【詳細】伝説の金属オリハルコンの塊。

 製造法は一部で秘匿されとおり、表で取り引きされることもない。

 それ自体が強い力を秘めており、使い方によって聖にも魔にも変わる。

 加工すれば間違いなく世界最高峰の装備を造れるが、その分加工は誰にでもできるものではない。。

 最低条件として、《鍛冶術》、《彫金術》、《錬金術》、《金属加工術》の何れかの適正レベルが3以上でなければならない。

 なお、オリハルコンを加工した物には稀に意志が宿る事がある。



 こ、これは・・・・・!!



「凄すぎるだろ!!!」


「だろ?」



 ジャンの能力、予想以上にチートの可能性が出てきた。


 今後も伝説級の素材とか合成で作りだしそうだ。





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