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ボーナス屋、勇者になる  作者: 爪牙
2ヶ国奪還編Ⅰ-クーデター発生の章-
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第84話 ボーナス屋、皇子を捜す

 ステラちゃんは堂々と宣言した!


 王国も帝国もクーデターを起こした奴らから奪還すると!



「では東門から――――――――」


「武器や食糧は――――――――」


「王都の方の人員は――――――――」


「ここに一個小隊を――――――――」



 うん、俺の出番はしばらくなさそうだ。


 正直言ってこういう作戦会議じゃ俺は役に立たないな。


 力はあっても俺はただの日本の高校生だからな。


 餅は餅屋だ。


 と、会議が始まって1時間が過ぎたところで部屋の扉が突然開いた。



「――――ご報告します!!昏睡中のヴィクトール殿下の意識が戻りました!!」


「「「―――――――――――!!」」」



 勢いよく扉を開けて入ってきた兵士は俺達に明るいニュースを齎した。


 って、ヴィクトールって誰だっけ?




--------------------------


――ファル村 軟禁小屋前――


 ヴィクトールは帝国の第六皇子で俺と同い年だ。


 今は軟禁中の捨駒勇者達とムリアスの騎士団に襲撃され、その後は第七皇子と一緒にダニールに捕まって人質になっていた。


 救出後はすぐに魔法で治療したが意識は戻らずにいたけど戻ったみたいだ。


 俺達は会議を一時中断し療養場所である村長の家に向かったがそこにヴィクトールの姿はなかった。


 急いで村中を捜し回っていると、捨駒勇者を閉じ込めている小屋の前で発見した。



「出て来いムリアスの勇者!外に出て俺と戦え!!」



 そこにいたのはフラつきそうな体を無理矢理動かしながら、悲痛な表情で小屋の扉を叩いて怒鳴る姿だった。


 左手には村長の家から持ち出したと思われる槍を持っていた。



「出てこい!兵達の無念、ここで晴らしてくれる!」


「近所迷惑!」


「ガッ!?」



 俺が軽くツッコみを入れるとヴィクトールは簡単に倒れた。


 やっぱまだ全快じゃないな。



「何やってるんだよ?」


「だ、誰だ!?いや。誰でもいいから邪魔はしないでくれ!俺は殺された兵達の無念を晴らさないといけないんだ!」


「落ち着け!」


「ギュンッ!?」



 俺は再度ツッコみを入れて黙らせた。(気絶させた。)


 小屋の中からは抗議の声が聞こえて来るけど無視だ。


 しかしなるほど、コイツはどうやら殺された仲間の敵を討とうとしていたみたいだな?


 前に領主のオッサンが言ってた話によればこの皇子は戦争の最前線で戦っていた。


 自分だって王国兵を殺していただろと思ったりもするが俺にそれを言う資格はないだろうから言わないでおく。


 それにコイツはさっき「殺された兵達」と言っていたが「殺された仲間達」とは言っていなかった。


 もしかすると「殺された兵達」の中には帝国兵だけじゃなく王国兵も入っていたかもしれない。


 小屋を叩くコイツの悲痛な顔を見ていた俺にはそう思えてしまうんだ。



「――――と、それよりコイツどうしよっか?」



 大の字で倒れたヴィクトールを見下ろした。


 その後、取り敢えず背負って村長の家へと運んだ。




--------------------------


――ファル村 村長宅――


 ちょっと目を離した隙にまた広くなっている気がする村長宅。


 俺は村長にも手伝ってもらいながら客室のベッドにヴィクトールを運んだ。



「何度見てもよく似ている・・・。」


「・・・村長?」


「いえ、こちらの話です。」



 ベッドに寝かせたヴィクトールを村長は懐かしそうに見つめていた、


 笑って誤魔化したけどなんだか気になるな。



「殿下は無事ですか!?」



 そこへロビンくん登場!


 その他の皆さんも一緒だ。



「ふう、無事で良かったです。」


「捨駒勇者と決闘でもするつもりだったみたいだったぞ?あいつらに殺された仲間の無念を晴らすとか言ってた。」


「そうだったんですか。」


「ヴィクトール殿下は頭が少々・・残念ですが、仲間思いの御方ですから。」



 今、さらっと「頭が残念」とか言わなかったか?


 まあ、バカ皇子の弟だから当然だろうけど。



「戦え――――!!」



 バカ皇子4(仮称)が目を覚ました。



「落ち着け!」


「痛ッ!」



 ビンタしてやった。



「ハ!ここは何所だ!?」



 記憶が飛んでしまったか?


 ヴィクトールは困惑気味で周囲を見渡した。



「あれ?あの非道勇者を断罪しに行ったはずが・・・夢だったのか?」


「殿下、お気付きなりましたか?」


「あ、お前は確かいつも兄上の隣にいた・・・」


「ハイ、私は・・・」


「お兄さんだよ♪」


「っ!シロウ殿!?」


「は?」


「別に隠さなくてもいいんじゃないか?」



 ロビンくんは未だに隠したり遠慮したりしているけど、もう隠す意味があんまりない気がするんだよな。


 少なくとも身内に隠す必要はないだろ?


 バカ皇子達にも知られているし。



「・・・ロビン殿下(・・・・・)、お話しされた方がよろしいかと?」


「(ハア・・・・・・。)」



 そして説明タイム!


 俺は村長の奥さんが持ってきたお茶を飲んで待っていた。


 そして説明タイム終了!



「よし!勇者達と決闘してくる!」


「何故そうなるんだ?」



 ベッドから降りようとするヴィクトールをロビンくん達が止めようとする。



「止めるな兄上!俺は戦場で散った者達への供養の為にも勇者と決闘しなければならないんだ!」


「供養なら墓参りでいいでしょう!」


「帝国男児なら決闘で供養だ!俺の真っ赤な拳を勇者達にぶつける!」


「殿下もムリアスの勇者達も万全ではないんですよ!」


「気合いと根性でどうとでもなる!それに勇者は勇者だからきっと大丈夫だ!」



 凄い理屈だ。


 勇者は勇者だから・・・俺でも納得してしまいそうになるな。


 って、俺も勇者だけど。



「とにかく安静にしていてください!」


「断る!」


「断るな!」



 あ、ロビンくんの地が出た。


 一瞬だったけど凄い迫力だったな。



「・・・ハイ、ごめんなさい兄上。」



 弟の心を折った!?


 まあ、取りあえずこれで問題が1つ解決したな。



「(・・・本当に小さい頃のレオに似ているな。)」


「ん?」



 隣に立っていた村長が小声で何か言ってるけどどうしたんだ?


 何だか凄く上機嫌で、面白いものを見るようにヴィクトールを見ているな。


 何だろ?



「では兄上、俺は大人しく部屋の中で鍛練しています!」


「静かに寝てろ!!」


「ハイ・・・。」



 ロビンくん・・・ドンドン地が出易くなってきてないか?


 ヴィクトールもその体で何言ってるんだ。


 お前は脳筋かよ!


 俺はロビンくん達と一緒に部屋を出る際、ヴィクトールのステータスを視てみた。



【名前】『熱血爆槍』ヴィクトール=R=ファリアス

【年齢】16  【種族】人間

【職業】皇子  【クラス】魔法系脳筋時々ヘタレ皇子

【属性】メイン:光 火 土 サブ:風 水 雷 木 氷

【魔力】24,000/24,000

【状態】倦怠感(小) 空腹(小)

【能力】攻撃魔法(Lv4) 防御魔法(Lv4) 補助魔法(Lv4) 特殊魔法(Lv4) 剣術(Lv1) 槍術(Lv2) 体術(Lv1)

【加護・補正】魔法耐性(Lv3) 精神耐性(Lv1) 光属性耐性(Lv2) 火属性耐性(Lv2) 土属性耐性(Lv2) 毒耐性(Lv2) 麻痺耐性(Lv3) ガラスのハート 熱血パワー 超酒豪 戦女神ヴァハの加護



 魔法特化かよ!


 魔法の適正が全部レベル4ってどんだけだよ!


 魔法限定で見れば凄いスペック、才能はケビンといい勝負か!?


 それに《熱血パワー》って何だ!?


 二つ名の意味も理解不能だ。



「シロウ殿、どうかしましたか?」


「あ、別に・・・。それより、ステラちゃんの元に戻ろうぜ!」


「そうですね。」



 俺は心の中で色々ツッコみながら村長の家を後にした。






 第六皇子ヴィクトール、人望もあり学もありますが残念な皇子です。

 捨駒勇者達と決闘する時は来るのでしょうか?



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