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ボーナス屋、勇者になる  作者: 爪牙
2ヶ国奪還編Ⅰ-クーデター発生の章-
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第83話 ボーナス屋、報告を聞く

―――――時は約24時間前に遡る。






――フィンジアス王国 王都クリーオウ――


 その日、ダーナ大陸四大国の1つフィンジアス王国の王都では大きな事件が起きていた。



「――――今日はやけに馬車が多いな?」


「朝からだぞ?どの大通りも貴族様の乗った馬車で一杯だってよ!」



 王都に住む住民達は今朝から何度も目の前の大通りを通る馬車に疑問を抱いていた。


 王国のほぼ中心部分に位置する王都クリーオウは同心円状の構造を持ち、中心部に王族が暮らす『クリーオウ城』があり、その周りに爵位を持った上級貴族の暮らす区画、中級や下級貴族が暮らす区画、そして平民が暮らす区画で構成されている。


 王都の外周は外壁で囲まれており、東西南北に1つずつある門から出入りできるようになっている。


 門から王城までは一直線に繋がっており、住民からは“大通り”と呼ばれている。



「おいおい、あれはクロフォード公爵様の馬車だぞ・・・!」


「一体、今日は何が起きているんだ!?」



 住民達はいつもと違う王都の空気に戸惑いを見せ始めていた。




--------------------------


――クリーオウ城――


 フィンジアス王国現国王、ジョン=F=フィンジアスは極めて険しい表情で玉座に座っていた。


 そして、目の前で自分を見上げている男に現状の説明を求めた。



「・・・これは、一体どういう事なのだ。兄上(・・)?」


「フン!そんな事は解りきっているだろう!」



 見上げながらも見下したような目で国王を見る男、フィンジアス王族であり現国王の実兄ベネディクト=F=クロフォード公爵は堂々と玉座へと近づいていった。


 国王直属の親衛隊はすぐに止めようとするが、公爵が連れて来た騎士達によって邪魔されてしまう。



「弟よ、今日をもって退位してもらうぞ!」


「クーデターを起こすか、兄上!?」


「言っておくが、もう手遅れだ。お前が病で倒れている間に軍も騎士団の指揮系統は既に掌握済みだ。有力貴族の半数近くが俺に味方している。疾うに決着はついているんだよ!」


「馬鹿な事を・・・!今がどういう時か分かっているのか!?不可解な理由(・・・・・・)による帝国との戦争、大陸各国で起きている異変の数々、王国が一丸とならねばならない時にクーデターなど何を考えている!!」



 国王は病み上がりの体を無理矢理動かしながら立ち上がり、クーデターを起こした実兄を説得しようとするがベネディクトは全く聞き入れる気が無かった。


 王城内は既にベネディクト派の勢力によって制圧され、王妃を始め王子や王女の多くは拘束されていた。



「そもそもお前が王になる事が間違っているのだ!偉大なるフィンジアスの王位を継ぐべきなのは長男である俺こそ相応しい!なのに、父上も母上も由緒ある伝統を無視して少しばかり頭のキレるお前を国王にした!」


「・・・それは、兄上が自信過剰な上に民からの人望が薄く、無駄に威張ってばかりいたのが原因でしょう。父上と母上の判断は常識的に考えても間違ってはいません。問題ばかり起こしている兄上をまだ王族として扱っている温情が分からないのですか!?」


「黙れ!雑草のように溢れている民に好かれている事に何の意味がある!?この国は王族の物!だからこそ俺は偉いんだぞ!平民は俺の為に命を捧げていればいいんだ!!」


「子供の我が儘にしか見えん!!王族は民の道標であり民によって生かされている!民は権力者の奴隷ではない!!」


「話の通じないバカめ!!おい、現国王は御乱心だ!取り押さえて医者の元へと連れて行け!!」


「「「ハッ!!」」」



 ベネディクトの部下達は病み上がりの国王を力ずくで拘束し、そのまま謁見の間の外へと連れ出そうとしていた。



「―――――私を引き摺り下ろしたとしても、他国は兄上を王として認めない・・・!」


「ハハハ、世迷い事だな?これを見ろ、既に聖国は俺をフィンジアスの王として認めている!まあ、条件としてお前の末息子を王太子にする事を条件に付けているがな。」


「バ・・・バカな・・・!?」



 ベネディクトが国王に見せつけたのは聖国からの正式な書状だった。


 そこにはベネディクトを次期国王として推薦すると書かれており、ただし、条件として現国王の末子であるレックス王子を王太子にする事を条件に付けていた。


 書状の最後には聖国のトップであり、ジーア教の最高指導者である教皇のサインがあり、その下には教皇庁の代表であるアイアス=クロリス(・・・・・・・・・)枢機卿のサインがあった。


 大抵の人が見れば間違いなく本物と判断する書状だった。


 実際は贋物だが。



「安心しろ!お前達を殺すつもりはない。生かしておけば世間には俺がどれだけ器が大きいか知らしめる事ができるからな!ハハハハハハハハハ!」



 そして国王は謁見の間の外へと連れ出されていった。


 そして扉が閉じ、部屋の中にはベネディクトの笑い声で充満していった。



「ハハハハハハハ!王だ!今日から俺が王だ!!」


「おめでとうございます。新国王陛下。我ら一同、この命尽きるまで陛下の忠臣であることをここに誓います。」


「うむ!皆の者、ご苦労だった!」



 貴族の1人が片膝を着いて忠誠を誓う構えをとると他の貴族達もそれに倣って同じようにベネディクトに忠誠の誓いを立てた。


 あくまで表面では。



「では陛下、私どもは各部署の対応に向かいます。明日以降は今日以上に忙しくなりますので、陛下は暫し休息をとっていてください。」


「うむ!」



 満面の笑みのベネディクトは玉座に腰を下ろしながら貴族達に返事をした。


 それを見た貴族達は思わず噴き出しそうになるのを必死に抑えながらベネディクトに礼をし、謁見の間から退室していった。


 1人残されたベネディクトは玉座に座りながら子供のようにハシャギ続けた。


 自分がお飾りとして祭り上げられているなど知らずに・・・。



--------------------------


「やりましたな、ボイド侯爵?」


「フフフ、あの無能男(バカ)、こうも思い通りに動いてくれるとはな。先ほどなど、笑いを抑えきれなくなるところだった!」


「ブッ!侯爵やめて下さい!また笑いが・・・ブフッ!」


「わ、私も・・・ぷっ!」



 貴族達はベネディクトの前では必死に抑えていたものを漏らし始める。


 彼らにとってベネディクトはただの道具、自分達が王国を陰で操れる立場を手に入れる為の駒でしかなかった。


 ベネディクトはあの通りの男の為、彼らがちょっと褒め称えたりすれば簡単に信用してしまい、その後も褒め続けて優越感に浸らせておけば小さい子供のように彼らの言うことを信じて疑おうともしないのだ。


 表向きにはベネディクトを国王として祭り上げ、その一方で政治などは彼らが陰で支配するのが彼らの計画だった。


 ただし、その計画も黒幕の存在があってこそ成立したのだが。



「それにしても、こうも早く事を進められるとは正直驚きを隠せません。ブラス卿(・・・・)の頭脳には相変わらず畏れ入りますな。」


「そうだな。今は帝国で動いているブラス卿がいなければこのクーデターが無血で成功することはなかっただろう。」


「正体を語らない方だが、我々の味方でいてくれて良かった。もし、あの方が国王側についていたらと思うと恐ろしくて夜も寝られませんでしたよ。」


「ハハハ、私も同感だ!」


「全くだな!」



 彼らは知らない。


 自分達の協力者であるブラスの目的が何なのかを。



「今頃はエドワード殿下、ジョージ殿下の暗殺に成功し、チャールズ将軍と共に侵軍しているだろう。我らは計画通りに王国を手中に収め、ムリアスへ送る部隊の編成をしなければな。」


「そうですな。我々も立ち話をしている場合じゃありませんな!では、私は法務の方へ。」


「私も財務の方へ行かせていただきます。」


「うむ!我らの計画はこれからが本番だ!あの道化には気取られぬよう注意しつつ計画を進めていこう!」



 貴族達の立ち話はそこで一旦お開きとなった。


 彼らは予め用意されていた計画に従い、それぞれの担当となる部署へ移動して人員の異動などを始めていった。


 今回のクーデターを起こした貴族達、彼らは王国に潜入していた『創世の蛇』のブラス=アレハンドロの手駒達だった。


 とは言っても彼らにその自覚はなく、彼らにとってブラスは互いに有益な取引相手、または各々の家で行っている事業での特別顧問(コンサルタント)に近い認識だった。


 実際、彼らもブラスと出会ったばかりの頃は正体の知れぬ相手と怪しんでいたが、彼の博識ぶりや誠実さ、それらを含めた総合的な能力の高さを前に少しずつ信用を抱き始めていった。


 そして貴族達がブラスに絶対の信頼を置いたきっかけとなったのが、彼らの筆頭であるボイド侯爵家での出来事だった。


 ボイド侯爵は子宝には恵まれていたが、その子供達の全員が上級貴族の大半が生まれ持つ魔法の(先天的な)才能に恵まれなかった。


 それ以前に使える者がほとんどいなかった。


 それを偶々ブラスに相談したところ、ブラスはアレハンドロ家に伝わる“古代魔法具(アーティファクト)”の指輪を侯爵の子供全員に使い、見事に子供達に魔法やそれ以外の才能を開花させて見せた。


 その話は一晩でボイド公爵の派閥の貴族全員に伝わり、侯爵と同じようにブラスに相談した彼らの一族は瞬く間に王国貴族の中でも優秀な後継者や人材を出す名家として名を上げていったのだ。


 そうして一大派閥の貴族達の信用を得たブレスは堂々と王国の貴族社会の中で動き回り、本来の目的を果たす為に着々と進めていった。



 そして現在、ブラスは自らファリアス帝国への向かっている間、貴族達にはベネディクト公爵を上手く利用してクーデターを起こす様に計画書を渡していた。


 もっとも、今となっては不要な計画になってしまっているが・・・・・。



 ボイド公爵達は知らない。


 ブラスはファリアス帝国で予想外の相手の前に敗北して逃亡している事に。


 そしてブラスにとって侯爵達が進める計画は無用の長物となっている事に。



 ボイド公爵達は気付いていない。


 先程の会話を陰から聞いている者がおり、その者は先日戦死したと信じられている王国の第二王女の部下であることに。



「ハハハハハハ!!戴冠式の前に新しい妻や妾達も探さなければな!」



 自称新国王のこの男はもっと何も知らなかった。


 ベネディクト=F=クロフォード、過去に正妻に夜逃げされてしまった現在独身――本人は知らないが隠し子8人――の51歳、現在新しい妻と妾を募集中である。




--------------------------


――ファリアス帝国 帝都タラ ファリアス宮殿――


 同日、クーデターは帝国でも起きていた。


 きっかけは帝都の裏側を牛耳っていたダニールがいなくなり、短絡的な者達が勝手に動き出したことにあった。


 普段なら毎日ダニールが牽制することで抑えられていた連中も、たった1日いなくなっただけで勝手に動き出したのである。


 その大半が初老前の比較的若い貴族達であり、彼らは現皇帝よりも自分達の方が帝国を支配する事ができると思い込んでいるだけの連中だった。


 他には長年悪知恵を働かせ、虎視眈々と皇帝の椅子を狙っていた皇族の血を引く大物貴族もおり、ダニールの腹の探り合いをしながら自分が皇帝になる時を狙っていた。


 悪い意味でプライドの高い彼ら反皇帝勢力は表向きには若手貴族が先頭に立って派手に動き、頭の回る大物貴族達は主に陰から若手の連中を操る形で動いてきた。


 実際は全員ダニールの掌の上で踊らされていたわけだが。


 しかし、彼らを操っていたダニールが突然行方知れずになった途端、残された反皇帝勢力は自分達の計画がほぼ順調(・・・・)に進み過ぎていた事もあって調子付き、ダニールの帰還を待たずに独断で動き始めたのだった。



「―――――第二皇子ブリッツ殿下、貴方を国家反逆の容疑で拘束させて頂きます。」


「・・・どういうことだ?」



 いつもと同じように政務に勤しんでいたブリッツは目の前の光景を即座に理解することができなかった。


 ブリッツの眼前に立っているのは、現在帝国の司法で強い力を持つ貴族の男性、ブリッツに法のいろはを教授してくれた恩師に当たる人物だ。


 その恩師が今、騎士を率いて自分を罪人として拘束しようとしている。



「オーベルシュタイン子爵・・・一体、何を言っているんだ!?」


「言葉通りの意味です殿下。殿下がフィンジアスとムリアスに内通して帝国に莫大な損害を与えた挙句、兄君であるヴィルヘルム殿下を始め、多くの御兄弟を罠にかけて暗殺したと我々の調査にて判明しました。その証拠の1つに、フィンジアスの第一王女が殿下に宛てて書いた手紙を殿下の自室にて発見しました。」



 子爵はブリッツに数枚の羊皮紙を見せる。


 そこには王国の第一王女がブリッツに宛てた、帝国の第一皇子と王国の第二王女を同時に暗殺するという内容が書かれていた。


 手紙の最後にはしっかりと「フィンジアス王国次期女王、ヴィクトリア=C=フィンジアス」と送り主の名前が書かれていた。



「さらに、ムリアス公国との密約書も発見しました。殿下のサインがはっきりと記載されております。これでも罪を否定なされるのですか?」


「知らない!どれも身に覚えのない物だ!この密約書も私が書いたものではない!」


「残念ですがこれらの証拠品の分析は既に終了しております。サインの筆跡は間違いなく殿下のものであり、魔法による捏造品ではないと証明されております。そして、殿下の配下の者が秘密裏にムリアス公国に出入りしている事も分かっています。その配下は殿下の命令だと自白しました。」


「―――――!」



 ブリッツには心当たりがあった。


 子爵の言うとおり、ブリッツは秘密裏にムリアス公国と連絡を取り合っていた。


 だが密約など結んだ記憶は微塵もない。


 これは何かの間違い、冤罪だと訴えたが聞き入れられなかった。



「―――――これ以上の言い訳は裁判所にてお願いします。殿下、貴方を私の権限により身柄を拘束させて頂きます。捕えよ!」

「「ハッ!!」」

「ま、待ってくれ!これは何かの間違いだ!!私は・・・・!!」



 ブリッツの言葉は空しく響き、子爵の連れて来た騎士により拘束されていった。


 そして宮殿地下にある王侯貴族用の牢獄へと連行されていったのだった。



「フフッ――――――。」



 執務室に1人残った子爵は歪んだ笑みを零した。


 彼はブリッツに見せた書状を一瞥すると、それを乱暴に丸めて懐へとしまう。


 子爵が見せた証拠品は全て偽造品、予めダニールから渡されていた「第二皇子用偽造書類」の数枚を利用したのである。


 どうやって偽造されたかは子爵自身にも謎だった。


 帝国には魔法による書類の偽造法は幾つもあるが、これらの書類は魔法を全く使用しない未知の方法で作られていた。


 ハッキリ言ってしまえばダニールが隠れ家にあるパソコンを使って自作しただけであるが。



「・・・さて、殿下の次は陛下に退場してもらいましょうか。」



 子爵は自分達の野望が成就すると信じ切っていた。


 自分達は有能であり、現皇帝の一族がいなくなったとしても帝国を支え、ダーナ大陸を統一する事さえできると慢心していた。


 確かに彼らはある程度は有能であり、現在の地位も多少は裏で便宜を働いたりもしたがそれ以外は実力で上り詰めて手に入れたものである。


 その事がかえって彼らを調子付かせる結果に導いてしまい、今では裏で色々手を回していたダニールがいなくても自力で帝国を牛耳る事ができると信じ切っていたのだった。




「――――今日より、ファリアス帝国は我ら帝国貴族の力により生まれ変わる!!」


「「「おおおおおおおおおおおお!!!!」」」




 数時間後、ファリアス宮殿は一部の貴族達、反皇帝勢力によって制圧され、宮殿内にいた皇族はほとんど(・・・・)罪人として牢獄送りにされた。


 帝都中には反皇帝勢力の者達によってこの事が知らされていき、反抗する者は全て罪人として拘束されていった。


 だが、住民達やクーデターに関係のない貴族達に知らされた事実の中には重要な内容が1つだけ欠如していた。


 それは現皇帝についての内容だった。




 クーデターを起こす際、オーベルシュタイン子爵を含めた反皇帝勢力はクーデターを起こすタイミングを夕方近くと決めていた。


 日によって差はあるものの、毎週平日の夕方になるとファリアス宮殿の中は一時的に大きな隙が生まれてしまう。


 理由は常に1つ、ファリアス帝国の頂点に君臨している現皇帝ランドルフが1日執務を早々に終え、宮殿の外へと逃亡する為であった。


 目的はただ1つ、街に下りて歓楽街に遊びに行く(・・・・・・・・・)為である。


 現皇帝の女癖は宮殿内は勿論のこと、今では帝都内の住民全員が知る常識中の常識(・・・・・・)だった。(表向きには全員知らないフリをしている。)


 そのせいで帝国中には公にされていない“皇帝の落胤”がおり、今もなお増えていると噂されていた。


 その為、平日の夕方になると皇帝が宮殿を飛び出して歓楽街へ向かうのを全力で阻止する為に宮殿勤務の騎士や衛兵、王族親衛隊など時には帝都の全戦力を投じたりもするので、必然的に宮殿の警備網は穴だらけになってしまう。


 反皇帝勢力もその隙に乗じてクーデターを起こし、宮殿を制圧する一方で歓楽街で皇帝を待ち伏せして拘束する予定だった。




 だが、反皇帝勢力は皇帝を捕まえる事が出来なかった。


 死に物狂いで捜しても手がかり1つすら見つからなかった。


 勝った筈の反皇帝勢力は、捕縛された宮殿内の人々に冷笑された。


 中には同情される者もいた。


 オーベルシュタイン子爵は顔を真っ赤にして癇癪を起こしかけたらしい。





--------------------------


――現在 ファル村 王国軍駐屯地――


「―――――――以上が帝都と王都で発生したクーデターについての報告です。」



 進行役の騎士の話に、部屋の中に暫しの静寂が生まれた。


 クーデターが発生した事実は昨夜から今朝方までの間に俺達の元に届いた。


 王都側の情報は予め潜入していたステラちゃんの部下から、帝都側の情報は帝都にいる村長の孫やフライハイト商会の職員を通じて届いた。



「帝都でクーデターを起こした貴族の中には、私の“(義)父”もいるようです。」


「ロビンくん・・・。」



 ロビンくんは複雑そうな顔で呟いていた。



「陛下がまだ捕まっていないらしいというのは不幸中の幸いでしたな。いや、失礼。」


「いや、私のことは気にしなくてもいい。」



 ステラちゃん・・・。


 強気な態度は取っているけど、内心は家族が心配で仕方ないんだろうな。



「――――――今は一刻も早くこの作戦を進めていかなくてはならない。黒幕達がいつ戻ってくるか分からない以上、この数日間の内に決着を付けなくてはならない!」



 ステラちゃんは拳を握りしめ、全員にハッキリと伝わるには十分すぎるほどの声を上げた。


 そして、俺達がこれから始める作戦の内容を叫ぶ。




「―――――王国と帝国、両国を馬鹿者どもから奪還する!!」





 ステラちゃんの伯父さんダメすぎですね。

 さて、皇帝は何所に行ったのでしょうか(笑)

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