第81話 ボーナス屋、スキルを創る
アンナちゃん、何言ってるの?
「私、強くなりたいんです!」
「だから何で?」
アンナちゃん、いきなり俺がリーダーの冒険者パーティー『ビッグウイング』に入りたいと言い出して、理由を聞いたら「強くなりたい」?
つまり、冒険者になりたい・・・いや、それなら俺に相談する必要はないよな。
それとも、俺の知らないところで何かあったのか?
「私、勇者様の隣に立てる女になりたいんです!勇者様が頑張っているのを見ているだけの女でいたくないんです!」
「・・・・・・!」
俺は気圧されてしまった。
アンナちゃんは本気だ!
バックに見える灼熱のオーラを見ただけでも分かる!
俺はアンナちゃんのお願いを断ることができず、了承してしまった。
だが、俺はこの時知らなかった。
アンナちゃんが心の中で何を考えていたのかなんて・・・。
(やった!これで何時でも勇者様と一緒・・・!頑張ろう!)
俺はこの時は知らなかった。
アンナちゃんが、俺に一目惚れしていたなんて。
(ステラ様には負けないわ!)
俺は知らなかった。
アンナちゃんがステラちゃんに対して、密かにライバル心を抱いていたなんて。
その元凶が、とあるバカ龍王だという事を・・・。
とりあえず、今日はケビンと一緒に修行をしてもらうか。
(勇者様の隣は私のものよ!!)
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修行中だったケビンにアンナちゃんを預け、俺は1人になれる場所を探して広場に来ていた。
すると、広場ではチビッ子達や見覚えのある連中が何かをしていた。
「ぬ、抜け・・ろ~~~!」
「頑張れ~!」
「ファイト~!」
「いっぱ~つ!」
何あれ?
某栄養ドリンクのCMごっこ?
「ルチオ、銀耀、何やってるんだ?」
「あ、士郎~!」
チビッ子の中に今日もルチオと銀耀がいたから話しかけてみた。
「アーサー王ごっこ~!」
「は?」
意味が分からずにチビッ子達が指さした方を見ると、そこには先日発掘されたばかりの『戴冠石』があった。
上に黄金の聖剣が突き刺さっていたけど・・・。
そして、その聖剣を全力で引き抜こうとしている第二王子の姿があった。
「何故・・・何故抜けないんだ!?」
「・・・・・・。」
俺は聖剣と第二王子に指をさしながらルチオに現状の説明を求めた。
「アーサー王伝説にある聖剣の刺さった石はこの戴冠石がモデルなんです。だから、僕の聖剣を刺したら同じ事ができるか試していました!」
へえ、それは初耳だな?
あの有名な聖剣が刺さっている石って、戴冠石がモデルだったのか。
そういえば、あの聖剣の別名の1つは『カリバーン』があったな。
って、これルチオの剣だよな、あれ?
「それで~、通りすがりの王子様が僕達をからかうつもりで抜こうとしたら・・・・・・」
「ぬ~~~!!何故抜けない~!?」
「・・・・・・。」
本当に抜けなくなってしまったのか。
でも、これって持ち主なら簡単に抜けるんじゃないのか?
そう思って訊いてみたら確かに抜けるらしいが、昨日はルチオ以外にも抜けた人がいたらしい。
って、昨日からやってたのかよ!
「この石め!僕を認めろ!」
『―――――――――。』
リア・ファルさん、石だけに意志があるのかは不明だけど静かだな。
第二王子に片足で踏まれていても無反応、あの王子には王の資格がないってことか?
そしてその後、意地になった第二王子がどんなに頑張っても聖剣が抜ける事はなかった。
「オーホッホ!王に相応しいのは私よ~!」
「「ハハハハ!」」
更にその後、噂を聞きつけたバカ達が集まって広場は大いに賑わっていった。
・・・気のせいか、リア・ファルさんが凄く不機嫌そうに見えるな。
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みんなが広場に集まっていったのでようやく1人になれた。
さてと、ゆっくりと新しいボーナスを選ぼうっと!
【エフォートエクスチェンジャー:起動】
《今回はどのような用件ですか?》
1、ポイントを交換する
2、ポイントを確認する
3、ポイントの交換履歴を見る
4、ステータスを確認する
5、ポイントバンクを使用する
6、メッセージを読む New!
7、ポイントマップを確認する
8、リセット機能を使用する▼
9、終了する
あれ?
何だかトップ画面が変わってないか?
メッセージって何だ?
とりあえず確認してみるか。
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From:隠居中のヌアザ
Sub:挨拶
オッス!おらヌアザ!
世間では龍王に喰われて殺されたと言われている元王様だ!
言っとくが、俺が死んだっていうあの伝承は人間の創作だからな!
俺達の過去をネタにしてジムとかいう奴が書いた二次創作だからな!
俺達はちゃんと生きている!!
さて、前置きはこの辺にして、
この度は俺の愛剣の所有者認定オメデトー \(^o^)/
お祝いとして俺の加護をプレゼント!
ついでにお前の固有能力を特別に勝手に改良しておいたぜ♪
更にポイントもプレゼント!
今後も面白そうなことがあったらドンドン介入するからヨロ~♪
あ、俺達は加護を与えた人間の目を通してお前達を見ているから悪い事は出来ないぜ?
じゃ、今日はここまで Д´)ノ 》 ジャ、マタ
王位をルーに譲ってから暇を持て余しているヌアザより♡
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神様~~~!!!!
何でメールしてきてるの!?顔文字まで使ってるよ!!
つーか、俺の能力を勝手に改造すんな!!!
「まあ、ポイントだけは嬉しいけどな。」
さて、気を取り直してボーナスを選ぶか!
何か新しいのはないかな~っと!
《交換するボーナスを選んでください。》
〈変身術〉 20pt
・
・
・
〈性転換〉 100pt
〈種族転生〉 200pt
〈異世界転生〉 500pt
・
・
何時の間にか転生系のボーナスが増えているな。
きっと神様達の仕業だろうな。
ま、俺には関係ないけど!
他には何かないかな?
ん?何だこれ?地が薄いな・・・隠しボーナスか?
〈固有能力創作〉 ???pt
・自分だけにしか使えない世界で唯一の能力を創作できる。
・消費ポイントは創った能力の内容によって上下する。(上限なし)
・ただし、内容が矛盾する、既に存在する能力は創れない。
・創作中の段階ならキャンセル可。
・創作段階の能力のデータは保存できます。
凄いなコレ?
能力の内容によって消費ポイントが上下するようだけど、言い換えればポイント次第ではとんでもない能力を創作する事ができるっとことだ!
創っている間なら途中でキャンセルできるみたいだし、試しにやってみるか!
試作1 〈滅〇魔法〉 ⇒ 《既に存在します。》
試作2 〈神を殺す能力〉 ⇒ 《既にたくさん存在します。》
試作3 〈斬〇刀〉 ⇒ 《既にとある異世界に腐るほど存在します。》
試作4 〈異性に好かれる能力〉 ⇒ 《既に存在しますし、あなたには不要です。》
試しに思いついた能力を創作しようとしたらどれも既に存在するような。
というか、最後のヤツ、何だか意志を感じてならないんだが?
う~ん、やっぱ大雑把に考えてもダブってしまうのかな?
ここはそれなりに細かくイメージしておかないとダメだろうな。
試作5 〈神性(神の能力)を1日3回だけ一時的に封じる能力〉 ⇒ 《創作可、150pt必要です。》
よっし!やっとできた!
「神様の能力を封じる能力」、もし、神様と戦う時が来た時があるかもしれないと思ってイメージしてみたらまだカブってないみたいだ!
流石に神様の力を封じるから消費ポイントは多いみたいだけどな。
他にもやてみよう!
試作6 〈非生物をレベルアップで無限に進化させる能力〉 ⇒ 《創作可、90pt必要です。》
試作7 〈自分や相手のステータスをより細かく解析する能力〉 ⇒ 《既に存在します。》
試作8 〈お互いの能力を交換するキャンセル可能で交換する能力〉 ⇒ 《創作可、75pt》
試作9 〈自分や了承した相手の能力を進化・融合させる能力〉 ⇒ 《創作可 90pt必要です。》
試作10 〈今いる世界のリアルタイムの情報を検索する能力〉 ⇒ 《創作可、70pt必要です。》
こんなところか?
“試作7”は既に存在するようだ。
まあ、それはあっても不思議じゃないと思えるから納得だな。
さて、この中からどれにするかな。
俺の現在の保有ポイントは“183pt”、この範囲で選べないのはないな。
“試作5”・・・テンプレでラスボス神とか出てくる可能性はあるけど、今は必要じゃない・・・な?
それ以外からだと最大2つを選ぶことができる。
俺は少しだけ迷ったが、“試作6”と“試作9”の2つを選び、余ったポイントをなんとなくステータスを上げるのに使った。(敏捷を上げた。)
《〈固有能力創作〉で固有能力〈命無き物の可能性〉を取得しました。》
《〈固有能力創作〉で固有能力〈進化する可能性〉を取得しました。》
《〈ステータス上昇〉で〈敏捷〉を3pt分上昇させました。》
ふう、ちょっと時間がかかったけどこれで終わりだ!
【名前】『ボーナス屋』大羽 士郎
【年齢】16 【種族】人間
【職業】冒険者(Lv56) 魔法剣士(Lv4) 農民(Lv4) 【クラス】神に気に入られた勇者
【属性】メイン:土 木 サブ:火 風 水
【魔力】2,510,000/2,510,000
【状態】正常
【能力】攻撃魔法(Lv4) 防御魔法(Lv3) 補助魔法(Lv2) 特殊魔法(Lv2) 属性術(Lv3) 剣術(Lv3) 体術(Lv2) 投擲(Lv2) 善行への特別褒賞 超魔力吸収 命無き物の可能性 進化する可能性 鑑定
【加護・補正】魔法耐性(Lv2) 精神耐性(Lv2) 土属性耐性(Lv3) 木属性耐性(Lv3) 火属性耐性(Lv2) 風属性耐性(Lv1) 水属性耐性(Lv2) 竜殺し 土神ハニヤスの加護 豊穣神アヌの加護 銀腕神ヌアザの加護 異世界言語翻訳 職業補正 職業レベル補正
【BP】0
クラスが何時の間にか変わっているな。
あとは・・・・職業変更を考えてみるかな?
トランプのダイヤのマークのモチーフもリア・ファルだそうです。
次回予告「職業を選んでいる時、俺はあってはならない職業を見つけてしまった。え・・・俺が“魔王”・・・!?」