第80話 ボーナス屋、名前を付ける
ようやく新章突入です!
・・・・・・おや!?
タマゴの様子が・・・・・・!
ダッダッダッダ―――――ン!ダッダッダ・・・・・・
『キュアッ!!』
おめでとう!
タマゴからドラゴンの子供が生まれた!
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3ヵ国が入り混じった戦いから2日が経った。
俺はすっかり忘れていたがが、昨日の昼過ぎにヒューゴがガチャで入手したドラゴンの卵が孵った。
生まれたのは全身が白い毛で覆われた癒し系の可愛いドラゴンの赤ん坊だった。
事前に分かっていた通り、リヒトドラゴンという種類だった。
【光の聖竜 ♀】
【分類】竜型魔獣
【詳細】竜種の中でも個体数の少ない上位種のドラゴン。
知性が人間並み以上に高く、比較的温厚な性格だが怒ると手加減ができない。
聖なる光の力を生まれ持ち、その力は攻撃だけでなく防御や回復にも秀でている。
嘗て人間の欲深さに失望し、それ以来人里離れた山奥で隠れ住んでいると言われている。
しかもメス、ヒューゴのハーレム要員1号の誕生か?
ま、それはどうでもいいとして、ドラゴンが孵ったのとほぼ同時にヒューゴのステータスに変化が起きた。
【名前】ヒューゴ
【年齢】13 【種族】人間
【職業】冒険者(Lv52) 魔法戦士(Lv1) 魔獣使い(Lv1) 【クラス】聖竜の飼い主
【属性】メイン:火 光 空 サブ:風 土 水 雷
【魔力】1,400,000/1,400,000
【状態】正常
【能力】攻撃魔法(Lv3) 防御魔法(Lv2) 補助魔法(Lv2) 特殊魔法(Lv3) 剣術(Lv4) 体術(Lv3) 鑑定 龍鱗剣ペンドラゴン 勝者の簒奪 魔獣使いの秘技
【加護・補正】物理耐性(Lv3) 魔法耐性(Lv3) 精神耐性(Lv2) 光属性耐性(Lv3) 火属性耐性(Lv3) 土属性耐性(Lv2) 空属性耐性(Lv3) 毒耐性(Lv1) 麻痺耐性(Lv1) 竜殺し 王の資格 軍神オグマの加護 職業補正 職業レベル補正
【BP】110
ヒューゴ達もこの前の調査船の依頼の時と今回の戦いでレベルが上がって職業も新しくなった。
しかも能力と補正が増えている。
“戦士”と“魔法使い”はレベル50になる事で“魔法戦士”になり、空いた1枠には新たも“魔獣使い”になった。
補正の効果は以下の通りだ。
【魔法戦士(Lv1)】
攻撃力小上昇 体力小上昇 魔力小上昇 知力小上昇
(追記:戦士と魔法使いから派生した上位職)
【魔獣使い(Lv1)】
体力微上昇 魔獣成長小上昇
見た感じ、どうやら“魔獣使い”は上位職ではないらしい。
補正もヒューゴ本人ではなく魔獣にかかるものもあった。
そういえば、新たに増えた《魔獣使いの秘技》は前にガチャの景品で出ていたな?
あの時は詳しく調べなかったけど、どんな能力なんだ?
【魔獣使いの秘技】
・魔獣を使役する為の能力。
・《捕獲》《調教》《同調》《召喚》《送還》《交配》の6種類の魔法が属性に関係なく使えるようになる。
・《捕獲》 対象の魔獣に魔法の球をぶつけて捕獲する。弱るなどして抵抗できなくさせた方が成功率が高い。
・《調教》 捕獲した魔獣に様々なことを教え込むことができる。力ずくで意志を奪って隷属させることもできる。
・《同調》 使役した魔獣と五感を同調させる。
・《召喚》 同行させていない使役魔獣を自分の元に召喚する。
・《送還》 使役魔獣を拠点に送還させる。
・《交配》 使役魔獣同士を強制的に交配させる。亜種や雑種を生み出すこともできる。
中々凄い能力だけど、なんだか危ない部分もあるな。
まあ、ヒューゴなら危ない事はしないから大丈夫だろう。
『キュゥ~!』
「キャ~!カワイイ!!」
「私にも触らせて~!!」
生まれたドラゴンは女の子達に大人気だ。
そういえば、名前とか決めたのか?
「ヒューゴ、そいつの名前は決めたのか?」
「ああ、それなんだけどさ・・・・」
ヒューゴは何所か困ったような表情で何かを言いかけた。
すると、集まっていた女の子、主にヒューゴの異母妹達が騒がしく声を上げ始めた。
「プリティフラワープリンセス1世!!」
「エリザベス!!」
「ポチ!!」
「ファルクイーンドラゴ!!」
「スーパーカレー号!!」
「クララ!!」
『キュッ!』
「ええい!喧しい!!」
どうやら命名騒動が起きているようだ。
明らかに変な名前が混じっているのは気のせいじゃない。
誰だよ、ポチって言ったのは!?
「昨日からこうなんだよ!面倒だからシロにするぞ!?」
「ダメ~~!!」
「ダサい!!」
その後、揉めに揉めた結果、赤ん坊ドラゴンの名前は「シャイン」になった。
俺が適当に言った単語がそのまま採用された訳だ。
『キュッ!』
シャインはその後、1日中ヒューゴの肩や頭の上に乗って過ごしている。
村の中を歩けば可愛い物好きの女性陣がアリのように群がってヒューゴは大変そうだった。
その中に、ステラちゃんが普通に混ざっていたのは気のせいではないだろう。
ステラちゃんが可愛い物好きなのはとっくにみんなにバレているのでいても気にする人はいないようだ。
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昼が過ぎ、ランチを終えて村の中を歩いているとそいつらは現れた。
「「ハハハハ!!」」
赤髪のバカが現れた。
それも1人じゃなく2人もだ。
確か名前は・・・・・・忘れた。
バカ皇子2&3でいいや。
「――――おい、今失礼な事を考えていなかったか?」
「・・・別に?」
バカだけど勘は良いみたいだな。
それより、何の用なんだ?
「「ハハハハ!!ボーナスを貰いに来たぞ!!」」
「帰れ!!」
即答してやった。
この双子、あった途端に「ボーナス貰いに来た」とか何言ってるんだ?
というか、俺はコイツにボーナス関係の話はしていないはずだが?
「帰れとは失礼な!話は兄上から聞いているぞ!」
「そうだ!我らにもボーナスを・・・・・」
「じゃあな!」
「「待て!!」」
バカ皇子2&3はしつこかった。
元祖バカ皇子め、他言無用だと言っておいたのに簡単に口を開きやがった。
あいつの口は水素並に軽いのかよ!?
「よし!お前に名誉を・・・」
「要るか!!」
「我が作ったメダルを・・・」
「もっと要らねえ!!」
その後もバカ皇子2&3はしつこかった。
かと言って、ここでボーナス上げたらきっと部下とかに自慢し始めそうだから俺はどうにかして振り切った。
バカ皇子め、後で覚えていろよ!
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バカ皇子で思い出したが、バカ皇子は何故か鍛冶に目覚めていた。
何かの気まぐれなのか、あの戦いの後に鍛冶系のボーナスが欲しいと言ってきたのだ。
取り敢えずは問題になるような事は言ってこなかったから検索して以下のボーナスを与えてみた。
〈鍛冶術(Lv5)〉 64pt
〈錬金術(Lv2)〉 10pt
〈初心者鍛冶セット〉 12pt 合計86pt
この時に俺はある確信を得た。
エルナさんにボーナスを与える時から薄々気付いていた事だけど、ボーナス取得の際に消費するポイントは“加護”の影響で割引されるケースがあるらしい。
絶対と言うわけではないが、エルナさんが取得した〈錬金術(Lv5)〉やバカ皇子が取得した〈錬金術(Lv5)〉に必要なポイントは――俺の場合で調べたら――普通なら共に80ptだった。
今のところは生産系のボーナスでしか確認できていないが、一部の加護を持っている場合その加護と合致したボーナスを取得した時の消費ポイントは通常の2割引きになるようだ。
エルナさんの場合は発明神の加護で錬金術が、バカ皇子の場合は鍛冶神の加護で錬金術やそれ関係のボーナスが2割引きになっているようだ。
まあ何はともあれ、バカ皇子の現在(今朝時点)でのステータスは以下のようになっている。
【名前】ヴィルヘルム=O=ファリアス
【年齢】18 【種族】人間
【職業】皇子(Lv53) 魔法騎士(Lv2) 鍛冶師(Lv3) 【クラス】バカ皇子(改+)
【属性】メイン:火 雷 サブ:光 風 時
【魔力】1,460,000/1,460,000
【状態】正常
【能力】攻撃魔法(Lv4) 防御魔法(Lv1) 補助魔法(Lv3) 特殊魔法(Lv2) 剣術(Lv2) 体術(Lv2) 投擲(Lv2) 鍛冶術(Lv5) 錬金術(Lv2) 鑑定
【加護・補正】物理耐性(Lv2) 魔法耐性(Lv2) 精神耐性(Lv2) 全属性耐性(Lv2) 鍛冶神ゴヴニュの加護 職業補正 職業レベル補正
【BP】14
ボーナスなしでもステータスに変化が起きていた。
能力や補正も鍛練次第で変化するから特に不思議じゃない。
そして現在、バカ皇子は村唯一の鍛冶屋で鍛冶の指導を受けている。
「おお・・・!!1日でここまでできるとは、なんという逸材じゃ!?」
「皇子の兄ちゃんスゲェ!!」
「ハッハッハ!!俺の最初の作品を目に焼き付けるといい!!」
うん、今日もバカ皇子はバカだった。
言い忘れたが、この鍛冶屋には元奴隷組のアールが居候している。
世間は本当に狭いらしく、この鍛冶屋の爺さんは火の民でアールの大叔父だったらしい。
どうやら複雑な家庭事情で若い頃に故郷を後にし、そのまま色々あって村長と出会ってファル村に来たらしい。
それ以上の事は下手に深入りするのは悪いから聞いていない。
ちなみに、バカ皇子が最初に作った作品はちょっと凄かった。
【痺れるブロンズナイフ(+4)】
【分類】短剣
【品質】やや高品質
【詳細】銅でできた雷属性のナイフ。
これで敵を刺すと微電流が流れて相手を麻痺させる。
普通のブロンズナイフより硬度と耐久度が高い。
たった1日で普通以上の物を作ったバカ皇子だった。
「ハッハッハ!いずれは聖剣を作るぞ!」
また調子に乗るバカ皇子だった。
俺はバカ皇子2&3の件も含めてツッコんでおいた。
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村を一通り回った後、俺は教会の前にやってきた。
俺は教会の前に椅子代わりに置いてある丸太に座りながら自分のステータスを確認した。
【名前】『ボーナス屋』大羽 士郎
【年齢】16 【種族】人間
【職業】冒険者(Lv56) 魔法剣士(Lv4) 農民(Lv4) 【クラス】龍殺しの勇者
【属性】メイン:土 木 サブ:火 風 水
【魔力】2,510,000/2,510,000
【状態】正常
【能力】攻撃魔法(Lv4) 防御魔法(Lv3) 補助魔法(Lv2) 特殊魔法(Lv2) 属性術(Lv3) 剣術(Lv3) 体術(Lv2) 投擲(Lv2) 善行への特別褒賞 超魔力吸収 鑑定
【加護・補正】魔法耐性(Lv2) 精神耐性(Lv2) 土属性耐性(Lv3) 木属性耐性(Lv3) 火属性耐性(Lv2) 風属性耐性(Lv1) 水属性耐性(Lv2) 竜殺し 土神ハニヤスの加護 豊穣神アヌの加護 銀腕神ヌアザの加護 異世界言語翻訳 職業補正 職業レベル補正
【BP】83+100pt(*銀腕神ヌアザ様からBPがプレゼントされました。)
うん、ツッコみたい点はハッキリしてるな。
新たに加護をくれた神様、何でBPをプレゼントできるんだよ?
ちなみに、職業については1つ空きができたけど、どれにするかまだ検討中なので適当に“農民”を選択しておいた。
さてと、ポイントが貯まった事だし新しいボーナスを選ぼうかな?
と、考えていた時だった。
「――――あのう、勇者様?」
「ん?どうしたんだ、アンナちゃん?」
アンナちゃんが何かを覚悟したかのような顔で俺に話しかけてきた。
「勇者様、お願いがあるんです!」
「お願い?」
「そうです!」
真剣な顔のアンナちゃん、こんな顔をするアンナちゃんを見たことはあったか?
それにお願いって、また何か問題でも起きたのか?
「いいぜ、俺にできる事なら何でも言ってくれ!」
そしてアンナちゃんは深呼吸してから俺にお願いを話し始めた。
「私を、『ビッグウイング』に入れてください!!」
赤ん坊ドラゴンの「シャイン」、シャインはスペルは違いますが英語でもドイツ語でも同じ「輝く」という意味です。
次回予告「バカ皇子は調子に乗った!調子に乗って呪いの武器を・・・嘘です。広場に来ると、そこに安置させていた戴冠石に聖剣が刺さって・・・!?抜くのは誰だ!?」
予告は気にしなくてもいいです。