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ボーナス屋、勇者になる  作者: 爪牙
番外編Ⅱ
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第79話 Legend Of Ron 第一章 後編

 今回の番外編はこれで最後です。

――ダーナ神暦1426年 ファリアス帝国 帝都タラ――


 ロンは15歳になり、2年生になった。


 アマデウス帝国中央学院(以後、学院)は『アマデウス』という名の賢者が当時の皇帝と共に創設した教育機関であり、現在は現皇帝が帝国内の教育改革に心血を注いだ甲斐もあって数年前から身分を問わずに誰でも入学できるようになっていた。(創設時も優秀なら平民も入学できたが、色々あって最近まで貴族だけしか入学できない時期があった。)


 それでも貴族階級の影響は大きく、平民出の生徒を貴族の子弟が虐める光景は毎日見られた。



「ハハハ、平民は平民らしく貴族様の道具でいるがいい!」


「や、やめて・・・!」


「平民風情が学院にいるのが生意気なんだよ!!」


「い、いやぁぁぁぁぁ!!」


「学生でいたかったらた、俺達の御機嫌を取るんだな!ハハハハハ!」



 その日も貴族子弟(問題児)が平民出身の生徒を虐めていた。


 特に女子生徒は凄く危ない目に遭おうとしていた。



「打っ飛べ!!」


「「「ギャホッ!!??」」」



 間一髪、ロンがクズを退治したお蔭で女子生徒は救われた。



「あ、ありがとうございます!けど、貴族に逆らって・・・・先輩は大丈夫なんですか?」


「平気平気♪慣れっこだからな!」



 その後、問題を起こした貴族子弟達は権力に退かない教師陣に地獄のお仕置きをされた。


 逆恨みした貴族子弟達は親の権力を使って復讐しようとするが返り討ちに遭う。


 更に色々あって貴族子弟達は爵位を剥奪されて下級貴族に没落、一気に力を失ってしまうのだった。



--------------------------


――ダーナ神暦1427年――


 ロンは16歳になり、学生最後の年を迎えていた。


 ロン達のいる騎士養成科は最高学年になると山岳地帯へ行き、現地の魔獣と戦う訓練を行う。


 現役の騎士も同伴するので危険は無い筈だったが、この年は大人の事情で例年と違う場所で行われたせいで予想外のトラブルが起きてしまった。



『ビュォォォォォォォォォ!!』


「「「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」


「ド、ドラゴンだぁぁぁぁ!!」


「あれはホークドラゴン!!フィンジアスとの国境近くの山に棲息する竜種だぞ!何でこの山にいるんだ!?」



 学生達は中位クラスのドラゴンに遭遇してしまった。


 鷹の羽や頭が特徴のホークドラゴンだった。


 その年は異常気象のせいで魔獣達の食糧事情が悪化してしまい、縄張りを越えて食糧を求める竜種がたくさんいたのだ。



『ビュォォォォォォォォォ!!』


「こっちからも来たぞ!!」


「バカ共がドラゴンを怒らせやがった!」



 去年没落した貴族子弟を始めとした一部の(上級貴族出身の)問題児が遊び心で別のホークドラゴンを怒らせてしまい、状況は更に悪化してしまった。



「アイツは俺達に任せろ!!」


「ロンくん!?」



 ホークドラゴンに襲われそうになった同級生を救ったロンは、2体のホークドラゴンの内の1体をフェリックス達と共に攻撃し始めた。



「おい!学生は下がっていろ!」


「こっちは俺達で倒すから、もう1体は先生達にお任せします!!」


「バカを言うな!相手は中位クラスの竜種だ!学生が倒せる相手じゃない!」


「それでも倒さないと生き残れない!そうだろ!」


「う・・・・わかった、無理はするなよ!」



 そしてロン達とホークドラゴンとの戦いが始まった。


 ロンは魔法で牽制しながら剣でダメージを与えていく。


 フェリックスや取巻き達も同じように相手の動きを鈍らせながら攻撃していった。



「――――――私達も戦うわ!!」


「僕達もだ!!」



 すると逃げた筈の一部の同級生が戻ってきて一緒に戦ってくれた。


 人数が増えた事と、ロンの持つ加護の効果もあって次第に相手を追い詰めていく。



「「止めだ!」」


『ビュゴォォォ・・・・・・・!!』



 上級魔法をぶつけ、ロンとフェリックスがホークドラゴンの急所に止めを刺した。


 遅れて教師や騎士達も重傷者を出しながらももう1体のホークドラゴンを倒した。



「彼らだけで倒したのか!?」


「まさか生徒達が・・・・・・。」


「将来有望だな・・・・・・。」



 教師や騎士は感慨無量な面持ちで教え子達を見ていた。


 その年、学院創設以来初めてとなる学生だけによる竜種討伐が帝都中の話題になった。


 討伐に参加した生徒達の親は身分など関係なく喜び合った。


 そして帝国中の騎士団は我先にと生徒の取り合いを始めたのだった。



 翌年の卒業式の日、ロン達は大勢の人々に祝福されながら学院を去ったのだった。



--------------------------


――ダーナ神暦1433年 『ヴァント』――


 ロンが騎士になって6年が経ち、彼は22歳になった。


 彼は現在、ファリアス帝国とフィンジアス王国の国境にある町に配属されていた。


 騎士になった最初の年は帝都に配属されたものの、良くも悪くも目立ち過ぎたロンは上級貴族出身の騎士達の嫉妬を買ってしまったのだった。


 最初の2年は上司がまともだったので問題なかったが、その上司が高齢で引退した後に来た新しい上司がダメだった。


 出世欲が強く賄賂に弱い。


 金に目が眩んだ新上司や嫉妬した騎士達の悪巧みにより、ロンは1人国境近くの町に左遷された。



「ふう、今日も異常は無し!」



 その日の仕事を終えたロンは夜勤当番の同僚と交代して街の酒場へと向かった。



「よう!遅かったな、ロン?」


「待たせたな、グィード!」



 酒場で待っていたのは嘗て学院でやりたい放題した挙句、家が没落した貴族子弟の1人だった。


 彼は学生時代とは別人みたいに善い人になっていた。


 彼は卒業してすぐにこの町に配属され、山賊みたいな上司に心身を叩き直されて成長していたのだ。



「隣、空いてる?」


「―――ん?ああ、空いてるぞ。」



 男2人で飲んでると、隣に冒険者の少女が座ってきた。


 グィードはナンパしようとしたが一蹴され、その日は特に親しくなることもなかった。



 翌日、町に大型魔獣が攻めてきた。


 竜種ではないが、竜種に匹敵するほど強いサソリ型の魔獣だった。



「――――2~5班は住民の避難誘導、それ以外は俺と一緒に魔獣の相手だ!!」


「「「ハッ!!」」」



 魔獣の出現の多いこの町の騎士団は実戦慣れした者が多く、手際よく住民を避難させて魔獣の討伐に入っていた。


 しかも下手なプライドも低いので、傭兵や冒険者とも協力して魔獣と戦っていった。


 冒険者の中には昨日ロンが会った少女の姿もあった。



「――――――あなた、昨日の!」


「挨拶は後だ!奴を倒すぞ!」


「ええ、私が魔法で動きを封じるからその隙に接近して関節を斬って!」


「わかった!」



 少女の魔法の技術は中々のものだった。


 最低限の魔力で魔獣の動きを封じ、その隙に接近したロンが魔獣のハサミを切り落としていった。


 戦いは主にロンと少女の活躍もあって死人も出さずに魔獣を倒すことができた。



「いい腕だった!俺はロン、この町の騎士をしている。困った事があったら声をかけてくれ!」


「私はシャルル、見ての通り冒険者でフィンジアスの出身よ、しばらくこの町で仕事をするつもりだか・・・・。」


「シャーロット様~~~御無事で~~~!!」



 互いに自己紹介をしていると、背中に大きな荷物を背負った少年がやってきた。



「エルヴィス!何であなたがここに!?」


「シャ、シャーロット様がいなくなってからずっと探してたんですよ~!やっと見つけました!」


「・・・誰?」



 ロンは状況が全く読めなかった。


 だが、少年が少女に対して呼んだ「シャーロット」という名には聞き覚えがあった。



「・・・まさか、フィンジアスの王女か?」


「シィィィィィィィ!!!!」



 少女は人気のない場所に2人を引っ張り、そこで事情を説明した。



 少女の名はシャーロット=F=フィンジアス、後のフィンジアス王国の女王。


 少年の名はエルヴィス=ワーナー、後にシャーロットと結婚する下級貴族の末子。



 2年後、ロンと共に『大災厄』から世界を救う仲間との出会いだった。






 ステラちゃんのお祖母さんとお祖父さんも登場したところで終わりです。

 続きはまた次の機会で!


 そして次回、お待たせしまた!ようやく新章突入です!



 次回、ファル村にマスコット誕生・・・!?「キュッ!」

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