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ボーナス屋、勇者になる  作者: 爪牙
ファル村編
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第5話 ボーナス屋、食糧を増やす

 とりあえず連日投稿はここまでです。

 さて、何だか伝説の勇者を復活させたみたいな事になったけど、取り敢えず今度はアンナちゃんで試してみるか。


 ぶっちゃけ、村長で試したから必要ないかもしれないが、アンナちゃんはテンプレ的にヒロインっぽいからちょっと魔改造・・・じゃなくて、プレゼントしたくなったんだよな。


 あ、ちなみに村長の変貌ぶりを見たバカ皇子は何だか期待に目を輝かせている。


 バカ皇子め、きっと自分はもっとカッコよくなるとか思ってるんだな?現実はそんなに甘くないぞ?



「アンナちゃん、取り敢えず俺の前に立ってくれるか?」


「ハ、ハイ!」



 俺は村長の時と同じように《エフォートエクスチェンジャー》を起動させる。



「え~と、アンナちゃんのポイントは丁度90ポイントだな?」



 何か俺の時より多いけど、きっと頑張って生きて来たんだな、アンナちゃん!


 ちなみに、十代の場合は低い人だと10~30で、高い人だと100近くはあっても100を超える人は今のところ会った事がない。まあ、ポイントは努力や苦労などの善行の積み重ねを数値化したものだからな。村長は異常過ぎだけど・・・・。



「アンナちゃんは、何か欲しい物とかある?魔法とか?」


「え、そんな・・・私には・・・・!あ、けど、私の家族が病弱なんです。さっきの火事でも、煙を吸って体調が悪くなったので、お薬とかあれば・・・・。」


「なるほど、ついでにお勧めなのを検索してみるか!」



 うん、、良い子だなアンナちゃんは、よし出た!



〈万病の霊薬〉 20pt

〈特級ポーション〉 10pt

〈秘伝の漢方〉 10pt

回復魔法(ヒーリング)〉 20pt

〈調合術(Lv1)〉 5pt

〈調合術(Lv2)〉 10pt

〈魔法知識(光)〉 20pt

〈魔法知識(水)〉 10pt

〈魔法知識(風)〉 10pt

〈習得能力向上〉 10pt

〈鑑定〉 5pt

〈ステータス〉 5pt



 うん、結構選択肢が多いから迷うな。


 〈調合術〉は適正レベルごとにポイントが違うようだ。〈回復魔法〉にレベルの表記がないのは《特殊魔法》に入るから、アンナちゃんの元々の適正レベルに準じるからだろうな。村長の〈通信魔法〉と同じ訳だ。〈魔法知識〉はレアな属性はたくさん消費するようだな。


 アンナちゃん、選択肢が多くて迷ってるみたいだな。



「アンナちゃん、取り敢えず俺が選んであげようか?」


「ハ、ハイ!お願いします、勇者様!」



 ふむ、取り敢えず全部使わないで今必要なのだけにするか。


 家族を治すのが先決だから・・・・あ、でも何人もいると薬だけで全部使っちまうぞ?


 とにかく各項目の詳細情報を調べるか・・・・・お!〈万病の霊薬〉は水で薄めて使って10人分か、ならまずはこれに決定だな!残り70ptだ。


 あと、魔法も使えた方がいいよな?適正系――属性が増えるボーナスみたいだ――が見当たらないってことは、村長と違って既に属性を持っているって事だろうな。


 以前友人達で試した時は先天的に魔法の適正がない時は〈魔法適正〉が出てきた。アンナちゃんは知識がないだけで先天的に魔法の才能があったみたいだ。


 考えてみれば、俺を召還できたんだから当然だな。


 しかし、ここで覚えられる属性全ての知識を得るとポイントが足りなくなるから、今回は光と水にしておく。これで残り40pt、今後の為にも少しは残しておきたいけど迷うな。


 どの世界でも手に職があった方が有利だろうから〈調合術(Lv2)〉も取得しておこう。チートレベルだとポイントが足りないんだよな。あとは〈鑑定〉と〈ステータス〉にしておこう。よし、これで決定だ!



「よし!後はアンナちゃんが決定を押してくれれば完了だぜ!」


「ハイ、こうですか・・・・・?」



 選ぶのは俺にもできるけど、最後の【決定】キーは本人じゃないといけないんだよな。


 アンナちゃんが押すと、村長の時みたいに体が輝きだした。


 光が収まると、しばらくアンナちゃんは呆然としたまま立ち尽くしていた。



「・・・・大丈夫か?」


「・・・勇者様、何だか頭の中にいろんな言葉とかが・・・・。」



 ああ、知識が大量に入って混乱しているんだな。


 俺が長椅子に座らせて休ませると、待っていたと言わんばかりにバカ皇子が俺の所に迫ってきた。



「ハハハハハ!勇者よ、今度は次期皇帝である我の――――――――――」



 バカが長話を始めやがった。


 次期皇帝も何も、今は死亡者扱い(仮)だろうが!?


 そして、今度はバカ皇子とステラちゃんの番になった。




------------------



 十分後、教会の前ではバカ皇子と甲冑1がそろってOTZになっている姿があった。


 それもそのはず、2人ともポイントがアンナちゃんの半分以下だったのが相当ショックだったらしい。


 一方のステラちゃんは俺とほとんど同じの87pt、甲冑2ことフィリスは85ptと王国組は1人を除いてかなりの苦労家、または努力家のようだ。


 ちなみに、バカ皇子の側近で村長の件でツッコんでいた帝国騎士くんも80ptだった。


 遠慮してボーナスは取得しなかったけど。


 きっとバカ皇子に凄く(・・)苦労させられていたのだと思われる。ガンバレ騎士くん!



「ふむ、なるほど・・・・これは便利な魔法だ。」


「ええ、これは使い方によっては訓練の効率向上や、人材発掘に利用できそうです。」



 ステラちゃん達は早速ゲットした《ステータス》などの魔法を使い始めている。なお、ステラちゃんは〈魔法適正〉など、魔法関係を中心に選んでいき、以下のようになった。



【名前】『戦姫』ステラ=W=フィンジアス

【年齢】16  【種族】人間

【職業】王女  【クラス】暴れん坊王女

【属性】メイン:光 風 サブ:水 火 雷

【魔力】8,500/8,500

【状態】興奮(中)

【能力】攻撃魔法(Lv2) 防御魔法(Lv1) 補助魔法(Lv3) 特殊魔法(Lv2) 属性術(Lv3) 剣術(Lv3) 槍術(Lv3) 体術(Lv2) 結晶の宝剣(クリスタルセイバー) 鑑定 

【加護・補正】物理耐性(Lv2) 光属性耐性(Lv2) 回復力上昇 銀の女神アリアンロッドの加護



 嬉しくて内心興奮しているようだな。


 フィリスは〈千里眼〉や〈回復魔法〉など、ステラちゃんを補佐できる能力を選んでいた。うん、甲冑1とは大違いだ。


 ちなみに、バカ皇子のボーナス一覧には生産系が大半を占めていた。


 マジで転職した方がいいんじゃないか?



「勇者様!勇者様から頂いた霊薬のお蔭で家族全員が元気になりました!!」


「良かったじゃないか!けど、俺があげたんじゃなくてアンナちゃんの努力の結晶なんだぜ?」



 アンナちゃんはまだいまいち俺の能力が理解できてないようだな。


 さてと、ボーナスタイムが終わった事だし、今度は食糧問題を解決するか!



「アンナちゃん、畑とかがあった場所に案内してくれない?あと、少しでもいいから麦とか野菜の種とかもあれば分けて欲しいんだけど?」


「ハイ!」



 余談だが、村では元気になった村長が暇そうにしている兵達を扱き使っており、自身も大量の廃材を片付けたり魔法で仮設の住居を造る光景があった。元気になりすぎだろ?





--------------------



 畑の方はダニールに燃やされる以前から戦争で荒れていたらしく、まるで耕作放棄地にも見えた。



「勇者様、ここで何をするんですか?」


「まあ見てな?まずは《土壌改良》!」



 俺は《豊穣神アヌ》の加護を《土術》と併用して使用して農地全体の土壌を栄養満点に回復させ、畝が並ぶ種まき前の状態に変えた。


 《土壌改良》には“酸性度調整”や“土粒調整”など細かい調整があったが俺は難なく使いこなした。うん、中学時代は園芸部だった経験がここで役に立ったな!



「・・・・ええ!?」


「次は作物の種を《品種改良》で―――――――」



 俺は村の人達からわけてもらった一握りの麦の種に《品種改良》を使った。とりあえず、早く沢山収穫できるように〈生産力向上〉、〈成長力向上〉などを調節し、今後の事も考えて〈耐病性向上〉、〈耐寒性向上〉、〈耐暑性向上〉など手当たり次第改良していった。



「よし、こんなものだろう?アンナちゃん、撒くのを手伝ってくれ!」


「ハ、ハイ!分かりました!」



 俺は改良した種をアンナちゃんと一緒に畑に撒いて行き、畑の横を流れる川から《水術》で水を汲んでたっぷりとかけていった。



「それじゃあ、《成長促進》!!」


「・・・・・・えええええええ!?」



 目を丸くして驚くアンナちゃんの前で、さっき撒いたばかりの種が発芽してわずか1分程で収穫できるまでに成長した。



「ゆ、勇者様!?」


「ああ、これは豊穣神様から授かった加護の力だ。これさえあれば食糧問題は解決だぜ?」


「す、すごいです!」



 アンナちゃんは涙を流しそうになりながら喜んでくれた。


 けど、この量じゃまだまだ足りない。せめて一年分くらいは欲しいな。



「アンナちゃん、とにかくこの麦をまた撒いてさらに増やしていくぞ!」


「ハ、ハイ!私も全力で協力します!!」


「―――――――ならば、我々も手伝おう!」


「あれ、ステラちゃん?」



 振り返ると、そこには兵達の一部を連れたステラちゃんがいた。



「・・・そのステラちゃんと言う呼び方はやめてほしいのだが・・・まあいい、見た所食料を増やそうとしているみたいだな?ならば、我々も手伝おう!」


「お姫様が手伝ってもいいのか?」


「心配はいらない。こう見えても、昔は城を抜け出して友人の畑を手伝ったことがある。それに、しばらくはここに滞在する事になる以上は食糧は我々にとっても死活問題だ。」


「ま、確かにな。」



 『創世の蛇』の陰謀で死亡扱いになっているかもしれない以上は、しばらくの間はここで力を蓄える必要があるだろうからな。ここはみんなで協力するのは当然だな。



「―――――ならば、僕達も手伝いましょう!」


「あ!バカ皇子のとこの騎士くん!」



 今度はバカ皇子に苦労している騎士くんと数十人の帝国兵達がやってきた。全員じゃないのは負傷してるか、貴族とかでめんどくさがっている連中を置いて来たんだろうな。


 けど、人手がある以上はこれは助かるぜ!



「それじゃあ、みんな手分けして手伝ってくれ!」



 その後、俺が土壌改良した畑に品種改良した種を撒いて水を撒いて《成長促進》、収穫したら地力を回復させてから種を撒いて《成長促進》で収穫のローテーションを日が暮れるまで繰り返していった。


 繰り返すごとに収穫量が増えてきて人手が足りなくなってきたが、そこにファル村の子供達やおばちゃん達も集まってきてくれてみんなで食料を増やしていった。




-------------------



 日が暮れると、ファル村の周辺は壮観とも言える光景が広がっていた。


 流石に俺の魔力もキレテしまい、今は成長途中の麦や野菜が一面に広がっている。


 ちなみに、今植えられている作物は《品種改良》で再調整した作物だ。なんか、育つのが早過ぎるわ、手におえないわの問題が浮上してしまったのだ。



「勇者殿!!何から何までありがとうございます!!」


「ど、どういたしまして・・・・。」



 村長は涙を滲ませながら俺に感謝してくれた。


 後で聞いた話だと、どうやら村長は数年前からボケ、多分アルツハイマーっぽいのになっていたみたいだ。それがボーナスで完治し、元の元気すぎる爺さん(おっさん?)になったようだ。


 ちなみに、騎士くん(本名ロビンくん)達とは別に村に残っていた帝国兵達は、俺の見てない所で村長に容赦なく扱き使われていたようで全員グロッキー状態になっていた。どうやら、伝説の帝国兵だった村長には貴族出身の連中も逆らえなかったらしい。



「それにしても、あっと言う間に建物ができあがってるんですね?」


「ハイ、元々私の家系は《建築魔法》を代々受け継ぐ一族なので、ある程度の数は私の魔法で建てる事が出来るのです。まあ、第1皇子やその部下達がサボっているせいで予定よりも進んでませんが。全く、私のいない内に帝国軍の質も随分下がったものだ!!」


「まあ、ダニールの話だと厄介者とかを集めた連中みたいだからしょうがないんじゃないですか?」


「それでもです!!勇者様を手伝っていた兵達との質の落差が酷過ぎるのです!!これは私が性根を鍛え直すしかありませんな!!」



 うわあ、村長が燃えてるよ・・・・・。


 なお、俺と畑仕事をしてくれた帝国兵達は平民出身や下級貴族、あとはロビンくんみたいに汚職塗れの家を飛び出した一部の上級貴族出身らしい。きっと、一部の汚い権力者たちにとっては目障りだったからバカ皇子や他の貴族の連中とセットで消される事になったんだろうな。



「―――――勇者様、僅かばかりの料理ですが、どうぞ召し上がりください!」



 そして村長の案内と共に、収穫したばかりの作物から作られた料理の並ぶ広場へと向かった。


 俺は村のおばちゃん達に感謝され、好奇心旺盛な子供達に囲まれながら料理を口に運んで行った。


 しばらくすると、何やら難しい顔をしたステラちゃんとフィリスがやってきた。



「(―――――シロウ、少し訊きたい事があるのだが・・・・。)」


「ん?何だ?」


「(ボーナスとやらで手に入れた《ステータス》を村人に対して何度か使ってみたのだが、その中の一部、アンナを含めた数人の子供の内容が・・・・・気のせいかも知れないが、少し変なのだ。)」


「・・・・変?」


「(――――見間違いかもしれないが、念の為、シロウにも確認してもらいたいのだ。頼めるか?)」



 俺は数m先で家族と食事をするアンナちゃんの方を見る。うわあ、アンナちゃん大家族なんだな?弟や妹が6人もいるよ!霊薬足りてよかった~~~!


 そう言えば、アンナちゃんのステータスは見てなかったっけ?


 俺はアンナちゃんに《ステータス》を使ってみた。



【名前】アンナ=ファリアス

【年齢】15  【種族】人間

【職業】見習いシスター  【クラス】皇帝の落胤

【属性】メイン:光 水 風 サブ:火 木 土 雷 空

【魔力】5,400/5,400

【状態】疲労(弱)

【能力】攻撃魔法(Lv2) 防御魔法(Lv3) 補助魔法(Lv2) 特殊魔法(Lv3) 調合術(Lv2) 鑑定

【加護・補正】魔法耐性(Lv3) 闇属性耐性(Lv2) 水属性耐性(Lv2) 風属性耐性(Lv2) 女神ブリギッドの加護



「――――――ハイ?」



 ・・・・・「皇帝の落胤」?落胤ってあれか、隠し子ってことだよな?つまり、アンナちゃんは帝国の皇帝の娘で、バカ皇子の妹なのか?


 その後にアンナちゃんの弟妹も確認したら、全員に「皇帝の落胤」と出ていた。


 どういう事だ?確か、アンナちゃんには父親もいたはず・・・・。もしかして弟妹と一緒に養子とか?



「・・・・ステラちゃん、帝国の皇帝って隠し子いるのか?」


「やはり見間違いではなかったか。現皇帝には正妃以外との間に生まれた落胤が多くいるのは有名な話だが、辺境の村で暮らしている話は聞いたことがない。」


「考えてみれば、俺はまだファル村について何も知らないんだよな。と言うより、おかしい点が多いよな?村長はなんか英雄だし、アンナちゃんはバカ皇子の妹かもしれないし、俺を召還した《奇跡の書》もあるし、変な点ばかりだ。」



 ステラちゃん達も俺に同意見らしい。


 それに、『創世の蛇』が暗殺の場所にここを利用したのも偶然とな思えない。



 一難去った途端に生まれた謎、それは翌日に村長の口から明かされることとなる。







 次回の投稿は日曜日を予定しています。

 とりあえず、平日投稿は夕方、休日は午前に投稿していきますが、変わるかもしれません。


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