第64話 ボーナス屋、知人と再会する
空から巨大な龍王が落ちてきた。
ブラス達は龍王の下敷きになった。
会心の一撃、敵は全滅した。
その他大勢も下敷きになってほぼ全滅した。
味方も何人か下敷きになった。
龍王は経験値をたくさん手に入れた。
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って、おい!!
敵以外も下敷きになってどうすんだよ!?
『あ~あ、ボ~ク知~らな~いっと!』
「「「ふざけるな!!」」」
巻き添えを受けなかった多くの騎士や兵士が目の前の巨大な龍に向かってツッコんだ。
知らないと言って済むんだったら警察はいらないんだよ!
というかコイツ、日本にいた時に会った“誰か”とサイズ以外の全部が同じなんだけど。
まさかとは思うけど、一応チェックしてみよう。
【名前】『白銀の龍王』銀洸
【年齢】14 【種族】龍族
【職業】龍王 【クラス】若き王者 バカ龍王
【属性】メイン:時 空 サブ:光 風
【魔力】6,103,000/6,103,000
【状態】正常
【能力】攻撃魔法(Lv4) 防御魔法(Lv4) 補助魔法(Lv4) 特殊魔法(Lv5) 時術(Lv5) 空術(Lv5) 光術(Lv3) 風術(Lv3) 武術(Lv3) 龍王秘術(Lv5) 龍眼 人化 龍の宝珠
【加護・補正】物理耐性(Lv3) 魔法耐性(Lv5) 精神耐性(Lv5) 時空属性耐性(Lv5) 光属性耐性(Lv3) 風属性耐性(Lv3) 全状態異常無効化 龍神の加護 契約した龍 応龍の血統 狭間の王者 王の器 継承者 幸運 王の縁
見覚えがあると思ったら、やっぱりコイツだったか・・・。
あ、俺だけ勝手に納得してしまったな。
コイツが誰かと言うと、一言で言えば銀耀の兄さんだ。
前にも(第34話参照)ちょっとだけ説明したが、俺が日本にいた時に知り合ったリアル龍王だ。
ジャ〇プ好き、〇ンデーもマガ〇ンも好き、チャ〇ピオンも好きなオタクに近い龍族の王様の1人だ。
何でもコイツの祖父さんが隠居して何十年も空席だった龍王の座にいろいろあって座ったとか、実力半分運半分で龍王になったバカだ。
そのバカが何でこの世界の空から落ちてきたんだ?
というか、契約者の“あのバカ”も一緒じゃないだろうな?
『あれ~?そこにいるのって、もしかしなくても士郎~~~~?』
「声がデカい!!」
図体のサイズに比例して声もデカい!
近所迷惑ってレベルじゃないぞ!
そもそも、日本で会った時は全長100m弱だったのに今は10倍近くあるぞ!?
「―――――シロウ!何なんだあの巨大なのは!?知り合いなのか!?」
「あ・・・・まあ、何ていうか・・・・・・。」
そこに馬に跨ったステラちゃんがやってきた。
よく見れば、他のみんなの視線も俺に集中している。
声がデカいから全員の耳に聞こえているから当然か。
『あれ~~~?その子、シロウの彼女~~~~~?キスしたの~~~~?』
「ブッ!」
「ななっ!?」
デカい声で何言ってるんだお前は~~~~!!
さっさと元居た世界に帰れ!!
あ、みんなヒソヒソと何か話し始めているじゃないか!!
「(前々から気になってたんだけど、あの2人ってどうよ?)」
「(姫様、時間があればシロウ殿と一緒にいますよね?)」
「(え?シスターの子が本命じゃないのか?)」
「(帝国の隠し皇女か・・・・。)」
「(クソッ!王女と皇女に挟まれやがって!爆発しろ!)」
「(俺も彼女欲しいな・・・。)」
うん、聞こえないけどだいたいの内容は分かるぞ。
一部から嫉妬の炎が見えるしな!
『あの人、爆発しろって言ってる~~~!』
「聞こえてるのかよ!てか、さっきからデカすぎ!」
『じゃあ~小さくなるね~~!』
そう言うと、銀洸の体があっと言う間に半分位まで小さくなった。
サイズ変更自由なのかよ!
『これでイ~イ~?』
「もっとだ!」
『は~い!』
最終的には全長200mまで小さくなった。
まあ、これ位ならいいだろ。
『あれ~?何か潰れてる~~?』
「「あ!」」
俺とステラちゃんの声がハモった。
さっきまで巨大銀洸がいた場所を見ると、そこにはブレス達が見事にプレスされていた。
あらら、折角カッコよく消えるところだったのに・・・。
『あれれ~?これ、誰がやったの~?』
「「「お前だよ!!」」」
今度は大勢とハモった。
『あれれ~?よく見たら、別の世界で指名手配されている人達だ~!』
「え!?」
『確かあ~~、ここの通貨だと1人20億は下らないはずだよ~?』
「・・・マジで?」
『うん、いろんな世界で何千万人も犠牲者を出してたはずだよ~~~?』
犠牲者多い!
小国ならいくつもの国が滅ぼされている数だ!
とんでもない悪人だ!
けど、今はペッタンコだ!
「・・・で、結局お前は何しに来たんだ?」
『う~んと、銀耀がお弁当を忘れたから届けに来た~!』
子供のお使いかよ!
「仮にも龍族の王様が弁当のお使いしてていいのか?」
『暇だから!』
ハッキリ言いやがった。
俺の隣じゃステラちゃんがいろんな意味で絶句している。
そういえば、この世界で龍王って意味が通じてるのか?
「待てシロウ、今龍族の王と言わなかったか!?」
「あれ?ステラちゃん、まだステータス確認してなかったのか?あれでも正真正銘、現役の龍王の1人だぜ。」
「いやいや、龍王などお伽噺の中の存在だと私は聞いているぞ!」
「そうなのか?」
どうやら“龍王”って言葉自体は通じるが、その存在は架空のものと思われているらしいな。
ま、俺のいた世界もそうだったし!
『だけどいるんだよね~~~~~♪』
「お前はさっさと弁当届けて帰れ!」
『え~~~~~~~~?』
え~?じゃないだろ!
というか、銀耀は今日もこっちに来ていたのか?
朝は見かけなかったし、俺達が村の外に出た後に来たのか。
『――――――――で、その子は彼女なの~?』
「ち、違う!!」
「・・・ステラちゃん、即否定かよ。そうだけど。」
あ、銀洸の奴、なんだか面白そうな顔になってきてる。
あれはステラちゃんをカラかって遊ぶ気の顔だ。
ステラちゃん、厄介なのに目を付けられてしまったな。
『――――――――で、あっちにいるのは何~?』
「あっち?」
『『『ギクッ!!』』』
あ、精霊ズ!
随分と小さくなったな~?
最初は大きいのだと10mはあったのに、今は人間サイズまで小さくなっている。
ついでに、胸は全員まな板になっている。
俺のせいか?
というか、あからさまに抜き足差し足とこの場から逃げようとしてないか?
『あれ~?もしかして、最近捜索願が出ていた精霊~~~?』
「捜索願?」
『え・・・?な、何のことですか・・・・りゅ、龍王様・・!?』
『フ、フフフ・・・私達は通りすがりのか弱い精霊ですよ?』
うわあ、精霊ズの顔が汗でびっしょりだ。
水の精霊に至っては全身から壊れた蛇口のように水が流れている。
『え~と、何カ月か前に精霊王達がやってきて~、精霊界の問題児達がそろって家出したとか言ってたんだよね~。シルフィードさんやグノーメさん、スッゴク怒っていたな~~~。』
『せ、精霊違いです!!』
『確か~、噂だと悪い人達とつるんで色んな世界で頭の悪そうな人間を騙したり利用したりして遊んでるって聞いた気がするんだよね~~~?』
『『『・・・・・・・・・・・・・(大汗)。』』』
精霊ズ、視線が思いっきり泳いでいるな。
どうやら今回以外にも前科がたくさんありそうだ。
つーか、銀洸の奴、確信を持って問い詰めてるよな?
『そういえば、見つけたら煮るなり焼くなり好きなようにしてから連れて来てッて言ってたっけ~?』
『『『ヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!』』』
一瞬、銀洸が別人みたいな鋭い目で精霊ズを睨んだ。
あれはかなり怖い目立った。
普段はバカでも龍王ってことか?
『私、帰る!!』
『逃げる!!』
『あ、置いていかないでよ!!』
精霊ズは逃げ出した。
だが、それを龍王は見逃すわけがなかった。
『逃がさないよ~~~♪』
『キャァァァァ!!』
『イヤァァァァ!!』
精霊ズの前に黒い穴が出現して精霊ズは吸い込まれた。
「・・・どこに消えたんだ?」
『あっち~~~♪』
銀洸はある場所を指差す。
近くに送ったのか・
そこでは―――――――――――――
『ゴケェ~~~~~~!!』
『イヤ~~~~!食べないで~~~~~!』
『何なのこのトリ~~~~!?』
『私は美味しくない~~~~!!』
『刺さってる!爪が刺さってる!!』
『ご飯じゃないよ~~~!!』
『ゴケェ~~~~~~~!!』
うわあ・・・・・・・。
精霊ズがコッコくんの餌食になってる・・・。
光精霊なんか丸のみ寸前だ。
って、精霊って食べられるものなのか?
『イヤ~~~!力が吸われる~~~~~!!」
あれ?
あのまま胃袋行きかと思ったら、なんだか小さくなってないか?
もしかして、精霊の力を吸い取ってるのか?
『ゴペッ!』
あ、吐き捨てられた。
まるでガムを捨てるみたいだ。
人間サイズだったのが、更に小さくなって子犬サイズ・・・う~ん、ここからじゃよく見えないな?
『ゴケェ!』
『うわ~~~ん!龍王様、反省するから助けて~~~~!!』
『え~~~、ヤダ~~~~~~♪』
次は水精霊がパクッと食われた。
銀洸、さっきから何か楽しんでないか?
そして、精霊ズは1人残らずコッコくんの栄養となって吐き捨てられていった。
その光景に、俺やステラちゃんだけでなく味方全員が言葉を失いながら見ていた。
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『ゴケェ~~~~~~~~!!』
・・・・・・おや?
コッコくんの様子が・・・・・・?
ダッダッダッダ―――――ン!ダッダッダ・・・・・・
『ゴケゴッコ~~~~~~!!』
おめでとう!
コッコくんはエレメンタルでゴールデンでキングな鶏に進化した!
【名前】コッコ
【年齢】0.1 【種族】超鶏(精霊金色王鶏)
【職業】家畜(Lv50) 軍鶏(Lv50) 鶏王(Lv50) 【クラス】最強な鶏
【属性】光 風 水 土 木
【魔力】1,970,000/1,970,000
【状態】正常
【能力】属性術(Lv4) 鶏魔法 鶏戦法
【加護・補正】物理耐性(Lv1) 魔法耐性(Lv2) 精神耐性(Lv2) 光属性耐性(Lv3) 風属性耐性(Lv3) 水属性耐性(Lv3) 土属性耐性(Lv3) 木属性耐性(Lv3) 全状態異常耐性(Lv3) 回復力向上 鶏の王 長寿 精霊の瞳 野生の勘 職業補正 職業レベル補正
【BP】141pt
コッコくん、ついに鶏から超鶏になったか。
いずれ神様になりそうだな。
『ゴケェ~~~~~~~~!!』
コッコくんのパワーアップは止まらない!
精霊だってコッコくんお前ではご飯だ!