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ボーナス屋、勇者になる  作者: 爪牙
戦争編Ⅲ-ファル村大決戦の章-
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第57話 ボーナス屋、戦闘開始する

 空から槍が降ってきた。


 あの数はマズイ!


 地上が血の海になってしまう!



「《クリアシールド》!!」



 ロビンくんが魔法を唱えた。


 すると、無数の槍が見えない何かにぶつかって消えていった。


 ロビンくんナイス!



「「今のはなんだ!?」」



 バカ皇子2&3は同時に叫んだ。


 すると、帝国軍の中から馬に乗った1人の中年の男が前に出てきた。



「殿下!今のは王国軍の攻撃です!」


「「何!?」」


「間違いありません!敵の騎士の1人が魔法を唱えるのを見ました!」



 おいおい、胡散臭いのが出てきたな?


 妖しいからステータスをチェックだ!



【名前】ザック=ロックロード

【年齢】48  【種族】人間

【職業】騎士団長  【クラス】暗躍する者

【属性】メイン:土 水 サブ:風 木 氷 空

【魔力】1,180,000/1,180,000

【状態】正常

【能力】――閲覧不可――

【加護・補正】――閲覧不可――



 ハイ、この人クロです♪


 きっとダニールの仲間だ。


 だって魔力が高いし、『暗躍する者』って書いてあるし、閲覧できないとこもあるしな!



「全軍進撃~~!!」


「待て!落ち着くんだ我が弟!!」


「兄上達の偽者も倒せ~~!!」


「ええぇ~~~!?」



 帝国軍は興奮した声を上げながら動き出した。


 きっと、さっきの槍の雨でやらなきゃやられるって心理が生まれたんだろう。



「迎え討て!!」


「「「おおおおおおおおおおおお!!」」」



 マズイ!


 王国軍も似たような心理が働いて動き出した。


 俺達のところにも両軍が攻めてきた!



「仕方ない、俺達も戦闘開始だ!」


「ハイ!」


「わ、分かりました!!」



 やっぱり戦うしかないか。


 俺達は武器を取って攻めてくる敵に立ち向かった。


「死ね、偽者!!」



 あ、第二王子がステラちゃんに剣を・・・!



「遅い!!」



 ステラちゃんは愛剣を横に振るった。


 直後、突風が発生して王国軍の騎士や兵士が軽く100人以上吹っ飛んだ。


 もちろん、第二王子も宙に飛んだ。



「うわあぁぁぁぁぁぁ!!」



 あ~あ、瞬殺だな。


 一方、帝国軍の方は・・・



「兵達よ、落ち着くのだ!」


「何だ!うわあ~~~!?」


「嘘だろ、第一皇子がこんなに強い訳が・・・うわ~~!!」



 バカ皇子、弟の元に近付こうと立ち塞がる帝国兵を吹っ飛ばしていってる。



「に、偽者だ!あれは第一皇子の偽者だ!」


「ああ、あのバ・・殿下があんなに強いわけがない!絶対偽者だ!」


「そうだ!」


「本物ならもっと弱いはずだ!!」



 ・・・・・・。


 強いせいで偽者だと思われてるよ。


 バカ皇子=弱い、と認識されていたのか。


 無理もないけど。



「おい、何だこいつら!?」


「つ、強い!!」



 周りを見ると、チームステラちゃんもチームバカ皇子も相手を圧倒しまくっている!


 よし、俺も活躍してやるぜ!



「(味方以外に)《マッドプリズン》!!」


「「「わあああああああああ!!??」」」



 久しぶりの《マッドプリズン》!


 とにかく味方以外は全員が入るように広範囲で使ったぜ!



「ぬ、抜けない!?」


「体が沈む・・・!?」



 歩兵が多いから効果は絶大だな!


 みんな泥沼に足を引っ張られて自由に動くことができないようだ。


 スゲエ、レベルが上がってるからこんなに広範囲で同じ効果を発揮してる!


 それでも敵全員がはまった訳じゃないけど。



「よ~し、今の内に全員を拘束だ!」


「「「お~~~~~~!!」」」



 流石に2000人近くを拘束するのは難しいけど、これから来るだろうムリアスの連中と戦う前にこいつらをできる限り片付けておかないとな。


 ん・・・・?


 なんか変だな?


 帝国と王国の軍がほぼ同時に現れたのに何でムリアスの連中だけはまだ来ないんだ?



「ロビンくん、ムリアスの騎士団が来たって報告はあった?」



 俺は近くにいたロビンくんに訊いてみた。



「いえ、そのような報告は・・・・・・あれ?」



 そうやらロビンくんも違和感に気付いたようだ。


 俺の勘だと、4勢力をほぼ同時にぶつけるんだと思っていたけど、何だか違ってないか?


 いや、もしかしたら俺達が帝国軍と王国軍と戦って消耗したところを叩くつもりかもしれない。


 これはもっと警戒が必要だな!


 と、考えていた時だった。


 さっきから戦わずに静観している第一皇子の元に伝令役の兵士が何かを叫んだ。



「報告!!東から突然新たな帝国の軍勢が出現しました!!」


「何?」


「「―――――――!?」」



 俺とロビンくんは耳を疑った。


 突然現れた(・・・・・)・・・!?


 まさか《空間転移》!?


 ダニール達が来たのか!?



「おい!西の方からも何かが来るぞ!!」



 今度は西かよ!


 振り向くと、王国の国旗を掲げた軍勢が凄い速度でこっちに近づいてくる。


 一体何が起きてるんだ!?



「あ、魔法が飛んできたぞ!!」


「こっちからもだ!」



 うわっ!


 新たに来た軍勢から魔法が無差別に飛んできた!



「《ロックウォール》!!」


「《クリアシールド》!!」



 俺とロビンくんは急いで防御魔法を出して魔法を放つ。


 炎の矢や雷の弾などいろんな属性の魔法が嵐のように襲ってくる。


 あいつら、敵味方関係なく攻撃してきてるのか!?




--------------------------



「念には念をと、別の駒を用意しておいた甲斐があったようだな。」


 士郎達がいる場所から少し離れた場所で、ダニールは戦場を見下ろしていた。


 彼は帝国軍よりもいち早くファル村の近くに到着しており、そこで村の様子を観察していた。



「こっちの予想以上の戦力を集めていたようだな。結界のせいで(・・・・・・)全員のステータスを(・・・・・・・・・)確認する事は出来ない(・・・・・・・・・・)が、少なくともこの世界の一般平均レベルの騎士や兵士のレベルを越えているようだな。」



 ダニールは士郎達の勢力の戦力がこの世界のレベルと比較すればかなり高い事を見破っていた。


 だが、村の周囲が結界魔法で囲まれていたので正確な戦力を魔法で測る事が出来ないでいた。


 それ故、ダニールは大きな勘違いをしていたのだが・・・。



「兎も角、これであの場所には今、ファリアス皇帝直系の者が大勢集結している。後は、奴らを1人でも多く血祭りに上げればこちらの実験(・・)は進められる。さあ、どんな結果になるか楽しませて貰おうか?」



 ダニールは映画を観賞するかのように戦場を見下ろしていた。




--------------------------


 俺の視線の先には、無駄に豪勢な装備を身に着けた赤毛の女が高らかに笑いながら馬に乗ってやってくる光景があった。



「オーホッホッホ!随分と無様を曝しているようね、フランツ、コンラート?」


「「あ、姉上!」」



 泥沼にはまっているバカ皇子2&3を見下ろしながら、女は深い笑みを漏らしている。


 何だあの女?


 バカ皇子の次はビッチ皇女か?



「おお!そこにいるのは我が妹、パトリシアではないか!」



 元祖バカ皇子は嬉しそうに声を上げた。


 とりあえずはステータスを確認だ。



【名前】パトリシア=G=ファリアス

【年齢】18  【種族】人間

【職業】皇女  【クラス】バカ皇女

【属性】メイン:光 水 サブ:風 火 空

【魔力】7,500/7,500

【状態】正常

【能力】攻撃魔法(Lv2) 防御魔法(Lv1) 補助魔法(Lv2) 特殊魔法(Lv1) 槍術(Lv1) 弓術(Lv1)

【加護・補正】魔法耐性(Lv1) 光属性耐性(Lv2) 水属性耐性(Lv2)



 ビッチじゃないけどバカ皇女だった。


 しかし、今更だけど兄弟でも能力の差は大きいよな。


 全員加護を持ってるかと思ったら違うし・・・。



「あ、姉上が何でここに・・・?」


「オーホッホッホ!簡単なことよ。ここで大手柄を立てて、私の次期皇帝の座を不動のものにするためよ!」


「「「・・・・・・。」」」



 この女、絶対騙されてるな。


 周りを見たら味方全員が俺と同じ印象を抱いたようだ。



「そういう訳で、あなた達はここで戦死していただくわ!」


「「え!?」」


「私の忠臣ダニール(・・・・・・)は言ったわ。帝国の害悪にしかならない愚兄と愚弟を敵兵もろとも葬れば私の栄光は約束されると!」



 ハイ、決定~!


 100%利用されてるよ!


 思いっきり黒幕の名前が出たしな!



「ハハハハ!我が妹よ、お前はその者に騙されているぞ!」



 バカ皇子が妹を指さしながら告げた。


 いや、お前が言っても誰も信じないと思うぞ?



「オーホッホッホ!皆の者、王国軍も愚兄の偽者も残さず消しなさい!」


「「「おおおおおおおおおおおおおお!!!」」」



 バカ皇子の説得もむなしく、チームバカ皇女が攻めてきた。


 一方、王国側は・・・



「フフフフ・・・。ジョージ殿下、王都より増援に参りました。」


「おおお、チャールズ将軍!いいぞ、邪魔者を全て排除するんだ!」


「フフフフ・・・御意!行け、敵軍を滅ぼすのだ!」


「「「おおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」



 胡散臭そうな髭の濃いオッサンが不気味な笑みを浮かべながら兵を指揮していく。


 スッゲエ怪しい。


 第二王子をどさくさに暗殺しそうだ。


 このタイミングで出てきたのが如何にも怪しいな。



【名前】バート=D=チャールズ

【年齢】43  【種族】人間

【職業】将軍  【クラス】陰謀大好き子爵

【属性】メイン:火 サブ:風 土 水 雷 闇

【魔力】10,900/10,900

【状態】正常

【能力】攻撃魔法(Lv3) 防御魔法(Lv2) 補助魔法(Lv1) 特殊魔法(Lv2) 剣術(Lv2) 盾術(Lv1) 体術(Lv2)

【加護・補正】物理耐性(Lv2) 魔法耐性(Lv1) 精神耐性(Lv1) 火属性耐性(Lv2) 麻痺耐性(Lv2)



 間違いなく怪しいな。


 絶対碌でもない事を考えている。


 陰謀が大好きなんだから間違いない!



「シロウ殿、先程の魔法をもう1度お願いします!」



 あ、そうだった!


 これ以上戦場が混沌としない内に何とかしないと!


 俺はもう1マッドプリズンを唱えようとした。


 その時――――――――――――




「―――――――――――《紅き断罪》!!」




 謎の声と共に戦場が真っ赤に染まった。


 それは戦場全てを飲み込む炎だった。



「《アクアシールド》!!」



 誰かが防御魔法を唱えるのが聞こえた。


 この声はフィリスか?


 水の膜が戦場を覆って俺達を炎から守ってくれた。



「フウ、危ないところだったぜ!」


「今のは・・・・・!?」


「報告!北からムリアスが攻めてきました!」


「「――――――――――――!」」



 ついに来た!


 その直後、北の方から騎士団を率いたチート勇者達が現れた。







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