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ボーナス屋、勇者になる  作者: 爪牙
戦争編Ⅲ-ファル村大決戦の章-
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第56話 ボーナス屋、戦場に立つ

 予約するのを忘れてました。

『ゴケゴッゴ~~~~~!!』



 決戦の日の朝、俺はコッコくんのモーニングコールで目を覚ました。


 昇る朝日をバックに立つコッコくん、その姿はまさしくキングだぜ!



「おはようございます勇者様。」


「おはようアンナちゃん!」



 身支度を整えて外にでると、そこにはシスター服姿のアンナちゃんが待っていた。


 普段着のアンナちゃんも可愛いけど、シスター服もかなり可愛い♪



「朝食の準備はできています。」


「そうか、いつもありがとな!」


「いえ・・・。あの、今日は絶対死なないでください!私、みんなと一緒に勇者様やお兄様達の無事を祈ってます!」



 アンナちゃんマジ天使・・・何てな♪


 俺は村の広場に用意された朝食を食べ、装備を確認して村の外に移動した。


 村人達の全員は昨日の内に村がまた戦場になる事を知らせてある。


 避難に関しては、とりあえず村人のほぼ全員は村長の家の前に集まって貰っている。


 戦況にもよるが、危なくなったら村長の家に設置してある転移装置でヴァールに避難する予定だ。


 もっとも、村人の多くは危機意識はあっても村から逃げる事など考えて無さそうだ。


 どうやらドラゴンを倒しまくっている俺やステラちゃん達がいるから大丈夫だと思っているらしい。


 ま、俺も負ける気なんて早々ないけどな♪





--------------------------


――ファル村外周部――


 朝食を食べ終えてから3時間後、俺はファル村の外周部でみんなと一緒に敵の到着を待っていた。


 監視をしていた人達の話だと3つの軍勢はそろって俺達が今いる場所に向かって進行しているらしい。


 ダニールなのか、それとも別の誰かなのかは知らないが、俺達の勢力も含めて4勢力全てをここで衝突させるつもりらしい。



「―――――――――来たぞ!!」


「来たか!」


「どこの軍だ!?」


「フィンジアス軍です!!」



 西の方を向くと、そこにはフィンジアス王国の国旗を掲げた軍勢が接近してくるのが見えた。


 あ、甲冑騎士軍団かと思ったら違った!


 戦闘を走っている2頭の馬に乗っているのがステラちゃんのお兄さんか?



「―――――――――全軍止まれ!」


「ステラちゃん!?」



 ステラちゃんは接近してくるフィンジアス軍の前に立ちはだかった。


 おいおい、危ないだろ!



「――――――――ステラ!?」


「馬鹿な!」



 どうやらステラちゃんに気付いてくれたらしい。


 先頭を走っていた馬が止まると、後続の騎兵や歩兵たちが次々に止まった。


 ホッ、ひき逃げ事件にならなくてよかったぜ。



「兄上!」


「ステラ!まさか本当にステラなのか!?」


「兄上、騙されてはいけません!きっとあれが報告にあった妹の偽物です!本物のステラは我々が弔ったではないですか!」


「ジョージ兄上!その死体は魔法で造られた偽者なのです!」


「黙れ偽者!名誉の戦死を遂げた妹を愚弄する事は許さないぞ!!」



 ステラちゃんは必死でお兄さん達に真実を訴えるが中々信じてもらえそうにない。


 というか、ジョージ・・・多分第二王子は何だか怪しい臭いがするな。


 何が何でもステラちゃんを偽者に仕立て上げようとしているような・・・。


 もしかして、今回はあの第二王子が唆されたって口なのか?


 第一王子の方はどうしたらいいのか戸惑っている。



「信じてください!王国は今、私達を亡き者にしようと謀った者達によって乗っ取られようとしているのです!」


「黙れ偽者!これ以上我々を愚弄する気なら、その首を斬るぞ!騎士団、あの偽者を黙らせろ!!」


「「「ハッ!!」」」



 あ~、どう考えても第二王子はステラちゃんを殺す気満々みたいだな。


 と、ここでフィリス達が動いた!



「ステラ様を護れ!」


「「「おおおおおおおお!!!」」」



 ステラちゃんを捕えようとする騎士団にチームステラちゃんが立ちはだかった。



「――――――お前はハリソン家のフィリスか!?久しいな、お前も生きてたのか!」


「お久しぶりです。エドワード第一王子殿下。お蔭様でステラ様共々無事に生きながらえております。」


「おお、そうだったか!ジョージ、あれは偽者ではなく本物だぞ!!」



 へえ、フィリスってステラちゃんのお兄さんと面識があるのか。


 まあ、貴族なら別に面識があってもおかしくはないよな。



「兄上!奴も本物を語る偽物です!ここで処刑すべき罪人です!」


「しかし、あれはどう見ても妹のステラとその側近のフィリスだぞ?」


「策略です!これはファリアス帝国の謀略なんです!!」



 第二王子五月蠅いな。


 さっきから殺せとか罪人だとか、興奮しすぎだろ?


 ほら、部下の人達も何だか困惑してるぞ?


 さてと、俺はこの隙に相手のステータスを確認しておくか。



【名前】『魔導の神子』エドワード=S=フィンジアス

【年齢】20  【種族】人間

【職業】王子  【クラス】料理王子 園芸王子

【属性】無(全属性)

【魔力】17,000/17,000

【状態】正常

【能力】攻撃魔法(Lv3) 防御魔法(Lv3) 補助魔法(Lv3) 特殊魔法(Lv3) 剣術(Lv2) 槍術(Lv2) 弓術(Lv1) 体術(Lv2) 豊穣の指輪(ファームリング)

【加護・補正】物理耐性(Lv1) 魔法耐性(Lv3) 精神耐性(Lv2) 全属性耐性(Lv2) 呪い無効化 豊穣神バンバの加護



【名前】ジョージ=C=フィンジアス

【年齢】18  【種族】人間

【職業】王子  【クラス】謀略(に利用された)王子

【属性】メイン:光 氷 サブ:土 水

【魔力】7,300/7,300

【状態】興奮(小)

【能力】攻撃魔法(Lv2) 防御魔法(Lv2) 補助魔法(Lv1) 特殊魔法(Lv1) 剣術(Lv1) 体術(Lv2)

【加護・補正】魔法耐性(Lv1) 精神耐性(Lv1) 光属性耐性(Lv2) 氷属性耐性(Lv2) 悪知恵



 ん~~~~~。


 『謀略(に利用された)王子』って、そのまんまだな。


 それと《悪知恵》って・・・。


 そんな補正もあるのか。


 にしても、第一王子かなり優秀だな?



「もういい!偽者どもは私が倒す!」



 あ、なんか切れたっぽい?


 第二王子はステラちゃん達に向かって魔法を放とうとした。



「消えろ偽者!《裁きの光撃》!」


「――――――――――!」



 第二王子は光の球体みたいなのを放った。


 そして一瞬の爆発と閃光、確か前に見せてもらった事のある攻撃魔法だっけ?


 けど、あの程度の威力じゃ・・・



「え?」


「・・・兄上、その程度の魔法は私達には効きません!」



 ステラちゃん達は無傷だった。


 そりゃ、ドラゴンのブレスと比較したらな?


 けど、相手側の方はかなり動揺しているみたいだ。



「馬鹿な・・・・僕の魔法が・・・・!?」



 あ、第二王子の1人称って“僕”なのか。


 似合わね~~~~(笑)



「―――――おい、王子の魔法が効いてないぞ!?」


「じゃあ、やっぱり本物!?」


「あの強さは噂に聞く第二王女殿下の・・・・!」



 王国軍の方にも動揺が広がっているな。


 よし、このままうまく説得できれば・・・・・



「報告します!東よりファリアス軍が攻めてきました!」


「何!?・・・そ、そうか!お前達は我らを足止めする為にここにいたのだな!」


「兄上っ!!」



 タイミング悪く帝国軍も来たようだ。


 あ~あ、ステラちゃんの話を信じ始めた王国軍の人達の目がまた変わってきたよ。


 罠に嵌めたなって目だよあれ。



「「ハハハハハハハハハハ!!」」



 東の方を見ると、何だか誰かに似たバカ丸出しの笑い声が聞こえてきた。


 おいおい、まさか・・・・・。



「ハハハハ、やはり来ていたか侵略者共!我こそは偉大なるファリアス帝国第八皇子、フランツ!」


「ハハハハ、同じく偉大なる第九皇子コンラート!」



 俺の目に映ったのはヒューゴより少し上くらいの、馬に乗った双子のバカだった。


 あ~、俺の予感通りバカ皇子2&3かよ。


 帝国、マジで大丈夫なのか?


 いや、大丈夫じゃないから今みたいな事態になってるんだろうけど・・・。


 しかし、見事な赤毛のバカツインズだ。



「ハハハハ、久しぶりだな我が弟達よ!」



 あ、元祖バカ皇子が前に出た!


 ややこしくなるからおまえは前に出るな!



「な!死んだはずの兄上がいるぞ!?」


「亡霊か!?」


「ハハハハ!俺は生きているぞ弟よ!」



 なんだか頭がおかしくなるような会話になってきたな。


 誰か止めてくれないかな。


 ロビンくん・・・遠くを見ている。



「現れたな卑怯なファリアスの皇族!」


「ム!?そこにいるのはフィンジアスの第二王子!」


「忘れてた!全軍、敵軍を壊滅させろ!」



 第二王子、バカ皇子3に忘れられてたよ。


 じゃなくて、戦いを止めないと!



「誇り高きフィンジアス軍よ!我らの行く手を遮しファリアス軍勢を倒せ!」


「「「おおおおおおおおおお!!」」」


「「行け!ファリアス軍!!」」


「「「おおおおおおおおおお!!」」」


「ちょっと待て~!!《ロックウォール》!!」



 俺は両軍の間に壁を出現させて衝突を止めた。


 まあ、何人かは壁と衝突しちゃったけど。



「兄上!私の話を聞いてください!」


「黙れ偽者!いや、ファリアスの手先め!」


「兄上!!」



 あ~、あの第二王子は何を言っても駄目だな。



「ハハハハ!我が弟達よ、兄の話を聞くのだ!」


「ハハハハ!騙されないぞ兄上の偽者!お前と一緒にいるのは敵国の王女だろ!」


「つまりお前達は敵!つまり偽者だ!」



 こっちも駄目だな。


 横を見ると、騎士トリオを始めとするヴァール騎士団の皆さんが困った顔をしている。


 そうだよな。


 なんだか緊迫感に欠けるよな。


 などと考えていた時だった。



「――――――――危ない!!」


「えっ?」



 不意にロビンくんが俺を押し倒した。




        ザクッ!




 直後、俺が立っていた場所に槍が刺さった。


 え?



「・・・俺、狙われてた?」


「帝国軍の方からです!」



 あ、危なかった~~~~!


 ロビンくんが気付いてくれなかったら即死だったぜ!


 多分、ダニール辺りが厄介者の俺を消そうとしたんだろう。


 本当に危なかったぜ!



「痛~~~~!み、耳が斬られた~~~~!」


「フラ~ンツ!」



 あ、さっきの槍がバカ皇子2の耳に掠ったみたいだ。


 それより、槍を投げたのは誰だ!?




―――――――――――――《降り注ぐ槍の雨(スピアーレイン)》!!




 俺がファリアス軍の方を見回した直後、その場にいた全員にその声が聞こえた。


 その直後、空から無数の槍が雨のように降ってきた。







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