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ボーナス屋、勇者になる  作者: 爪牙
結婚とエピローグ編
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第447話 ボーナス屋、感動の再会!

――オオバ王国 王城――


「さあ!覚悟は出来てるだろうな!?」



 俺は怒りのオーラを大放出させながら、目の前で吊し上げられている3匹のアンコウ(・・・・)に対して死刑宣告を告げていた。



『NO~!!冬の鍋料理にはしないでぇぇぇぇぇぇぇぇ!!』


『吊るされたまま解体は嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』


『全部美味しく食べられたくないぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!』


「黙って吊るし切りされてろ!!」



 懲らしめたと思ったら懲りずに悪さをしやがって!


 俺は目の前のバカ神×3に対して射殺す視線を向け、右手にはアンコウの解体用包丁に変形させたクラウ・ソラスを握っている。


 大迷宮騒動の最後に始末した筈のバカ神×3、ロキ、ヘルメス、アナンシの3人を――もう“柱”で数える必要なし!!――アンコウの姿に変えた俺は、割とマジでコイツラを解体して今夜の夕食にしてやろうかと思っていた。



「ソフィアちゃんを唆しやがって!お前らは裏技・バグ技職人か!?」


『ゴメ~ンナサ~イ!万能な力を見つけたら穴を探したくなる性分でぇぇぇぇぇぇぇぇ!!』


情報戦(プロパガンダ)は十八番というか本職でぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!』


『みんなハッピーになると思ってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!』


「もう黙れ!」



 俺は躊躇う事無く包丁を振った。



『『『ア―――――――!!』』』



 今夜はアンコウ尽くしになった。


 御手柄なコッコくんにも美味しい部分を出してあげよう。






「ソフィアちゃん、君が居ながら……」


「申し訳ありませんでした!!(マスター)、どうか罰をお与えください!!」



 バカを解体し終えた後、俺の目の前ではソフィアちゃんがDOGEZAをしながら謝罪し続けている。


 何でソフィアちゃんが、と思う人の為に今回の一連の事件の解答を簡潔に説明しよう。



1、バカ神×3、スライムになっても懲りずに悪巧みをする!


2、ソフィアちゃんの監視に引っ掛からないギリギリのラインで情報操作開始!


3、飼い主の勇者や一般人に「勇者王が結婚する」、「結婚式は賑やかになる」と囁く。


4、狡猾に誘導して「勇者王の家族も参加するのか?」と第三者に発言させソフィアちゃんの耳に入れる。


5、婚約者ズが「シロウの家族って本当にいないの?」と疑問を抱く。


6、ソフィアちゃんが俺の身内の存命を確認!


7、ケネス率いる臣下達も参加!婚約者を追加!(*強制)


8、ハッピーウェディングの為、全員で大芝居を打つ計画を立てる。


9、色んな人が参加!


10、俺を両親の親戚一同とご対面させる!」


11、お祖父ちゃんとお祖母ちゃん達を王国にご案内!


12、増えた婚約者達によるサプライズ!


13、俺、混乱!


14、コッコくん、バカ神×3をひっ捕らえてくる!


15、処刑執行!


16、ソフィアちゃん、DOGEZA! ←今ココ



 遠くの大勢の会話は常時聞いてはいても、個人単位で他人の心を覗く事は滅多にしないソフィアちゃんの心理を利用された悪巧みだった。


 動機は俺に対する意趣返しというか嫌がらせで、俺が強制ハーレム化でパニクる様子を観賞して楽しみ、更にはその映像をあっちこっちにばら撒くつもりだった。


 その後は更なる悪巧みのエンドレス、コッコくんが居なければ更にエスカレートしていたに違いない。


 コッコくん、今夜のご飯は期待しておいてね♡



「まったく!ゴミ父にも困ったものだわ!」


「ヘルさん、何でどさくさに婚約者に入ってるの!?」


「てへ♪」



 バカの始末が終わり、俺は爆増した婚約者の数と面子に頭を悩ませていた。


 増やした張本人である俺の秘書官達は仕事という安全地帯に逃げ、唯花を始めとした婚約者ズはお祖母ちゃん達と楽しい時間を過ごしており、ここにいるのは俺とソフィアちゃん、そしてどさくさに紛れて婚約者の仲間入りをしていた冥界の女王ヘル様の3人だった。


 ヘル様は本気で結婚する気らしい。


 今頃ネット上では「王様の嫁、マジ女神(笑)」とか書かれているに違いない。



「私、神話やマンガじゃ色々書かれているけど、本当は普通に結婚に憧れている一人の女性なのよ……と言う話は置いといて、以前、ヘカテー達と逢った時に伝え忘れた事を此処でお伝えします」


「え、雰囲気が……」



 ヘル様の纏う空気が一変する。


 今のヘル様を一言で表すなら、『女神の神託モード』だ。


 直後、俺の直感が、これから告げられる話を聞き逃したら後悔すると警告していた。




『大羽士郎、貴方の亡くなった両親は神の救済により異世界で無事に生きています』




 そして、俺は父さんと母さんの生存(転生)の事実を知った。









ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


――王城 貴賓室――


 神託の内容はお祖父ちゃんお祖母ちゃん達にも伝えられた。



「転生チート建国記キター!」


「バカ龍王、何でお前が居る?」


「面白そうな匂いに誘われて~」



 貴賓室には何時の間にかバカ龍王が寛いでいた。


 邪魔だから後で追い出そう。



「娘が……フェリシアが……生きてる、だと!?」


「あのアホウが生きとるやと!?」



 案の定、お祖父ちゃん達は俺のハーレム以上の衝撃を受けて固まってしまった。


 あ、今の関西弁の方は唯花達が勝手に呼び寄せた、父さんの実家の方のお祖父ちゃん、関西で堕神夫婦を祀る神社の神主をしているよ。


 此方は衝撃の連続に耐えきれず、固まったまま失神してしまった。


 けどそれに構うことなく、ヘル様はさっき俺にしたのと同じ話を部屋に居る全員に話していった。



『あの不幸な神災後、息子の士郎は蘇生され、夫婦は生前と遺伝子レベルで同じ肉体を異世界で構築することで助かりました。私達は便宜上“転生”と呼んでいます』


「転生しても夫婦~♪」


「お前、五月蝿い!」



 俺と両親が一緒に巻き込まれ一度死んだ交通事故、真相は夫婦喧嘩をしていたイザナギとイザナミのとばっちりで、俺は女神様達の力でその場で蘇生されたが両親はそのまま帰らぬ人として墓の下に行ってしまった。


 だけど、父さんも母さんも俺とは違う形で女神様達に救われ、元の日本じゃなく異世界で生きる事を条件に新しい体を貰う――――転生することが出来た。


 そして幸運なことに、転生先の異世界は俺達が倒した《盟主》達ですら興味を持たないほど辺境の世界だった。


 ラスボス(死)にも狙われる事無く第二の人生を歩んでいるらしい。



『転生によりその存在は異世界の所属となりましたが、肉体の情報はオリジナルのものをそのまま流用したので生物学的にも家族関係に変化はありません。ただし、自力で元の世界に帰ることは事実上不可能ですが』



 世界の均衡に悪影響を及ぼさない為にも、転生には最低限必要なデメリットだった。


 先祖返りや突然変異並に神の遺伝子を受け継いだ俺とは違って、父さんも母さんもごく普通の人間だったから、ごく普通の人間を整然と同じ体を創って転生させるのは色々と条件が厳しいのだ。


 けど、父さんも母さんもその条件を快く受け入れたらしい。


 ヘル様、何で視線を逸らすの?



「あれ?今の話を聞くと、俺が召喚するなり会いに行くみたいなのは大丈夫なのか?」


『問題ありません。今の貴方は私よりも高位の神、異世界人(・・・)をこの世界や地球世界に移動させる程度は世界に悪影響を与えることなく可能です。それこそ、存在に干渉する事さえも……』



 ヘル様の『女神の神託モード』はそこで終わった。


 あとは全部俺が決めればいいということらしい。



「ど・う・す・る~♪ファイナルアンサ~?」


「お前、五月蠅い!」



 深刻な顔をする俺をおちょくるようにバカ龍王は部屋の中で踊り始めた。


 直後に婚約者ズに沈められたけど。



「よし!直ぐ会いに行こう!」


「早!」


「さっきまでの深刻さは嘘なの!?」


「主、流石です」


「早い~早〇れ~?」



 バカは二度沈められた。


 責任者に引き渡したいが、より悪化しそうだから止めておく。



「行くの~?」



 銀髪のバカはもう復活した。


 龍族、これを王にしたままで大丈夫なのか?



〈……それは言っちゃいけない。  by龍族一同(*銀除く)〉



 そうですかい。



「会いたい人の下へ直ぐにでも行きたい人におススメの一品~♪」



 周囲の視線も声も気にしないバカは通販番組みたいなノリで空中に黒い穴を出現させ、楽しそうに腕を突っ込んで中から大きな板状の物体を取り出した。



「ど〇でもドア~♪」



 通販番組から青い耳無しネコ型ロボットにチェンジし、目の前に1枚のドアが出現した。


 う、上手すぎる……!


 お前、その声は何処から出て来てるんだ?



「~♪(クイ!クイ!)」



 相変わらず腹の立つ態度をしてくる銀髪バカ龍王にイラッとするが、俺はど〇でもドアモドキに危険が無いのを確認すると、ドアノブを掴んでゆっくりと開けていった。



「…………えと、こんにちは?」



 チョッとだけビビりながらドアの向こう側を覗く。


 お祖父ちゃん、気になるなら俺の後ろでウロウロしないで傍に来たらいいでしょうに。


 そして婚約者ズ、さっきみたいなサプライズを却下だからスタンバイはするな!



「フンフンフ~ン♪」



 バカは鼻歌を歌いながら部屋の隅へと移動していく。


 それを無視して俺はドアの向こうを見ると、其処には同じ顔をした10歳前後の黒髪の男の子3人と、父親らしき男性にくっついている金髪の女の子、そして母親と思われる女性が目を丸くしながら俺の方に視線を向けていた。


 かくいう俺も、子供達と一緒に俺を見ている夫婦の顔を見て全身を硬直させてしまう。


 あの顔、忘れる筈もないし間違える訳がない。


 あの人達は――――



「「士郎!?」」



 目の前の夫婦は声を合わせて俺の名前を叫んだ。


 懐かし過ぎるその声で呼ばれた俺は、無意識の内の涙腺を崩壊させ、この時ばかりは周囲の目など完全に忘れて声を上げた。



「父さん!!母さん!!」



 俺は脇目も振らず、懐かしい温もりへと飛び込んだ。





「オオバファミリ~全員集合~♪」










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