第43話 ボーナス屋、新機能を試す
今日から新章スタート!
【開放条件が達成されたので、新たな機能が使用可能になりました。】
【新たに追加された機能は次の通りです。】
〈オールランダム機能〉
・保有ポイントを全て消費し、ランダムに交換するボーナスを決定する。
・低確率で通常は交換不可能なボーナスを取得できる場合もある。
・決定されるボーナスの数もランダムだが、必ず2個以上取得できる。
〈ポイントバンク機能〉
・保有しているポイントをシステム内に預けることができる。
・預けるポイントの量は保有者本人が決定できる。
・預けられたポイントは保有者の悪行で減ることはないが、善行で増えることもない。
〈ボーナスリセット機能〉
・過去にボーナス交換で取得したボーナスをリセットしてポイントに還元することができる。
・リセットするボーナスは選択が可能。
〈ボーナス決定機能〉
・今後、全てボーナス交換の決定権を与えられます。
・対象者に与えるボーナスの決定があなたの独断で可能になります。
〈ポイントマップ機能〉
・あなたが現在いる地域のマップを表示し、そこにいる住民全員の位置とポイントを確認する事が出来ます。
・あくまで保有ポイントを確認する事だけができる機能であり、ボーナス交換は相手に接触しないとできません。
〈異世界通販(Lv5)機能〉
・ポイントを利用して行った事のある世界の商品を購入する事が出来ます。
・レベル5で利用できるのはあなた自身と、あなたが許可した人物全員です。
・購入できる品目はレベルが上がる事に増えていきます。
〈新ボーナス追加〉
・交換できるボーナスの種類が追加されました。
・新たに追加されたのは“必殺技”、“適正レベルアップ”、“ランダムガチャ”の3種類です。
・“必殺技”はその名の通りです。
・“適正レベルアップ”はその人が既に持っている能力の適正レベルを上げます。
・“ランダムガチャ”はランダムに様々なボーナスを取得できます。
〈強制オールリセット機能〉
・その人が保有する能力と補正(一部を除く)を強制的に全てポイントに変える。
・相手の意志に関係なく使えるが、その分、相手の能力や補正の数によって多くの魔力を消費する。
・強制的に全能力を失う為、リセットされる能力の数や種類によっては相手が体調を崩す場合もある。
〈マイナスリセット(ペナルティ)機能〉
・ポイントの数値がマイナスの場合、数値を0にすることができる。
・ただし、マイナスの数値分だけその人が保有する能力が減るか、マイナスの補正が入る。
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俺だ!士郎だ!
俺の能力、《善行への特別褒賞》に新機能がたくさん追加されたぜ!
ヒューゴ達の家族がファル村に来てから3日、その間に俺の能力は大活躍だ!
以前からステラちゃんに頼まれていた、ステラちゃんの部下全員にボーナス交換をしたら一気に新機能がたくさん追加されたってわけだ!
ああ、あと何だか最近すすり泣きの多いバカ皇子が急に元気になって、2度目のボーナス交換をしにきた。
妙な感じにテンションが上がってたけど、何があったんだ?
まあ、それはいいとして今日はみんなで新機能を試してみるかな?
「―――――――という訳だ!」
「それで、何で俺なんだ?」
俺の目の前には不機嫌そうなヒューゴがいる。
いや~、ホントはロビンくんとかも呼ぼうとしたんだけど、何か朝早くからバカ皇子に連れ出されていていなかったんだよな~。
そしたら近くにヒューゴがいたから誘った訳だ。
「―――――――という訳だ。」
「・・・・・・・・・。」
「そんな顔するなって、誰よりも早く新ボーナスとか交換できるんだからよ♪」
俺1人だけでやるのも何か寂しいだろ?
「・・・で、何をすればいいんだ?」
お?何だかんだでヤル気じゃん?
さてと、とりあえずリセット系の新機能はパスだな。
使う理由も見当たらないし。
まずは新しいボーナスから試してみますか♪
え~と、必殺技にレベルアップにガチャ?
「まずは必殺・・・って、何だこりゃ!?」
「どうした?」
能力を起動して“必殺技”の欄を出してみると、そこには色々とマズイ必殺技がズラリと出てきた。
ちょ・・・最初にカ〇〇メ波って何だよ!?
他にもギガ〇インとか、天〇龍閃とか、思いっきり版権元に訴えられる必殺技ばっかじゃないか!!
あ、そうじゃないのもある・・・・・・いや、とりあえず今はパスだ!とにかくパスだ!
俺は画面を操作して“適正レベルアップ”に変えた。
これは文字通り、持っている能力の適正レベルを上げるボーナスだから、ポイントの残量次第でチート級になれるってわけだな!
「あ、そう言えば、剣の修業とかってどんな具合なんだ?」
「ん?とりあえず凄く筋が良いって言われてるし、昨日からは何故か村長の爺さんも稽古をつけるとか言ってきて内容が少し激しくなってきたけどな。」
「なるほどな。」
ヒューゴの剣術の適正レベルは3だったな。
将来は達人になれるレベルだから筋が良いのは当然、伝説の英雄の村長の目にもかかったか。
これをさらに1つレベルを上げたら村長と同レベル、凄い事になりそうだ。
あ、でも魔法の方を上げるのもありかな?
「ヒューゴ、才能を上げるとすれば剣と魔法のどっちがいいんだ?」
「そんなの、上げられるのか?」
「おう!俺の能力に追加された新ボーナスの1つだぜ!」
「ん~~~、やっぱ俺は剣の方が性に合ってる気がするから、魔法よりは剣だな?」
「そうか、じゃあ、早速上げてみるか?」
「ああ、別にポイントはレベルを上げればすぐに貯まるしな。」
そうなんだよな~。
最初はもったいなくて中々使う気になれなかったボーナスポイントだけど、最近はレベルを上げて行けばどんどん貯まるんだよな。
俺なんか115もあるし、俺も幾つかの適正レベルを上げてみようかな?
まあ、まずはヒューゴからだ。
え~と、《剣術》をレベル3からレベル4に上げるのに必要なのは・・・・40pt!?レベル5だとさらに100pt!?
やっぱチートレベルに上げるにはこれ位必要なのか。
まあ、本人の了承も得ているし問題ないか?
じゃあ、決定~~~~~~♪
「っ!」
「お?」
俺が決定を押すと、いつも通りヒューゴの全身が光った。
これで今日からヒューゴもチートの仲間入りか?
いや、既に武器がチートだからとっくに入ってる・・・のか?
「・・・なんか、身体の中から力が漲るような感じがする?」
「ご希望通りに《剣術》の適正を上げたけど、実感できるものなのか?」
う~ん、適正レベルが上がると何かの追加効果でもあるのか?
単に適正レベルが上がっただけにしては何か違うような気がするな?
あくまで勘だけど。
「とにかく、俺もやってみるか!」
まずは自分のステータスを確認する。
うん、ポイントには余裕があるし、俺は剣と魔法の両方を上げるか!
《攻撃魔法》をレベル4、《剣術》をレベル3にする。
合計で60ptを消費、残りは55ptだ。
よし、決定!!
「おお!確かに力が漲ってくるな!?」
「だろ?」
これが追加効果なのかどうかは後で調べてみるか。
次は“ランダムガチャ”だな。
ふむふむ、どうやら色々種類があるみたいだけど、基本はみんな同じみたいだな。
ネットゲームとかにあるのと同じで、10pt単位でポイントを消費してランダムにボーナスを取得するようだ。
隠しボーナスにあったのと同じみたいだな?
けど、こっちの方が種類が豊富だな。
“武器”、“防具”、“能力”、“知識”、“道具”・・・“フリー”?
最後のは本当に何が出るのか分からないみたいだな。
・・・ん?
「おっ!初回は1人1回だけタダでできるみたいだな?“フリー”だけだけど。」
「どこの屋台だよ!」
だよな~~~。
あ、ヒューゴが言っている“屋台”っていうのはこの世界にある娯楽の一つを指す言葉だ。
分かりやすく言えば、縁日とかの射的やクジの出店だな。
ヴァールにも玩具の弓矢を使った的当てとかあったな。
どれも裏で小細工とかしてたけど。
偶に店主を泣かす荒らしとかもいるみたいだけどな?
「まあ、取りあえずやってみようぜ?ここにタッチするだけでいいみたいだし!」
「・・・今更だけど、無茶苦茶な能力だな。」
「お前の父親よりマシだろ?」
「それを言うな!!」
ちょっと卑怯だったか?
それはそうと、まずは俺からだな。
にしても、この表示されたガチャ画面、何だかモアイっぽいな?
俺はちょっとドキドキしながらモアイの鼻をタッチした。
―――――――――――ブポ♪
効果音についてはツッコまないでおく。
気にしたら負けだな。
【〈魔法知識(火)〉が出ました。】
これは・・・当たりなのか?
そう思った瞬間、俺の身体が光って頭の中に新しい知識が入ってきた。
欲を言えば“土”か“木”が良かったけど、こっちも悪くない。
修行中にこの世界に来た俺の魔法関係の知識はそんなに多くないからな。
ケビンに教えられる魔法もそろそろ底をつくところだったから、どの道助かる。
ティッシュとかだったら泣いてたな(笑)
「次はお前の番だぜ?」
「・・・ここを押せばいいんだな?」
―――――――――――ブポ♪
うん、気にしない。
さて、ヒューゴは何が出たかな?
【〈何かの卵〉が出ました。】
「「・・・・・・・・・・・・・・・・」」
何かって・・・・・。
ヒューゴの目の前にサッカーボール位の大きさの卵が現れた。
どうするの、コレ?
「・・・食べる?」
「・・・・・・まずは鑑定だろ?」
だよな。
けど今、ちょっと迷っただろ?
俺もオムレツにしようかと思ってたけどさ。
【光の聖竜の卵】
【分類】魔獣の卵
【詳細】竜種の中でも上位種であるリヒトドラゴンの卵。
適温で温めると孵化する。
また、温める際に魔力を込めるとその魔力に応じて強い個体が生まれる。
・・・・・・何、このあからさまなフラグ?
思いっきり大当たりじゃん?
俺にはヒューゴがドラゴンに乗って英雄になっている未来が見える・・・気がする。
「良かったな、大当たりじゃん♪」
「・・・・俺、どうすればいいんだよ?」
まあ、いきなりドラゴンの卵を孵化させて育てろって言われても困るよな?
それにしても、日に日にヒューゴが主人公っぽくなっていくのは俺の気のせいじゃないだろうな。
なんか、一応勇者の俺よりも勇者っぷくなっていってるんじゃないのか?
などと考えていると、不意に横から声をかけられた。
「―――――ここに居ましたか、勇者殿!!」
「あ、村長!」
武装していない村長が現れた!
バカ皇子がいないから暇になったのか?
あ、ヒューゴの足元にある卵に気付いたみたいだ。
「おや?それは竜種の卵ですか?」
「分かるんだ?」
「ええ、私も若い頃に育てた経験がありますので、しかしこれは・・・・」
「ヒューゴがボーナスで手に入れた卵で、上位竜のリヒトドラゴンの――――――」
「おお!リヒトドラゴンですか!?」
俺の言葉を途中で遮った村長は目を輝かせながら卵に注目した。
「私も現役の頃はたくさんの竜種を見てきましたが、リヒトドラゴンには1度も遭った事がありませんな。帝都の石頭の学者どもは滅んだとか存在しないとか抜かしておりましたが、まさか卵を直接この目にする事が出来るとは、長生きはするものですな!」
「・・・そんなに珍しいのか?」
俺が訊く前にヒューゴが村長に訊くと、村長は大きく首を前に振った。
「少なくとも、帝国内で最後に目撃されたのは私が生まれるよりもずっと前と聞いています。北の小国では十数年前に目撃されたという噂はありますが、あくまで噂の域は越えない話です。」
「本当かよ・・・!」
俺らが考えていた以上に超レアなドラゴンってことか。
これは育てるしかないぜ、ヒューゴ!
「あれ?そういえば、村長は何で俺を捜してたんだ?」
「おお、そうでした!先程、ヴァールのフライハイト氏から連絡がありまして、間もなく伯爵の一行がこの村に来るそうです。」
「伯爵って・・・領主か!」
「はい、以前話にあった元奴隷の人達の件も含めて勇者殿と直接話がしたいそうです。」
ああ、そんな話があったな!
村長に任せっきりで忘れるところだった。
それにしても急だな?
何だか事件のフラグとかだったりして・・・?
そんな訳で、俺は村長と一緒に領主一行のお出迎えに向かった。
ヒューゴ?
考え事したそうだったから、とりあえず放置しといた(笑)
さてと、今日もいろいろ騒がしくなりそうだな。
士郎の能力はどんどんチートになっていきます。
次回、ファル村にやってきた領主を待っていたのは・・・!?
そして新キャラが登場!
追記:“適正レベルアップ”は、第16話にあった〈魔法適正向上〉よりも上のボーナスです。似てますが、後者は魔法限定で上げられるレベルにも制限がありますが、前者はありません。消費するポイントも前者の方がお得です。