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ボーナス屋、勇者になる  作者: 爪牙
最終戦争?編
431/465

第416話 ボーナス屋、早朝からDOGEZA!

お久しぶりです。

2ヶ月以上も空いてしまいましたが新章開幕です。

というか最終章になるのかな?


――オオバ王国 秘密の離宮――


 ドタバタ続きの火が続いたある日の朝、何やらモゴモゴと正体不明の何かが猿轡を付けられながら暴れているような雑音と共に俺は目を覚ました。


 俺の両脇では婚約者ズがスヤスヤと寝息を立てているので起こさないように周囲を見渡すと、寝室の隅っこにでっかい塊が転がっていた。



「ん~!んん~~!!」


「……」



 何アレ?


 ブニョブニョとした謎の物体が必死に暴れているんだけど?


 こういう時は、取り敢えず鑑定!




【サンタクロース(赤)】




 地球世界で最も有名な期間限定の住居不法侵入常習犯だった。


 よく見たら、ブニョブニョの奥に真っ赤な服が薄らと見え隠れてしている。


 人らしいので今度はステータスで見てみる。



【名前】『奇跡者』『サンタさん』ニコラオス

【年齢】1740  【種族】神

【職業】サンタクロース 聖人 守護神  【クラス】赤いサンタクロース

【属性】光

【魔力】10/12,600,000

【状態】スライム拘束(スラ太郎参式)

【能力】神聖魔術(Lv4) 神術(Lv5) 祈祷術(Lv5) 隠形術(Lv5) プレゼント創造-極- 祝福の灯(ホーリー・ランタン) 聖獣召喚 聖樹の橇 聖ナル調理場(セイント・キッチン)

【加護・補正】物理耐性(Lv5) 魔法耐性(Lv5) 精神耐性(Lv5) 全状態異常無効化 全能力異常無効化 完全詠唱破棄 神速再生 神速回復 不老不死 悠久の記憶 守護聖人 慈愛者 救済者 巡業者 奇跡者 勤勉者 節制者 賢人 万能料理人 超有名人 クリスマスの人 子供の味方 元・人間 守護神 学問神 年神 豊饒神

【BP】9999



 サンタクロースって職業だったのか。


 そして初めて見る状態異常……“アレ”をやったのはスラ太郎だったのか。


 サンタさん、ゴメンなさい。


 そして世界中の子供達もごめんなさい。


 多分、此処に拘束されているせいでプレゼントが行き届いていない子供も大勢いるんだろうけど勘弁してください。


 スラ太郎に悪気は無く、多分、普通に離宮へ侵入した不審者を捕まえたつもりだけだから。



『ゴッケェ~!』


「……今度は何だ?」



 遠くに向かって謝罪していると外からコッコくんの鳴き声が聞こえてきた。


 何時もの早朝の雄叫びじゃない。


 まさか、コッコくんもサンタさんをパックンチョしたのか?



「俺、世界の子供達から恨まれるかもな。悪神認定されないといいけど」



 ちょっと寝惚けているのか、俺はサンタさんを不当にひっ捕らえた悪神として世界中の子供達から石を投げられる光景を思い浮かべながら庭の方へと足を運んでいく。


 ロキみたいな扱いにだけはされたくない。



『ゴケェ!』


「……コッコくん、それは何?」



 コッコくんは“何か”の上に乗っていた。


 鑑定してみると……




【サンタクロース(黒)】




 どっかのテレビ番組で聞いた事のあるブラックサンタだった。


 確か、子供達にプレゼントを贈る赤いサンタと違い、子供を麻袋に入れて拉致する妖怪だか悪魔だかのサンタ擬きだった筈だ。


 こんなのまでやってきたのか。



『ゴケ!(おはようございます!)』



 俺に気付いたコッコくんはビシッと敬礼をする。


 今更だけど、あの敬礼とか何処で覚えてくるんだ?



「おはよう。で、それは不審者として捕まえたの?」


『ゴケ!ゴケゴケ!(すみません!今すぐ片付けます!)』


「うん。綺麗に片付けろよ」


『ゴケ!(了解です!)』



 再度敬礼をするコッコくんは、地面に転がるモノを綺麗に片付けて(・・・・)いった。


 どんな風に片付けたかについては省略だ。



〈コッコくんサイコー☆  byコッコくんファンクラブ〉



 今日も天井の連中は暇みたいだな。



「あ、サンタさんを解放するのを忘れてた!早くしないとスラ太郎に……!」



 俺は寝室に放置したままのサンタさん(赤)の事を思い出し、消化・・される前に助ける為に急いで寝室へと戻った。


 サンタさんが消化されでもしたら一大事だ!


 世界が敵になる!!



〈……まあ、お前は殆ど敵無し状態だけどな。 by傍観者〉



 変な事を言うな外野!








--------------------------


「ホッホッホ!危うく二度目の死を迎える処じゃったよ」


「大 変 申 し 訳 ご ざ い ま せ ん で し た !!」


『ピピピィ~!』



 朗らかに笑いながらホットココアを飲むサンタさんの前で、俺は全身全霊のDOGEZAをし、隣では同じくスラ太郎がDOGEZA?をしていた。


 スラ太郎の拘束から解放した直後のサンタさんはまさに生死の境を彷徨っていてマジで危ない所だった。


 仮にも神格を持っているというか、神様なサンタさんを死の淵までに追い込むスラ太郎に畏怖を感じたり、悲鳴を上げながら回復魔法を全力で放ったり、俺の悲鳴で一斉に起きた婚約者ズが寝室の惨状に悲鳴を上げたり、悲鳴を聞いてコッコくんがコッコ団と一緒に颯爽登場したりと大パニックになったがどうにかサンタさんを救う事が出来た。


 で今、俺は離宮のダイニングでサンタさんを御持て成ししながら謝罪しているという訳だ。



「いやはや、今年は故郷から離れたこの世界の担当になったものの、まさか不審者と間違われて捕まるとは思いもよらなかったのう」


「本当~に、申し訳ありませんでした!!」


『ピピィ~!!』



 俺達は何度も謝罪した。



「サンタクロースのモデルはキリスト教の司祭だって説は聞いた事はあるけど、本当だったのね。というより、サンタって実在していたのね」



 俺の後ろでは唯花がサンタさんの実在した事にビックリしていた。


 そりゃそうだ。


 施設に居た頃は園長の知り合いのお爺さん(宮司)がサンタのコスプレをしてプレゼントしていたし、同級生の家でも主に父親や孫大好きなお爺さんがサンタに扮していたから、普通は本物がいるとは思わないだろう。


 アンナちゃん達に至ってはそもそも宗教や文化が違うので最近まで「サンタさんって誰?」って感じだから唯花程驚いてはいなかったけど。



「正確には『サンタクロース』という概念を司る存在の1人です。流石に1柱で全ての子供達にプレゼントを贈るのは干渉範囲を超えますので、現在は世界各地と同異存在と同盟を組んで毎年プレゼントの配布活動を行っていますね」



 唯花の疑問にソフィアちゃんが答える。


 その両腕には大きなプレゼントが抱えられている。



「サンタって複数いるの?」


「近い存在がロシアからヨーロッパ各地に居ます。主に妖精や精霊に属する者が殆どですが、この方のように聖人の域に達した聖職者が死後に神格を得てサンタクロースに成ったケースも少なくありません。ちなみに、今年の日本エリア担当のサンタクロースは数代前の元ローマ法王です。子供好きなので喜んで活動しているそうで、偶にサンタ村で目撃されたりしています」


「……信者たちが知ったら大騒ぎね」


「子供世代からの信仰が急上昇するでしょうね」



 あと、ローマ法王の仇名が「未来のサンタさん」になりそうだ。


 生きている時よりも死後の事で持て囃されるのは相当複雑な気分になる事だろうな。


 だからこれは他言無用だ。



「あの頃は名声も見返りも求めていなかったじゃがのう……」



 サンタさんは遠い過去を見つめるように昔話を語り始めた。


 歴史の生き証人(*死んでます)による昔語り!


 人間だった頃の生涯の話から死後の話、予想外に信仰を大量にゲットして神格を得た末に現在のリアルサンタクロースにジョブチェンジした話など、止めようとしても止められない怒涛の勢いで昔語りを続け、俺達はそれから逃れることは出来なかった。


 そして年寄りの長話が延々と続き、気付けば朝を軽く通り過ぎてしまい、一通りの話が終わってようやく俺達は少し遅めの朝食にありつく事が出来たのだった。


 サンタさんは朝食をフルで堪能した後に外でスタンバイしていたトナカイ達(聖獣)の退く橇に乗って東の空の彼方へと去って行った。


 時差的な関係で東の方――ガンドウ大陸辺りは未だ夜明け前なのでそっちの子供達にプレゼントを配りに行くそうだ。


 なら昔語りしてないで早く行けよと言いたいところだが、遅れさせた元凶である俺達は間違っても言えなかった。



 余談だが、サンタさんの帰宅後にステータスをチェックしていたらスラ太郎のBPがごっそり減り、更には【クラス】には「クリスマスの敵」に書き換わっていたのが発覚した。


 俺の方はBPこそ減らなかったが【クラス】が「DOGEZAの神」に変わってしまった。


 orz……








--------------------------


 サンタさんが帰って以降は至って平常運転だった。


 当初は出勤時刻に遅れそうになったがそこは分身(チート)を使ったりして誤魔化し、ちょっと秘書官(ケネスさん)に睨まれはしたけどそこはスルーして今日も書類地獄を処理していった。


 紙が容易に大量生産されるようになった弊害か、日に日に仕事量が増えているのは気のせいだろうか?


 それとも意図的に増やされているのか……と、自分のデスクでパソコンを高速で弄っている秘書官達に視線を向ける。。


 ファンタジー世界の住人による高速タイピング!


 今どきの新卒エリートサラリーマンでもあれ程のタイピングはまず無理だろう。


 日々進化する秘書官達に俺は畏怖を感じざるをえない。


 そんな中、室内に設置されている電話機が鳴り、秘書官の1人が受話器を取る。



「――――陛下、国外からの来客が来られたと。予定にはない方々ですが、先方は既に陛下とアポは取ってあると言っているそうです」


「ん?一体誰が来たんだ?」


「そ、それが……」



 受話器を持った女性秘書官は物凄く引き攣った顔をしながらどう説明したらいいのか言い淀んでいた。


 察するに予想外の珍客ってところか。



「その、て……」


「て?」


「て、天使様御一行です。150名ほどが受付に並んでいるそう……です」



 天界から非日常(シュール)がやってきたようです。











サンタクロースの起源って一杯説があるけどどれが正しいんだろう?


次回更新は未定です。


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