第412話 ボーナス屋、決着!
・文章力が欲しいと思う今日この頃。
――士郎が創った世界――
世界に巨大な漆黒の大蛇と、全身骨の外郭に覆われた巨人が顕現した。
見た目だけなら邪神感MAXだ。
――――絶対悪の権化、アンラ・マンユ(化身)
――――悪神の眷属にして暴力の神、アエーシュマ
「オッサンから分離したのか……」
オッサンが爆発した後、俺達の前にはラスボス感300%の2柱の神が現れた。
見ているだけで精神がチクチクしそうな気もしないでもないが、今の処は俺もコッコくんも魔王も何の異常もない。
『――――造物主ニ牙ヲ剥クカ。クダラヌ者達ヨ』
『無血トイウ恥辱、コノママ生キテ帰レツト思ウナ。大特異点ノ餓鬼ドモ!!』
『我ガ求メルハ黒、人ガ仮面ヲ剥ギ捨テアルガママニ世界ヲ黒ク染メ上ゲタ末ニアル黒キ虚無。ソレヲ邪魔スル者ニハ悠久ノ――――』
ラスボス(?)さん達は耳が痛くなるような声で何かを語り始めたが、それを馬鹿正直に最後まで聞いているほど俺達は甘くは無い。
という訳で、ラスボス(?)さん達には早々に退場して貰う事にした。
「必殺!《善神七連特攻大砲》!!」
「消えろ!《神魔滅殺魔王双衝》!!」
SFなデザインの巨大砲台から善神――スプンタ・マンユを筆頭とするアフラ・マズダーの眷属神7柱――を弾丸にして七連射するおれと、進化した2本の魔剣を振るう魔王。
2柱のラスボス(?)は語りの最中の不意打ちにも拘らず普通に避けようとするが、そこはコッコくんが許さなかった。
『ゴケ!』
『『!!』』
驚異の吸引力でラスボス(?)達を逃がさなかった。
それだけじゃなく、2柱の全身を幾何学模様が覆っていき、見るからにその力を封じこんでいった。
後で知ることになるコッコくんの新能力《夢幻封印》と、常識を超えた現象を対象に与える《奇々怪々》が同時に発動したのだ。
そして、俺達の必殺技が直撃する。
『『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ―――――ッッ!!』』
ラスボス(?)達の断末魔が世界に木霊する――――1.9秒間だけ。
『ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア――――――ッッ!!』
漆黒の大蛇が最後の悪足掻きの如く俺達に牙を剥き襲い掛かる。
「《創造神ビーム》!!」
『―――――ッ!!』
ある意味怖いもの知らずな光線を――俺の背後にシルエットが出ている――発射、大蛇は今度こそ消滅した。
そしてもう一方のラスボス(?)はというと……
『ゴケ♪』
瀕死の処をコッコくんに止めを刺されていなくなった。
長かった戦いはこうして幕を閉じたのだった。
呆気なく。
『ゴケ!』
「このニワトリ、主食は神なのか?」
「そだよ♪」
魔王の疑問に対し、俺は大きく頷きながら答える。
古今東西の神様を食べて成長してきたコッコくんにとって、近所迷惑な神様はご飯かオヤツだ。
だからコッコくん、後で神界に食べ歩きに行ってきてね?
〈……………え!? by生き残りの男神〉
〈大人しく喰われろ、DEATH! byネメシス〉
さ~て、戦いは終わったし、皆の所に帰るとするか!
向こうも戦いは終わっているかな?
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――ワクワク大陸 魔王城跡地――
戦いは終わっていた。
ちょっとしたすれ違いにより始まった俺と魔王との戦いだったが、最後は勇者と魔王という最強タッグ(+コッコくん)によりラスボス(?)というか黒幕達を撃破する形で終わった……筈だった。
「うわあ……」
『ゴケェ……』
「何じゃこりゃあああああああああああああ!?」
ワクワク大陸の中心で魔王は悲鳴に近い声を上げた。
そこは壮大な魔王城が建っていた場所だったが、今は何も無い更地と化していた。
――――常闇の秘境は消し飛んでいた(*物理的に)
あちこちで魔獣達が哀愁を漂わせながら落ち込んでいる姿が見える。
中には魔王軍とは関係の無い野生の魔獣も混じっているのか、どれもこれも故郷の森や山を失って絶望しているようにしか見えない。
そして、この状況を完成させたと思われる武装集団は思いっきり視線を俺から逸らしながら目の前で整列していたのだった。
「お前ら……」
「主、私は特に落ち度はありません。何時も通りに後方支援に徹し、戦闘終盤に出現した人造神性体を解析し、その結果をもとに解体しました。この現状に関しましては、主に魔王軍側が広域殲滅魔法を一斉発射したことが原因です」
ソフィアちゃんは冷静を装いながら現状を説明しているけど、顔に沢山の冷や汗が流れているのを俺は見逃さなかった。
情報担当のソフィアちゃんが事実を隠蔽したらどんな事件も迷宮入り確定だけど、僕の知っているソフィアちゃんならそんな事は絶対しないよね?
というか、「特に落ち度は」って言っている事は、大きなミスはしてないけど小さなミスはしちゃったってことでいいのかな?
「……ヒッグ!申し訳…ありましぇん……!止められましぇんでした~~~!」
ソフィアちゃんが泣いた。
脅している訳じゃないのにちょっと問い詰めたら何故か泣き崩れてしまった。
えええ!こんなキャラだったっけ!?
「おい!主犯は誰だ!!」
俺は容疑者達――ヒューゴ達や何故か縛られているバカ皇子(何故いる!?)、ユイカを筆頭とした婚約者ズ、そしてダーナ大陸連合軍(仮称)に向かって怒鳴りつける。
「いや、俺のせいじゃないからな!敵の人形を追い詰めたら全部一緒に爆発したらこうなったんだからな!」
「え~と、ゴメンなさい……」
「斧でちょっと山の天辺を吹っ飛ばしただけで……」
「聖剣を振ったら悪魔が大爆発したんだよ。あとは変なウサギがスラ太郎と……」
「ゴメンなさい。でも、私達も本気を出さないと死んじゃうところだったのよ?」
「旦那様、敵は例外なく人智を超えた存在でした。むしろこの程度の被害だったのが奇跡です」
「えっぐ!ご、ゴメンなさい……」
「スズメがあんなに強いとは思わなかったのよ。普通に最上級以上の魔法を1000連射くらいしていたし、コッチの能力を模倣してきたのよ!最後は太陽みたいなのを落としてきたし!あと、気持ち悪い化け物も出てきて大変だったの!」
「魔王?」
「チュンコ~~~~~~!!!」
魔王は絶叫した。
(一番の被害を出した)犯人は魔王四天王のスズメさんだったようだ。
探してみると1000羽近いスズメの群の中に隠れていた。
『チュン!』
スズメは開き直っていた。
しかも見た目が可愛いから誰も容赦なく怒れないって感じがヒシヒシと伝わってくる。
いや、アレは絶対癒し系能力を使っているに違いない。
『ピ~♡』
『ピ!』
そしてスズメ以上に気になる光景がすぐそこにあった。
ショッキングピンクなスライムにくっ付かれているスラ太郎……って、あのピンクスライムはスラ太郎と死闘を繰り広げた魔王の側近じゃないか!
しかもちょっと後ろでブレイくんが羨ましそうに2匹を見つめてる!
「スラミ!生きてたか!」
『ピィ!ピピピィ~!』
「は?運命の王子様を見つけたって?」
『ピィ!』
信じられないことだが、スラ太郎とあれだけの大バトルを繰り広げたピンクなスライムことスラミちゃんはバトルの最中にスラ太郎にベタ惚れ、戦闘終了後は愛の力で復活し、俺だけでなくソフィアちゃんの感知網を掻い潜ってストーキング、ずっとスラ太郎の後を追っていたそうだ。
そして大増殖したスラ太郎――現在は再び1匹に戻っている――のピンチを目にし、相手が仲間でもお構いなしに助太刀に入ったり、逆に助けられて恋心がヒートアップしたりと、ほぼ暴走ヒロイン状態になったとかかんとか……スラ太郎、取り敢えずお幸せに。
『ピィ……』
ブレイくん、羨ましがらなくても君にも出会いはあるさ。
多分。
「……スライム限定の合コンってある?」
「あるかそんなもん!」
魔王は「頭大丈夫か?」って顔で答える。
「じゃあ、戦後処理が終わったらやろう!あと、鳥類限定のも!」
「本気か!?」
そんな訳でブレイくんの為に合コンをセッティングすることにした。
だから元気出すんだよ、ブレイくん?
・七大魔王編も次回で最後です。そしてそのまま最終章へ……?登場人物たちのチートがインフレし過ぎて手に負えなくなってきた。何故だ。




