第402話 ボーナス屋、VS常闇の魔王①
――魔王城(最上階)――
色々と妨害があったけど、俺達は無事に魔王城の最上階、最後の魔王が居る部屋に到着することができた。
その部屋はテンプレな「ザ・魔王の間」で、奥にある渋い系の玉座に俺と同年代に見える日本人顔の魔王が座っていて、その周りに美女やら偉丈夫、そしてアニマルが並んで立っていた。
種族が色んな意味でバラバラだけど、どれもこれもマイナー神とは比べ物にならないほどの戦闘力があるのが感じられるな。
魔王、どんだけ魔改造したんだよ。
「来たか」
魔王は若干不機嫌な顔をしながら俺達に視線を向けた。
あの様子だと、チートはまだ完全には戻っていないようだ。
よし、ぱっぱと終わらせる為に奴らのステータスを神速チェックだ!
【名前】『最高傑作』『常闇の魔王』マルス=ラーメレフ
【年齢】20 【種族】魔神
【職業】魔王神(Lv87) 生命神(Lv78) 破壊神(Lv23) 【クラス】深淵に至りし魔王
【属性】無(全属性)
【魔力】22,400,000/22,400,000
【状態】存在修復中…
【能力】魔王之超魔法(Lv5) 超隠形術(Lv5) 魔武闘術(Lv5) 深淵禁呪(Lv5) 魔神術(Lv5) 魔神之御力(Lv5) 超召喚術 八原罪 魔神眼 森羅吸収 世界を纏いし覇王 万物干渉 万能変化 生命之創造主 転生之王 深淵之魔王 真紅ノ奈落 運命之支配神 万物鑑定 魔皇剣ダインスレイヴ 魔帝剣ティルヴィング
【加護・補正】物理攻撃無効化 魔法攻撃無効化 精神攻撃無効化 全属性無効化 全状態異常完全無効化 全能力異常完全無効化 不老不死 神速回復 神速再生 完全詠唱破棄 並列思考 超五感 危険察知 万能遺伝子 魂魄絶対防壁 絶倫 魔人の本能 深淵の契約者 転生者 昇神者 魔獣の支配者 創られし魔王 神滅者 悪魔ハンター 巨人ハンター 闇の魂 魔王神 (盟主の奴隷) (闇堕ち) (闇の依代) 悪神アンラ・マンユの加護(+7) 無限神ウロボロスの加護(+5) 魔神バロールの加護(+5) 天界神アメノトコタチの加護(+4) 混沌王アポフィスの加護(+4) サマエルの加護(+3) 冥王ハデスの加護(+3) 邪龍神アジ・ダハーカの契約 悪魔の契約 etc
【BP】0
まだ不完全なのにドチート!
魔力量が俺よりも200万以上も上だし《盟主》全員の加護を強めに貰っている!
ハッキリ言って、今までのネタな魔王達は何だったのかと思いたくなるほどのハイスペックだ。
時間が経てばこれよりも更に強くなるんだっていうんだから復活前に来て良かった。
「お前達の事は聞いている。よくもやってくれたな、勇者」
魔王(魔神?)は隠すことなく俺達に――正確にはさっき一発与えたクロウの方に大目に――剥き出しの敵意を向けてきた。
アレは相当効いたみたいだな。
「本当ならダーナ大陸の方に帰ってもらいたかったが、俺達が直接相手しなければいけないようだな?とんだ化け物だ」
「お前に言われたくはない!」
魔力量ならお前の方が断然化け物だ。
おまけに周りに居る奴らも化け物ばかりだ。
あ、ヌンチャク持ったウサギが来い来いと誘ってる。
【名前】『拳法白兎』ジャッキー=リー
【年齢】1 【種族】猛烈☆武神白兎
【職業】拳☆聖(Lv46) 魔王四天王(Lv84) 兎皇(Lv55) 【クラス】再起のウサギ!
【属性】無(全属性)
【魔力】9,872,000/12,850,000
*以下略
二つ名が種族名に思えるのは気のせいか?
それにしても四天王、他のは……
【名前】『小さな巨砲』チュンコ=∞=ヴァーミリオン
【年齢】8 【種族】超雀神
【職業】術聖(Lv58) 魔王四天王(Lv79) 超雀神(Lv100) 【クラス】智慧の神
【属性】無(全属性)
【魔力】14,000,000/14,000,000
*以下略
【名前】『黒き妖精騎士王』バーニス=ティアウッド
【年齢】199 【種族】ゴッドエルフ(黒)
【職業】精霊騎聖(Lv50) 魔王四天王(Lv69) 森精神(Lv46) 【クラス】エルフの神
【属性】無(全属性)
【魔力】11,780,000/11,780,000
*以下略
【名前】『青の大侯爵』サミジーナ
【年齢】17461 【種族】超魔
【職業】大侯爵Ex(Lv169) 魔王四天王(Lv81) 超魔賢者(Lv55) 【クラス】神殺しの悪魔
【属性】無(全属性)
【魔力】13,400,000/13,400,000
*以下略
ステータス全部見せたら混乱しそうなので最低限の情報だけ紹介。
もうさ、俺か『大魔王』が居なかったらこの世界は魔王の支配下に落ちてるよな。
どこぞの大神でも勝てそうにないよ、四天王。
それに最後の四天王、もしかしなくてもあの有名な『ソロモン72柱』の悪魔だろ!序列4位!
見た目は馬だけどステータスがマジラスボス!!
「片腕を倒して位で……無駄な会話は止めだ。お前達は此処で死ね!」
先手必勝は向こうも一緒か。
攻撃は真下か!
「――――!」
「《光煌く神弾》!」
床から槍が飛び出してくるのと同時に、俺は魔王達に向けて一撃をお見舞いする。
槍は禁呪満載の初見殺しなものだったが、俺が避けた直後にスラ太郎のオヤツになって消滅、俺は気にせず神弾を連射していき、クロウも魔王の側近さん達に向けて手加減ナシの、城が余裕で消し飛ぶ威力の猛攻を開始していく。
「――――サミジーナ」
魔王が四天王の名前を呟くと、俺とクロウの攻撃は忽然と消えた。
いや、これは……
〈消えたのではなく、別の時間軸へと転送されました。悪魔サミジーナは時間を司る72柱序列4位の最高位悪魔です。それが魔王により強化され、対象を自由に時間転移させる事が可能になっています。先程消えた主の攻撃は後で此方側に返されると推測されます〉
ソフィアちゃん登場!
こっちのサポートに来てくれたという事は、ダーナ大陸の方は粗方片付いたってことだな。
〈状況を解析しました。現時点において、主と同じ超神級の個体を魔王を含め3体確認。続いて四天王を含めた準超神級を12体確認しました。現状では数の差で主側が不利です。直ちに味方の召喚を推奨します〉
魔王陣営は魔王を含めて全員が魔力1000万超えの化け物揃いだった。
他の魔王が出来損ないなのも肯けるほどの圧倒的戦力差だ。
俺サイドには3人しかいないから確かに不利だな。
スラ太郎が超分裂したら別かもしれないけど。
せめてコッコくんが居てくれたら……
〈『創世の蛇』からの妨害により、コッコくんとの連絡及び召喚が妨害されています。直ちに対処していますのでもう暫くお待ち下さい〉
コッコく~ん!
流石に敵サイドも俺達の最高戦力と合流させる気は微塵も無いってことだ。
俺だって、あの向こうのスラミが戦線復帰しようとしているのを見たらポチッと妨害するしな。
『アチョ~!』
とか考えている内に魔王の部下が動き出した。
先陣はカンフーウサギ!
マッハ100を超える速度で突撃してきたが、思考速度を自由に調整できる俺達は余裕のその動きを捉え、クロウが片手でウサギの足を掴んだ。
「ム!」
が、直後にクロウの全身を超重力の猛威が襲う。
触れた者に加重を加える戦法のようだが、クロウを縛るには威力が足りない。
「今夜はジビエか?」
『アチョ!?』
ウサギの本能なのか、クロウの呟きに身の危険を感じて後ろに下がった。
俺はすかさず神弾を撃つが、ウサギはそれをヌンチャクで弾いた。
ナンダト……!
「――――あいつ等の装備は全て神器級だ」
不意に背後から魔王の声が聞こえてきたと思ったら、眼前に魔剣の刃が迫っていた。
あ、ヤバい!
『ピィ!』
「チッ!流石にスラミを倒しただけはある……!」
俺の危機をスラ太郎がスライムパンチで救ってくれた。
その直後に敵側の黒エルフがスラ太郎の真上に現れて一刀両断……かに思われたがスラ太郎は分裂して避け、数の暴力で反撃していった。
「クラウ・ソラス!!」
「ティルヴィング!!」
俺はクラウ・ソラスで斬りかかり、魔王は魔剣でそれを受け止める。
すぐ傍では悪魔とスズメがクロウと戦闘を開始しており、それ以外の敵戦力は分裂したスラ太郎の相手をしている。
そして広いようで狭かった空間に暴力の嵐が吹き荒れ、魔王城の先端にある部屋はその理不尽な耐久度を超える理不尽に耐え切れずに消し飛んでいったのだった。
「――――ッ!とんでもない剣技だな!」
「お前こそ!まともな人間が使う技じゃないな!」
俺と魔王は魔王城の一部全壊など気にも留めず互いに刃を振るっていた。
俺も大概だが、魔王の剣技も尋常ではない域に達していて、練度でも俺に引けを取っていなかった。
練度という程年季が有る訳じゃないけど。
〈残り時間116秒……〉
魔王のチート完全復活まであと2分弱、面倒になる前にこの2分弱の間に勝負を付ける!
そう意気込んでいた俺だったが、世の中はそんなに甘くは無かった。
――――来い。暗黒邪龍神。
実際に耳で聞いた訳じゃないが、その時俺は魔王が精神でそう呟いたのを感じ取った。
そしてこの直後、地上から邪悪の権化が俺達の前に姿を現した。
『グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ――――――ッッ!!!!』
魔王城に匹敵する巨体が禍々しいオーラを纏いながら地中から飛び出し、その三頭龍の咆哮はマッハ200に達する衝撃波となって俺に牙を剥いた。
幸い咄嗟に出した《超神の双翼》によって防ぐことは出来なかったが、代わりに魔王城周辺の地形が一瞬にして破壊し尽くされていた。
〈魔王の契約龍『アジ・ダハーカ』です!〉
冷静に伝えてくれるソフィアちゃんだが、その声には若干の動揺があったのを俺は感じ取った。
そりゃあ、クロウには劣るとはいえ、あんな化け物を前にしたら普通はビビるだろうよ。
【名前】『原初の邪龍』『邪の龍王』アジ・ダハーカ
【年齢】167,117,654 【種族】邪龍族
【職業】邪龍神(Lv21) 暗黒神(Lv20) 破壊神(Lv20) 【クラス】邪龍の神
【属性】暗黒
【魔力】16,000,000/16,000,000
【状態】狂乱 支配下
【能力】邪龍神魔法(Lv5) 邪龍神術(Lv5) 暗黒神之御力(Lv5) 破壊神之御力(Lv5) 深淵邪眼 深淵の邪牙 喰神 邪神の息吹 天壌破嵐 反逆の神鱗 森羅浸蝕 死滅波動 奈落胃袋 狂気波動 邪龍神武装化 天候支配 絶望と暗黒に沈む世界 悪夢に君臨する覇王 眷属創造 魔界転生 邪進化 分裂増殖 最適化 etc
【加護・補正】物理攻撃完全無効化 魔法無効化 精神攻撃無効化 全属性無効化 全状態異常無効化 全能力異常無効化 完全詠唱破棄 神速再生 神速回復 不老不死 悠久の記憶 邪龍神の恐怖 限界皆無 捕食者 神滅者 昇神者 悪魔殲滅者 天使殲滅者 滅びの化身 邪龍の始祖 神代の龍 悠久の龍 天地の覇龍 神と魔を喰らう者 邪悪の因子 邪龍神 暗黒神 破壊神 悪神アンラ・マンユの眷属 魔王の契約
【BP】――
ヤバいな。
魔王と一緒に相手するのは流石に厳しいな。
「やれ!」
『グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』
「轟け!」
取り敢えずは《超神雷霆》を盛大にぶちかます。
もう大陸を消し飛ばすか切り裂くんじゃないかって思えるほどの雷の豪雨が空から降ってきたが、信じれない事に目の前の魔王の邪龍は動揺するどころか反射したり吸収したり食べたりと、無傷ではないが普通に対応できていた。
マジですか!
〈いえ、アレは一種の力業です。神器としての格は主の《超神雷霆》は魔王の所有する神器よりも数段上ですので、対抗する為に有り余る魔力を利用しているようです。直撃さえすれば確実に大ダメージを与えられます〉
ああ、向こうも《神速回復》があるから魔力の残量を気にしないで使える訳だ。
だからといってそれで対抗できるのは十分に凄いんだけどな。
『グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ――――ッッ!!』
アジ・ダハーカが俺に向かってブレス×3を放った。
吸収しようかと思ったけど、俺の直感が吸収したらヤバいと告げていたので避けてもう一度《超神雷霆》をお見舞いし、間を開けずにブリューナクの一撃も加える。
そして閃光と化した魔王の一撃をクラウ・ソラスで受け止める。
「……化け物め!」
「お互い様だ!」
俺と魔王は互いに相手にドン引きしながらも熾烈な戦いを繰り広げていく。
だが、やはりアジ・ダハーカの分だけ俺の方が不利な上に、下の方から他の魔王の部下が援護射撃をして来たりするからすぐに追い込まれそうになる。
コッコくんが居たら合体できるんだけどな。
こうなったらクロウかスラ太郎と超神合体(?)でもするか……と思ったら大ピンチになった。
「進化しろ――――ダインスレイヴ!!」
「!?」
ちょっと魔剣が掠った際に零れた俺の血を吸い、それがきっかけになったのか魔剣の1本が進化し始めた。
〈主の生血は栄養超満点です!それ自体がレア進化アイテムです!〉
それは早く言ってよ!
「隙あり!」
「っねえよ!!」
斬撃と一緒に強烈な魔法も数十発お見舞いする。
「……!」
「な!」
しかし、奴は俺の視界だけでなく感知網からも消え、代わりに見えたのは俺に向かって巨大な咢を開けたアジ・ダハーカだった。
俺は転移で避けようとするが、妨害が入っているのかできない。
ついでに言えばソフィアちゃんとの念話もタイミング悪く途切れてしまっている。
あ、ヤバい……!
『グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』
そして、俺はアジ・ダハーカのお口にパックン――――――
『――――させませんよ』
その瞬間、俺の丸飲みにしようとした邪龍の頭を白銀の一閃が貫き、同時に一本の矢が俺の脇を横切って俺に斬撃を放とうとしていた魔王に直撃した。
〈残り時間95秒……〉
魔王はあれで全快ではない。
時間切れになったらもっと凄くなります。




