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ボーナス屋、勇者になる  作者: 爪牙
人間卒業編
404/465

第390話 ボーナス屋、ステータスを確認する③

――オオバ王国 秘密の離宮――


 正午が過ぎ、昼食を食べ終えた俺達はリビングで寛いでいた。


 ちなみに今日の料理担当はソフィアちゃんで、持ち前のチート能力も活用して三ツ星レストラン級のランチを作ってくれた。


 この事に一部の婚約者ズが何かスイッチが入ったように燃え出したのだが、今は気付かないフリをしておく。



「2人はこっちには慣れそうか?」



 俺は薺さんと光葉ちゃんに訊ねた。


 2人がオオバ王国に来てから約2日、日本風な文化で暮らしていた彼女達にとって西洋風な面が強いこの国には当初かなり驚きの連続だったようだけど、唯花やアンナちゃん達がサポートしてくれている。


 といっても昨日はガンドウ大陸に行っていたから、本格的にサポートを始めたのは今朝からなんだけどな。



「初めての土地ですので戸惑う事も多いですが、奥方様達(・・・・)の助けもあり少しずつ慣れている状況でございます。街の方々も大変好意的に受け入れてくださりますので問題はありません」


「お食事も大変美味しいです!私の気のせいかも知れませんけど、一口食べる毎に力が湧いてくるような気がします!」


「それは確かに。今朝のお味噌汁もこの世の物ではないかのようなお味でした。それにお新香も……」



 特に不満も問題も無い様だけど、2人は国の事よりも食事の方に驚いているようだ。


 無理もない。


 この秘密の離宮には日本食に困ることが無い様に味噌や醤油、納豆に漬物を常時備蓄してある隠し部屋があるのだが、何時の間にか味噌樽やら糠床に神様の加護(・・・・・)が掛かっていたのだ。


 どの神様の加護については省くが、お蔭で美味しい和食にありつけるし、加護のせいか食べると気も体力も回復、代謝も上がるから体脂肪率の上昇も抑えられると唯花も大喜びだ。


 しかも美味!



「それに気のせいかも知れませんが、時折、天から神々しい声が聞こえてくるのです。しかも必ずと言っていいほど、最後には名前を付けて」


「あ!それは私もです!」


「「「……」」」



 俺達は一斉に視線を逸らした。


 そういえば、時折聞こえてくる神の声に関してちゃんと説明した記憶が無い気がする。


 薺さんも光葉ちゃんも神職系だから、詳細を知ったら卒倒するかもしれないけど。



「そ、それで、午後も国内の散策をするのか?」


「はい!午後は東部の街を見に行きます!士郎様も御一緒にどうです?」


「俺は――――」


「駄目よ光葉ちゃん!王様(しろう)には公務という大事な仕事があるんだから!」


「そうよ!国家君主が公務ほったらかしていたらクーデター発生よ!」


「あのう、仕事はちゃんとした方がいいです」


「……はい」



 女性陣の数の暴力の前に俺は屈した。


 ぶっちゃけ、仕事はそこそこ溜まっているから反論が出来ない。


 はあ、午後はフルでデスクワークだな。







--------------------------


――オオバ王国 南部大樹海――


『薄々予感はしていたが、お前もついに人間を辞めたか』



 呼んだ直後にそんな事を言うのは龍神クロウ・クルワッハ。


 神速で仕事を一通り片付けた俺は、休憩がてら人気のない樹海のど真ん中でクロウを呼び出していた。



「俺が人間辞めたことで、そっちに何か影響とか無かったか?」


『あった』


「即答かよ!で、嫌味でも言われたのか?」


『そっちの方が幾らかマシだったな。お前が『超神』になった直後、地球世界のゲス神達が笑い声を上げながら絡んできた。「これからも頼むぜ☆」とか、「お前の超進化も期待してるぞ♪」とか、「TS進化とかもあるのか?」と、酒を飲みながら言われたな。ハッキリ言ってウザかった』



 クロウも大変だったらしい。


 基本的に神々には碌な奴が居ないのはロキやヘルメスで証明済みだ。


 昨日の一件も大勢の神々が観戦していたから、同じ神であるクロウに絡みに行く(バカ)が多かれ少なかれいるとは思ったけど予想通りだったということだ。



『俺が短期間で化けた(・・・)ことが拍車をかけたようだな。まったく、神代から微塵も変わっていない連中だ』


「ああ……クロウも()チートになったんだよな」



 殆どの人は知らない。


 というより俺自身も殆ど忘れていた、というかクロウの出番が少ないせいで語られる事が無かったが、龍神であるクロウも俺のチートの恩恵を受けてドチートと化している。


 ここ最近はステータスも確認していなかったけど、一目見ただけで最初にあった頃とは別人(神?)のように纏っている空気が違う事から相当強くなったんだろう。


 良い機会だし、久しぶりにクロウのステータスを確認してみるか。



「ちょっとステータスを確認するぞ?」


『……ああ、取り敢えず驚くなとだけ言っておく』


「……」



 クロウの意味深な言葉に何故か冷や汗が流れた。


 兎に角、ステータスよ出ろ!



【名前】『太陽と月の龍神』クロウ・クルワッハ

【年齢】193,085,225  【種族】真龍族(黄金の氏族) New!

【職業】真龍神(Lv123) 天地神(Lv119) 超次元覇者(Lv100)  【クラス】真ナル龍神 New!

【属性】無(全属性)

【魔力】21,100,000/21,100,000

【状態】正常(完全健康体)

【能力】真ナル神魔法(Lv5) New! 真龍武闘術(Lv5) New! 真龍神術(Lv5) New! 天地神之御力(Lv5) 輪廻神之御力(Lv4) New! 真龍神眼 New! 悠久の光天 New! 万色之息吹 New! 万物創造 New! 因果の光 New! 真龍神の宝物殿 New! 黄金之覇王(パーフェクト・エンペラー) New! 三千大千世界之変化身(サウザント・アヴァター) New! 無慈悲な断罪超神(アブソリュート・チート・イレイザー) New! 時空支配 New! 真龍の大晩餐会(アビス・グラ・ドラグーン) New! etc

【加護・補正】物理攻撃無効化 New! 魔法無効化 New! 精神攻撃無効化 New! 全属性無効化 New! 全状態異常無効化 全能力異常無効化 完全詠唱破棄 神速再生 神速回復 不老不死 黄金の鱗光 New! 悠久の記憶 真龍神の威光 New! 限界皆無 New! 神滅者 New! 悪魔ハンター 天使ハンター 魔王ハンター New! 天魔殲滅者 New! 超次元ハンター 真龍の始祖 New! 怪物(笑) New! 神代の龍 悠久の龍 天地の覇龍 神と魔を喰らう者 真龍神 New! 天地神 New! 輪廻神 New!  超神の契約 New! 職業補正 職業レベル補正 etc

【BP】828(*全自動決定:ON)



「は?」


『……』



 気のせいかと思ったが気のせいじゃなかった。


 俺は更に詳しく視てみる。



三千大千世界之変化身(サウザント・アヴァター)

【分類】固有能力

【階級】Ⅸ-(準・混沌級)

【詳細】・全時空に自身の同一存在である分身体を送り込み世界を見届ける。

    ・各分身体は現地の知的生命体の中に転生し、各々の人生を歩みながら本体と情報を共有する。

    ・貴方は何処にでも存在する。



無慈悲な断罪超神(アブソリュート・チート・イレイザー)

【分類】固有能力

【階級】Ⅸ(混沌級)

【詳細】・全てのチートを強制的に無効化・消滅させる。

    ・罪人は回避も防御も不可能。

    ・何人たりともも無慈悲な光からは逃げられない。



真龍の大晩餐会(アビス・グラ・ドラグーン)

【分類】固有能力

【階級】Ⅷ+++(深淵級)

【詳細】・森羅万象を喰らい糧とする。

    ・真なる龍は世界を喰らう。

    ・これは未だ不完全なり。



「俺より強くね?」



 ヤバそうだった。


 まさか、今まさに俺が警戒すべき能力(チート)身内(クロウ)が持っているとは――――灯台下暗しだな!



『お蔭で一部の悪神と悪龍(バカ)どもが大人しくなったな。俺を敵に回したら最後、と考えて引き籠る連中もいるようだ』


「ああ……。即、無能化されそうだしな」


『前科のある連中の中には天岩戸に引き籠っているのも居るらしいが、何故か「これでアマテラス様が引き籠る事は無い!ヒャッホー!」と喜んでいる連中が居たな』


「……」



 間接的に日本神話で有名な「天岩戸事件」の再発防止に役立っているようだが、そもそも天岩戸そのものを壊した方が早いんじゃないのかと思うのは俺だけだろうか。


 それにしても、ロキやヘルメス達以外にも問題のある神はわんさかいたとか。


 分かってはいたけど、大丈夫か神?



『……既に末期だ。諦めろ』


「だよな」



 そのせいで俺の家族はとばっちりを受けたんだけどな!



『そういえば気になっていたんだが……』


「何?」



 話題を切り替えるように苦労は周囲を見渡しながら訝しむ様に俺に訊ねてきた。



『何日前からか、何時もお前の傍にくっ付いていた鶏とスライムの姿が何所にも見当たらないんだが?』


「え!」


『姿どころか気配すら無い』


「え!!」



 一瞬、何を言っているんだろうかと思った。


 鶏とスライム……コッコくんとスラ太郎?



『似た様なのは沢山いるが、お前と契約した時に一緒に居た鶏が大陸中を見渡しても見つからないが、何か用事でも与えた――――訳では無い様だな?』


「いやいやいや!!」



 俺は慌てて全世界に探知網を広げた。


 結果、コッコくんとスラ太郎は引っ掛からなかった。


 俺のステータスに2人(?)の契約が載っているから死んではいないけど、まさか皆に黙って家出とか、修業の旅に出かけた!?


 そしてスラ太郎は超進化したのか!?



「何処に居るんだ~~~!!」


『今のお前でも見つからない、だと!?なら、奴らも俺の様に強くなり過ぎてお前と同次元の存在になった可能性が出てくるな。それか、俺達と同格かそれ以上の誰かに捕まったか、或いは今も戦闘中かということになるな』


「ソフィアちゃん!ソフィアちゃん!今すぐ応答してくれ!!」



 俺は情報を得るべくソフィアちゃんに《念話》で緊急連絡をした。


 困った時はお巡りさんよりもソフィアちゃんが一番だ!



〈――――(マスター)。只今、料理人達が鋭意制作中の揚げジャガの試食をしているところです。やはり、ポテトは揚げが正義のようです♪〉


「ソフィアちゃん!コッコくん達の現状は!?今何所に居るの!?」



 只今お食事中のソフィアちゃんに俺は声を荒げながらコッコくん達の現在位置を訊ねた。


 そういえば、ソフィアちゃんなら世界で起きている事を逸早く知ることができる筈なのに、どうして今まで教えてくれなかったんだろう。



〈――――ッッ!?これは!!〉


「どうした!」


〈申し訳ありません!私の全自動情報網によれば、コッコくんはコッコ団の遠征訓練の為に留守となっていましたが、どうやら彼と同行しているスラ太郎により私の情報を改竄されていたようです!〉


「改竄!?」


〈私が意識して探らない限りバレないようにされていました!主の一部である私の力をハッキングするとは、スラ太郎……!!〉



 ソフィアちゃんはスラ太郎にライバル心を抱いた。


 まさか、生きたチートであるソフィアちゃんの力を掻い潜った挙句にハッキングまでしでかすなんて、一体、どれだけ超進化したんだスラ太郎。



〈あ――――!〉


「ん?」


〈……〉


「ソフィアちゃん?」


〈……〉



 ソフィアちゃんの沈黙が続いた。


 この展開、どう考えても何かがあったとしか思えない。



〈主…………コッコくん達を発見しました。しかし……〉


「……何か、あったのか?」


〈……〉



 また沈黙が。


 コッコくん、スラ太郎、君達は一体何をしているんだ?



〈失礼しました。先にスラ太郎くんの現在位置をお話しします〉


「うん。構わないよ」


〈スラ太郎くんは現在、ワクワク大陸にある『常闇の秘境』に居ます〉



 そこは俺がまだ言った事の無い最後の大陸だった。


 奴隷が盛り沢山の大陸で、運悪く漂着したダーナ大陸の人達が大勢いる場所でもある。


 まあ、その人達の心配は暫く必要ないから省くとして、何でスラ太郎はそこに居るんだ?



〈スラ太郎くんはコッコくんと一緒に敵情視察に向かったのですが、そこで不審者と遭遇、尾行を開始したのですがトラブルによりコッコくんと逸れてしまったのです〉


「迷子!スラ太郎は迷子なのか!」



 もしくは魔王に捕まって「ピィ!」と泣いているのか!?



〈いえ、何故か現地のスライム達を束ねて秘境の支配者になりました。現地の魔獣からは『スライム大帝』と呼ばれ畏れられています〉


「建国!?」



 スラ太郎、お前は一体何をしているんだ!?



〈その強さのあまり、現地の魔王に勧誘(スカウト)されたのですが当然拒否し、現在は魔王軍と絶賛戦争中です。魔王軍にもチートなスライムがおり、今もスラ太郎くんと激闘を繰り広げています〉


「スラ太郎と激闘って、どんな化物だよ!!」



 俺の知るスラ太郎は既にゴッドな存在に進化している。


 神話に出てくる神様だろうと怪物だろうともご飯にしてしまうスーパーヒーローだ。


 そんなスラ太郎と互角に渡り合えるスライムなんて、俺の知る限りじゃブレイくんだけだぞ。


 俺は急に寒気がした。



「敵の情報は分かるか!できればステータスを!」


〈……できます!少々苦労しましたが、正確なステータス情報を入手しました!〉


「じゃあ、スラ太郎のステータスと一緒に表示してくれ!」


〈了解しました!〉



 そして、俺の目の前にソフィアちゃんから送られてくるスラ太郎達のステータス情報が表示され、その内容に俺だけじゃなくクロウも眼を丸くさせた。



「『――――おい!!』」







 元が神なので進化も早かったようです。

 次回はスラ太郎達のステータスが……?


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