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ボーナス屋、勇者になる  作者: 爪牙
異界の七大魔王編Ⅳ―オリンポス大陸の章―
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第360話 勇者達のその後①

ノロウィルス撃破!

これからガンドウ大陸編の執筆を開始します。

出来上がるまでの間、書いたはいいが出すかどうか迷っていたオリンポス大陸編のエピローグで暇を潰してみてください。

本当、どうして此処まで長くなったんだろ……


 オリンポス大陸各地に出現した12の『大迷宮』から始まった一連の騒動は、攻略者こと勇者達によって魔王タルタロスⅡ世が討伐された事によって終息する、かと思われた。


 実際は魔王軍と破壊神テュポーンの残した爪痕を癒す為、または今後の『大迷宮』の管理についての国家や冒険者ギルドとの協議など、逆に沢山の問題が山積みにされていた。


 特に最近滅んだばかりの旧アウルム王国の問題は深刻で、魔王軍の侵攻を受けた都市部では隣国へ移住しようとする民衆が増加傾向にあり、旧王国を管理していたソル帝国や神聖グラディウス皇国の悩みの種となっていた。


 そんな中、各国の大神殿には女神ヘスティアを始めとしたオリンポス神々の神託がおり、今回の事件の顛末が大陸中に伝えられ、暗い空気に包まれていたオリンポス大陸の暮らす人々に希望を与えていった。


 それに加え、ソル帝国の大神殿には女神アルテミスからこんな神託が告げられた。



『今回の騒動の共犯者である愚弟(アポロン)を暫くの間そちらに置いておくので、遠慮しないでビシバシと使ってあげてね♡勿論、不老不死になりたいとか死んだ人を生き返らせてほしいとは駄目よ♪あくまで常識の範囲で扱き使ってあげてね♡♡♡』



 結果的に主犯ヘルメスの共犯者となった太陽神アポロンに対し、女神アルテミスは現世で懲役100年の刑という判決を下したのだった。


 無限の時を生きる神々にとっては一瞬に等しい期間だが、その分、かなり濃厚な刑が待っていそうだ。


 勿論、力は人間レベルに制限されたので何でもできる訳ではない。


 その点も神託の際に告げられたのだが、それでも本物の神が自分達と同じ大地に滞在するとあって、アポロンの信徒達はもう死んでもいいと言わんばかりに大興奮したのだった。


 一部の高齢者は本当に死にかけたが、そこは気合で助かったらしい。


 尚、信仰する神が行方不明中の『ヘラ大神殿』、『ゼウス大神殿』等には2柱の息子である神ヘファイストスが代理で神託を告げた。



『あの夫婦は日頃の行いが悪かったので無期限停職中である。何時復職するかは数百年単位で未定なので、今後のことは自分達で考えよ』



 嘘のようで嘘でじゃない神託に神官達が大混乱したのは言うまでもないのだが、慌てたところで彼らが信仰する神々は現れない。


 ゼウスはゼウスライムになっており、ヘラに至ってはヘファイストスのようにすぐに復活した訳でもなく、今も行方不明なのだ。


 今後のことは神に頼らず自分達で考えていくしかない。


 そうでなくても、神々は気分屋ばかりなので極端に依存するのは自殺行為、場合によってはデメテルの信徒達のような悲劇が起きかねないのだから、これをきっかけに神離れをするのもいいのかもしれない。


 むしろ、そのデメテルの信徒達の方が悲惨過ぎて、それに比べたら他の神の信徒達は幸せすぎるくらいなのだから。


 さて、この様に『大迷宮』が攻略され魔王が倒されたオリンポス大陸では、数々の問題を抱えながらも次の時代へのステップを踏もうとしている。


 今回はこの大陸各国のその後について少しだけ紹介しようと思う。







--------------------------


――旧アウルム王国 『ゼウス大迷宮』――


 攻略後も天高く聳え立つ『ゼウス大迷宮』、その周辺に広がる街の賑わいは最高潮に達していた。


 原因は攻略者の登場、冒険者ではない街の住人の子供達が『大迷宮』の最終階層に到達し、神の試練を乗り越え攻略者として認められたからだ。


 どうして街の住人達が攻略者の登場を知ることができたかというと、今は亡き(笑)ヘルメスが各地の『大迷宮』にコッソリと仕込んだ仕掛けにより、攻略と同時に『ゼウス大迷宮』から大鐘楼を思わせる大きな鐘の音が遥か山の向こう側にまで響き渡り、『大迷宮』の入口の周りの壁に攻略者の名前が刻まれた石碑が出現したからだ。


 これにより、オリンポス大陸中の人々は攻略者の存在を知り、また、一部では神の神託も合わさって魔王軍侵攻で暗い空気に包まれていた各地は一転して明るい空気に包まれていったのだ。



「こんのバカ息子がああああああああ!突然居なくなってドンダケ心配したんだと思ってんだ!!ライバル店にも土下座して一緒に捜してもらってたんだぞ!!」


「っ痛え!!悪かったって言っているだろ、クソ親父!!」


「痛いのはこっちだバカ息子が!!ドンダケ硬い頭してんだ!!」



 『大迷宮』から帰還したユークを、彼の父親は顔を真っ赤にしながら本気で殴った。


 だが、レベルアップなどにより人外レベルの防御力になっているユークを素手で殴ったため、逆に父親の手が大ダメージを受けていた。



「てめえは分かってねえ!!どれだけ……どれだけ俺が心配…したと……!!」


「お、親父……?」


「お前まで、お前まで死んだら……死んだアイツに顔向けできねえじゃねえか!!命を、粗末にしてんじゃねえ、バカ息子!!」


「親父……」



 次第に号泣し出す父親を見て、ミロスは自分がどれだけ親に心配をかけていたのかようやく理解する。


 彼の母親は彼が小さい頃に盗賊から夫と息子を庇って死に、それ以降は父と子の3人で生きてきた。


 その一人息子がある日突然居なくなり、何日経っても見つからなかった父親の心境は、前世の20年分の人生の記憶が蘇った――彼は前世では親になるどころか結婚もする前に死んだ――ミロスにも想像できない。


 ただ1つ分かるのは、自分が前世と同様に親不孝者だったという事だ。



「……ゴメン」


「うぅ……バカ息子が!!」



 ミロスが謝ると、父親は涙腺を大崩壊させながら一人息子を力強く抱きしめた。


 力強く抱きしめているせいで全身の骨にヒビが入りかけているのにも拘らず息子を抱きしめる父親の姿に、周囲の野次馬も涙を流し始めた。


 一方、少し離れた場所では、ミロスの相棒ユークが両親に抱きしめられていた。



「ゴメンねユーク、お母さんが仕事ばかりさせたせいで怖い目に遭わせちゃって……本当にゴメンね」


「悪かったユーク、父さんと母さんの尻拭いを手伝わせてなければ『大迷宮』の罠に襲われる事もなかったのに」


「本当……生きてて良かった……!!」


「ああ、しかも英雄になって帰ってくるなんてな……お前は私達の誇りだ!!」


「母さん、父さん……」



 両親に抱きしめられながら、ユークは両親の愛情を直に感じ取っていた。


 その光景を、同じく野次馬が涙を流しながら見守る。



「うんうん、良かったねヨークくん♡」


「良い話だにゃ~」


「オホホホホ♪」


「(よし!このまま良いムードを保ったままお義母様達に挨拶よ!)」


「(年下の旦那ゲットよ!)」


「(男だけの家に現れた美人妻、これでイケるわ!)」



 そんな中、ミロスとユークと同じパーティに居た女性人達は虎視眈々と婚約(ゴール)するタイミングを見計らっていた。


 もっとも、この世界における成人年齢は15才であり、『大迷宮』でそれなりに長い時間を過ごしていたとしても現実時間で言えばミロスは12歳、ユークに至ってはまだ11歳なので結婚できるのにはまだ3,4年掛かるので急ぐ必要は無いのだが。



「親父!取り敢えず、俺達が『大迷宮』で集めた戦利品を見てくれよ!鉱石とかも沢山集めて来たんだぜ!」


「稀少な薬草や、薬のレシピもあったよ!」



 そしてそんな事になっているとは露知らず、当人達は家族との再会の勘当を十二分に味わい終え、『大迷宮』での戦果を大衆の目も気にせずに発表し始めた。


 その大衆に混じって、冒険者ギルドを始め商業ギルド、鍛冶ギルド、医薬ギルドの人間が目を光らせ、美味しい(アイテム)をどうにか買い取ろうとしていた。



「……ぐす!お、おう!お前が漢を張って手に入れた物を見せてもらおうか!で、何処にあるんだ?」


「驚くなよ親父?アイテムボックスにたっぷり入れて来たからよ♪」


「あいてむぼっくす?」



 初めて聞く単語に首を傾げる父親を余所に、ミロスは何も無い空間に直径30cm程の穴を開けてその中に腕を突っ込んだ。


 少し離れた場所ではユークも同じ事をして親だけでなく野次馬たち喉肝を抜かせていた。



「ほら、まずは伝説の金属(オリハルコン)が50トン!」


「え!」



 ドンと、純度100%のオリハルコンの塊が目の前に現れ、一般人の殆どは言葉を失ってしまう。


 ちなみにオリンポス大陸でもオリハルコンは超稀少金属であり、鍛冶師の間では一生に一度でも手に入れば超幸せと云われているスーパー金属である。



「次にミスリル……は100トン以上あるから後回しっと!」


「100トン!?高級金属(ミスリル)が!?」


「あったあった!86階層で見つけたゼウス鉱石、大神(ゼウス)の力が宿った鉱石だってよ!これが5トン!ペルセウス神銀もあるぞ!」


「神の力が宿ってる……だと!?」



 ミロスの父親は戦慄しながらこう思った。


 バカ息子は一体何をしてきたのか、と。


 余談であるが、後にゼウス鉱石とペルセウス神銀の一部は高値で取引され、その価値は日本円で換算すると1グラムで10万円を下回る事は無かった。



「あとは隕鉄とか……ああ、金剛王竜(ダイヤロードドラゴン)とかの素材もあるな!他には彩光巨獣の毛皮、不死鳥の羽とか亡霊聖騎士の武装一式、魔石も色々あるな。他には……etc」


「………SSSランク、だと!?」



 父親の頭の中は真っ白になった。


 息子の口から出てくるアイテムの全てが常識外れの品々、本来なら天地が引っくり返っても一生縁の無い代物の名前が息子の口から告げられると同時に目の前に現れる。


 野次馬達も、最初は欲に目が眩みそうになったが、次第に欲など消し飛んでいき、今は石像のように固まって動かなくなってしまった。


 それはユークの方も同じだった。



「はい、万能薬(エリクサー)、これで父さんの古傷も治るよ!あとは若返りの薬に――――」


「エ、エリクサー!?」


「何、この夢の薬の山は!?」



 この日、旧アウルム王国の一部地域では、今までの常識が木端微塵に砕かれた。


 その後、小さな攻略者達の資金を糧に『ゼウス大迷宮』を中心にこの街は自治権を認められた迷宮都市へと発展、同時に製薬や鍛冶を中心とした生産都市としても栄えていくことになり、オリンポス大陸の発展にも大いに貢献していく事になる。


 都市の中心には最初の攻略者パーティーの像が建てられ、その名は二つ名と共に数百年先の未来にまで残る事となる。


 二つ名については厨二的過ぎて当人が悶え苦しんだという伝承と共に。







--------------------------


――ラウルス公国――


「「「姉さん!俺の番になってくれ!!」」」


「「「帰れ!!」」」



 『大迷宮』から帰還したワッコ達を待っていたのは終わりの見えない求婚地獄だった。


 大々的に彼女達の攻略が石碑やら神託やらで公表された直後、公国内の亜人達は我先にと彼女達を捜し始め、彼女達が『大迷宮』から帰還すると理性を失ったかのように求婚を開始した。


 ラウルス公国の亜人、というより獣人にはより強い異性を結婚相手に選ぶ傾向があり、それは伝統を重んじる家ほど顕著である。


 その為、冒険者や傭兵を生業にしている者が仕事先で求婚されそのまま結婚するという話もこの国では珍しくはなかった。


 今回においても、大迷宮攻略という歴史に残る功績を遺した彼女達は、少なくとも公国内の冒険者の中では圧倒的上位に位置する事は明白、そうでなくても『大迷宮』の中と外を何度も往復しているので当然の如く民衆の間では噂になっていたので、攻略される以前から、彼女達をひそかに狙う輩はかなりの数がいたのだ。


 そしてついに今日、ついにその者達の求婚衝動(?)が爆発したのだ。



「フォルの姉さん!是非、あっしらの里に来てください!」


「黙れ火狐の小僧!フォルは俺らの里長の嫁にするんだ!」


「いいや!姉御はあっしらの嫁でさあ!」



 男勝りなフォルの下にも、大勢の狐族の獣人が求婚に集まっていた。


 もっとも、今ままで結婚どころか恋愛にも無縁だったフォル本人にとっては迷惑でしかない。



「うるせえぞ!俺を嫁にしたかったら、最低でも『大迷宮』の80階層まで攻略してみろ!できねえなら帰れ!俺は弱い男を伴侶にする気はねえ!!」


「「「う、うっす!!」」」



 無理難題を押し付け、フォルはどうにか男達を追い払った。


 結婚相手に強者を選ぶ文化だからこそできる拒否方法である。



「ワッコさん、僕と付き合って下さい!」


「ダリアさん、強くて可憐な貴方に惚れました!結婚してください!」


「ニロス殿、ダフネ公女殿下の婚約者候補に貴殿を是非にと公王様が」


「ちょっとまて!公女様は8才だろ!!アウト!超アウト!」


「ハッハッハ!歳の差など、愛と権力でどうにでもしますとも!ところでワッコ殿とダリア殿もクリセス殿下の妃候補にと―――」


「言い切ったワン!断るワン!」


「丁重にお断りします!」


「おい、逃げるぞ!!」



 なんと、大公家までもがワッコ達の争奪戦に参加してきた!


 物凄く身の危険を感じた彼女達は、このまま公国に居るのは危険と悟り、『大迷宮』で培ったチート能力を駆使し全速力で国外へと逃亡したのだった。


 だが、求婚者の中には本気で彼女達に惚れている者もおり、彼らは彼女達に言われた通りに『大迷宮』へと突入していった。


 その後、彼らが無事に恋を成就させる事ができたかどうかは不明である。



「国境を越えても付いて来るぞ!?」


「こうなったら海の向こうへ逃げるワン!!」



 一方のワッコ達はというと、隣国に逃げ込んでも求婚希望者が後を絶たない為、ついには海を越えて他大陸にまで逃げる事となる。


 果たして、彼女達の今後は如何に?







--------------------------


――ウェヌス帝国――


 皇族や貴族が一堂に会する公務の場にて、女皇は眉間に皺を寄せながら目の前に居る家族を見下ろしていた。


「私は貴方に“勇者に協力して”と言った筈なのに……何処がどうなれば貴方自身が勇者になるのかしら。レノス、それに……あなた?」


「……ただ今戻りました。母上」


「ま、待て!レノスは何も悪くはないぞ!レノスは己を磨き上げ、神々に認められて勇者になり魔王を討ったのだ!」


「母上、兄上はカッコよかったです!」


「……そして何故、ヘラクレスまで勇者になっているのですか?いえ、それ以前に、私はレノス1人を旅立たせたのに、どうして貴方達は付いていったのですか?特に女皇の夫である、あ・な・た・が!!」



 ウェヌス帝国女皇アタナシアは怒っていた。


 始まりは自分の長男である第一皇子レノスを旅立たせた直後のこと、気付いた時には夫と次男(第二皇子)が一部の執事とメイド、騎士達と一緒に居なくなったのだ。


 すぐに捕まえようと捜索隊を動かしたが無駄に隠密スキルの高い夫を発見するには至らず、気付いた時には自国に出現した『アフロディーテ大迷宮』の攻略最前線パーティになっており、手が出せない状況になっていた。


 そして昨夜、帝都のアフロディーテ大神殿に神託が下り、夫と息子達が『大迷宮』を攻略したと、神と魔王を倒したという報せを聞いた時は頭が真っ白になり意識を失いかけた。


 そして現在、問題の家族が彼女の目の前に居る。


 大勢のオマケを連れて。



「ホホウ~、これはまた味のある部屋じゃのう?」


「おいおい、女皇様よ、あんたの息子は英雄なんだから説教は程々にしていぇれよ?」


『レノスは悪くないの~!』


「うむ!レノス殿が居るお蔭で我等は今生きていられるのだ。そう責めないでやってほしい」


『ですが、女皇様のお怒りの理由にも一理あります。此処は時間をかけて話し合うべきでは?』


「あのう~、一曲、歌いましょうか?」


『ピィ♪』


『神乳☆新妻妖精女王ピカちゃんよ!よろしくね、お義母様♪』



 その濃すぎるオマケ達を前に、女皇を守る騎士達は勿論のこと、この場に集まった皇族や貴族の全員が引き攣った顔をしながら冷や汗を流していた。


 明らかに敵に回したらいけないオーラを漂わせる人外集団――神っぽい雰囲気の妖狐、百戦錬磨の戦士を思わせる吸血鬼(真祖)、人語を話すグリフォン、高貴さを漂わせるダークエルフ、精霊王クラスの威圧感がある精霊、セイレーンの少女、滅茶苦茶敵に回してはいけないスライム、女神級の胸を揺らす変な妖精――を前に、普段は人間至上主義を謳う上級貴族も本能的に沈黙していた。



――――皇子の敵になったら終わりだ!滅びる!



 少なくとも千年以上は生きそうな、中には不老不死を疑いたくなるような種族を平然と連れているレノスに畏怖の念を感じた貴族達は、もし女皇制が廃止になりレノスが皇帝になっても決して馬鹿な真似はよそうと自分に誓うのだった。



(どうすればいいのよ!どうして敵に回したら国が滅ぼしそうな人ばかり仲間にしているのよ!あの狐の獣人(?)もかなり不味いけど、あのダークエルフはもしかしなくても王族、妖精と精霊も格が違いすぎる!それに吸血鬼の真祖!?何より、あのスライムは何!!??)



 一方で、女皇は表向きは毅然としていたが、内心パニックを起こしていた。


 そしてその理由は、何もレノスだけではなかった。



「母上、この弓、アポロン様から貰いました!」


「「「……」」」



 無邪気に金色の弓を見せる第二皇子に、女皇も貴族も何も言えなかった。


 レノスの弟ヘラクレスが持つ弓、それは太陽神アポロンの神器『アポロンの金弓』に他ならなかった。


 実はヘラクレス、レノス達が大バトルを繰り広げていた時、姉アルテミスにボコボコにされていたアポロンに何の疑問を抱く事無く回復魔法をかけ、そのお礼と攻略者としての証として神器を貰っていたのだ。


 これとは別に、レノスも神器を手に入れているのだが、その話についてはまた後日。



(神器なんてどうするのよおおおおおおおおおおおお!!)



 国宝にして良いのか分からない超貴重アイテムに、女皇の精神は限界に達しようとしていた。


 その後、女皇は神経性胃炎やら心労やらで体を崩し、暫くの間公務を退く事となるのだった。



『レノス!此処を私達の愛の巣にレッツ☆改造よ!』


「え!」



 その間、一部の暴走により歴史ある皇宮が外見は兎も角、中身が盛大に魔改造される事になるのだった。



「――――あれ?女神像が変わって……る?」



 余談であるが、大神殿に祀られている女神像が絶壁になっていた。


 イッタイナニガアッタノダロウカ?







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