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ボーナス屋、勇者になる  作者: 爪牙
異界の七大魔王編Ⅳ―オリンポス大陸の章―
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第356話 ボーナス屋、奪いまくる

 前回までのおさらい。


 ブチギレたテュポーンの首をコッコくんが斬り落した。



「……シロウ、これで終わりなのか?」


「ステラちゃん………いや、まだ《神速再生》も《絶対不死》も消してないから……多分……でも、コッ

コくんだから……」


『ゴケエ~~~~~!!』


「「「あ!」」」



 俺達を乗せたまま、コッコくんは次にテュポーンの腕を斬り落とした。


 暴れているけど《神域創造》で創った神域で防御力もかなり下がっているからサクッと斬れてるな。


 俺の横でテュポーンを拘束しようとしていた唯花はポカンと口を開けたままフリーズしているし、アンナちゃんとユニスも同じくフリーズ、ステラちゃんだけは「おお!」と驚き、さっきからずっと大人しかったヴリトラは酔っているせいか爆笑している。



『――――ほお?』



 離れた場所ではアレスが面白そうにコッチを見つめている。


 アテナ様はスルーしながらテュポーンに神術をかけて更に弱体化させ、アルテミス様は下半身を中心に銀色の矢を射まくっている。


 ん?下の方……『大迷宮』でも何か戦いが起きているようだけど、なんか大魔王臭い双子もいるから大丈夫だろう。



『ゴッケェ~~~~~~!!』


「うわあ………」


「気分が悪いのかアンナ?」


「いえ……大丈夫です」



 そうこうしている内にテュポーンはバラバラに解体されてしまった。


 小さい子には見せられない光景だけど、テュポーンがデカ過ぎて地上からは丸見えだ。


 今頃地上はゲロまみれかもしれない。


 取り敢えず、跡形もなく消す為に《神滅雷霆(ケラウノス)》を継続する。


 クロウの金炎もまだ消えてないし、上手くいけば消し炭にできるだろう。


 《神滅雷霆》は不死身の奴も殺せるからな。



『待て!まだ死んではいない!』


「え!?」



 クロウが驚愕の声を上げた。


 視線を戻すと、バラバラのテュポーンの肉塊からどす黒いオーラが漏れ出し、肉塊がグニャグニャと動き始めた。



(マスター)!あれは『冥王』ハデスの魔力です!あの魔力が主の能力を阻害しています!」


「コッコくん!食べちゃえ!」


『ゴケェ~~~~!!』



 コッコくんは口を大きく開けてあからさまに危険な魔力を吸い込んでいった。


 何時も通りの脅威の吸引力、2秒もかからずに危険な魔力を吸い尽くすことに成功した。


 けど、魔力が無くなっても肉塊の変化は止まらず、どの肉塊も同じ形に変形していく。


 何度も言うが、《神滅雷霆》はまだ継続中だ。



「あれでも死なないのかよ!?」


『……あと、ドサクサに紛れてアレスも奴の下半身を肉塊にしているな。ああ……』


「全身が……肉塊になったな」


「でも死なないわね?アテナ様とか渋い顔してるわよ」


「あ!」



 そして1000個は超える肉塊はそれぞれテュポーンの姿に変形した。


 ただし、元のサイズとは比較にはならないほど小さな、それでも巨人サイズのテュポーンが1000体以上誕生し、俺達の前に立ち塞がった。


 これは……



「破壊神大増殖!?」



 小さくはなったけど、この数はかなりヤバい!


 一応、まだ神域は発動中だから弱体化はしている筈だけど、この数で一斉に攻められたらかなり面倒だ。


 コッコくんでも全部食べ切れるか不安だば。


 俺達も全力以上の力で戦う必要がありそうだ。


 というわけで神器発動――――と思ったら、テュポーン×???が一斉に口を開いた。



『『『この私を、初見で此処まで追い詰めるとは大したものだ。あの愚かな(ゼウス)ですら、私の前に一度は敗れ、惰弱な神共は戦う事すらせずに無様に逃げたというのに』』』



 なんか理知的になっている。


 さっきまでの粗暴な口調は何処に消えたのか、流暢な言葉遣いで俺達に話しかけてきた。



『『『だが、何をしようとも貴様らは此処で私に破壊される。この世界諸共に!滅せよ!』』』


「「「!!」」」



 テュポーン×???が一斉に破壊光線を放った。


 俺はクラウ・ソラスで対抗しようとしたが、それをソフィアちゃんが制止した。



「ソフィアちゃん!?」


「問題ありません」



 直後、破壊光線の嵐が俺達に直撃した。


 だが、全然痛くも痒くもなかった。



『『『何――――!?』』』



 テュポーンは戦慄した。



「主、御自分のステータスをお忘れですか?主はテュポーンの持つ属性に対する耐性はほぼMAX、風属性以外は全て無効化します」


「あ!」


「そして既に結んである契約と《生命契約術》のパッシブ効果により、コッコくんとクロウ・クルワッハ様にも同程度の耐性が付与されている為、同じく効果がありません。テュポーンに限って言えば、私達は現在無敵です」



 言われるまで忘れてた!


 テュポーンの属性は風と火、土、闇の4属性、その内俺は火と土と闇の3属性を無効化でき、風属性に対してもレベル5の耐性を持っている。


 そしてさっきの破壊光線は見た感じだと火と闇の属性、俺には効かない。


 つまり、今回に限って言えば俺は……最強?



「更にテュポーン自身も神域及びアテナ様の神術の効果で弱体化しており、さらにコッコくんの《鶏冠神剣(トサカカリバーン)》で何度も斬られた為に分裂体の能力は元とは比較にならないほど低くなっています」


『ゴケ!』


「え、どういうこと?」


「テュポーンのステータスをご確認ください」



 俺はすぐに確認した。



【名前】『天滅の破壊神』テュポーン(1/1793)

【年齢】5866  【種族】神(破壊神)

【職業】破壊神  【クラス】小さくなった災厄

【属性】風 火 土 闇

【魔力】3,460,000/4,800,000

【状態】弱体化(大) 神呪(大) 神毒(中)

【能力】滅神魔法(Lv3) 破壊神之御力(Lv3) 風神之御力(Lv3) 天変地異 破壊波動 絶望波動 次元崩壊 終焉魔炎(カタストロフィ・ブレイズ) 怪物王の魔血(ブラッド・オブ・テュポーン) 悪食吸収 破滅の邪眼(左)

【加護・補正】物理耐性(Lv3) 魔法耐性(Lv3) 精神耐性(Lv3) 風属性無効化 火属性耐性(Lv4) 土属性耐性(Lv3) 闇属性耐性(Lv3) 全状態異常耐性(Lv4) 詠唱破棄 高速回復 高速再生 神の威光 不老不死 虐殺者 銀河の破壊者 災厄の化身 恐怖の権化 力の渇望 奈落の獣 神殺しの魔神 騙されし者 破壊神 風神の祖 怪物の父 低質魔力 分裂弱化 コッコくんの神罰 アテナの神呪 アルテミスの神毒 (冥王ハデスの支配(微))

【BP】-9999



 なんか結構弱くなっている。


 最大魔力量も元の3分の1になってるし、色んな能力や補正のレベルも下がっている。


 それに《冥王ハデスの支配(微)》って。


 他にも色々増えてるし!



【冥王ハデスの支配(微)】

 ・次元の狭間にいる神ハデスにより自由を支配されている。

 ・分裂により支配力も分散された為、今は精々「神と勇者を殺す」という命令のみしか効果が無い。

 ・勇者の能力に対しての防御も消失している。


【コッコくんの神罰】

 ・悪い奴は許さないコッコくんが与えた罰。

 ・全能力が大幅に低下する。

 ・鶏肉と鶏卵を食べたら即死。

 ・コッコくんに斬られる度に分裂する。


【アテナの神呪】

 ・処女神アテナが生み出した呪い。

 ・防御力や耐性が弱くなり再生能力と回復能力を1割未満にまで低下させられ、別世界への移動が不可能になる。

 ・地上の生き物を攻撃しようとすれば激痛に襲われる。


【アルテミスの神毒】

 ・月の女神が生み出した神も殺せる毒による影響。

 ・動く度に体力と魔力が消耗していき、回復系の魔法を受け付けなくなる。

 ・時間の経過と共に幻覚・幻聴・睡魔を始め、ランダムで状態異常が発生し最終的には死に至る。


【分裂弱化】

 ・分裂する度に力が分散され弱くなる。

 ・一度分裂すると自力で元に戻る事はできない。

 ・最終的にはミジンコ並にまで弱くなる。


【低質魔力】

 ・力が分散され、魔力の総量こそ多いがそれ以外の純度や密度などの質が極端に低下する。

 ・質が悪い為、魔法の威力は更に低下する。



「「「……」」」



 コッコくんが新技で色々してくれたようだ。


 というか、鶏肉と鶏卵を食べたら即死って……。



「あ!私、温泉卵持ってるわよ?」


「お夜食用のテリヤキサンドがあります。テリヤキちゃんとは無関係なのでご安心ください」


「マヨネーズでもいけるか?」


「みんな、何でそんな凶器を持ち歩いてるんだ?」



 あとユニス、夜食にテリヤキサンドは重いと思うぞ?



『『『な、何故だ!?何故、力が……『無常の果実』は食べていない筈――――!?』』』



 テュポーンは自分が弱くなっている事に気付き困惑しているようだ。


 まさかコッコくんに斬られる度に分裂して弱くなるとは考えもしないだろうな。



「主、今の内にテュポーン達の能力の回収とリセットを。今なら1793体分の能力が手に入り、主の力で私達に譲渡する事も出来ます」


「え!アレって全部一個体扱いじゃないのか?」


「意識は共有しているようですが別個体です。私達にとってはボーナスタイムです。それよりも急いでください」


「わ、分かった!」



 俺は《真・応報之絶対真理(ネオ・トゥルース・リウォード)》を起動してテュポーン×1793から《不老不死》と《冥王ハデスの支配(微)》をリセットする。


 ハデスの力も殆ど残ってないせいか、すんなりと出来た。


 そして《真・神代之真眼(レジェンド・アイ)》で能力やら補正を奪えるものは手当たり次第に奪い、最後にペナルティをかけて終了、テュポーンのステータスはこうなった。



【名前】『天滅の破壊神』テュポーン(1/1793)

【年齢】5866  【種族】神(最下級神)

【職業】元・破壊神  【クラス】雑魚

【属性】風

【魔力】570,000/570,000

【状態】弱体化(大) 神呪(大) 神毒(中)

【能力】破壊之力(Lv3) 風之力(Lv3)

【加護・補正】神の威光 虐殺者 銀河の破壊者 力の渇望 奈落の獣 神殺しの魔神 騙されし者 最弱破壊神(ペナルティ) 風神の祖 怪物の父 悪質魔力(ペナルティ) 不能(ペナルティ) 分裂弱化 コッコくんの神罰 アテナの神呪 アルテミスの神毒 死への秒読み(ペナルティ) 不殺の掟(ペナルティ) 超不幸(ペナルティ) 終焉の運命(ペナルティ)

【BP】0



 1793体の雑魚が出来上がった!


 もう、神なのかすら怪しい存在だ。



「しかし、えげつないな……」


「自分でやっておいて何言ってるのよ?」


「だって、破壊神が一瞬で雑魚キャラに……」


「主なら、いずれは創造神にもなれると私は信じています」


「いや、ならないから!」


『お前達は戦う気があるのか?』



 緊張感の無い空気にクロウは呆れ果てているようだ。


 そうこうしている内に、沢山の雑魚テュポーン達は恐慌状態に陥って四方八方に散り始めた。



「さてと、もう恐れる心配はないし、一気に決着をつけるぞ!」


「ハハハハハハ!ようやく俺の出番か!ヒック!」


「……ヴリトラ、まだ酔ってるだろ?」



 今の今まで大人しかった(?)ヴリトラもヤル気を出し、俺達は散り散りに逃走を開始したテュポーン達への総攻撃を開始した。


 と言っても、殆ど俺の一撃で終わるかもしれないんだけどな。



『おのれ!おのれ!またしても辛酸を舐めさせられるとは!!』


『どれ程の時間が掛かろうとも、あの忌まわしき運命の女神共々、奴らも滅ぼしてくれる!!』


『先ずは奈落へ帰り、力を――――』


「――――《神滅雷霆(ケラウノス)》!!」


『『『グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア―――――――――ッッ!!!!』』』



 逃走するテュポーン達を断罪の雷が襲った。








 奪った能力はストック可能です。つまりこの場に居ないメンバーも後でパワーアップします。


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