第321話 ボーナス屋、超働く
昨日は投稿できませんでした。
――名も無き空中島(俗称:勇者島)――
天空大陸の事件から数日が経った。
あの後はマジで大変だった。
さっさと家に帰って壮龍とお風呂に入ろうかと思ったら、寸でのところで政治家の皆さんに首根っこを掴まれてしまった。
「やってくれましたね……」
「移民が欲しいと愚痴ったこともあったが、一度に数百万人も欲しいとは言ってないだろがあああ!!」
「自分だけさっさと帰って寝れると思うなよ!!」
「子供は奥さんに任せて、王様は徹夜だ!!3徹は覚悟しやがれ!!」
めっちゃ怒られました。
お土産に341万人の移民を連れてきたら物凄く怒られました。
そして政治系専用能力《政ノ熱魂》が発動し、彼らの全能力が超上昇!
スパコン並みの処理能力で富士山の様に積まれた仕事を超速で熟してゆき、300万人を超す移民の衣食住の確保や職業訓練、教育、住民登録などの作業を有り得ない速度で進めてゆき、その日の内に粗方の仕事を終わらせ、翌朝には新国民達への移住説明会の準備を完了させていた。
「勇者様もさっさと動く!取り敢えず、移民全員にボーナスを上げてください!」
「翻訳系は必須!ポイントを貯める為に〈職業レベル補正〉も!あとは―――――」
「王様!移民達の住居の設計図ができたから造って!」
「勇者!チートを量産して!」
「あ!妊婦が200人程産気付きました!産婆さん200人召喚してください!」
「清潔な服も作って!」
「この書類にサインを!」
「一度に言うな!俺は聖徳太子じゃ……」
「「王様(勇者)でしょ!!」」
「うわ~~~ん!!」
俺は泣いた!
兎に角泣き続けながらデスマーチを乗り越えていった。
その甲斐もあり、当初拉致同然でこの国に連れてこられた元奴隷の皆さんもどうにか落ち着……かないどころか、太陽の国から解放されてお祭り騒ぎになった。
念の為、リアル神様であるコッコくんやクロウ・クルワッハを召喚したら、生きて本物の神様に会えて嬉しいと殆どの人が感激して号泣、その後はクロウの御神託(?)もあって元奴隷達は快く移住を快諾してくれた。
「どんなお話ししたんだよ?」
『神は加護を除けば基本的に特定の個人を優遇することはせず、世界の調和を維持する存在であると説いただけだ。あとは、神同士は一部を除けば争っていないから、宗教戦争は人間だけの都合で行われているといった内容だな。皆、自分が信じていたものは悪ではないと知って安堵したようだ』
「あ~、邪教徒だとか理不尽な言葉責めに遭ってたんだなあ」
『時代も世界も関係なく、人とは自身を大きく見せる為に神すら利用するものだ。滑稽だがな』
あの時のクロウは何処か遠くを見つめていたっけ。
深入りはしなかったけど、もしかしたらクロウの過去にも……この話題はやめておこう。
取り合えず、天空大陸からの大量移民については、俺を含めた大勢の血と汗の努力により今のところは大きな問題は起きていない。
小さい子供なんかは大人より順応性が高いせいで、今日も街を探検したりしていたな。
ただ、問題が1つもなかった訳じゃない。
あれは天空大陸から戻ってきた2日後の事だった。
視察と言う名目で移民達の様子を見に行くと、あの時アドラメレクに食べられそうになった少女が俺を見つけるなり物凄い迫力で迫ってきた。
「国王様。私はこの身の全てを国王様へ捧げ所存でございます」
「……へ?」
思わず間抜けな声を漏らしてしまった。
突然、何を言って来るんだ彼女は!?
「私は今は亡き「舞の国」の姫(庶子)なのです。国と身分は無くなれどこの身には王家の血が流れています。王家とは国を支え民を導き護る者、私は今は亡き父王の意志を引継ぎ、故郷をを失った者達がこの新天地にて再起できるよう尽力を尽くす事を人生の務めとし、そしてその機会をお与えくださった国王様に恩義を返すことを神とこの身に誓いました。民を導きながら恩義を返す。この両方を叶える為、私はこの身を国王様へ捧げることを決意しました」
生贄の少女は亡国のお姫様だった。
そして彼女は王族としての務めを果たしながら命の恩人である俺に恩返しをする為に妻になる事を決意したようだ。
何、この展開!?
「ちょっと待って!俺にはもう何人も婚約者が……」
「妾でございません。それに、一国の王であるならば、その権威を示す為に多くの妻を娶るのは決しておかしい事ではありません。私の父も正妃以外にも15人の妾がおりましたので」
「え~?」
ヤバい、彼女は本気で俺に妻になる気だ!
これはまさしく修羅場フラグ……!!
「それに……どうやら私、神と己の命を賭けて戦いになられていた時の国王様に……一目惚れしてしまいました。あの時は、胸がとても熱くなりました♡」
しかも、心底惚れられてる!?
殺されそうになった処を助けたから吊り橋効果が発揮されちゃったの!?
どうしようと思っていたら、更に何人もの女の子達が俺の下に集まってきた。
「勇者よ、私は今は亡き「兵の国」の第一王女だ!大国も神も恐れず私達を助けてくれた貴殿の強い魂に私の魂は激しく燃え上がった!是非、私を貴殿の剣として仕えさせてくれ!」
「我らが救世主よ。私は今は亡き「石の国」の姫巫女です。此度は縁も無き者でありながら悪しき国よりお救い下さりありがとうございます。私は同胞を代表し、この身を(妻として)貴方様に捧げることを決意しました」
「私は今は亡き「槌の国」の王の末裔です。年下で小さい(ドワーフの)娘はお嫌いですか?」
「おれ……私は「牙の国」の筆頭部族の長の娘…です。つが…嫁がせてください」
「うっふん♪年上のお姉さんは好きかしらん♡」
「おら、恩人の嫁になるだ!おらの一族、命の恩人には操を捧げる掟があるだ!」
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沢山連れて来たせいか、亡国のお姫様やら巫女様やら族長の娘やらが我先にと俺に結婚を迫った来た。
多過ぎる!
幾らなんでも多過ぎる!
俺はバカ皇帝と違って妻は何十人も欲しくないの!
その事を伝えたら、何故は場が殺気立った。
「……陛下はお困りの御様子。ならば、この中で誰が妻に相応しいか決めなければなりません」
「決闘だな?この中で最強の奴が結婚するんだな?」
「女には決して負けられない戦いがあります。コレです!!」
「死の国に召されし父様、御先祖様、私に力を!!」
「フフフフ、この聖なる右手が轟くところを見せてあげるわ!」
「あら?勝負なら女の武器で、でしょ?一番大きいのが勝ちでどう?」
「「「反対!!」」」
「年増は帰れ!!」
俺の妻(妾)の座を巡って少女達の負けられない戦いが勃発してしまった。
あまりに迫力に満ち溢れた光景に、俺は止めに入る事が出来なかった。
更にこの直後、絶対何処かでスタンバイしていたバカ龍王が火に油を注ぎ、事態は国中が注目する大イベントにまで発展してしまった。
――――『恋、それは世界を変える聖戦!勇者王の妾超決定戦!』
こんな横断幕が飾られたりもした。
作ったのは言うまでも無く、奴だ。
〈決して見逃せない戦いがここに有る!! by神一同〉
俺はチートを駆使し、神界に「災厄の詰まった缶詰」を10ダース贈った。
その後、暫くの間天から声が聞こえなくなったが、恨み辛みを記したメールが何件も届いた。
予想以上の大ダメージだったらしい。
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すっかり忘れていたが、世界の意志からのクエスト情報を久しぶりに確認したら更新されていた。
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『ハーレムを作ろう!』
・貴方に恋心を抱いている人達に告白し、一つ屋根の下でみんなで暮らそう!
・達成条件:10人以上に告白成功する。
・達成状況:7/10(人)
・報酬:マイホーム
『大迷宮を攻略させよう!』
・オリンポス大陸にある12の大迷宮を誰かに攻略させよう。(貴方は攻略に直接参加できません)
・達成条件:各大迷宮の攻略者を1組ずつ育成する。
・達成状況:1/12(組)
・報酬:まだ秘密♪
『全ての大陸に行ってみよう!』
・異世界ルーヴェルトに存在する7大陸全てに行ってみよう!
・達成条件:7大陸全てに1回以上行ってみる。
・達成状況:4/7
・報酬:世界の銘菓詰め合わせセット
『異世界版魔王を倒そう!』
・異世界ルーヴェルトに複数の魔王が出現した!全員倒して世界を救おう!
・達成条件:魔王を全員倒す。
・達成状況:1/?
・報酬:未定
『移民を集めよう!』
・世界には新天地を望む人達が沢山いる!世界を回り、彼らを君の国に移住させよう!
・達成条件:移民を500万人以上集める。
・達成状況:3,447,051/5,000,000
・報酬:神々の祝福、「愛の巣」のバージョンアップ
『「真の敵」を倒そう!』
・世界を滅ぼそうとする敵がいる。世界に芽吹く数多の命を摘み取ろうとする悪意がある。そして勇者は世界を滅亡から救い、元凶を倒す存在。勇者よ、汝に与えられた真の敵を倒す時が来た。汝の勇者としての真の敵を倒し、異世界ルーヴェルトを滅亡から救うのだ!
*先に別クエスト『異世界版魔王を倒そう!』を達成しておきましょう。
・達成条件:「真の敵」を倒す。
・達成状況:未達成
・報酬;不老不死、神への進化、他多数
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物語はついに終盤へ!
って、ラスボスかよ!!
他にも魔王が居るのは別として、「真の敵」かよ!?
誰だよ!!
せめて名前だけでも明記しておけよ!
「その前に、やっぱ他の魔王も倒さないといけないのか?」
天空大陸の魔王は俺が倒した訳じゃないけど、仲間が倒したからかカウントされている。
あと何人いるかは知らないけど、出来れば簡単に倒せるテンプレ魔王であってほしい。
悪知恵の働く面倒臭い魔王はゴメンだ。
――――ピロロ~ン♪
あ……嫌な予感がする……。
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『速報:また魔王が現れました!』
ガンドウ大陸の北、この惑星の北の極地である『ニブルヘイム大陸』周辺の島々に魔王の軍勢が現れ、現地住民を攫い、金品などを略奪しています。
魔王の軍勢は人攫いと略奪を終えるとニブルヘイム大陸へと帰ってゆき、そこに魔王城があると推測されます。
天空大陸と同様、当機能の干渉を妨害する力が確認されており、神クラスの存在が86.34%の確率で魔王陣営に居ると考えられます。
攻め入るのなら、万全の状態で挑みましょう。
(*今度は私も活躍します!)
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