第315話 ボーナス屋、パーティを抜ける
――魔王城――
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『速報:魔神出現!奴隷ピンチ!』
『太陽の神山』の麓にある生贄の祭壇に『太陽の魔神』アドラメレクが出現し、生贄として捧げられている奴隷の子供達を食べようとしています。
アドラメレクは子供を生贄として求める太陽神です。
(魔王より先にこっちを倒しましょう!)
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おいおい、魔王の次は魔神かよ!?
ボスキャラの前に裏ボスキャラが動いたのかよ。
「どうしたの?」
「なんか山の麓に魔神が出たらしい。しかも子供を食べるヤバいタイプの」
「それ、ヤバいでしょ!?」
「ああ、だからちょっと抜けるな?一応分身を残しておくけど、魔王はお前だけでも大丈夫だろ?」
「……気を付けてよ?」
「ああ!」
という訳で俺は一時パーティから抜けることになった。
唯花達の所には分身だけを残して魔王城の外へと向かった。
『ピィ!』
「あ!スラ太郎!勝ったのか?」
『ピィ♪』
途中、敵幹部と戦っていたスライム達にも会った。
敵の姿は既に無く、色とりどりのスライム達が跳ねていた。
綺麗にお食べになったようだ。
「丁度良かった!スラ太郎は俺と一緒に魔神退治だ!他の皆は奥にいる唯花達と合流して魔王退治だ!」
『ピィ♪』
『『『ピィ!』』』
スラ太郎は喜びながら跳ねると体のサイズをちょっと小さくして俺の肩に乗った。
気のせいか、一部のスライム達から羨ましそうな視線がスラ太郎に注がれている。
「じゃあ、行くぞ!」
『ピィ!』
俺とスラ太郎は魔王城の外へと向かった。
『侵入者あああああああ!!』
「邪魔!」
『ばぎゃあああああああああああ!?』
障害物は即排除しながら先を急いだ。
転移の妨害がなければもっと早く行けるのに。
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――『太陽の神山』 中腹部――
只今降下中です。
外にいた魔獣さん達は続々とコッコ団の餌食になっていたからスルー出来ました。
さて、今俺の視線の先には生贄の祭壇があって、そこに生贄やらその他大勢やらと、滅茶苦茶神オーラ放っている悪魔っぽいのがいる。
あれが『太陽の魔神』アドラメレクのようだな。
【名前】『太陽の魔神』バアル=アドラメレク
【年齢】325,882 【種族】神
【職業】魔神 太陽神 【クラス】魔王の契約神
【属性】光 火 空
【魔力】8,900,000/8,900,000
【状態】正常
【能力】魔神之大魔術(Lv5) 魔神之武術(Lv5) 魔神之御力(Lv5) 太陽神之御力(Lv5) 魔神眼 煉獄太陽 神之息吹 眷属創造 神域創造 心圧潰 烈嵐 魂喰之王 災厄の種 彩光の羽 裁きの波動 千変化 etc
【加護・補正】物理耐性(Lv5) 魔法耐性(Lv5) 精神耐性(Lv5) 光属性無効化 火属性無効化 空属性無効化 闇属性耐性(Lv4) 時属性耐性(Lv4) 水属性耐性(Lv4) 土属性耐性(Lv4) 全状態異常無効化 全能力異常無効化 完全詠唱破棄 超速再生 超回復 悠久の記憶 神の威光 神ハンター 悪魔ハンター 天使ハンター 天魔ハンター 超次元ハンター 契約した神 贄を欲する者 光の大王 魔神 太陽神
【BP】0
ゼウス程じゃないけど結構強そうだ。
魔神と言えば闇を連想するけど、光属性の魔神ってのも居るのか。
このパターンだと、聖なる光の邪神とかも存在しそうだな。
それは置いといて、3つの属性が無効化されるのは厄介だ。
けど、雷や氷には耐性は無いようだからそっち方面で攻めるか。
「―――そうだ!」
『ピ?』
「いや、ちょっと試しに使ってみたい武器があるんだ。スラ太郎はもう少し俺の肩の上で待っててくれるか?」
『ピィ!』
俺は四次元倉庫に手を突っ込んで、暇を見て(チートを使って)製作した武器を取り出した。
取得したはいいものの表だって使う機会の少ない俺の《全自動武器之達人》や《万能技巧》をフル活用して製作した夢の武器達!
ついにコイツラが解放される時が来た!
「ファ〇ネル起動!」
俺の声に反応し、20機のファン〇ル(俺製)が宙を舞う。
形状はファン〇ルというよりはド〇グーンに近いけどな。
あ!魔神が奴隷達を殺そうとしてる!
急がないと!
「行くぜ!」
現在地から麓の祭壇まではまだ距離がある。
俺は《転移》でショートカットして祭壇の真上に移動し、ファ〇ネルを飛ばした。
「GO!ファン〇ル!!」
レーザーの雨が魔神に向かって降り注いだ。
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――『太陽の神山』 生贄の祭壇――
『――――!』
ファン〇ルのビームが直撃する直前、魔神は自分の周囲にバリアを展開した。
けど、ビームはバリアを貫通した。
『グッ!?』
「うおりゃ!!」
全身に雷を纏って魔神の頭に蹴りを入れる。
轟音と共に周囲に衝撃が走ったが、魔神は一歩も動かなかった。
ああ、生贄の皆さんには結界を張って保護してあるから被害はないよ。
『……『神殺し』か?』
「!」
魔神は目を細めながら俺を視た。
コイツ、ステータス以上に強いんじゃないか?
あ…神だから当然だった!
『成程、“あの男”が言っていた『神殺しの勇者』とはお前のことか。不完全体とはいえ、魔眼の神と全能神の両方を倒したと聞いた時は俄かに信じられなかったが……理解した』
「……」
魔神は俺の事を知っているようだった。
つまり、こいつは『創世の蛇』の関係者ってことで間違いなさそうだな。
またあいつらが黒幕かよ~。
『……一応聞くが、お前は“人間”か?』
「人間だよ!」
『………本当か?』
「人間だ!!」
非人間扱いされてる!?
そんな怪訝な目で見つめないでくれない?
心が傷付くんだけど!!
『まあいい。人間の子供であるなら、お前は俺が今まで喰らってきた人間の中でも間違いなく最高だろう。正直、“奴”との契約が無ければあの小僧と……いや、今は愚痴は止そう。それよりも……』
「うおっ!?」
『さあ、俺を楽しませろ!!』
ブツブツと独り言を呟いたと思ったら、魔神の鉄拳が俺の顔面に迫った。
俺は空に転移して避けるが、その直後に魔神も俺の背後に転移してきた。
そうだった!
この魔神は空属性持ちだった!
『――――爆ぜろ!』
魔神の両手から白い炎が放たれた。
直後、太陽の国の空全てを白い爆炎が飲み込んだ。
『魔神たる俺を楽しませろ!!そして最高の糧となれ!!』
魔神の背中の羽から無数のレーザーが掃射される。
魔神の目は、思いっきりいっちゃってた。
あれ、戦闘狂のたぐいだよ。
『ピピィ!!』
「お?スラ太郎もヤル気か?」
『ピィ!』
「よっし!じゃあ、一緒に反撃するか?」
『ピィ!』
レーザーを避けながら、俺とスラ太郎は一方的に攻撃をし続ける魔神に対し反撃を開始した。
あ、ちなみにファ〇ネルはまだ無事だよ。
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――魔王城――
一方その頃、スライム団と合流した唯花達は魔王と対峙していた。
これまたテンプレと呼ぶべきが、部屋の床一面に白く冷たい煙が漂う広大な部屋の奥にある玉座、そしてそこに座っていた男は拳を震わせながら立ち上がり、唯花達に向かって叫んだ。
「何だ……何なんだテメエらは!?」
「一応聞くけど、貴方が魔王?」
「そうだ!俺が魔王だ!!」
唯花達と対峙した魔王は魔王としての威厳を持ち合わせておらず、突然の侵入者を前にして激しく動揺していた。
(……学ラン魔王?)
心の中で唯花は魔王の第一印象を呟いていた。
目の前の玉座から立ち上がった魔王、だがその姿は唯花には見慣れた学ランを着た、何処からどう見ても日本人の不良男子学生だった。
テンプレ魔王?
残念、学ランを着た悪がき魔王でした♪
次回は木曜日更新予定です。




