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ボーナス屋、勇者になる  作者: 爪牙
異界の七大魔王編Ⅰ―建国の章―
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第308話 ボーナス屋、国造りを始める

――ファル村――


「終わった~~~!!」



 俺、今日から自由!


 地獄の期末試験ウィークから解放された俺は堂々とわが家に戻ってきていた。


 必死に勉強したから全科目赤点回避は確実に成し遂げる事ができた。



「さ~てと!今日から頑張るぞ!」



 俺は空に浮かぶ島を見上げながら声を上げた。


 嫁達が女神ヘラを倒して手に入れた空中島――一部の人は「愛の巣」と呼んでいる――に、今日から俺達の国を建てるんだ!






--------------------------


――名も無き空中島(俗称:勇者島)――


 前にも言ったが、この島のサイズは北海道とほぼ同じ広さだ。


 山もあれば川も湖もある。


 浅瀬の()もある。


 俺達はこの島に理想郷(ユートピア)を築くんだ!



「――――てなわけで『第1回「勇者の国(仮)建国会議』を開催する!」


「イエ~イ☆」


「パフパフ~♪」


「「「……」」」



 まだ仮設の建物が数件あるだけの湖畔の一角で俺は仲間を集めて建国会議を開催した……のだが、何故かバカ龍王兄弟も同席していた。


 言っとくが、誰も招待はしていない。


 この兄弟が勝手に来たのだ。



「そこの兄弟!何でココにいるんだ?」


「「世界平和の為~♪」」


「地球の平和を守ってろ!」



 面倒な奴は全部地球側に押し付けよう。


 と思ったが、2人は帰る気は無かった。



「……何で俺達まで?」



 ヒューゴは若干納得のいかないような顔をしている。


 何でって、同じパーティメンバーだからに決まってるだろ?


 ああ、今日集まったメンバーを紹介しよう。


 まずは主催者の俺、次に銀洸と銀耀のバカ兄弟、『ビッグウイング』からヒューゴ、ケビン、ジャン、ロルフの4人、チーム俺の嫁からは唯花、アンナちゃん、ユニス、リスティ、ユリアちゃんの5人が来ている。


 あとは技術系顧問としてエルナさん、そして毎日暇なヴリトラが来ている。


 ロビンくんやステラちゃん達は、仕事の関係で今日は欠席だ。



「まあ、息抜きだと思って楽しんでくれよ♪」


「そうだよ兄さん。兄さんだって、最近は宮殿暮らしが厭きたって言ってたでしょ?」


「それは……いきなり周りから「皇子様!」「殿下!」って呼ばれ続けてたら嫌になるだろ?」


「あ~、分かる分かる」


「俺も王様してた伯父が居なくなってせいで最近は「次期国王」なんて言われてるんだよ。母さんは親父と毎晩イチャついて、今朝妊娠が発覚した」


「「「え!?」」」


「……おめでとう?」



 取り敢えず目出度い話なのでおめでとうと言っておく。


 考えてみたらロルフの母さんはまだ若い――実年齢よりも若く見える――から、これからもロルフパパと頑張ればロルフの弟妹を生んでいくだろう。


 願わくば、どこぞの皇帝みたいにならないことを願う。



「そういえばシロウさんも……」


「さ~て!早速本題に入るぞ~!!」



 こっちに飛び火する前に避難!



「まずはぶっちゃけ、どんな国にしたいか言ってみよう!」


「「酒地肉林~」」


「却下!というか、お前等は喋らなくていいから!みんなはないか?」


「普通に「勇者の国」じゃねえの?」



 ヒューゴが当然のような顔で呟いた。


 ……。



「……普通(それ)以外(・・・・)で!」


「あ、あのう……「自由に恋ができる国」で……」



 アンナちゃんは顔を真っ赤にしながら呟いた。


 アンナちゃんは自由恋愛賛成派だからな。


 けど、ダーナ大陸は既に――某皇帝とかを見ていると――自由恋愛が普及しているようにも見えるから、放っておいてもそうなるんじゃないか?


 世界でここにしか無いって感じのアイデアが欲しいな。



「……テーマパークなんて、どう?」


「「「てーまぱーく?」」」



 呟いたのは唯花だ。



「この世界って、私達がいた世界と比べたら娯楽が少ないでしょ?あっても貴族向けの賭博場とかしかないし、ファル村は……誰かさんのお蔭で日に日に増えている(・・・・・・・・・)けど、もっと大々的に誰もが遊べる場所とか寛げる場所があったら良いと思わない?」


「成程」



 唯花の言いたい事が大体伝わってきた。


 ファル村は例外として、この世界には庶民向けの娯楽は結構少ない。


 絵本とかはそこそこあるけど、最近まで紙が貴重で印刷技術も進んでいなかったから文学は基本的に富裕層向けの文化って感じだった。


 ならば、身分に関係なく娯楽を満喫できる場所があっても良いんじゃね?


 唯花はこう言いたいんだろう。



「良いアイデアだな!他には無いか?」



 他の皆の様子を見ると、意外と思い浮かばないようだ。


 世界の文化が違うからなのか、この世界の住人は理想の国は想像するのが苦手なのかもしれないな。


 この世界って王侯貴族を始めとして一部の権力者によって支配されているから、そのせいで夢や理想を持とうとする人自体少ないって話も聞いたこともあるしな。


 と思っていたら、女性陣がヒソヒソと相談を始めていた。


 あ、今目がギラッと光った!



「ハイ!女性専用の入浴施設が欲しいです!」


「エステ!」


「美男子天国!」


「国家主催の合コン!」


「愛の園!」


「リゾートビーチ!」


「スイーツ食べ放題!」


「モフモフ王国!」


「生産の聖地!」


「世界征服!」


「ショッピングモール!」


「あのう……孤児院を」


「無料図書館が!」


「ファッションショー!」



 女性陣から洪水の様にアイデアが雪崩れ込んできた。


 主に個人的な希望ばかり……って、世界征服って言ったのは誰だ!?


 しないからな!!



〈――――しないのか? byスサノオ〉



 しねえよ!!


 そして心を読むな!



「釣り大会とかあったら面白くないか?」


「だったら、魔法大会もやりたい!」


「どうせなら、世界最強を決める大会とかもよくないか?」


「それ、シロウの圧勝じゃないか?」



 次第にヒューゴ達もアイデアを出し始めた。


 世界最強決定戦って……ジャンは俺が圧勝すると思っているようだが、世の中には人智を超えた強者で溢れ返っている。


 俺が常に優勝するとは限らないぞ?


 とまあ、こんな感じで俺達の国造りは始まった。



――――ピロロ~ン♪



▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

『速報:悪神ロキ、脱走!!』


 投獄中の悪神ロキが脱走しました。

 現在、女神フレイヤ率いる戦乙女部隊(ワルキューレ)が追跡中です。


▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲



 またか!


 今度は別の世界に行ってほしい。


 こっちには二度と来るなよ!



――――ピロロ~ン♪



 また速報キタ!



▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

『速報:伝令神ヘルメス、脱走!!そして瞬殺!!』


 投獄中の伝令神ヘルメスが脱走しました。

 ですが1分後、黄泉の女王である冥府神イザナミ様に瞬殺され再投獄されました。

 脱走犯ヘルメスは歯を全て失いました☆


▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲



 うわあ~









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