第304話 コッコ団、ある1日
――ファル村 『コッコ団本部』――
コッコ団の朝は早い。
『『『ゴゲゴッコ~~!!』』』
彼らの1日の始めはファル村全域へのモーニングコールだ。
彼らの体内時計は並のコンピューターを超える精度を誇るのだ。
『ゴケ!?』
おや?
レバーくんが何かを見つけたようだ。
『ゴケェ~!!』
「ぐわっ!何だこのニワ……痛ッ!たたたたたたっ!?わ、分かった!降参!!降参す…ああああああああああ!!」
『ゴケゴケ~!!』
ゴミを不法投棄する者を発見したようだ。
ファル村では不法投棄は犯罪、捕まれば軽くても罰金と1日奉仕活動の刑になるのだ。
『ゴケ!』
犯人を現行犯逮捕したレバーくん!
このまま犯人を牢屋に連行だ!
『ゴケゴケ!ゴケ!』
『『『ゴケ!』』』
コッコ団総帥コッコくんは今日も元気だ!
団員の前でも威厳はバッチリだ!
『『『ゴケ~!』』』
コッコ団は飛んだ!
これからダーナ大陸中にある各支部に移動するのだ。
総帥のコッコくんと元帥のテリヤキちゃんは村で他の待機メンバーと村の警護だ。
さて、今回はファル村以外でのコッコ団の活躍を見てみよう。
まずはファリアス帝国からだ。
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「ゲヘヘヘヘヘヘ!金目の物を全部置いていきな!」
「キヒヒヒ!死にたくなかったらいう事をききな?」
おや?
街道で数台の馬車が盗賊団に襲われている!
馬車には赤ん坊を抱き抱えた女性も乗っている。
このままだと2人の命が危ない!
「ヘヘヘ、この女は中々の上物だな?今夜のお楽しみにしてやるぜ!」
「キャアアアアアアアアアアアアア!!誰か助けて~~~!!」
「ヘヘヘ、誰も来ねえよ♪」
だが、そこへ空から颯爽とヒーローがやって来た!
『ゴケゴケ~~~!!』
コッコ団ロースト隊隊長ローストくんがやってきた!
ローストくんは目の前の悪行に怒りを燃やした!
ローストくん、あの親子を助けるんだ!
『ゴケゴケゴッケェ~~~!!』
「「「GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!」」」
一撃必殺!
ローストくんの《断罪のロースト・プロミネンス》が盗賊団を全滅させた!
『ゴゲッゴ~!』
「ああ、なんて温かい光なの!」
ローストくんは負傷者の傷を魔法で完治させた。
心の傷だって一発で完治だ!
「奥様、あれもしや、最近噂のコッコ団では?」
「ええ、きっとそうですわ!」
コッコ団は既に有名人だった。
ローストくんは倒した盗賊団を食べて収納し、その場を去って行った。
地上からは「ありがとう!」の声が聞こえてくるが、ローストくんは振り返らなかった。
ローストくんはクールなのだ。
『ゴケ!』
今日もファリアス帝国の街道はロースト隊が守っていた。
さて、次に行ってみよう!
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「火事だ~!山火事だ~!!」
おや?
ゴリアス国では山火事が発生したようだ。
「山火事だと!?」
「早く逃げろ!」
「見ろ!魔獣がいるぞ!!」
どうやら魔獣が山に火を放ったようだ。
しかもその魔獣は麓の村に近付いてきている。
村にある食糧を狙っているんだ。
「荷物はいいから逃げろ!」
「子供達を早く!」
『ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』
「キャアアアアアアアアアアアアア!!」
逃げ遅れた村人に迫りくる魔獣、そこに救世主がやって来た!
『『『ゴケゴケ~~~!!』』』
「あ!あれは何だ!?」
「鳥か!?」
「神か!?」
「いや、光る鶏だ!」
「コッコ団だ!!」
コッコ団ネック隊がやって来た!
『『『ゴケゴケ~!!』』』
『ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!?』
多勢に無勢、魔獣はフルボッコされて倒れた!
『ゴケェ~~~!!』
ネックちゃんが魔法を使った!
燃え上がる山に大雨が降り注いで山火事は鎮火した。
村人達は大喜びだ!
「ありがとう!コッコ団!」
「カッケェ~~~!!」
コッコ団は国境を越えても大活躍だ!
だが、コッコ団の仕事は戦いばかりじゃない!
その辺りも紹介しよう!
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『ゴケ!』
『『『ゴケ!』』』
『ゴケ!』
『『『ゴケ!』』』
『ゴケ!』
『『『ゴケ!』』』
ここは聖国にあるコッコ団聖国支部の鍛練場だ。
ここでは日々、新人のコッコ団団員が訓練をしている。
『ゴケェ~!』
『『『ゴケ~!』』』
『ゴケ!ゴケゴケ!ゴケェ~!』
『『『ゴケェ~!』』』
どうやらコッコブレスの訓練をしているようだ。
教えているのはコッコ団ナゲット隊の面々だ。
みんな一生懸命にやっているようだ。
「ありがたや~」
「御使い様方、今日のお供えでございます。どうぞお食べ下さい」
『ゴケ!』
そうそう、聖国ではコッコ団は皆に崇められている。
総帥が神様になってからはお供え物が豪華になっていくので皆ハッピーだ。
『ゴ、ゴケェ……』
『ゴケ!ゴケゴケ!』
おや?
ナゲットくんは随分と大きくて黒い新人を叱っているようだ。
どうやら新人が間違って公共物を壊しちゃったようだ。
悪い事をしたら反省する。
それがコッコ団のルールだ。
そして壊した物は自分で直すのもルールだ。
頑張って修復しよう、新人くん!
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今度は山奥に行ってみよう!
もうすぐ冬も本番になる山奥では仕事が大忙しだ。
毎年この時期は炭や保存食を作るので忙しい。
真冬になったら村は雪で閉ざされて行商人が来ないから、必要な物は自分達で作らないといけないんだ。
だけど今年は少し違う。
『ゴケ~!』
「あ!モツくんが来た!」
「モッくんだ~!」
コッコ団のモツくんは荷物を背負って飛んできた。
荷物の中――四次元バッグなので中身は凄く多い――にはモツくんが街で買ってきた商品が入っていた。
モツくんはコッコ団が始めた「買い物代行サービス」で、事情があって買い出しが出来ない人達の手伝いをしているのだ。
「おお!海の魚など何十年ぶりか!」
「まあ!これが噂の石鹸?いい香りがするわね」
「わ~い!お菓子!お菓子!」
「ほう、これはまたいい麦じゃな?」
「塩や砂糖まで!1番近い街だと、もっと高いのにね~」
モツくんは買い物上手だ。
どんな品も、1Dでも安いところで仕入れてくるから一家の財布を握っている奥様方は大喜びだ。
『ゴケ!』
(おお!いい香りのする酒じゃ!)
(タバコ!久しぶりにタバコが吸える!)
「「あんた!!何無駄遣いしてんだい!?」」
「「ヒィィィィィ!!」」
尚、モツくんは夫婦喧嘩の仲裁は承らないよ!
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コッコ団は人命救助もしている。
山なら遭難者、海なら漂流者を見つけて最寄りの町に搬送してくれる。
おっと!
今日も森の奥から泣き声が聞こえてきた!
「オギャアアアアアアア!!」
『ゴケ!?』
見回りをしていたササミちゃんはビックリした!
なんてことでしょう!
森に赤ん坊が捨てられているではありませんか!
『ゴケ!』
「オギャ?」
子供好きのササミちゃんは赤ん坊を背中に乗せて飛び立った。
しかし数分後……
「オギャアアアアアアアアアアアア!!」
『ゴケ!?』
また赤ん坊を発見した!
子供好きのササミちゃんはその子も保護した。
そして更に十数分後……
「オギャアアアアアアアアアアアア!!」
『ゴケッコ!?』
また赤ん坊を発見した。
一体どういう事なのだろうか?
この辺りでは捨て子の風習でもあるのだろうか?
ササミちゃんはこの子も保護した。
「オギャアアアアアアアアアアアアアア!!」
『……』
その日、ササミちゃんは大陸中で368人の赤ん坊を保護した。
ササミちゃんのお蔭で全員健康体だが、あまりの多さにササミちゃんの頭はショートしそうになった。
ガンバレ、ササミちゃん!
しかし、保護した赤ん坊達はどうするのだろうか?
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コッコ団は日没と共にファル村へと帰ってくる。
『『『ゴケ~!』』』
『ゴケ!』
今日も1日働いた部下達に、コッコくんは労いの言葉を贈る。
コッコ団の顔は今日も誇りに満ちていた。
「お~い!」
そこへ、コッコ団の主人がやって来た。
「コッコくんも皆もお疲れ!晩御飯を持ってきたぞ!」
『『『ゴケ♡』』』
今夜は御主人様特製のディナーだ!
コッコくん達の顔はすっかり緩んでいる。
コッコ団、御疲れ様!
今日はご飯を食べてゆっくり休んでね♪
『『『おぎゃあああああああああああああああああああああああああ!!』』』
「えええええ!?何で赤ん坊が一杯!?」
……ササミちゃん。
赤ん坊、どうするんでしょう……?




