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ボーナス屋、勇者になる  作者: 爪牙
番外編Ⅸ
313/465

第303話 ボーナス屋、日本にて……

300話突破記念で募集したリクエスト第1弾です。

注意!:このストーリーは作者の別作品、『黒龍の契約者』の神殺し編を士郎視点で書いたものです。向こうのお話しを読んでいない人にも大丈夫なように書いたつもりですが、もしかするとご不明な点もあるかもしれません。その点はご了承ください。


――勇者の家――


「そういえばシロウ、一度お前に訊きたい事があった!」


「何?俺、今勉強中なんだけど?」



 俺が必死になって2日後に迫った期末試験の勉強に没頭している時、ヴリトラはふと思い出したようにその事を訊いてきた。



「インドラが日本でやられて、俺も『蛇』の連中に操られていた時、お前もあそこに居たんだろ?インドラの最期ってどんなだったんだ?」


「いや、俺が来た時にはもうインドラは殺された後だったから知らないぞ?」


「そうか……奴の醜態を聞きたかったんだけどな~」



 よっぽどインドラさんに恨みがあるのか、ヴリトラは凄く残念そうだ。



「じゃあ、あの時お前が何してたのが聞かせてくれ!それも面白そうだ!」


「……お前、暇なだけだろ?」


「いいから聞かせてくれ!」



 しょうがない。


 しつこいから少しだけ話そう。


 あれは壮龍が生まれて1週間くらい経った頃の事だった。







--------------------------


――回想――

▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

From:ハニヤス

Sub:緊急応援要請!


 地球世界で異変が発生しました。

 インド地方において『破壊神』シヴァと『軍神』インドラが失踪。

 ヴィシュヌ達による後の調査で『創世の蛇』の魔の手に堕ちたと断定、現在は龍脈を移動しながら我が国日本の古都『京都』へと向かっており、あと2時間以内に顕現する模様。

 顕現時、『創世の蛇』の軍勢も交えた激戦が繰り広げられる為、我が加護を受けし者達の中でも《神殺し》を持つ勇士に応援を要請する。

 これは強制ではないが、無事にこの件の解決に協力してくれた場合、アジア圏の神々より報酬が支払われることになっている。


 強制ではないが、どうか力を貸してほしい。


▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲



 始まりはハニヤス様からのこのメールだった。


 なんか、俺が異世界にいる間に地球世界では大変な事になっているようだ。


 インド神話最強クラスの神様が敵に操られて日本を襲撃しようとしているそうだ。


 シヴァと言ったら『七福神』の大黒天の本名、つまり弁財天先生の同僚さんだ。


 インドラも帝釈天の名前で、俺も知っている有名な神様だ。



「よし!行くか!」



 故郷の危機に俺は立ち上がり、すぐに時空を超えて日本へと戻った。


 壮龍を『紡ぐ者達の家(ブレイブ・ハウス)』に預けて、俺と唯花は地元の仲間達を緊急招集した。



「世界滅亡の危機と聞いたので、居ても立っても居られませんでした!」



 俺の能力と肩を並べられるほどのチート《創造魔法》を持つ小学5年生、高岡亮介!


 魔法も兵器も何だって創造しちゃう♪



「京都が吹っ飛んだら、弟妹達が修学旅行で行けないからな!強のバイトは全部キャンセルしてきたぞ!」


「え!そっちの心配?」



 最初は人間だったけど今は人間じゃない、その正体は龍王を父に持つ勤労学生、小嶋瑛介(こじまえいすけ)


 俺と同い年でワイバーンやリンドヴルムの氏族『飛龍氏族』のリアル王子様だ!



あの人(・・・)も戦うなら私も行きます!回復役は任せてください!」



 イケメンに片思い中の女子中学生、牧原美咲!



「士郎だけだと危ないから、私も行くわ!」



 その気になったら素手で悪魔を殺しそうな空手は黒帯の女子高生、平田唯花!


 他色々!


 全員、俺と同じ日に同じ人物に出会ってチートを貰った仲間達だ!



「瑛介、俺達を乗せて京都へ出発だ!」


「お前の《転移》の方が早くないか?」


「それが無理だから頼んでるんだよ。なんか、神クラスな結界に阻まれて転移系は使えないんだよ」



 この時点で京都は異常な状況だった。


 外部からの転移系での侵入はレジストされたんだ。


 俺達は龍になった瑛介に乗って京都へと向かった。




『――――ここから先は通さん』



 だが、途中で俺達の進路を阻む敵が現れた。



「……天使?」


『否。我は地獄の公爵が1柱、堕天使クローセル。契約により、力持つ者はここより先へは通さん』



 それは天使みたいな姿をした悪魔だった。


 あのファンタジーで有名(メジャー)なソロモン王が従えた72の悪魔の1柱、序列49位のクローセルだ。


 ステータスは以下の通りだ。



【名前】クローセル

【年齢】5822  【種族】悪魔(堕天使)

【職業】公爵  【クラス】使役されし悪魔公爵

【属性】闇 水

【魔力】6,100,000/6,100,000

【状態】正常

【能力】攻撃魔法(Lv4) 防御魔法(Lv3) 補助魔法(Lv5) 特殊魔法(Lv5) 属性術(Lv4) 悪魔呪術(Lv4) 天界聖術(Lv4) 剣術(Lv3) 体術(Lv3) 盾術(Lv3) 杖術(Lv3) 錬金術(Lv2) 才の魔眼 契約の魔眼 水の調律師(アクア・コンダクター)

【加護・補正】物理耐性(Lv2) 魔法耐性(Lv4) 精神耐性(Lv5) 闇属性無効化 水属性無効化 全状態異常無効化 全能力異常無効化 詠唱破棄 高速回復 不老長寿 永久の記憶 従える者 水を鎮める者 見抜く者 堕ちた能天使 契約した悪魔 鋼の制約 龍殺し 竜ハンター 天使殺し 魔王ルシフェルの加護

【BP】-899


 凄く強そうだった。


 正直、コッコくんを連れてくれば良かったと思ったな。



『汝の事は聞き及んでいる。欠片とはいえ、アスモデウス陛下を葬りし現世の“大特異点”。我等の脅威となる汝を、この場にて排除する!』



 流石に格が高い悪魔と言うべきか、今まで会ってきた悪魔の中では一番まともだった。


 だけど急いでいた俺達はさっさと排除することにした。



『――――滅せよ!』


「ペナルティ&オールリセット!!」


『グハッ―――――――!?』


「瑛介、今だ!」


『無茶苦茶だな!?』



 細かい戦闘内容はカット!


 何時もの様にペナルティを上げたり、リセットした後に皆でフルボッコした。


 止めはブリューナクの一閃だ。



『グハァァァァァァァァ!!へ、陛下ァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!』



 大悪魔は空に散っていった。


 そしていい経験値になった。


 だけど10分くらい時間をロスしてしまった。


 俺達は急いで京都を急ぐ。



『カカカカ!クローセルを倒すとは見事!次はこのヴィネーが相手だ!』



 だけどまた邪魔が入る。


 亮介に大量に聖水を創造して貰って溺れさせてからフルボッコして倒し、次を急いだ。



『フフフフ……。未来が視える私には貴様達の動きは丸見えである。まずは自己紹介をしよう。私はソロモン72柱が1柱、プルソン』


『同じくフルフル!』


『オリアクスだ!』


『グレモリーよ。そして後ろにいるのは私達の兵達よ』



 今度は悪魔の大群がスタンバイしていた。


 未来が視える悪魔のせいで待ち伏せされていたようだ。


 敵は俺が助っ人に来るのを想定していたんだ。


 ハッキリ言って数の暴力は厄介だった。


 取り敢えずペナルティ&オールリセットのコンボは決まったけど、蟲の様に湧いてくる下級悪魔達の軍勢は厄介だった。


 俺は大技で吹っ飛ばそうしたが、そこに助っ人が参上した。



『ヨ~ヨ~!随分と盛り上がってるじゃねえか?』


『貴様は……ウリエル!!』


『助太刀します』


『……ガブリエル!!』



 なんと、天使の助っ人が登場した。


 それも超有名なウリエル&ガブリエルさんだ!


 ちなみにガブリエルさんは爆乳だった!


 スゲエ!アヌ様より大きいか!?



『貴方方は先を急いで!』


『俺の契約者からの伝言だ!「みんな~!MAIKO-HANを護れ~!」だとよ♪』


「―――!ありがとう!お礼にボーナスあげとく!」



 俺はガブリエルさんに感謝の気持ちを込めて手早くボーナス交換をした。


 そして手を振りながら先を急いだ。



『……彼が………ネと…カ…が言っていた……』



 別れの際、何かを言われた気がしたが、俺は深く考えなかった。


 そして俺達は時間を大分ロス――時間を操る悪魔のせいで内部時間が外より遅い結界を10秒ほど使われた――しながらも京都へと到着した。


 が、そこは怪獣大決戦だった!


 古都の地上には8体の龍王『八大龍王』、空には軽く100以上いる悪魔、堕天使のお姉さん、バカ龍王、自称・鶏神を始めとした神様達、そして先に戦っていた俺の仲間達がいた。



「うわあ、怪獣大戦争だな!」


「ちょっと!!この魔力何!?正直、もう近付きたくないんだけど!!」


「凄い!!魔力600万超えが一杯いる!!」


『おい!落ちるぞ!』



 あの光景にはみんな大興奮だった。


 だって神や悪魔、龍王が沢山いるんだからな。


 けど、肝心のインドラとシヴァはとっくに倒されていた。


 間に合わなかったらしい。


 けど、来たからには仕事をしないとな!



「フッフッフ!さ~て、後で皆ビックリ!魔改造タイムだ!」


『……おい、マジでやるのか、士郎?』



 マジに決まってるだろ?


 なんか妙にテンションが上がっているあいつ――異世界から来た神剣の担い手、天雲勇吾――にも、これからこっそりチート化を施すぜ!


 それを伝えると、先に敵を減らした方がいいんじゃないかと言われた。



「そっつもやるさ!ハニヤス様に頼まれちゃったからな!」



 俺はとにかく頑張った。


 ボスキャラっぽい堕天使――カスピエル――の女と戦っている勇吾達に、敵にも味方にもバレないようにボーナス交換をしてチート化していった。



『グワァァァァァ!!』


『ギャアアアアアアア!!』



 悪魔達もザックザック倒していった……けど、レベルは上がらなかった。


 この時点でかなり強くなっていたからなあ~。


 俺以外はビュンビュンレベルアップしていったけど。



「はい、堕天使の人もペナルティ&オールリセット!」


『ホント、容赦ねえな?』



 だけど、あの女は『創世の蛇』の大幹部らしく、何時もみたいにすぐには終わらなかった。



『我が身と共に堕ちなさい――――ティアマト!ヴリトラ!』



 弱体化した女幹部は第2形態になった。


 上半身が人間で、下半身が龍の、RPGならラスボスに出て来そうなジャイアントなモンスターになった。


 チートくんの調べによれば、ヴリトラと『生命の龍王』――または『藍の龍王』――と呼ばれているティアマトって神様龍王と合体していたようだ。


 そしてここからが大変。


 第2形態となった女幹部は魔獣を大量生産した。


 なんか視界が魔獣で埋め尽くされて、皆大パニックだった。



「おらおらおらおらおら!!!!」



 俺はクラウ・ソラスとブリューナクでどんどん蹴散らしていった。


 皆もここまで来る間にレベルアップして強くなったから一緒に暴れまくった。


 上級魔法も機関銃みたいに連発したな~。


 なのにレベルは上がらない。



『苦戦しているようだな。助けてやるか?』



 ああ、助っ人も登場したっけ!



『俺はタケミカヅチだ!天に名高き最強の軍神だぜ!』



 元気なオッサンだったな~。


 そして強かった。



「ななな!何よあれ!?」


「うわあ………」



 無双の一言だった。


 他にも軍神がいたせいか、その光景はハリウッド完敗の迫力で満ちていた。



『フハハハハハハハハハハハハハ!!オラオラオラ!!もっと俺に血を見せろやあああああ!?』



 暴風を生む剣技、雷鳴が轟く戦場、塵芥になっていく万を超える悪魔と魔獣達、これなんてジェノサイト?


 そして戦況はバカがやらしてくれたお陰で俺達の優勢となった。



「ハイハ~イ!飛び込みさん1名デ~ス!」


『1名様、御案ナ~イ♪』



 一瞬だけど、ヴリトラがワームホールに吸い込まれるのも見たな。


 今思い出してもあれは不憫だった。



『グァァァァァァァ―――――』



 不憫だったな。


 だけど、あの時はヴリトラを憐れみ続けている暇は無かった。



『やってくれたね?』



 俺達の前に、堕天使の少年が立ち塞がった。


 12枚の漆黒の羽を広げた堕天使、七大魔王ルシフェルの契約者であり『創世の蛇』の大幹部、『幻魔師』カース(ルシフェルモード)の登場だ。



『この前の『魔神』様の件も含め、少し意趣返しをさせて貰うよ?』


「ペナルティ&リセッ――――」


『残念だけど、ここに居る僕は本体じゃないから無駄だよ?君の固有能力(ユニークスキル)は、対象の本体が近くに居ないと使えないのは解析済みだからね♪』



 敵もバカじゃなかった。


 俺の必殺コンボへの対策を打っていたんだ。



『さあ、ちょっとだけ痛い目に遭って貰うよ♪』



 これ、ちょっとヤバくないか?


 なんか邪悪な呪いっぽい波動が出てるし、バックには悪魔騎士団がスタンバイしている。


 だけど俺は敵に屈しなかった。



『そして君の体を僕のた――――ん?』


「……」


『……君、何かしている?』


「さあ?」



 カースは気付いていたが、バックの悪魔騎士団は気付かずに悲鳴を上げていた。


 俺は《隠形秘術》で自分の能力の使用を隠蔽しながら《吸収之超人(ドレイン・マスター)》で敵の魔力をドンドン吸収していた。


 ついでに聖なる力も放射しまくって、悪魔騎士団達をあっという間に戦闘不能にしていった。



『これはちょっと誤算だったね。てっきり力任せ一直線な戦いしかしないと思ってたけど、意外と小細工も出来るみたいだね?』



 その後は軽く戦闘も行った。


 魔王とは所詮は分身ってこともあって、俺のクラウ・ソラスとブリューナクの敵じゃなかった。


 神器ってやっぱりチート!


 だけど、カースは余裕の笑みを崩さなかった。


 そして徐に空に向かって指をさした。



『――――バアル♪』



――――ゴゴゴゴゴゴゴ……!!



 カースに夢中であまり気にしてなかったけど、この時の京都上空には次元の穴が生じていて、中からジャイアント過ぎる腕が飛び出していた。


 その巨大な手から重力波みたいなのが放たれる。


 後で知ったんだけど、あの巨大な腕の正体は、ソロモンの悪魔の筆頭、72柱の序列1位の大悪魔バアルだった。


 あれ、デカすぎ!!


 けど、その直後の光景に俺達は仰天した。



『――――頂きます♪』



 バカ龍王だ。


 バカ龍王こと銀洸がなんか変身して、バアルの腕に噛み付いた。



―――――バリッ!!ボリッ!!グチャッ!!モグモグ……



 食べてる!!??


 あの食いしん坊は大悪魔の腕を食べ始めた!!


 視線をカースに戻すと、あまりの光景にカースも目を丸くしている。



「……ブリューナク!!」


『――――!!』



 その隙をついて、俺はカースを消し飛ばした。


 その後は雑魚掃除……だったんだけど……。



『ヒャッハァ~!!☆SHO☆U☆DO☆KU☆だあ~~~!!』


『摩利支天!!あの脳筋止めるの手伝え!!』


『……却下』



 一部の神様達が暴走しちゃってて俺達の出る幕は無かった。


 取り敢えず、今回のバトルで儲けた皆のボーナスポイントを使ってボーナス交換をして時間を潰していった。

 これが京都で会った事件のあらましだ。






――回想終了――



--------------------------


「――――といった感じだ」


「俺、そんなに不憫だったのか?」


「まあ……無双しまくったタケミカヅチやフツヌシのインパクトが強すぎたからそれほど…でもなかったかも?」



 あの後、神だらけの宴会があったらしいが、俺達はすぐに帰ったから直接は見ていない。


 ただ、スサノオがまたやらかしたらしいとは聞いている。



「……飲んでくる」


「今から?」



 ヴリトラはふらふらと家を出ていった。


 さてと、俺は勉強を続けるか。








 ちなみに、京都での出来事は時系列で言うと231話と233話の間の話になります。


 次回もリクエスト番外編!

 次は要望の多かったコッコ団のお話しです!

 お楽しみに!



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