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ボーナス屋、勇者になる  作者: 爪牙
12の大迷宮編Ⅱ
302/465

第292話 ボーナス屋、料理する(ヘルメス大迷宮1)

――ガンドウ大陸 某漁村――


 無性に海の幸が食べたくなった俺は新大陸2こと、『ガンドウ大陸』に来ている。


 何故かというと、俺が求める海の幸はダーナ大陸には存在しないからだ。


 だからある場所をささっと検索してやってきたんだけど、着いた直後に溺れているロリ海女ちゃんを発見、助けたら物凄く感謝されて海の幸をご馳走になった。



「ふう、御馳走様♡」



 異世界産のアワビやらサザエやらを腹一杯食べた俺は幸福感も一杯になった。


 おまけにお土産も沢山貰って気分はウハウハだ。



「壮龍、海は面白かったか?」


「だあ♪」



 壮龍も漁村の海女ちゃん達に遊んでもらって上機嫌だ。


 何やら玩具も貰ったようだ。



「また来てくだされ」


「またご先祖様の故郷のお話を聞かせてください」


「ほれ!鰹節も持ってけ!」


「うちの婿に来る気はねえだか?」



 村人達に温かく見送られ、俺はファル村へと戻った。


 ちなみに、この村の人達の先祖は江戸時代前期にこの世界にトリップした隠れキリシタンだ。


 そのせいか、村には和洋をミックスさせた光景が印象的だった。


 オカメ顔のマリア像は凄かったな……。







--------------------------


――ファル村――


 村に帰ると、ダンジョンの入口の前に見覚えのない祭壇が出来上がっていた。


 そしてそこで祀られていたのは、全身を亀甲縛り(・・・・)された『海神ポセイドン』だった。



「ありがたや~」


「家内安全、病魔退散」


「一攫千金!一攫千金!」


「(彼女に浮気がばれませんように……!)」


「来年も豊作になりますように!」



 ポセイドンは村人以外からも拝まれていた。


 だが、有難味はゼロだ!



「―――――ッ!!」



 ポセイドンが俺に向かって必死に何かを訴えてきている。



「オギャァ~~~!!」


「お~よしよし!怖いオジサンから離れようね~♪」


「~~~~~~ッ!!」



 壮龍が泣き出したので俺はその場を後にした。


 息子を泣かす神は助けない!


 おれ、最近の俺ルール!






--------------------------


――勇者の家――


『キャメ~』


「キャッキャ♪」


「カメ、グッジョブ!」


『キャメ?』



 カメのファインプレーにより壮龍の御機嫌は回復した。


 カメは今では俺達には欠かせない家族の一員なのだ。



「うぅ……まだ頭が痛い……」



 絶賛二日酔いのヘスティア様が現れた。


 衣服はだらしない状態で、立派なソレは盛大に揺れていた。


 ワオ♡



「おお!やっと帰って来たか、契約者(シロウ)!俺のご飯は未だか!?」


「ヴリトラ……」



 次に現れたのは外の露店で買ったらしいアメリカンドッグを咥えたヴリトラだった。


 そしてその隣には……



「「お帰り~」」


「お、お邪魔してます!」


「……何故、お前らがいる?」



 ……銀洸&銀耀兄弟とルチオが同じくアメリカンドッグを咥えて立っていた。


 おい、昨日は嫌っていた相手と何で仲良くなっているんだ?


 餌付けされたのか?



「一緒に買い食いしてた~♪」


「ポテチ、美味かったな!」


「やっぱり餌付けか!!」



 ヴリトラ、チョロ過ぎるだろ。


 きっと神話の時代でも、こんな感じでインドラさんの罠に嵌ってたんだろう。


 インドラさんが笑いながらヴリトラを罠に嵌める光景が目に浮かぶな。


 あ、ヘスティア様が今にも倒れそうだ。


 さっさとシジミ汁を作ってあげよう。


 漁村で貰ったシジミを始めとした材料を揃えて《全自動料理之達人(スーパー・オート・クッキング)》を使うだけだからあっという間にできた。



「わ~い!シジミ汁~♪」


「お前らも食うのかよ!?」







--------------------------


――『ヘルメス大迷宮』 第7階層――


 十字路のド真ん中に看板が立っていた。



『あなたは童貞または処女ですか?



 はい→このまま前進してください。

 いいえ→右折してください。

 その他→左折してください。


 ※虚偽の選択をした場合、触手に襲われます。』



 「その他」とはどういう意味なのだろうか?


 健全な一般人は考えない方が良いのかもしれない。



「「「………」」」



 冒険者達は沈黙した。


 男4人女3人のパーティは、この難関をどう乗り切ればいいのか本気で悩んだ。



(ヤベエ!皆には嘘言ったけど、俺未だ童貞なんだよ~!)


(マズイわ。リーダーと関係を持ってるなんて言えない……!)


(両方無い僕は……「その他」?)


(こんな事なら嘘吐くんじゃなかった……)


(どっちだ!?あいつはどっちに行くんだ!?)


(――――触手?)


(なんて厳しい試練だ!)



 その後、7人はそれぞれの道を選んで進んだ。


 2人ほど触手に襲われてしまったが、それ以外の5人は無事に合流することができた。


 若干、パーティ内に不和を残してしまったが。


 そして1時間後、また別のパーティが十字路にやってきた。



「「「………」」」



 ルートス王国第一王子フェニクス一行は、看板の前で立ち尽くしていた。


 父である国王の「攻略したら王位やる!」の一言に乗せられた王子だが、目の前の難問に表情を険しくさせた。



「こっちだ!!」



 数分後、王子一行は堂々と直進(・・)した。


 彼らはその後、大迷宮の中で生涯の伴侶と出会うことになるのだが、それはまた別の話である。


「……何これ?」



 それから20時間後、その少年は「隷属の首輪」を付けられた姿で十字路にやって来た。








 ついに『ヘルメス大迷宮』キタ!

 ちなみに、触手に襲われたら大事なものを失います。アー!

 次回はちょっとシリアス?かもしれません。



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