表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ボーナス屋、勇者になる  作者: 爪牙
奴隷救出作戦編
28/465

第26話 ボーナス屋、ドラゴンを売る

 フウ、盗賊どもはとりあえず全員死んではいないようだな?


 まあ、骨の数本はいっちゃってるだろうけど。


 さて、ドラゴンも一緒に運びたいが、どうするかな?



「勇者殿――――――――――!!」


「シロウ殿!!」


「あ、ロビンくん!!」



 都合よく村長とロビンくんの空属性コンビが現れた!!


 やった!これで運ぶのが楽になるぜ!



「2人ともどうしてここにいるんだ?」


「アンナから子供達がまた(・・)いなくなったと聞いたのでロビン殿と一緒に捜していたのです。」


「シロウ殿から教わった探知魔法を使った結果、シロウ殿を追って森の中に入ったことが分かったので村長殿と一緒に捜しにきたんです。ケビン達とはさっき合流して事情を聞きました。盗賊団と大型の魔獣が出たと聞いたのですが・・・・・・・・・」



 ロビンくんは俺の後ろで死んでいるドラゴンを見て唖然とした。


 まあ、まさか1人でドラゴン倒すとは思わないだろうな?



「・・・・・勇者殿がこれを?」


「ああ、ベルクドラゴンっていうらしいぜ?あと、盗賊団は穴の中で全員気絶してるぜ?」



 村長もビックリしてるな?


 そう言えば竜種の中だと力は中の下らしいが、どれくらい凄い事なんだろう?



「・・・・ベルクドラゴン、普通は最低10人以上で討伐する魔獣なのですが、1人で倒したんですか?」


「まあ、流石にヤバそうだったから必死だったけどな。盗賊団と一緒に運びたいから手伝ってくれないか?」


「それは構いませんが、凄いですね・・・・・・。」


「懐かしいですな。私も勇者殿と同じ年の頃は単独で年に何度もドラゴンと戦ったものです。いやあ~、あの頃は私も何度も死にかける事が多かった!」



 村長、若い頃から相当無茶してたんだな?


 ソロで何度もドラゴン退治って・・・・・・・。



「そういえばケビン達は?」


「向こうでジッとしてしているように言っておきました。そういえばビックラビットも狩ったようですが、あれもシロウ殿が?」


「いや、あれはケビンとマイカの2人が狩ったようだぜ?じゃあ、たくさんの荷物(・・・・・・・)も一緒に村に戻ろうぜ?」


「ええ、ヒューゴ達も心配していましたから、早く無事を知らせに行きましょう。」



 その後、俺達はケビン達とも合流してファル村まで《ワープ》を使って帰還した。


 ドラゴンとウサギ、それと気絶した盗賊団はロビンくんと村長の四次元倉庫に収納したから荷物は採取した薬草だけで済んだぜ!


 やっぱ空属性便利だよな~~。


 レベルアップでポイントが溜まったし、俺も新しい属性をゲットしてみるかな?




---------------------


――ファル村――


 村に帰還後、チビッ子4人組はアンナちゃんを始めとする村の女性陣にみっちりと全員泣くまで説教され続けた。


 今回は俺にも非があるから一緒にアンナちゃん達に謝ったが、「勇者様の責任ではありません!」と言われてしまった。


 何だか何をしちゃって“勇者”という理由だけで許されちゃいそうな気がしてきた。


 と思ったら、女性陣の代わりに村長とロビンくんに説教されました。


 罰として、村に何か便利な物を造る事になった。


 ん~~~~何にするかな?


 ああそれと、盗賊団は四次元倉庫から出した後は村にある箱型の牢屋に全員閉じ込めておいた。


 大怪我している奴もいたから最低限手当もしておいたから命の心配はないだろ。



「さて、今回の採取の結果をまとめるとするか!」


「たくさん採れたよね♪」



 俺達は昨日と同じ訓練所に移動して採取の結果をまとめていた。


 少し離れた場所ではヒューゴ達が体術の修業をしている。


 昨日は2時間くらいでダメそうだったけど、今日は結構大丈夫そうだな?


 さて、今回の収穫は以下のようになった。



・ヴェルデ草 × 83枚

・クリーン草 × 8枚

・ビックラビット(解体中) × 1

・ベルクドラゴン(解体中) × 1

・盗賊団 × 32人(結構いた)



 なお、村長情報によれば捕まえた盗賊団は結構前から帝国内の村を襲っていたそれなりに有名な連中だったらしい。


 俺は結構圧勝したけど、帝国騎士も何人か犠牲になっているそうだ。


 こいつらについては午後にロビンくんと一緒にヴァールの町へ連行する予定だ。


 それはそうと、今回のメインはヴェルデ草だ。かなり集まったな?



「83枚も採れたか。ファルの森は薬草の宝庫なのかもな?」


「え~と、依頼だと5枚1組だから・・・・16組分になるんだよね?」


「お!ケビンは計算ができるのか?」


「近所の雑貨屋さんが教えてくれたんです!」



 へえ、日本と違って満足に教育を受けられないのに凄いな?


 きっと《知恵の器》の効果もあったのかもしれないな。



「―――――これでFランクの依頼16件分になるから、これをギルドに持っていけば昇格できるな!あ、でもこの場合はパーティメンバー全員が昇格できるのか?」


「え~と、そういえば受付のお姉さんも言ってなかった気がする。」



 確かにその辺の説明はなかったし、俺も訊かなかったな?


 けど、全員が昇格できるとしたらみんな大勢でパーティ組んであっと言う間に昇格できる訳だからそれは無いと思うんだよな~?


 一応パーティで依頼は受けたけど、可能性としては昇格は個人単位、この場合はFランク16件分だから3人昇格か、パーティ全員が昇格するには「5(依頼数)×6(人)=30(件)」といった感じで、あと14件達成が必要とかありそうだな。



「まあ、ギルドに行った時にでも訊けばいいだろ?それよりも、昼までまだ少し時間があるから昨日教えられなかった初級魔法の残りを教えてやるよ!」


「はい!お願いします!」



 その後、俺はケビンに初級魔法を教えていった。


 もちろん、ケビンはあっという間に習得しちゃったぜ!




------------------


――港町ヴァール 冒険者ギルド――



 そう言う訳で1日ぶりに来たぜ冒険者ギルド!!


 ロビンくんとケビンと一緒に来て以来の達成報告を受付で済ませた。


 ちなみに受付のお姉さんは昨日の人とは別人だった。



「――――――――確認しました。ヴェルデ草の採取を16回分達成です。6人パーティでの依頼達成ですので、これで“ビックウイング”皆様は全員Fランク昇格になります。」


「え!全員昇格できるのか!?」


「ハイ、“ビックウイング”の皆さんは全員がGランクですのでFランクの採取依頼を10回達成すれば全員昇格となります。」


「どういう事だ?」



 何だか知らないルールがあるようだ。



「――――――パーティで依頼を受ける場合、討伐や運搬などの場合は個人の時と同様に同ランクの依頼10件達成か1つ上のランクの依頼を5件達成すれば昇格の対象となります。しかし、低ランクの採取依頼のような簡単な依頼のみを受ける場合、基本的に難易度が低いので、5人以上のパーティで受ける場合は個人の時の場合の2倍の達成数が昇格の条件になります。」



 俺達のパーティは6人、つまり採取を10回分こなさないと昇格できないって訳か。


 あれ?でも、依頼は採取ばかり受けるとは限らないよな?


 採取の次は運搬を受ける場合だって当然ある訳だし、そうなると・・・・・



「・・・・もしかして、昇格条件ってポイント制なのか?」


「はい、そうなります。と言ってもこれはギルド関係者しか確認できないようになっていますので、冒険者の皆さんが直接確認する事はできませんし、確認しようとする人も少ないので知らない人は意外と多いですね。具体的に言いますと、同ランクの依頼1件達成で2点、1つ上のランクの場合は4点が加算されます。そして合計点数が20点に達しますと昇格と言うことになります。なお、加算する点数はパーティメンバーのランクによっても変更になります。皆さんの場合、メンバーにEランク以上の方がいた場合、その人にはポイントは加算されません。」


「じゃあ、今回みたいに5人以上のパーティで1つ上のランクの採取依頼を達成した場合は2点加算されるってことか。」


「はい。」



 これは単純に見えてちょっとややこしいかもな?


 昇格に必要な点数(以後、昇格点)はソロでもパーティでも同じ40点、パーティで依頼達成した場合はメンバー全員に昇格点が(ランクに合わせて)加点される。


 けど、難易度の低い依頼の場合はソロで達成した時の半分しか昇格点が入らない。


 これだとパーティによっては少ない達成数で昇格するところと逆のところがあるってことになるな。


 そんな重要な話、昨日は聞いてないぞ?



「昨日登録した時はそんな話は聞いてないよな?」


「うん、僕も聞いてないよ。」


「すみません!昨日の受付は新人の職員がやっていたので、きっと言い忘れたんだと思います。2度とこのような事がないように注意しておきます!」



 お姉さんは頭を下げて謝罪してくれた。


 まあ、そんなに困った訳じゃないからいいけどな。



「――――――では、これが今回の報酬の16000Dになります。ご確認ください。」



 お姉さんは俺達に銀貨1枚と小銀貨6枚を渡した。


 うん、ちゃんとあるな!



「買取って、ここでもできるんだよな?」


「はい、向こうのドアを抜けた先が買取所になります。今回の依頼で余った薬草があったのでしたらお早めに買い取ってもらう事をお勧めします。生物(なまもの)は鮮度が落ちると買取不可能になりますので。」


「わかりました。では、失礼します。」


「はい、またのご利用をお待ちしております。」



 そして俺達は買取所へと入っていった。


 受付とは違い、受取所にいたのは初老のオッチャンだった。


 さてと、午前の収穫を買い取って貰うか!



「オッチャン!買取頼むぜ!」


「お?元気のいい坊主だな!何を売りに来たんだい?」


「いろいろあるぜ?まずはこれ!」



 俺は四次元リュックの中から村で剥ぎ取った“ビックラビットの毛皮”をドンと置いた。


 解体は村の人達が好意でやってくれたが、最近は俺も教わって自分でもやるようにしている。


 冒険者ならそれが普通だろうしな!



「おお!これはビッグラビットじゃないか!汚れも少ないし、破損も少ないからいい値段で買い取ってやれるぜ?そうだな、色を付けて20万Dでどうだ?」


「どうなんだ、ロビンくん?」


「いい値段です。ビッグラビットは大きいですが数が多いですし、戦闘力も高くないのでこの価格は通常よりも少し高いです。」


「じゃあ、その値段で頼むぜオッチャン!」



 と言う訳で“ビッグラビットの毛皮”は大銀貨2枚になった。


 ちなみに、肉の方は今夜のおかずになる予定だ!



「じゃあ今度はコレをお願いします!」


「うおっ!何だこりゃ!?」



 ズドン!ズドン!と、今度はベルクドラゴン(解体済み)1体分を(ロビンくんが)取りだした。


 流石にこれにはオッチャンもビックリ仰天だ!



「・・・・こいつはベルクドラゴンじゃねえか!!竜種なんて、今年に入ってまだ1体分しか買い取ってねえし、丸ごと1体分、それも成体のとは凄いじゃねえか!!」


「これはいくらになるんだ?」



 というか、かなり買い取ってくれないと凄く狭い!


 解体(バラ)したとはいえ、ドラゴン一体分が屋内に全部置いてあるとかなり部屋の中が狭い!



「―――――――かなり質の良い鱗に牙じゃねえか!肝も丁寧に分けてあるし、コイツは久しぶりの上物だな!肉も新鮮だし、全部で4800万Dになるぞ!」



 マジか!?


 ステラちゃんにドラゴンは高く売れるって聞いたけど、いきなり4800万!?


 ウサギの240倍かよ!!


 中の下クラスでこの価格!上の上クラスだとどれだけになるんだ!?



「・・・・・オッチャン、ちなみにドラゴンって高い奴だと幾らぐらいになるんだ?」


「そうだな、俺が知ってるのだと、確か帝国の英雄が倒した『フェアデルベン・ヴルカーンドラゴン』が100億以上の値がついたはずだな。確か・・・・『群青の豪傑』だったか?噂じゃ、その時の金で土地を買って村か街を造ったって話だ!」



 村長ぉ~~~~~~~~!!


 何か知らねえけど、何だか伝説級っぽいドラゴンを倒してる~~~!!


 100億以上って、白金貨10枚以上じゃん!!


 一体現役時代にどれだけ稼いでたんだ!?



「ほれ、これがウサギの分も合わせた金だ。確認してくれ!」


「・・・・・うん!ちゃんとあるな!」


「全く、初顔でこんなもん持ってくる奴はお前らが初めてだぞ?それに、どっからこんな量を出したんだ?」


「「魔法です(ホント)!!」」


「・・・まあいい、また大物を狩ったら持って来い!いい値で買い取ってやるぞ!」


「おお!頼んだぜオッチャン!!」



 気前のいいオッチャンとも仲良くなった俺は大金を受け取ってギルドを後にした。


 さて、次に向かうのは・・・・・・・




-------------------


――港町ヴァール 衛兵詰所――


「ガハハハハハハ!昨日の今日で、今度は盗賊団をまるごと連れて来たか?」



 豪快に笑う熊のオッサン衛兵。


 ドンと、盗賊団一味を突き出したら驚愕を通り越して大笑いだ。


 ちなみに、盗賊団の連中は髭男も含めて何が起きたのか分からないまま他の衛兵達に牢屋へと運ばれていった。



「しかも、あの連中は5年以上も軍にも捕まらなかった、この辺じゃ有名な盗賊団じゃねえか!こいつは昨日以上に大金を持ってこねえといけねえな!」



 俺の思った以上にヤバい盗賊団だったみたいだな?


 果たしてその懸賞金総額は!?



「―――――――でだ、こいつらの討伐にはここの領主も頭を痛めていてな?今年から懸賞金が上がって、頭目だけで金貨3枚が懸けられているんだ。他のザコ共も合わせると、全部で金貨5枚は下らねえだろうな?」


「そんなに!?」



 金貨5枚って、5000万Dか!?


 手当たり次第フルスイングしたり、空の上に吹っ飛ばしたりしただけなのにドラゴン以上の金になるとは!


 1日でかなりの金が稼げちゃったぞ俺!?


 日本じゃ天地が引っくり返っても俺は絶対に稼げないのに!?


 天国の父さんが知ったらどんな顔をするだろうな?


 というより、日本のサラリーマン全員が同じ顔をする気がする!



「そんじゃあ、今金を持って来るから待ってな!」



 いや~~~、最初はヤバいと思ったら意外とあっさり金が集まってきたな?


 横じゃケビンもビックリだ!


 賢そうに見えてもまだ子供だ、大金には慣れてないんだろうな。



「・・・・これなら全員買い戻せるんじゃね?」


「そうですね。しかし、私達はまだ問題の奴隷商には会ってません。最悪、法外な値段を出してくる可能性もあるので、確実に買い戻せる金額を集めましょう。とりあえず、今日はこのまま村まで帰って修業の続きをしましょう。ケビンにも剣の基礎を教えますので、戻ったらヒューゴ達と一緒に修業です。」


「はい!お兄ちゃん!!」


「よ~~し、俺は村の為になる物を造るとするぜ!!」



 その後、盗賊団の所持金の一部も俺達のものになって、最終的に6500万Dが支払われた。


 買取の分も合わせると1億を超えちゃってるぜ!!


 明日以降ももっと稼いで奴隷にされた奴らを助けるぜ!!







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ