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ボーナス屋、勇者になる  作者: 爪牙
12の大迷宮編Ⅰ
278/465

第269話 ボーナス屋、モフモフを改造する?(アルテミス大迷宮2)

――アルテミス大迷宮 第2階層――


「怪我は無いか?」


「は、はい!」


「よかったな~、俺らが近くにいなかったら、今頃カエルの餌食だぜ?」


「ありがとうだワン!お蔭で助かったワン!」



 カエル軍団が全滅した後、4人は近くの洞窟で雨宿りをしていた。



「俺はフォル=アローペークスだ!お前ら、無事で良かったぜ!」


「んで、俺はニロス=ニュドールだ!可愛い子ちゃんに会えて感激だぜ♪」



 フォルは艶のある金毛と綺麗な顔が特徴のキツネの獣人、ニロスはワッコ達と同い年位の愛嬌のある顔が特徴のカワウソの獣人だった。


 命の恩人に自己紹介され、ワッコとダリアも慌てて自分達も自己紹介をする。


 そして雨が止むまでの間、4人は焚火を囲んで雑談を交わしていた。



「――――だけど凄いワン!魔法を使える獣人は初めて見たワン!」



 ワッコはフォルとニロスが魔法を使った事を話に上げた。


 獣人は人間と比べると魔法の適正が極端に低く、獣人全体を見ても魔法を使える者は1割以下しかおらず、その中でも実戦で活用できるほどの適性を持っている者は更に少ない。


 ラウルス公国でも、高い魔法適正を持っているのは大公家と一部の貴族の一族だけで、庶民の間にはまずいなかった。


 にも拘らず、フォルとニロスは実戦レベルの魔法を平然と使っていた。


 興味が湧かない方がおかしい。


 ワッコの当然の疑問に、ニロスは腕を組みながら答えた。



「それがさ、俺達も大迷宮(ここ)に来てから急に使えるようになったんだよ!下の階層からこの階層に来た辺りで急に魔力が増えた感じがしてさ、気付いた時には頭の中に魔法の使い方が浮かんできたんだよ!だよな?」


「ああ、俺もまさか魔法が使えるようになるとは思わなかったな。これも、大迷宮を創ったアルテミス様の加護かもしれねえな?」


「羨ましいワン!私も魔法が使いたいワン!」


「だよね!私も魔法を使ってみたいな~♪」



 この1分後、ワッコとダリアは魔法を使えるようになった。






--------------------------


――ファル村 勇者の家――


「士郎~、リクエストだよ~!モフモフ~の為にお願~い♪」


「後半のはどういう意味だよ?」



 周りの熱い視線を浴びながら、俺は獣人少女達のボーナス交換をやった。


 ご希望通り、魔法系を知識と一緒に与えた。



「よし!」


「ハアハア……!モフモフが1、2、3、4……最高ですわ♡」


「あそこに行きたいです♡」


「出発~♪」


「するな!!」



 厄介事を増やさない為に、俺はバカ共を縛り付けた。






--------------------------


――アルテミス大迷宮 第2階層――


「《ファイヤーボール》だワン!」


「イッケ~!《ロックショット》!」



 豪雨が止んだ後はかなり順調に攻略が進んだ。


 彼女達は「不思議な現象」、または「アルテミス様の加護」と勝手に納得したパワーアップにより次々と魔獣達を倒しながら先を進んでいった。



「宝箱発見したぜ!」


「ポーション発見!」



 大迷宮の中にはランダムに宝箱が設置されていた。


 まだ序盤なので中に入っているのは下級ポーションや薬草類だけだったが、この先の長い攻略を考えれば、回復アイテムが補充できるので彼女達にはありがたかった。



「出口が見えたワン!」


「次は3階だね!」


「このまま一直線だぜ!」



 順調に進んだため、4人に油断が生まれていた。


 そして、その油断が彼女達を一気に危機に陥れる。



『シュ………』


「ん?何か言った?」


「私じゃないワン?」


「ダリア!上だ!!」



 根元の空洞の奥に階段がある木に近づいた直後、木の上から巨大蜘蛛が襲いかかってきた。



「ロ、《ロックウォール》!!」


「ダメだ!クソッ!」



 ダリアは岩の壁を出して守ろうとするが、直感で防げないと気づいたフォルは全身の筋肉の力をフルに出してダリアに体当たりして避けさせた。


 直後、巨大蜘蛛の爪が岩の壁を貫いてフォルの左足に掠った。



「チッ!」



 痛みを堪えてフォルは地面を蹴って巨大蜘蛛から距離をとった。



「フォル!!」


「大丈夫だ…!」


「ごめんなさい。私のせいで……」


「俺はいいから……今はあの蜘蛛を倒すぞ!」


『シュシュシュッ!』



 フォルは平気な顔をしていたが、掠り傷を負った左足は少しずつ痺れだしていた。


 4人の前に現れた巨大蜘蛛はこの大迷宮にのみ存在し、第2階層の終点を守護するフロアボス、ジャイアントステルススパイダーだった。


 4人はまだ知らないが、『アルテミス大迷宮』は偶数の階層にはフロアボスがいて、それを倒さない限りは上の階層へは行けないのだ。


 そしてこの第2階層のボスの1体がジャイアントステルススパイダーであり、その特性は臭いも音も出さずに移動し、相手を不意討ちで襲うというものだった。


 ランクは第2階層では最高のDランクで、既に多くの探索者を脱落させていた。


 ちなみに、フロアボスは各階層ごとに数種類存在し、天候等の条件で出てくるボスは変化する。


 今回のボスは昼間の晴天時に出現するボスだった。



『シュ~~!!』



 ボスの次の攻撃が始まった。


 ジャイアントステルススパイダーの武器は2つ、麻痺毒を持った爪と魔力で強化された糸である。


 4人は高い身体能力を生かし、攻撃を避けながら攻撃していくが中々決定打を撃てなかった。


 特にフォルは麻痺毒のせいで動きがかなり悪くなっていた。


 そこにボスの爪が襲い掛かる。



「「「フォル!!」」」


「クソッ!!」



 そして巨大な爪がフォルの胸を切り裂いた。


 しかし、フォルも致命傷だけは避けようと咄嗟に身体を逸らして()への直撃は避けた。


 代わりにフォルの服と皮鎧が無惨に切り裂かれた。



「―――――え?」



 それを見て、ダリアは悲鳴ではなく魔の抜けた様な声を漏らした。


 無理もない。


 ボスの爪で服も鎧も切り裂かれて露になったフォルの素肌、そこにあったモノに目を奪われたからだ。



「フォル……女の子(・・・)だったワン?」



 ワッコも魔の抜けた声を漏らした。


 露になったフォルの素肌にあったモノ、それは男だけでなく女も確実に目を奪われるほどの―――巨乳だっ

た。






--------------------------


――ファル村 勇者の家――


 その光景を見て、俺は別に動揺しなかった。



「モフモフが!モフモフが死んじゃう!!」


「うわ~!母様や姉様よりもずっと大きい~!」


「士郎は知ってたの~?」


「ステータスに『男勝りな巨乳狐』ってあったからな」


「分かり易~い~♪」



 あと、《爆乳の器》とか意味不明な者もあったな。


 さて、この後はどうなる?








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