第214話 ボーナス屋、人材発掘する
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『検索:ハーフエルフ』
人間とエルフの間に生まれたハーフ。
外見は人間と大差はないが、耳が人間よりも僅かに長い。
寿命は純粋なエルフの半分以下だが成長速度はエルフと大差がない。
その上、多くがエルフの特徴である高い魔法の適性を持たない場合が多い為、エルフの間では「忌み子」や「無能」と呼ばれ差別されている。
基本的に容姿が美しい為、裏では性奴隷としての需要がある。
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俺は今日、この世界にエルフが存在すると初めて知った。
前にドワーフらしい異種族がいることは聞いていたけど、エルフの事は初耳だ。
「………」
「ちょっと動きづらいから離れてくれるか?」
「う…ん…」
素直な子らしい。
魔法は使えないらしいけど頭はいいし、何より錬金術の適正がチートクラスだ。
この子ならエルナさんの所に連れて行っても良さそうだ。
いっその事、子供達全員を連れて行くかな?
「ハハハハハ!子供達よ、お前達の事はの第一皇子にして皇太子である俺が全責任をもって面倒を見てやろう!」
なんか、バカ皇子がヤル気満々になってるな?
その後、メル以外の子供のステータスも確認していったところ、予想通り何人かはどっかの貴族や王族の隠し子だった。
幸いバカ皇帝の隠し子はいなかったが、中には先日クーデターを起こして捕まったフィンジアスの国王の兄の子供、つまりステラちゃんの従弟や、問題ばかり起こしていたエーレ王国の元国王や貴族の子供もいた。
俺は急いでステラちゃん達に連絡したところ、すぐに行くと返事が来たのでその子達については向こうに任せる事になった。
余談だが、この件をキッカケに帝国内には帝国の出資の下で幾つもの孤児院などが造られる事が決定したそうだ。
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――帝都タラ シュナイダー準男爵邸――
「エルナさん、街から人材を集めてきたぞ!」
「え!?もうですか!?」
あれから数時間が経過し、俺はメルを始めとした帝都の各所で発掘してきた人材を連れてエルナさんの屋敷に戻った。
その多くが職探しで困っていたり、住む処が無くてスラムで暮らしている人達が殆どだ。
だけど能力があって信用もできるし、本人達も話をしたらヤル気満々だったので問題は無い筈だ。
「あら?この子供は…もしかしてエルフですか?」
「―――!(ビク)」
「大丈夫だよメル、この人は怖くない人だから」
「本…当…?」
「あのう、何かあったんですか?」
メルの様子から何か事情があるのだと察したエルナさんに、俺は簡単にメルの事情を説明した。
そしてちょっとしたドラマが発生したんだけど長くなるのでその辺は省略する。
取り敢えず、俺が発掘した人材の紹介から始めよう。
ちなみに、全員俺の能力で魔改造済みだ。
1人目はスラムでゴミを拾って売っていた処をスカウトしたお兄さんだ。
「ははははは初めまして、じゅじゅ準男爵様ままま!!おおお俺……じゃなくてわわ……」
「落ち着け!!」
「はいいいいいいいい!!わわ、私はアイクククといいますううう!!」
「…駄目だこりゃ」
庶民純度100%なこのお兄さんは物凄く緊張していた。
見た目は現代日本にも居そうな草食系のボサボサ頭の男だが、中身は結構な高スペックだ。
~Before~
【名前】アイク
【年齢】19 【種族】人間
【職業】浮浪者 【クラス】ゴミ山の人
【属性】メイン:雷 空 サブ:火 水 土 風
【魔力】1,750/1,750
【状態】正常
【能力】剣術(Lv1) 魔力加工術(Lv3) 木材加工術(Lv2) 融合 分離
【加護・補正】物理耐性(Lv1) 魔法耐性(Lv1) 精神耐性(Lv1) 雷属性耐性(Lv3) 空属性耐性(Lv3) 毒耐性(Lv2) 麻痺耐性(Lv2) 鋼の胃腸 職人の手 低燃費 技巧神ルフタの加護
【BP】108
平民の中では魔力は高く、能力も生産系特化だった。
その内初めて見るものもあるけど能力は名前の通りだ。
《魔力加工術》は自分の魔力やそれ以外の魔力に干渉して加工する能力で、魔力を魔石化したり、魔石を加工して純度や属性を調整する事ができる。
《木材加工術》は《建築魔法》にも似ていて、木材を一瞬で乾燥させたり柔軟に加工したりできる能力だ。
《融合》と《分離》は《錬金術》の劣化版みたいな能力で、その名の通り複数の物を融合したり1つの物を複数に分離したりすることができる。
以上が強化前のステータス、そして俺の能力で強化した後のステータスがこれだ。
~After~
【名前】アイク
【年齢】19 【種族】人間
【職業】浮浪者(Lv1) 【クラス】スカウトされた人
【属性】メイン:雷 空 サブ:火 水 土 風
【魔力】1,750/1,750
【状態】正常
【能力】攻撃魔法(Lv2) 防御魔法(Lv2) 補助魔法(Lv3) 特殊魔法(Lv2) 剣術(Lv1) 魔力加工術(Lv3) 木材加工術(Lv3) 融合 分離 鑑定
【加護・補正】物理耐性(Lv1) 魔法耐性(Lv1) 精神耐性(Lv1) 雷属性耐性(Lv3) 空属性耐性(Lv3) 毒耐性(Lv2) 麻痺耐性(Lv2) 鋼の胃腸 職人の手 低燃費 技巧神ルフタの加護 成長力上昇 職業補正 職業レベル補正
【BP】3
最初は《錬金術》を交換しようと思ったけど、既に《分離》や《融合》があるから今回は保留にした。
もしかしたら後で能力が進化するかもしれないしな。
それにしても『浮浪者』って職業じゃないよな?
まあ、それはいいとして次の人だ。
「準男爵様、私は街の靴職人の娘でマリーンといいます!手先の器用さには自信があります!あと、少しだけですが魔法も使えます!」
彼女はさっきの工房の街にあった靴工房の頭の娘で、職人になりたいのに父親が頑固なせいで修業すらさせて貰えない処をスカウトした。
帝国じゃ、女性が職人になるのは難しいらしい。
ステータスは以下の通りだ。
~Before~
【名前】マリーン=シューマッハ
【年齢】17 【種族】人間
【職業】家事手伝い 【クラス】器用貧乏
【属性】メイン:火 サブ:水 風 氷
【魔力】1,000/1,000
【状態】正常
【能力】攻撃魔法(Lv1) 防御魔法(Lv1) 補助魔法(Lv1) 特殊魔法(Lv1) 剣術(Lv1) 弓術(Lv2) 体術(Lv1) 鍛冶術(Lv1) 錬金術(Lv1) 祈祷術(Lv1)
【加護・補正】物理耐性(Lv1) 魔法耐性(Lv1) 精神耐性(Lv1) 火属性耐性(Lv1) 水属性耐性(Lv1) 風属性耐性(Lv1) 氷属性耐性(Lv1)
【BP】69
『器用貧乏』とある通り、能力の数は多いが殆どが適正レベル1という微妙に残念なスペックだった。
それが現在はこうだ。
~After~
【名前】マリーン=シューマッハ
【年齢】17 【種族】人間
【職業】家政婦(Lv1) 錬金術師(Lv1) 魔法使い(Lv1) 【クラス】やや器用貧乏じゃない
【属性】メイン:火 サブ:水 風 氷
【魔力】1,000/1,000
【状態】正常
【能力】攻撃魔法(Lv1) 防御魔法(Lv1) 補助魔法(Lv1) 特殊魔法(Lv1) 剣術(Lv1) 弓術(Lv2) 体術(Lv1) 鍛冶術(Lv1) 錬金術(Lv3) 祈祷術(Lv1) 鑑定
【加護・補正】物理耐性(Lv1) 魔法耐性(Lv1) 精神耐性(Lv1) 火属性耐性(Lv1) 水属性耐性(Lv1) 風属性耐性(Lv1) 氷属性耐性(Lv1) 職業補正 職業レベル補正
【BP】4
均等にレベルを上げても器用貧乏のままなので、今回は錬金術にポイントを振っておいた。
これならエルナさんの指導があればどんどん伸びていくはずだ。
さて、どんどん行ってみよう!
「ほら!挨拶、挨拶!」
「うっせえな!レオだよ、レオ!」
次はスラムでスリをしていた少年だ。
見た目は10~12歳位に見えるが、実際はもっと上だ。
~Before~
【名前】レオ
【年齢】14 【種族】クォーター(人間+ドワーフ)
【職業】―― 【クラス】スラムの少年
【属性】メイン:土 火 サブ:風 水 木
【魔力】1,710/1,710
【状態】空腹(小)
【能力】体術(Lv2) 槌術(Lv2) 斧術(Lv2) 鍛冶術(Lv3) 調合術(Lv1) 炎槌の手甲
【加護・補正】物理耐性(Lv2) 魔法耐性(Lv1) 精神耐性(Lv1) 土属性耐性(Lv3) 火属性耐性(Lv3) 火傷耐性(Lv2) 混血児 超器用 鍛冶神ゴヴニュの加護
【BP】82
ハーフドワーフではなくクォータードワーフの少年だ。
歳の割に背丈が低いのはドワーフの血の影響だろうな。
~After~
【名前】レオ
【年齢】14 【種族】クォーター(人間+ドワーフ)
【職業】戦士(Lv1) 鍛冶師(Lv3) 錬金術師(Lv1) 【クラス】スラムの少年
【属性】メイン:土 火 サブ:風 水 木
【魔力】1,710/1,710
【状態】正常
【能力】体術(Lv2) 槌術(Lv2) 斧術(Lv2) 鍛冶術(Lv3) 錬金術(Lv3) 炎槌の手甲 鑑定
【加護・補正】物理耐性(Lv2) 魔法耐性(Lv1) 精神耐性(Lv1) 土属性耐性(Lv3) 火属性耐性(Lv3) 火傷耐性(Lv2) 混血児 超器用 鍛冶神ゴヴニュの加護 職業補正 職業レベル補正
【BP】4
最初にあった《調合術(Lv1)》は《錬金術(Lv3)》に吸収統合された。
既に『錬金術師』のレベルが上がっているのは、彼の個人的な事情により既に《錬金術》を実践していたからだ。
ドワーフの血が彼にどんな成長を及ぼすのか、今後が好期待だ!
「貴族様お願いしますだ!!おら、田舎に残した家族を養うたんめに都会さ来ただが、雇い主様がいなくなってお先真っ暗だ~!」
次の人は遥々辺境のド田舎から上京したはいいが、雇い主である貴族がこの前のクーデターで捕まって家もお取り潰しになって路頭に迷っている処をスカウトした。
正直、見つけた時はヤバかったな。
路頭に迷ってたとは言っても、全身に虫が集まっていて今にも衰弱死しそうな感じだった。
~Before~
【名前】タケマル
【年齢】18 【種族】人間
【職業】農民 【クラス】ドン底男
【属性】メイン:光 闇 サブ:氷 雷 木 時 空
【魔力】3,900/3,900
【状態】空腹(大) 脱水症(大) 発熱(中) etc
【能力】剣術(Lv3) 弓術(Lv4) 体術(Lv2) 調合術(Lv2)
【加護・補正】物理耐性(Lv2) 魔法耐性(Lv1) 精神耐性(Lv1) 光属性耐性(Lv3) 闇属性耐性(Lv3) 氷属性耐性(Lv1) 雷属性耐性(Lv1) 木属性耐性(Lv1) 時属性耐性(Lv1) 空属性耐性(Lv1) 毒耐性(Lv1) 麻痺耐性(Lv1) 勇者の血 幸薄男 苦労者 孝行者 太陽神ベレヌスの加護
【BP】120
名前からも想像できるだろうが、この人には日本人の血が流れている。
過去に『奇跡の書』でこの世界に召喚された日本人の子孫だからか、中々の高スペックだ。
そして強化後がこれだ。
~After~
【名前】タケマル
【年齢】18 【種族】人間
【職業】農民(Lv1) 【クラス】必死な男
【属性】メイン:光 闇 サブ:氷 雷 木 時 空
【魔力】3,900/3,900
【状態】正常
【能力】攻撃魔法(Lv3) 防御魔法(Lv3) 補助魔法(Lv3) 特殊魔法(Lv3) 剣術(Lv3) 弓術(Lv4) 体術(Lv2) 調合術(Lv2) 錬金術(Lv4) 鑑定
【加護・補正】物理耐性(Lv2) 魔法耐性(Lv1) 精神耐性(Lv1) 光属性耐性(Lv3) 闇属性耐性(Lv3) 氷属性耐性(Lv1) 雷属性耐性(Lv1) 木属性耐性(Lv1) 時属性耐性(Lv1) 空属性耐性(Lv1) 毒耐性(Lv1) 麻痺耐性(Lv1) 勇者の血 幸運 苦労者 孝行者 太陽神ベレヌスの加護 職業補正 職業レベル補正
【BP】0
もう農民のスペックじゃないな。これ。
〈魔法適正〉を10ポイントで交換しただけで全部の魔法がレベル3の適性を示した。
どうやら、召喚チートは子孫にも遺伝するようだな。
あとは幸が薄いみたいだから《幸運》も交換して、後は《錬金術》や幾つかの知識を交換した。
「お願いしますだ!!田舎には飢饉で腹を空かせた13人の弟妹と、両親と祖父母と曾祖父母―――」
「「「大家族!?」」」
彼の家は大所帯のようだ。
彼の必死さがエルナさんに伝わったのか、「勿論です!今日から住み込みで働いてください!」とすぐに採用を決定した。
エルナさん、返事出すの速すぎるだろ。
その後も何人か紹介し、幾つか質問をした末で全員の採用が決定した。
使用人用の部屋が沢山余っているとかで、全員住み込みで働くことも可能だと伝えると全員が希望に満ちた笑顔を浮かべた。
ああ、ちなみにメルの改造後のステータスは以下の通りだ。
~After~
【名前】メル=グリーンロード
【年齢】16 【種族】ハーフ(人間+エルフ)
【職業】魔法使い(Lv1) 【クラス】元奴隷
【属性】無(全属性)
【魔力】190,000/190,000
【状態】正常
【能力】攻撃魔法(Lv4) 防御魔法(Lv3) 補助魔法(Lv4) 特殊魔法(Lv4) 精霊術(Lv3) 錬金術(Lv4) 精霊眼 鑑定
【加護・補正】物理耐性(Lv2) 魔法耐性(Lv3) 精神耐性(Lv2) 全属性耐性(Lv3) 毒耐性(Lv2) 麻痺耐性(Lv2) 先祖返り 幸運 長寿 秀才 超記憶力 詠唱破棄 豊穣神エリウの加護 職業補正 職業レベル補正
【BP】13
流石はエルフの血、か?
〈魔法適正〉を交換して与えたらチートなレベルを示してくれた。
ハーフエルフは魔法が使えないって言うけど、それは先天的にであって後天的に魔法に目覚めたら案外みんなチートだったりするかもしれないな。
これをエルフ達が見たらどう思うんだろうな?
「それでは皆さん、仕事の説明をしますのでついて来て下さい」
エルナさんは新人達を地下の研究室へと案内していく。
こうしてエルナ研究室(仮称)には、今日から新たに新人達が加わることになった。
そしてこの日こそがダーナ大陸の産業革命の始まりの日となるのだった。
ああ、ちなみに新人以外の研究室のメンバーもしっかりとチート化を施しておいた。